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高血圧の薬でグレープフルーツ以外にも注意すべき柑橘類|相互作用が生じる理由を解説

高血圧の薬でグレープフルーツ以外にも注意すべき柑橘類|相互作用が生じる理由を解説
公開日: 2025.11.28

高血圧の治療薬を服用中は、食事との組み合わせに細心の注意が必要です。

特に柑橘類には、薬の副作用を強めすぎてしまう種類がグレープフルーツ以外にも存在します。

本記事では、グレープフルーツ以外に避けるべき果物や、相互作用の心配が少ない種類について詳しく解説します。

この記事を読むとわかること

  • 高血圧の薬でグレープフルーツ以外にも注意すべき柑橘類
  • 高血圧の薬と柑橘類が相互反応を起こしてしまう理由
  • 脳梗塞予防の新たな選択肢となる再生医療について

また、高血圧が招く脳梗塞のリスクに備えるため、損傷した組織の再生・修復を促す再生医療についても紹介します。

食事への不安を解消し、将来の健康を守るために本記事を参考にしてください。

高血圧の薬でグレープフルーツ以外にも注意すべき柑橘類

薬との飲み合わせが悪いのはグレープフルーツだけではありません。

ここでは、注意が必要な種類を具体的に解説します。

注意すべき柑橘類を知り、日々の食事選びに役立てましょう。

また、次の記事では高血圧についてわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

注意すべき柑橘類【一覧】

薬の代謝を妨げる可能性がある「フラノクマリン類」を含む柑橘類は、グレープフルーツ以外にも複数存在します。

主な種類は、以下のとおりです。

注意すべき柑橘類【一覧】

  • グレープフルーツ
  • スウィーティー
  • メロゴールド
  • バンペイユ
  • レッドポメロ
  • ダイダイ
  • ブンタン
  • ハッサク

※出典:J-STAGE「酵素免疫測定法による食物・生薬中のフラノクマリン類含有のスクリーニング」

これらは品種改良によって近い特性をもっているため、同様の成分を含みます。

一方で、温州みかんやデコポン、イヨカンなどは影響が少ないとされていますが、判断に迷った際は自己判断をせず、医師や薬剤師へ相談してください。

果汁に注意すべき柑橘類

果肉を絞ったジュースにもフラノクマリン類が含まれるため、果汁にも注意が必要です。

特に以下の柑橘類は果汁中のフラノクマリン類の含有量が高いため、飲み物として摂取する場合も注意が必要です。

柑橘名 果汁のDHB換算量(μg/mL)
スウィーティー 17.5
グレープフルーツ 13.0
バンペイユ 12.5
メロゴールド 12.5
レッドポメロ 6.4

※出典:J-STAGE「酵素免疫測定法による食物・生薬中のフラノクマリン類含有のスクリーニング」

健康のためにと飲んだジュースが、思わぬ不調を招く原因になる可能性があります。

該当する果物のジュースは避け、水やお茶を選びましょう。

以下のページでは、脳梗塞後に食べてはいけないものについて解説しているので、併せて参考にしてください。

果皮に注意すべき柑橘類

果肉・果汁の部分よりさらに注意が必要なのが、柑橘類の「皮」です。

果皮には果汁の何倍もの高濃度でフラノクマリン類が含まれている柑橘類があり、マーマレードや皮ごと食べる加工品はリスクが高まります。

特に含有量が多い柑橘類は、以下のとおりです。

柑橘名 果皮のDHB換算量(μg/mL)
グレープフルーツ 3600.0
メロゴールド 3400.0
スウィーティー 2400.0
甘夏ミカン 1040.0
サワーポメロ 1000.0

※出典:J-STAGE「酵素免疫測定法による食物・生薬中のフラノクマリン類含有のスクリーニング」

甘夏ミカンは果汁の数値が低いものの、皮にはフラノクマリン類が多く含まれます。

皮の砂糖漬けやジャムなどは口にしないよう注意しましょう。

高血圧の薬と相互作用の心配が少ない食材

高血圧の治療中でも、すべての柑橘類を避ける必要はありません。

成分分析の結果、果汁に含まれるフラノクマリン類が検出されない、または極めて微量で影響が少ないとされる種類も確認されています。

分類 主な果物名
定番の柑橘類 温州みかん、デコポン、イヨカン、ポンカン
オレンジ類 スウィートオレンジ、マンダリンオレンジ
香酸柑橘類 ゆず、カボス、スダチ
その他 リンゴ、ブドウ、バナナ、イチゴ

これらは日常的に手に入りやすく、適量であれば薬の効果を強めすぎてしまうリスクも低いです。

以下の動画では、血糖値を下げるために効果的なことについて解説しているので、ぜひ参考にしてください。

高血圧の薬とグレープフルーツの相互作用について

高血圧の治療薬、特にカルシウム拮抗薬を服用している間は、グレープフルーツの摂取を控える必要があります。

なぜ一緒に食べてはいけないのか、体内で起きている反応とリスクについて解説します。

正しいメカニズムを理解し、ご自身の体を副作用から守りましょう。

薬の効果を妨げてしまう

グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン類」と呼ばれる成分が、薬の代謝を妨げて副作用を引き起こします。

通常、薬は小腸にある酵素によって適度に分解され、体内に吸収されます。

しかし、フラノクマリン類はこの酵素の働きを阻害するため、薬が分解されずにそのまま体内に吸収され、血中濃度が想定以上に高くなります。

結果として、薬が効きすぎてしまい、以下の症状が出る恐れがあります。

主な症状 具体的な状態
過度な血圧低下 ふらつき、立ちくらみ
脳への血流不足 めまい、頭痛
心臓への影響 動悸、頻脈

上記のような影響は、一度フラノクマリン類が含まれる柑橘類を食べると数日間続く場合があります。

薬を服用している期間は、ジュースや加工品を含めて摂取を避けましょう。

摂取量に比例してリスクが高まる

フラノクマリン類が含まれる柑橘類は、食べる量が増えれば増えるほど、体への悪影響も大きくなります。

一般的に、グレープフルーツジュース1杯程度でも薬の代謝に影響を与えますが、果実を丸ごと食べたり、濃縮ジュースを飲んだりすると、さらにリスクは跳ね上がります。

体質や薬の種類によって差はありますが、多量摂取は危険な副作用を招く原因になります。

特に高齢の方や肝臓・腎臓の機能が低下している方は、薬の成分が体から抜けにくいため、より慎重な管理が必要です。

高血圧の薬を服用中にグレープフルーツを食べてしまったときの対処法

万が一、グレープフルーツや柑橘類を食べてしまった場合でも焦りは禁物です。

体調の変化を観察し、適切な行動をとりましょう。

高血圧の薬を服用中にグレープフルーツを食べてしまったときの対処法

  • 激しい運動を避け安静にする
  • 血圧や体調の変化を記録する
  • 異変があれば医療機関へ連絡する

摂取直後に症状が出るとは限らないため、数時間は激しい運動や入浴を避け、自宅で安静に過ごしましょう。

特に注意すべき症状は、以下のとおりです。

症状の分類 具体的なサイン
血圧低下 めまい、ふらつき、立ちくらみ
心臓の異常 動悸、胸の苦しさ、頻脈
その他 強い倦怠感、頭痛、冷や汗

これらの症状が現れた場合は、すぐに医師または薬剤師に連絡し、指示を仰いでください。

「薬を飲むのをやめる」「量を減らす」といった自己判断は、症状を悪化させる原因になるため、注意しましょう。

必ず専門家の指示に従いましょう。

高血圧の薬と柑橘類に関してよくある質問

ここでは、高血圧の薬と柑橘類に関してよくある質問に回答していきます。

正しい知識を身につけ、日々の食生活に取り入れましょう。

高血圧の薬にレモンは大丈夫?

レモンは、高血圧の治療薬を服用中の方でも相互作用の心配が少ない食材です。

グレープフルーツとは異なり、レモンの果肉・果汁には薬の代謝を妨げる成分「フラノクマリン類」がほぼ含まれていません。

同様にフラノクマリン類含有量が少ない主な柑橘類は、以下のとおりです。

  • 温州みかん
  • カボス
  • ゆず
  • すだち
  • デコポン

しかし、ほとんどの柑橘類で果肉・果汁よりも果皮の方に多くのフラノクマリン類が含まれているため、皮には注意が必要です。

相互作用の心配が少ないレモンでも、過剰摂取や果皮を食べないようにしてください。

フラノクマリンが多い柑橘類は?

フラノクマリン類を多く含み、薬との飲み合わせが悪い柑橘類は複数存在します。

特に注意が必要な種類は、以下のとおりです。

フラノクマリン類が多い柑橘類

  • グレープフルーツ
  • スウィーティー
  • メロゴールド
  • バンペイユ
  • レッドポメロ
  • ダイダイ
  • ブンタン
  • ハッサク
    など

これらは果肉だけでなく、果皮にも高濃度の成分が含まれるため、柑橘類の皮を材料としたマーマレードなどの加工品も避ける必要があります。

見た目だけでは判断が難しいため、迷った際は口にせず、主治医や医療機関に確認しましょう。

高血圧の薬にはフラノクマリンの多い柑橘類に注意しよう

本記事では、薬との飲み合わせが悪い柑橘類について解説しました。

特に以下の点は、日々の生活で意識する必要があります。

  • グレープフルーツ、甘夏ミカン、スウィーティーなどは避ける
  • 果肉だけでなく、果汁や果皮を使った加工品も控える
  • レモンや温州みかんは相互作用の心配が少ないため代用できる

正しい食事制限を続けることは、血圧を安定させ、将来的な「脳梗塞」を防ぐために欠かせません。

高血圧の状態が長く続くと、血管に負担をかけ続けて動脈硬化を進行させるリスクがあり、将来的に脳の血管が詰まってしまう可能性を高めます。

もし、薬によるコントロールだけでなく、より根本的な予防を検討したい場合は「再生医療」も選択肢の一つです。

再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を使って傷ついた血管や組織の再生・修復を促す治療法です。

脳梗塞の予防や、発症後の機能回復に役立つ新たなアプローチとして注目されています。

ご自身の健康を守るために、食事の管理と併せて、再生医療という選択肢も検討してみてください。

再生医療による脳梗塞(脳卒中)の症例はこちら

「再生医療について詳しく知りたい」という方は、当院リペアセルクリニックにご相談ください。

監修者

渡久地 政尚

Masanao Toguchi

医師

略歴

1991年3月琉球大学 医学部 卒業

1991年4月医師免許取得

1992年沖縄協同病院 研修医

2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務

2008年沖縄協同病院 内科 勤務

2012年老健施設 かりゆしの里 勤務

2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長

2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長

2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長