鵞足炎を予防するために習慣化したいポイントを解説!繰り返す症状に対する治療法も紹介
公開日: 2019.10.05更新日: 2025.04.30
鵞足炎は膝の内側に炎症が生じるスポーツ障害の一つで、再発しやすいのが特徴です。
間違ったフォームや柔軟性不足、筋力の偏りなどが重なると、症状の悪化や長期化を招くリスクもあります。
そのため、日頃から正しいフォームの意識づけやストレッチ、筋力トレーニングによるバランス強化を心がけることが予防の鍵となります。
本記事では、鵞足炎を繰り返さないために、日常生活で習慣化すべき5つの予防ポイントを詳しく解説します。
鵞足炎のリスクを減らすだけでなく、快適にスポーツを楽しむためにも、ぜひ参考にしてください。
目次
鵞足炎を予防するために習慣化したい5つのポイント
鵞足炎を予防するために習慣化したいポイントは、以下の通りです。
これらの対策を日常に取り入れることで、膝への負担を軽減し、鵞足炎の発症や再発リスクを防ぐ効果が期待できます。
無理のない範囲で継続し、自分の体に合った予防スタイルを見つけていきましょう。
太ももの筋肉を鍛える
鵞足炎の予防には、太ももの筋肉(とくに大腿四頭筋とハムストリング)をバランス良く鍛える必要があります。
大腿四頭筋は膝を伸ばす際に、ハムストリングは膝を曲げる際に使われる筋肉で、これらが弱いと膝関節への負担が増し、鵞足部の炎症リスクが高まります。
大腿四頭筋を鍛えるには、以下の運動が効果的です。
効果 | |
---|---|
スクワット |
・大腿四頭筋、ハムストリング、臀筋など、下半身全体の筋力バランスを向上 |
レッグエクステンション |
・大腿四頭筋を集中的に鍛える |
スクワットは自宅でも手軽に実施可能で、道具を使わずに全身を鍛えられる点が魅力です。
レッグエクステンションは大腿四頭筋を集中的に鍛えられますが、専用のマシンが必要です。
週に2~3回を目安に取り組むことで、太もも周辺の筋力が強化され、膝関節への負担を軽減し、鵞足炎の予防につながります。
日常的にストレッチを行う
鵞足炎の予防には、筋肉の柔軟性を高めるストレッチが欠かせません。
とくに、太ももの内側にある以下の筋肉は鵞足を構成する筋肉のため、硬くならないよう柔軟性を維持することが重要です。
特徴 | |
---|---|
縫工筋 |
・ 体内で最も長い筋肉 |
薄筋 | 太ももの内側に位置し、脚を内側に閉じたり膝を曲げる動作を担う。 |
半腱様筋 | ハムストリングの一部。脚を後方に引く、膝を曲げるなどの動作に関与。 |
日常的に以下のストレッチを行うことで、これらの筋肉の柔軟性を保ちながら鵞足炎の予防にもつながります。
効果 | |
---|---|
長座体前屈 | 太もも裏(ハムストリングス)から背中、臀部にかけての柔軟性を高め、骨盤の可動域を広げる。 |
開脚ストレッチ | 内転筋やハムストリング、股関節周辺の柔軟性向上に効果的。脚の可動域が広がりやすくなる。 |
壁に手をついてアキレス腱を伸ばすストレッチも、ふくらはぎの柔軟性を高めることで膝関節の負担が軽減され、鵞足炎の予防につながります。
ストレッチは、運動前後のウォームアップやクールダウンに取り入れましょう。
また、入浴後など筋肉が温まっている状態で行うと、効果が得られやすくなります。
正しいランニングフォームを身につける
ランニングは膝への負担が大きく、鵞足炎の発症要因としても引き起こしやすいスポーツです。
しかし、正しいフォームを身につければ、膝への負担を軽減できるほか、鵞足炎のリスクを下げられます。
- 着地時に膝が内側に倒れないよう意識する
- 歩幅は広げすぎず、自然なリズムで走る
膝が内側に入ると鵞足に過剰な負担がかかり、炎症を引き起こしやすくなります。
また、歩幅を広げすぎると着地時の衝撃が大きくなり、膝への負担が増加しやすいです。
これらを意識してフォームを改善すると、鵞足炎のリスクを軽減できます。
運動時ふくらはぎにテーピングする
運動中の膝の負担を軽減し、鵞足炎の予防に効果的なのが、ふくらはぎへのテーピングです。
テーピングは筋肉や関節の動きを適度に制限しながらサポートすることで、運動時の負荷を分散させる役割を果たします。
とくに、ふくらはぎの筋肉は膝関節の安定性に関わっているため、ふくらはぎの筋肉をテーピングでサポートすると膝関節への負担を軽減できます。
やり方は鵞足部を起点として、ふくらはぎ全体を覆うようにテーピングするのが一般的です。
ただし、正しく行わないと効果が得られないだけでなく、皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。
テーピングをする際は、専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。
スポーツ後はアイシングする
スポーツ後のアイシングは、鵞足炎をはじめとする膝の炎症を防ぐ効果的なケア方法です。
運動を行うと、筋肉や関節には小さな損傷や炎症が生じることがあります。
アイシングはこれらの炎症を抑え、痛みを和らげてくれます。
基本的なアイシングの手順は、以下のとおりです。
- ①:氷嚢や保冷剤をタオルで包む
- ②:患部に15〜20分ほど当てる
- ③:②を繰り返す
実践する際は、凍傷を防ぐためにタオルで包んでから当てましょう。
また、運動後だけでなく、痛みや腫れを感じた場合にも行う習慣をつけると怪我を予防しやすくなります。
繰り返す鵞足炎には再生医療の選択肢も
鵞足炎は、一度発症すると再発を繰り返しやすい厄介な疾患です。
とくにスポーツを頻繁に行う方や、過去に発症歴がある方は注意が必要です。
繰り返す鵞足炎には、再生医療におけるPRP療法を検討しましょう。
- 患者様自身の血液を使用にするため、拒絶反応や副作用のリスクが低い
- 入院不要で最短30分での治療が可能
- 血小板が損傷部位の修復をサポート
自己の組織を利用する幹細胞治療は、副作用のリスクが低いとされています。
この治療法は鵞足炎によって損傷した腱や滑液包の修復を促し、痛みの軽減や機能回復を目指すものです。
PRP療法については、以下の動画でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
【まとめ】鵞足炎を予防するために習慣を変えよう
鵞足炎は膝の内側に痛みを引き起こす代表的なスポーツ障害で、発症を防ぐには、以下のような予防策を心がけることが非常に重要です。
- 太ももの筋力をバランスよく強化する
- ストレッチで筋肉の柔軟性を保つ
- 正しいランニングフォームを身につける
- テーピングで膝への負担をサポート
- 運動後はしっかりアイシング
これらを継続すれば、膝の負担が減り、炎症や痛みの発生リスクを下げられます。
ただし、鵞足炎は再発しやすい疾患であり、一度でも発症した場合は継続的なケアと根本的なアプローチが必要です。
再生医療も、従来の対処法で十分な効果を得られなかった方の新たな選択肢となります。
再発を繰り返している方や、より根本的な改善を目指したい方は、医師と相談のうえ再生医療の活用も検討してみてください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設