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軽い脳梗塞は治る?無症候性脳梗塞の危険性と予防策

公開日: 2025.03.08
更新日: 2025.04.28

症状が軽い脳梗塞に対して「症状が軽ければ治るのか?」という疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

脳梗塞の症状が軽い、あるいは症状が無いものは「無症候性脳梗塞」と呼ばれます。

本記事では、無症候性脳梗塞の危険性や見逃せない前兆、そして予防法と治療選択肢についてご紹介します。

軽い脳梗塞について疑問や不安がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

無症候性脳梗塞とは?症状が軽い脳梗塞のリスク

脳梗塞の中には自覚症状がほとんどないタイプがあることをご存知でしょうか。

症状がない、あるいは軽い脳梗塞として「無症候性脳梗塞」と呼ばれる疾患があります。

本章では、無症候性脳梗塞について詳しく解説します。

無症候性脳梗塞の危険性

無症候性脳梗塞は、自覚症状がほとんどない、あるいは全くない脳梗塞の一種で、脳の血流が一時的に途絶えた状態です。

主にMRIやCTなどの画像検査で偶然発見されることが多く、脳ドックなどで初めてわかるケースが少なくありません。

しかし、自覚症状がないからといって安心はできません。無症候性脳梗塞を持つ人は持たない人に比べて脳卒中を発症するリスクが高くなります。

症状が軽いケースはラクナ脳梗塞が多い傾向にある

脳梗塞には主に、アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症・ラクナ梗塞の3種類に分類されます。

この中で、症状が軽いケースはラクナ脳梗であることが多いです

ラクナ梗塞は、脳の細い血管(穿通枝)が詰まることで起こる脳梗塞で、脳の深部の白質部分に小さな病変ができるのが特徴です。

症状が軽い傾向にあるラクナ梗塞ですが、繰り返し発症すると次第に認知機能障害や歩行障害、排尿障害などを引き起こす可能性があります。

これは小さな梗塞が積み重なることで、脳の機能に徐々に影響を及ぼすためです。

無症候性脳梗塞で後遺症を残さないためには早期発見が重要

無症候性脳梗塞自体は発見された時点では後遺症がないことが多いのですが、放置すると新たな脳梗塞につながる可能性があります。

脳梗塞を繰り返すことで徐々に脳の機能に影響を及ぼし、最終的には認知機能の低下や運動障害などの後遺症につながることもあります。

後遺症を残さないためには早期発見と適切な治療が非常に重要です。

早期発見ができれば、生活習慣の改善などを行い、新たな脳梗塞の発症リスクを大幅に下げることができます。

軽い脳梗塞の前兆・初期症状と危険因子について

軽い脳梗塞や無症候性脳梗塞は自覚症状がほとんどないため発見が難しいものですが、重度の脳梗塞へと進行する前に何らかの前兆が現れることがあります。

これらの前兆や初期症状を見逃さないことが、深刻な事態を防ぐ鍵となります。

脳梗塞を少しでも早く発見できるよう、前兆や初期症状への理解を深めましょう。

脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作(TIA)」

一過性脳虚血発作(TIA: Transient Ischemic Attack)は、脳梗塞と同じ症状が一時的に起こり、通常は数分から数時間以内、多くは24時間以内に自然消失する状態を指します

すぐに症状が消失したからといって、決して軽視してはいけません。

一過性脳虚血発作を経験した人の約3割が、後に本格的な脳梗塞を発症します。
※出典:先進医療.net「脳卒中の前触れ発作『一過性脳虚血発作(TIA)』とは」先進医療.net, 2018年1月5日

一時的な症状であっても、次の発作は軽いとは限らず、重度の脳梗塞になる可能性があります。

脳梗塞の初期症状を見逃さないための「FASTチェック」

脳梗塞が疑われる場合、迅速な行動が必要です。

脳梗塞を含む脳卒中の主な症状を簡単に確認できる方法「FASTチェック」を紹介します。

  • F(Face):顔の片側が下がる、または笑うと片側だけ動かない
  • A(Arm):片方の腕が上がらない、または力が入らない
  • S(Speech):言葉がはっきり話せない、ろれつが回らない
  • T(Time):上記のFASの症状が見られたら発症時刻を確認し、すぐに救急車を呼ぶ

「FAS」の部分でひとつでも当てはまる症状があれば、脳卒中の可能性が高いと言われています。

脳卒中は症状が出てからの時間経過が治療効果を大きく左右するため、T(Time)が特に重要です。

「様子を見よう」と判断せず、すぐに119番通報し、救急車を呼ぶ行動が命を守ることにつながります

脳梗塞の原因と危険因子

脳梗塞の主な原因は、動脈硬化や心臓の問題です。

動脈硬化には、頸動脈などの太い血管に起こるタイプ(アテローム硬化)と、脳内の細い血管に起こるタイプ(細動脈硬化)があります。

また、心房細動などの不整脈も、脳梗塞の重要な原因のひとつです。

脳梗塞の危険因子としては、以下のものが挙げられます。

  • 高血圧:最大の危険因子で、長期間の高血圧は血管の壁を痛め、動脈硬化を促進する
  • 糖尿病:血管を傷つけ、動脈硬化を進行させる
  • 脂質異常症:悪玉コレステロールが多いと、血管の壁に脂肪が蓄積する
  • 肥満:内臓脂肪からは血栓ができやすくする物質が出る
  • 喫煙:血管を収縮させ、血液の粘性を高める
  • 過度の飲酒:血圧上昇や不整脈の原因になる
  • 運動不足:心臓や血管の機能を低下させる
  • ストレス:血圧上昇や生活習慣の乱れにつながる

これらの危険因子を持つ人は、無症候性脳梗塞や軽い脳梗塞のリスクも高いため、適切な生活習慣の改善と医学的管理が重要です。

特に複数の因子を併せ持つ場合は、より注意が必要となります。

軽い脳梗塞の予防方法

無症候性脳梗塞や軽い脳梗塞は、将来的な脳血管疾患のリスクを高める重要なサインです。

そこで未然に防ぐ予防法と、すでに軽い脳梗塞を経験している場合の再発防止策について紹介します。

本章では、日常生活での予防法から薬物療法、そして最新の再生医療までを解説します。

生活習慣の見直しで脳梗塞を防ぐ

無症候性脳梗塞や軽い脳梗塞の予防には、日常的な生活習慣の改善が効果的です。

以下のポイントに注意しながら、健康的な生活習慣を心がけましょう。

  • 血圧管理: 目標値は140/90mmHg未満、家庭血圧135/85mmHg未満を目指す
  • 食生活改善: 塩分摂取を1日6g未満に抑え、野菜、海藻類、食物繊維を積極的に摂取する
  • 適度な運動: 1日30分程度のウォーキングなど有酸素運動を週3回以上
  • 禁煙: タバコは血管を収縮させ、血液の粘性を高める
  • 適量の飲酒: 純アルコール約20g程度(ビール500mlまたは日本酒1合)を上限とし、週に2日は休肝日を設ける
  • 水分補給: 脱水を防ぐためこまめに水分を摂取する
  • 定期的な健康診断: 年に一度は検査を受け、リスク因子を早期発見する

これらの生活習慣の改善は、すぐに効果が現れるものではありませんが、継続することで確実に脳梗塞のリスクを下げることができます。

特に複数の危険因子を持つ方は、総合的な生活改善が重要です。

抗血小板薬で血液をサラサラにする

無症候性脳梗塞が見つかった場合、医師の判断により抗血小板薬の服用を勧められることがあります。

抗血小板薬は、血小板の働きを抑制し、血栓形成を予防することで脳梗塞の発症や再発リスクを低減します。

しかし、血液をサラサラにする抗血小板薬の使用には、出血リスクの増加という副作用(デメリット)もあります。

服用中は歯科治療や手術の際に事前申告が必要で、定期的な検査による効果と副作用のバランス確認が重要です。

自己判断での服用や中止は絶対に避けてください。

脳梗塞の再発予防には再生医療をご検討ください

脳梗塞の再発に関しては、幹細胞を活用した再生医療など新たな治療方法もあります。

再生医療の分野では、損傷した神経組織の修復を目指す研究が進められており、自己由来や他家由来の幹細胞を用いた細胞治療などが開発されています。

脳梗塞の再発予防をお考えの方は、再生医療も選択肢の一つとしてご検討ください。

当院「リペアセルクリニック」では、患者さま自身の幹細胞を採取・培養して投与する治療を行っています。

ご自身の幹細胞を利用するため、従来の手法に比べて副作用などのリスクが低いのが特徴です。

再生医療について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

脳卒中は手術しなくても治療できる時代です。

脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。

脳梗塞の重症度を測る指標「NIHSS」

脳梗塞の重症度を客観的に評価する指標として、医療現場では「NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)」が広く用いられています。
※出典:岡山市立市民病院 脳疾患センター 「解りやすいNIHSSの評価

これは国際的に標準化された神経学的評価法で、意識レベル、視野、顔面麻痺、運動機能、言語機能など11項目を数値化し、合計0〜42点で重症度を判定します。

一般的に、0〜4点は「軽症」、5〜15点は「中等症」、16〜20点は「中重症」、21点以上は「重症」と分類されます。

無症候性脳梗塞や軽い脳梗塞はNIHSSスコアが低く(0〜4点程度)、日常生活に大きな支障がないレベルですが、それでも将来的なリスクがあることを忘れてはいけません。

医師による定期的な評価と適切な予防策が重要です。

【まとめ】症状が軽い無症候性脳梗塞は後遺症なしで治る可能性がある

無症候性脳梗塞は、自覚症状がほとんどないまま進行する脳梗塞で、MRIやCTなどの画像検査で偶然発見されることが多い疾患です。

発見時点では後遺症がなくても、放置すると繰り返し脳梗塞になる可能性があるため油断はできません。

予防・治療法としては、高血圧管理や生活習慣の改善、医師の判断による抗血小板薬の服用などがあります。

症状が軽い無症候性脳梗塞を早期発見できた場合は、適切な対策を講じて後遺症を予防しましょう。

しかし現在の医療において、慢性期を過ぎた脳卒中の後遺症にはリハビリテーション、再発予防には生活習慣改善といったように、根本的な解消を実現することは難しいのが現実です。

脳梗塞を含む脳卒中の再発予防に対しては、再生医療という選択肢もあり、特に当院が提供している幹細胞治療は注目を集めています。

脳卒中の再発率は高いものの、幹細胞治療は将来的に脳梗塞や脳出血を起こすかもしれない弱った血管を修復することが可能で、それが「脳卒中の再発を予防」につながります。

脳梗塞の再発予防や後遺症でお悩みの方で根本的な改善を望む方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。

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監修者

圓尾 知之

Tomoyuki Maruo

医師

略歴

2002年3月京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業

2002年4月医師免許取得

2002年4月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2002年6月関西労災病院 脳神経外科 勤務

2003年6月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2003年12月大阪母子医療センター 脳神経外科 勤務

2004年6月大阪労災病院 脳神経外科 勤務

2005年11月大手前病院 脳神経外科 勤務

2007年12月大阪大学医学部附属病院 脳神経外科 勤務

2012年3月大阪大学大学院 医学系研究科 修了(医学博士)

2012年4月大阪大学医学部 脳神経外科 特任助教

2014年4月大手前病院 脳神経外科 部長

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