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大転子が痛い原因は?大転子滑液包炎の症状と治し方について解説【医師監修】

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公開日: 2025.09.30

「椅子から立ち上がるとき、股関節の外側がズキッと痛む」
「痛い方を下にして横になると痛みで眠れない」

上記の痛みは、大転子のクッション部分が炎症を起こす「大転子滑液包炎(だいてんしかつえきほうえん)」の可能性があります。

放置すると痛みが長引き、歩行困難や睡眠障害といった日常生活に大きな支障をきたすこともあります。

本記事では、大転子が痛む原因である大転子滑液包炎の症状や原因から治療法までを詳しく解説します。

この記事を読むとわかること

  • 大転子が痛む具体的な原因と症状
  • 自宅でできるストレッチや筋力トレーニング
  • 医療機関で受けられる専門的な治療法

痛みを根本から改善するための再生医療についても紹介しますので、つらい痛みを早く治したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の治療法や症例を配信しています。

「大転子の痛みを早く治したい」「手術せずに治療したい」という方は、ぜひこの機会に再生医療についてチェックしてみましょう。

大転子が痛い原因|大転子滑液包炎とは

股関節の外側にある出っ張った骨が痛む場合、原因として「大転子滑液包炎(だいてんしかつえきほうえん)」が考えられます。

大転子とは、太ももの骨(大腿骨)の外側にある骨の突起のことです。

その周囲には、骨と筋肉や腱の摩擦を減らすクッションの役割を持つ「滑液包」という袋状の組織があります。

本章では、大転子滑液包炎に関する基本情報をまとめて解説します。

大転子滑液包炎とは

まずは、どのような症状が現れ、何が原因となるのかを詳しく見ていきましょう。

主な症状

大転子滑液包炎の痛みは、股関節の外側に集中して現れます。

特徴的な症状は、以下のとおりです。

  • 歩行や階段昇降時の股関節外側の痛み
  • 痛い側を下にして寝るときの夜間痛
  • 大転子部を指で押したときの強い痛み
  • 太もも外側への痛みの広がり
  • 炎症が強い時期の患部の腫れや熱感

これらの症状により、歩行や睡眠といった日常生活に大きな支障を与える可能性があります。

主な原因

大転子滑液包炎の主な原因は、以下のとおりです。

  • 運動による股関節の使いすぎ(オーバーユース)
  • 長時間の立ち仕事や悪い歩き方による負荷
  • 転倒などで股関節を強く打つ直接的な外傷
  • お尻周りの筋力や股関節の柔軟性の低下
  • 体重増加による股関節への負荷の増大

大転子滑液包炎は、上記のいくつかの要因が積み重なって発症することが多いです。

ご自身の生活習慣の中に、これらの原因に当てはまるものがないか確認し、対策することが改善への第一歩です。

診断方法

大転子滑液包炎の診断は、他の病気の可能性を排除しながら慎重に行われます。

診断の主な流れは、以下のとおりです。

  • 問診による詳しい症状の確認
  • 患部を押したり動かしたりする身体所見
  • レントゲン検査による骨の異常の確認
  • MRIやエコーでの炎症や腱の状態評価

上記の診察や検査を通じて、坐骨神経痛など他の病気ではないことを確認したうえで診断されます。

大転子が痛いときの対処法・予防法

大転子滑液包炎の痛みの緩和や再発予防には、日々のセルフケアが重要です。

主な方法は、股関節周りの筋肉の柔軟性を高める「ストレッチ」と、関節を支える「筋力トレーニング」です。

運動を習慣づけることで、股関節への負担が軽減され、正しい体の使い方が身につきます。

それぞれの具体的な方法を見ていきましょう。

股関節周辺のストレッチ

ストレッチは、硬くなった股関節周りの筋肉を伸ばし、柔軟性を高めることを目的とします。

筋肉がほぐれると血行が促進されて痛みが和らぎ、再発予防にもつながります。

おすすめのストレッチは、以下のとおりです。

椅子に座ってお尻を伸ばすストレッチ

  • ①椅子に浅く座り、片方の足首を反対の膝の上に乗せる
  • ②背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと上体を前に倒す
  • ③お尻が伸びる位置で20〜30秒キープ
  • ④反対側も同じように行う

仰向けで膝を倒すストレッチ

  • ①仰向けに寝て、両膝を立てる
  • ②両膝をそろえたまま、ゆっくりと左右に倒す
  • ③倒した側と反対の太もも外側が伸びるのを感じる
  • ④痛みのない範囲で20〜30秒キープし、数回繰り返す

お風呂上がりなど、体が温まっているときに行うのがおすすめです。

どのストレッチも呼吸を止めずにリラックスして行い、痛みを感じる場合は無理をしないようにしましょう。

筋力トレーニング

筋力トレーニングは、歩行時に骨盤を安定させるお尻の筋肉を強化することを目的とします。

この筋力がつくことで、歩行バランスが改善し、大転子周辺への負担が軽減されます。

おすすめの筋力トレーニングは、以下のとおりです。

横向きで足を上げる運動(ヒップアブダクション)

  • ①体が一直線になるように横向きに寝る
  • ②上になった脚を、体がぶれないようにゆっくりと持ち上げる
  • ③お尻の横の筋肉を意識しながら10回繰り返す
  • ④反対側も同じように行う

仰向けでお尻を上げる運動(ヒップリフト)

  • ①仰向けに寝て、両膝を90度程度に曲げる
  • ②足は肩幅に開き、かかとを床につける
  • ③肩から膝までが一直線になるまで、お尻をゆっくり持ち上げる
  • ④5秒キープして、ゆっくり下ろす

トレーニングは週に2〜3回を目安に、痛みを感じる場合は回数を減らすか中止しましょう。

毎日少しずつ継続することが重要です。

大転子が痛いときの治し方

大転子滑液包炎を治すには、主に以下の3つの治療法が選択肢となります。

まずは、炎症と痛みを抑える「保存療法」から開始し、改善が見られない場合に「手術療法」や「再生医療」など、より積極的な治療が検討されます。

それぞれの治療法を詳しく見ていきましょう。

保存療法

保存療法は、大転子滑液包炎の治療で最初に行われる基本の治療法です。

症状に合わせて、以下のような治療を組み合わせます。

  • 運動を休むなどの活動制限と安静
  • 痛み止めや湿布薬などの薬物療法
  • 炎症を強力に抑えるステロイド注射
  • 再発を防ぐためのストレッチや筋トレ

まずは、患部への負担を避け、薬物療法や注射療法によって痛みの軽減、症状改善を目指します。

手術療法

手術療法は、長期間の保存療法を行なっても痛みが改善しない場合に検討される治療法です。

保存療法では改善しない痛みの原因を、外科的なアプローチで直接取り除きます。

主な手術には、以下のような方法があります。

  • 炎症を起こした滑液包の内視鏡による切除
  • 痛みの原因となる異常な血管を塞ぐ治療
  • 硬くなった靭帯の一部を切離する手術

手術が必要となるケースは一部ですが、保存療法で改善しない痛みに対する根本的な治療法となります。

再生医療

再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて自己治癒力を高めることで、炎症抑制や痛みの根本的な改善を目指す治療法です。

手術や入院を必要とせずに通院のみで治療できるため、身体への負担が少ない点も魅力の一つです。

従来の治療では「手術しなければ治らない」といわれた症状でも、再生医療によって改善できる可能性があります。

\こんな方は再生医療をご検討ください/

  • 大転子の痛みを早く治したい
  • 手術せずに治療したい
  • 現在の治療では目立った効果が出ていない

再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。

大転子が痛いときによくある質問

大転子に痛みを感じたときによくある質問にお答えします。

それぞれ詳しく確認していきましょう。

大転子が痛いときは何科を受診すればいい?

股関節の外側(大転子)に痛みがある場合は、まず「整形外科」を受診しましょう。

整形外科は、骨・関節・筋肉といった運動器の病気を専門とする診療科です。

とくに以下のような状況では、早めの受診が推奨されます。

  • 数週間以上続くしつこい痛み
  • 歩行や睡眠に支障が出ている状態
  • 転倒などをきっかけにした痛みの発生

問診や診察、レントゲンなどの検査を通じて、大転子の痛みの原因が正確に診断されます。

適切な治療を受けることで早期改善を目指せます。

大転子滑液包炎はどこが痛い?

大転子滑液包炎の痛みは、主に股関節の外側に現れますが、痛みの場所や性質にはいくつかの特徴があります。

  • 痛みの中心:股関節の外側にある骨の出っ張り
  • 痛みの広がり:太ももや膝の外側への放散
  • 痛みの性質:初めは鋭く、次第に鈍い痛みへ
  • 痛みが強まる状況:夜間や動作開始時の痛み

とくに痛い方を下にして横向きに寝るときの痛み(夜間痛)は、大転子滑液包炎の特徴的なサインです。

ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

大転子滑液包炎が疑われる場合は、医療機関を受診しましょう。

大転子の痛みを早く治したい方は再生医療をご検討ください

股関節周辺のオーバーユースや、お尻周りの筋力低下などが原因で起こる大転子滑液包炎の痛みには、安静を心がけることが重要です。

痛みが続く場合は、我慢せずに整形外科を受診し、適切な治療を受けましょう。

一般的な保存療法を続けても痛みが改善しない方や、スポーツ復帰のために早期回復を望む方には「再生医療」という選択肢があります。

再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて自己治癒力を高めることで、炎症抑制や痛みの根本的な改善を目指す治療法です。

炎症や痛みを抑えるだけでなく、痛みの根本原因にアプローチできるため、従来の治療法では改善が難しかった症状にも効果が期待できます。

本記事を参考にしていただき、つらい大転子の痛みを諦めずにご自身に合った治療法を見つけましょう。

「大転子の痛みを早く治したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設