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突然の頭痛とともに命の危険もある「くも膜下出血」。 首の痛みを感じて体調が悪い場合、「もしかしたらくも膜下出血かも」とお悩みを持つ人もいるかもしれません。 結論から言えば、首の痛みと激しい頭痛を伴う場合くも膜下出血の前兆である可能性があります。 しかし具体的にどうしたら良いのかわからず、余計に不安を感じる人もいらっしゃるでしょう。 そこで本記事では、くも膜下出血を疑う症状や病院に行くべき基準を解説します。 【結論】首の痛みを伴う頭痛はくも膜下出血の前兆の可能性あり 前述のとおり、首の痛みと激しい頭痛を伴う場合、くも膜下出血の前兆症状の可能性があります。 これは脳(くも膜)の出血の影響で首の血管(椎骨動脈)もダメージを負うためです。 世界的に用いられているくも膜下出血の分類であるHunt and Hess分類では、軽度のくも膜下出血でも頭痛と首の硬直(痛み)を伴うと記載されています。 この頭痛は警告頭痛と呼ばれ、くも膜下出血の前兆症状の1つです。 頭痛がさらに強くなると雷鳴頭痛と呼ばれる激しい頭痛になり、意識障害などに発展する可能性もありますので、速やかに受診しましょう。 そもそもくも膜下出血とは?特徴的な症状をご紹介 くも膜下出血とは、脳のくも膜という組織の内部で起こる出血のことです。 ほとんどは脳動脈瘤(脳の血管にできるコブ)の破裂が原因と考えられており、さまざまな症状を引き起こします。 全国保健健康協会によれば、くも膜下出血は致死率が50%を超える(※)ため、前兆症状を感じたら速やかに対応しなければいけません。 ※出典:全国健康保険協会「くも膜下出血」 なお、くも膜下出血に関しては以下の記事でも詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。 https://africatime.com/topics/15415/ 【チェックリスト】くも膜下出血の前兆 くも膜下出血の前兆症状は以下のとおりです。 警告頭痛 血圧の乱高下 吐き気・嘔吐 視覚異常・めまい 意識の変化や頭の違和感 これらの症状は脳動脈瘤や出血によって脳が圧迫されて生じる症状です。 とくに警告頭痛は数時間〜数日前からみられ、首の痛みも伴います。 そのため、首の痛みを伴う頭痛が見られた時には注意が必要です。 救急要請すべき症状と外来受診でも良い症状 前項の前兆のうち、救急要請すべき症状と外来受診でも良い症状を分別すると、以下の通りになります。 救急要請すべき症状 外来受診でも良い症状 警告頭痛 吐き気・嘔吐 意識の変化や頭の違和感 視覚異常・めまい 血圧の乱高下 救急要請すべき症状の3つはすべて、出血によって脳が圧迫されるために生じる症状です。 まずは「今までに感じたことのない頭痛」が特徴の警告頭痛に始まり、吐き気や嘔吐、失神などの意識の変化がみられます。 視覚異常やめまい、血圧の乱高下もくも膜下出血の症状ではありますが、くも膜下出血以外の疾患でもみられる症状です。 まずは「警告頭痛があるかどうか」を基準に、受診を検討してください。 くも膜下出血で大事なことは早期発見と再発予防! くも膜下出血は命に直結する疾患で、発症から時間が経てば経つほど重症度と致死率が上がります。 そのため、早期発見と再発予防が非常に重要な疾患です。 ここからは、くも膜下出血について以下の項目を解説します。 くも膜下出血について重要な知識なので、ぜひチェックしてください。 くも膜下出血の検査方法 くも膜下出血は以下の検査で特定します。 検査方法 検査内容 CT検査 ・X線で脳を撮影できる画像検査 ・迅速に脳の出血の有無を確認できる MRI検査 ・磁力を用いて脳の撮影を行う画像検査 ・CTより時間はかかるが、詳細な情報を得られる 腰椎穿刺(髄液検査) ・背中から脳脊髄液を採取し、成分を調べる検査 ・くも膜下出血と髄膜炎の鑑別に役立つ これらの検査などを用いて、くも膜下出血の検査を行います。 検査によって詳細な出血部位を特定することは、出血した血液の除去や止血のために重要です。 くも膜下出血の再発予防に重要な生活習慣 くも膜下出血の予防では、血圧の安定化と動脈硬化の予防が重要です。 高血圧や動脈硬化はくも膜下出血のリスクを高めるため、気をつけなければいけません。 特に気をつけるべき生活習慣を、以下の表にまとめました。 気をつけるべき生活習慣 理由 食事 ・適切な塩分量・コレステロールを摂取する ・高血圧や動脈硬化のリスク低下に期待できる 運動 適切な運動は血圧を下げる効果に期待できる 喫煙 ・喫煙は高血圧を引き起こす危険因子 ・くも膜下出血発症のリスクとなる 飲酒 ・過度な飲酒が高血圧につながる ・適切な量に抑えることでリスクを軽減できる 睡眠 ・適切な睡眠は血圧を安定させる ・睡眠時無呼吸症候群はくも膜下出血のリスクとなる 歯磨き ・歯周病菌は動脈硬化を引き起こす危険因子 ・歯周病予防ができれば動脈硬化のリスク軽減に期待できる これらの生活習慣に気をつけて高血圧や動脈硬化を予防できれば、間接的にくも膜下出血の予防効果が期待できます。 くも膜下出血の治療には再生医療が有効となる可能性 くも膜下出血が発症した後は、以下の治療を行います。 治療 内容 手術 脳の出血除去や止血を行い、脳へのダメージ軽減を図る 投薬 降圧剤や痛み止めなどで症状を安定化させる リハビリ 四肢麻痺などの後遺症に対して、運動療法を行う くも膜下出血では、多くのケースでしびれや四肢麻痺などの後遺症が発症します。 なぜなら、一度損傷した脳細胞は再生が難しいためです。 そのため、脳が損傷したことで生じるしびれや四肢麻痺などの後遺症に対しての対症療法が治療がメインとなります。 しかし、近年ではiPS細胞をはじめとする再生医療により、傷ついた脳細胞も再生が期待できるようになりました。 実際に当院リペアセルクリニック大阪院でも、脳出血後の後遺症に対して再生医療が有効だった症例を経験しています。 くも膜下出血以外の脳卒中の症例もご紹介しているので、興味がある人は以下をご参照ください。 くも膜下出血でよくある質問 くも膜下出血でよくある質問をまとめました。 ・くも膜下出血の原因は何ですか? ・くも膜下出血は何科を受診すれば良いですか? くも膜下出血について詳しく知り、予防するためにもぜひ参考にしてみてください。 くも膜下出血の原因は何ですか? くも膜下出血は以下のような原因があります。 脳動脈瘤 脳動静脈奇形 交通事故などによる外傷 これらが原因となり、脳のくも膜の内側で出血する病気がくも膜下出血です。 くも膜下出血は何科を受診すれば良いですか? くも膜下出血が疑われるときは、脳神経内科・外科を受診してください。 くも膜下出血は脳の疾患であるため、脳を専門に扱う科が適切です。 ただし、緊急を要する疾患ですので、救急車を要請した方が良い可能性があります。 #7119に電話すれば救急車を呼ぶべきかを待機している専門家に相談できるので、迷ったら電話してみましょう。 【まとめ】くも膜下出血の前兆を疑ったら迷わず受診しよう 本記事では、くも膜下出血の前兆と首の痛みについて解説しました。 ポイントは以下のとおりです。 くも膜下出血は緊急性が高く、致死率の高い病気です。 まずは記事前半のくも膜下出血の前兆症状チェックリストを確認しましょう。 もし当てはまった場合はくも膜下出血の可能性がありますので、無理をせず医療機関にご相談ください。 また、くも膜下出血の後遺症に対して、近年は再生医療も注目されています。 当院リペアセルクリニック大阪院でも脳卒中に対する再生医療を行っていますので、興味がある人はお気軽にご相談ください。
2025.09.30 -
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視床出血は脳の深部にある「視床」が出血することで起きる病気で、感覚障害や視床痛など、特有の後遺症を残しやすいことで知られています。 しかし視床出血の疑いがあるけれど、適切なリハビリと治療や長期的なケアの続け方が分からずお困りの方もいらっしゃるかと思います。 そこで本記事では、視床出血の発症原因と症状・後遺症や治療、そして回復の鍵となるリハビリの進め方まで、生活再建に役立つ情報を解説します。 視床出血についての情報が知りたい、後遺症に悩まされている方は、ぜひ参考にしてください。 視床出血とは?発症原因と症状 視床出血は、脳の深部にある重要な神経核「視床」からの出血を指す脳卒中の一種です。 視床は全身の感覚や運動、意識の中継地点であり、出血によってこれらの機能に障害が起こります。 視床出血の主な発症原因は、以下の通りです。 高血圧 動脈硬化 飲酒・喫煙・糖尿病 これらの要因によって脳内の血管に負担がかかり、血管が破れて出血を引き起こします。 結果として視床が持つ重要な機能に障害が生じ、以下の症状が現れます。 症状 内容 片麻痺 意識障害を伴うことが多く、麻痺は利き手と反対側に出やすい 感覚障害 触覚や痛覚の鈍化・しびれ・または「視床痛」と呼ばれる激しい痛みが起こる 視覚障害 物が二重に見えたり、視野が狭くなったりする 言語障害 ろれつが回りにくくなる、言葉が出にくくなる 上記の症状は、出血の大きさや位置によって異なりますが、早期の治療とリハビリが生活再建に不可欠です。 適切なケアと継続的な努力によって、生活の質の改善を目指すことができます。 視床出血と他の脳出血との違い 視床出血と他の脳出血の違いは、以下の通りです。 出血部位 主な症状 特徴的な症状 視床出血 ・片麻痺 ・意識障害 ・感覚障害 ・言語障害 ・視覚障害 ・視床痛 ・意識障害 ・視野狭窄 被殻出血 ・片麻痺 ・言語障害 ・視線が麻痺側に偏る 小脳出血 ・ふらつき ・めまい ・頭痛 ・嘔吐 ・運動失調 ・平衡感覚の障害 脳幹出血 ・重度の意識障害 ・呼吸障害 ・四肢麻痺 命に関わる症状が多い 皮質下出血 出血した部位の機能に対応した症状 ・てんかん発作 ・意識障害は軽度〜中程度 脳出血は、出血部位によって症状が大きく異なります。 中でも視床出血は、感覚や意識を司る視床で起こるため、特有の症状と後遺症が現れます。 例えば、被殻出血では運動麻痺や言語障害が主となりますが、視床出血ではこれらに加え、感覚鈍麻や「視床痛」と呼ばれる激しい痛みが特徴的です。 視床痛は、体の感覚を伝える回路の障害によって生じる慢性的な痛みであり、日常生活に大きな影響を及ぼす後遺症です。 また、視野の狭窄といった視覚障害も他の部位に比べて現れやすい傾向にあります。 視床出血で残りやすい後遺症 視床出血の後遺症として、最も特徴的かつ生活に大きな影響を及ぼすのが感覚障害と視床痛です。 視床は全身の感覚情報を集約する重要な部位であるため、この部分の出血は、触覚や痛覚の鈍化、しびれといった症状を引き起こします。 中でも視床痛は、術後の麻痺が回復した後も、体の一部に激しい痛みが継続する難治性の慢性痛であり、日常生活の質を著しく低下させることがあります。 また、視床は高次脳機能にも関わるため、注意障害、記憶障害、感情失禁(感情のコントロールが難しくなる)などの高次脳機能障害も残りやすいとされています。 これらの症状は一見わかりにくいため、周囲の理解と適切なサポートが必要です。 視床出血のリハビリと生活再建のロードマップ 視床出血のリハビリと生活再建までのロードマップは、以下の通りです。 急性期のリハビリ(発症から約2週間) 回復期のリハビリ(発症から約3ヶ月~半年) 生活期のリハビリ 発症から回復、日常生活へ戻るためのリハビリについてまとめています。 急性期のリハビリ(発症から約2週間) 視床出血発症後の急性期は、病状の安定と合併症予防が最優先されます。 この時期のリハビリは、ベッド上での安静を保ちつつ、早期の機能回復を促すことが目的です。 具体的な内容としては、理学療法士が関節の可動域訓練を行い、筋肉の萎縮や関節の拘縮を防ぎます。 病状が安定すれば、座位訓練や、車椅子への乗り移りといった早期離床に向けた訓練も始まります。 この訓練は回復期リハビリをスムーズに進めるための大切な準備となります。 回復期のリハビリ(発症から約3ヶ月~半年) 回復期は病状が安定し、集中的なリハビリテーションが可能になります。 この時期の目標は、日常生活動作の自立度を高め、家庭や社会への復帰を目指すことです。 理学療法士は歩行訓練やバランス訓練など、より実用的な動きをサポートし、作業療法士は生活に必要な動作を反復して訓練します。 併せて言語聴覚も、ろれつ障害や高次脳機能障害に対する専門的なアプローチを行います。 回復期は、機能回復が最も期待できる重要な期間です。 生活期のリハビリ 生活期のリハビリは、退院後に社会での生活を維持・向上させることを目的とします。 回復期のような集中的なリハビリではありませんが、機能の維持や更なる改善を目指し、長期にわたって継続することが重要です。 訪問リハビリや通所リハビリを利用することで、専門家によるサポートを継続できます。 生活環境に合わせた動作訓練や、趣味・社会活動への参加を促す支援も含まれます。 また、再発を防ぐための健康管理もリハビリの一環です。 医師や専門家の指導のもと、血圧管理や服薬、適度な運動を続けることが、自分らしい生活を長く続ける鍵となります。 視床痛の治療法 視床痛の治療法として、以下が挙げられます。 薬物療法 非薬物療法 神経の興奮を抑える薬を使用した薬物療法から、気軽に取り組めるマッサージや運動を行う非薬物療法について解説します。 薬物療法 視床出血の治療において、薬物療法は主に合併症の予防と再発防止、そして後遺症の緩和を目的とします。 発症直後の急性期では、出血の拡大を防ぐために降圧剤を用いて厳格に血圧をコントロールすることが重要です。 後遺症として生じる「視床痛」は、通常の鎮痛剤では効果が薄いことが多いため、抗うつ薬や抗てんかん薬など、痛みの神経経路に作用する特殊な薬剤が用いられます。 退院後も再発予防のため、高血圧や脂質異常症など基礎疾患に対する薬物治療を継続することが、長期的な健康維持に繋がります。 非薬物療法 視床出血後のリハビリテーションと並行して行われる非薬物療法は、以下の通りです。 視床出血の非薬物療法 内容 理学療法・作業療法 専門家による運動療法、温熱・電気刺激などの物理療法で、麻痺や感覚障害の改善を目指す 心理的アプローチ 視床痛やうつ症状に対して、認知行動療法やマインドフルネスで改善を目指す セルフケア 軽度な運動やストレッチ、マッサージなどを日常生活に取り入れ、血行改善や痛みの緩和を図る 装具・自助具の活用 痺が残った手足のサポートや、日常生活動作を補助する装具や器具を使い、自立した生活を維持する 視床出血後のリハビリテーションと並行して行われる非薬物療法は、特に痛みや注意障害といった後遺症の緩和に有効です。 代表的なものとして、リハビリテーション専門家による物理療法(温熱、冷却、電気刺激など)や、心理的アプローチ(認知行動療法、マインドフルネスなど)が挙げられます。 また、軽度な有酸素運動やストレッチも、血流改善や精神的な安定に欠かせません。 非薬物療法は薬だけに頼らず、患者さん自身のセルフケア能力を高めることを目的としています。 視床出血の再発予防とケア 視床出血の再発を防ぎ、長期的に安定した生活を送るためには、以下のケアが重要になります。 血圧管理の徹底 生活習慣の改善 定期的な通院 最も大切なのは、血圧管理の徹底です。日々の血圧測定を欠かさず行い、医師から処方された薬は忘れずに服用しましょう。 また、生活習慣の改善も不可欠です。バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、禁煙や節酒を実行してください。 さらに自己判断で通院を中断せず、定期的に通院することで、合併症のリスクを管理し、安心して生活を送ることができます。 視床出血の後遺症には再生医療という選択肢も 従来の治療やリハビリだけでは改善が難しい後遺症に、直面されている方も少なくありません。 特に激しい痛みが続く「視床痛」や重度の感覚障害、麻痺などは、現在の標準治療では限界があるケースも報告されています。 そのような状況に対し、近年では再生医療が新たな選択肢として注目されています。 再生医療は、幹細胞が持つ神経細胞の再生・保護作用を利用した治療法です。 リペアセルクリニックでは患者さま自身の脂肪や骨髄から採取した幹細胞を培養し、点滴で投与することで機能回復を促します。 また再生医療とリハビリと組み合わせることで、さらなる相乗効果が期待できます。 当院では、視床痛や麻痺でお悩みの方に対し、幹細胞治療とリハビリを組み合わせることで、早期に改善した事例があります。 詳しくは、以下の症例紹介ページを参考にしてください。 視床出血と向き合い、希望を持って生活再建を目指しましょう 視床出血は後遺症が残りやすい病気ですが、早期からのリハビリテーションと、再発を防ぐための長期的なケアを続けることで、生活の質を改善できます。 視床痛の治療法には薬物療法と非薬物療法がある 非薬物療法は後遺症の緩和に友好的である 再発予防として血圧管理・生活習慣の改善・通院が挙げられる 視床痛には再生医療という選択肢がある 現在の症状に悩むことはあっても、決して希望を失わないでください。日々の小さな努力が、自分らしい生活を再建するための大きな力となります。 また、もし従来の治療法では改善が難しいと感じた場合でも、再生医療という新たな選択肢があります。 リペアセルクリニックの幹細胞治療は、入院の必要が無く日帰りで対応できるため、お仕事が忙しい方でも安心です。 一人で抱え込まず、医療従事者やご家族とともに、前向きに生活再建を目指していきましょう。
2025.09.30 -
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脳幹出血は、脳の最も重要な部位である脳幹で出血が起こる、非常に危険な病気です。 発症すると生命に直結し、一命を取り留めても重い後遺症が残ることが少なくありません。 その多くは突然発症するため、予期せぬ出来事として襲いかかります。 しかし、その原因のほとんどは、日々の生活習慣と深く関わっています。 この記事では、脳幹出血の原因やリスク因子、脳幹出血の再発予防策について解説します。 脳幹出血の後遺症に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。 脳幹出血の原因を徹底解明 ここからは、脳幹出血の原因やリスク因子、症状について解説していきます。 脳幹出血の直接的な出血の原因とは? 脳幹出血の見逃せないリスク因子 脳幹出血の症状と緊急時の対応 まずは命と健康な未来を守るために、脳幹出血の知識を深めていきましょう。 脳幹出血の直接的な出血の原因とは? 脳幹出血は、脳の深部にある脳幹で血管が破れて出血する重篤な病気です。 この出血の直接的な原因の大半は高血圧です。 高血圧が長期間続くと、脳の細い血管(穿通枝)に大きな負担がかかります。 その結果血管の壁が脆くなり、瘤ができたり、血管自体が変性したりします。 そして脆くなった血管が血圧の急激な上昇などによって破裂することで、脳幹出血が引き起こされます。 また、先天的な血管の奇形(脳動静脈奇形など)や、動脈硬化も出血の要因となることがあります。 脳幹出血の見逃せないリスク因子 高血圧の他に、脳幹出血のリスクを高める要因は以下の通りです。 生活習慣病 喫煙 飲酒 睡眠不足 ストレス 主なリスク因子は生活習慣病です。特に糖尿病や脂質異常症は、動脈硬化を進行させ、血管を脆くします。 また、喫煙や過度な飲酒も血管に悪影響を与え、出血のリスクを高めます。 さらに、高齢者や家族に脳卒中の既往がある人も注意が必要です。 ストレスの多い生活や、睡眠不足も血圧を不安定にさせ、脳幹出血の引き金になる可能性があります。 上記のリスク因子を複数持っている場合は、特に厳重な注意が必要です。 脳幹出血の症状と緊急時の対応 脳幹出血の主な症状は、以下の通りです。 突然の意識障害 激しいめまい 手足の麻痺 呼吸障害 出血がわずかでも、生命維持に重要な役割を担う脳幹の機能が障害されるため、短時間で症状が進行し、意識レベルが急速に低下することが多いです。 これらの症状が見られた場合は、一刻も早く救急車を呼び、専門的な医療機関に搬送することが不可欠です。 脳幹出血の症状は時間との勝負であり、少しでも早い対応が予後を左右します。 救急車を待つ間は、患者を楽な姿勢で寝かせ、衣服を緩めるなど、無理のない範囲で応急処置をしましょう。 絶対に自己判断で水を飲ませたり、身体を揺らしたりしないでください。 脳幹出血の原因別の検査の流れ 脳幹出血の原因を特定するための検査は、以下の通りです。 CT/MRI検査 血液造影検査 血液検査 脳幹出血が疑われる場合、まずCTスキャンで出血の有無や範囲、量を迅速に確認します。 次にMRI検査で、出血部位の詳細な特定や、小さな血管の異常を見つけることで、原因の特定を進めます。 また脳動静脈奇形や動脈瘤など、血管自体の異常が疑われる場合には、脳血管造影を行います。 これは、カテーテルを挿入して造影剤を注入し、血管の形状や血流を詳しく調べる精密検査です。 併せて出血のリスクをどの程度高めているかを評価するため、糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病の有無や、血液凝固異常なども調べます。 これらの検査を総合的に行うことで、出血の根本的な原因を明らかにし、再発予防を含めた最適な治療計画を立てることが可能になります。 脳幹出血の再発予防策 脳幹出血の再発予防には、原因となる生活習慣病の徹底的な管理が必要になります。 血圧管理 食生活の改善 生活習慣の見直し 定期的な健康診断 まずは再発の最大のリスク因子である、高血圧をコントロールすることが最も重要です。 医師の指示に従い、降圧剤を正しく服用するとともに、自宅でも毎日血圧を測定し記録しましょう。 また塩分を控えた減塩食を心がけ、野菜や魚を積極的に摂取するバランスの取れた食事が大切です。 肥満を解消するために、高カロリー・高脂質の食品は避けましょう。禁煙と節酒は必須です。 さらに適度な有酸素運動を習慣化し、ストレスを溜めないようにすることも血圧の安定につながります。 これらの管理のほか、定期的に健康診断を受け、血圧・血糖値・コレステロール値などをチェックすることも重要です。 退院後の生活設計とリハビリ 脳幹出血からの退院後は、再発予防と機能回復のための計画的な生活が求められます。 生活設計 内容 リハビリテーションの継続 脳幹出血による後遺症改善のために理学療法、作業療法、言語聴覚療法を継続する 在宅環境の整備 歩行に不安がある場合、手すりの設置や段差の解消など、転倒リスクを減らすための自宅改修を検討する 生活習慣の管理 記載した再発予防策(血圧管理、睡眠・食事、禁煙・節酒)を徹底する 社会資源の活用 介護保険や障害者手帳の申請を検討し、デイケアサービスや訪問リハビリなど、利用可能な社会資源を活用する 定期的な通院 医師の指示に従い、定期的な通院を怠らず、体の変化や後遺症の状況を相談する これらの生活設計とリハビリは、退院後の生活の質を向上させ、自立した生活を目指します。 しかし、リハビリを行っているものの、後遺症がなかなか改善されず困っているという方もいるでしょう。 脳幹出血の後遺症に悩む方におすすめなのが、再生医療です。 リペアセルでは再生医療を提供しており、後遺症からの回復を後押ししています。 患者様自身の幹細胞を培養し、静脈から点滴で投与することで、脳内の神経細胞の再生や保護効果が期待できます。 従来の治療法だけでは改善が難しかったケースでも、再生医療を併用することで、より効果的なリハビリにつながる可能性があります。 実際に5年間続いた脳出血の後遺症が改善した事例もあるので、気になる方は下記をチェックしてみてください。 脳幹出血から未来を守るための3つのポイント 脳幹出血は再発リスクが高い病気ですが、適切な対策で未来を守ることができます。 意識障害などの前兆を感じたら一刻も早く119番通報する 血圧・生活習慣・服薬の3つを徹底的に管理する 再生医療という選択肢も検討してみる 脳幹出血は高血圧や糖尿病、喫煙など複数の要因が絡み合って発症します。 もし激しいめまいや意識障害が出たら、すぐさま119番通報しましょう。 また日々の生活管理も再発防止に欠かせません。 減塩、禁煙、適度な運動を心がけ、服薬を忘れないよう心掛けてください。 しかし、人によっては日々の予防やリハビリを続ける中で、なかなか後遺症が改善しないと感じることもあるでしょう。 既存の治療法だけでは後遺症の回復が難しい場合、再生医療も選択肢の一つとなります。 当院では幹細胞治療を行い、脳幹出血を含むあらゆる病の後遺症の改善を目指しています。 後遺症を改善したい、生活の質の向上させたい方はリペアセルクリニックのメール相談・オンライン診療にてご相談ください。
2025.09.30 -
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最近、家族や身近な方が脳溢血になった、またはニュースで脳溢血という言葉を聞いて「どのような病気なのか」「予防できるのか」と心配されている方も多いのではないでしょうか。 脳溢血は突然発症することが多く、適切な治療を受けないと重篤な後遺症がみられたり、生命に関わる危険性があります。 この記事では、脳溢血の症状や原因から出血部位別の特徴、効果的な予防法を詳しく解説します。 脳溢血の正しい知識を身につけることで、早期発見や適切な予防につながります。 近年の治療では、脳溢血を含む脳卒中に対して、再生医療という治療法が注目されています。 脳溢血の後遺症改善や再発予防についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEにご登録いただき、再生医療について詳しい情報をご確認ください。 脳溢血とは|脳出血とも呼ばれる脳卒中の一つ 脳溢血とは、脳の血管が破れて出血する脳卒中の一つに分類される病気です。 まずは、基礎知識として、主な原因と症状について詳しく見ていきましょう。 脳溢血の主な症状 脳溢血の主な原因 上記の知識を身につけることで、脳溢血の早期発見や適切な予防につながります。 脳溢血の主な症状 脳溢血は突然発症し、以下のようなさまざまな症状が現れます。 突然の激しい頭痛 片側の手足の麻痺やしびれ ろれつが回らない、言葉が出にくい 意識障害やぼんやりした状態 めまいや吐き気、嘔吐 視野の異常や物が二重に見える バランス感覚の異常、ふらつき 顔面の麻痺や表情の変化 これらの症状が一つでも現れた場合は、すぐに救急車を呼んで医療機関を受診してください。 脳溢血は時間との勝負であり、早期治療により後遺症を軽減できる可能性があります。 脳溢血の主な原因 脳溢血の主な原因は、以下のとおりです。 高血圧 動脈硬化の進行 糖尿病による血管への影響 喫煙による血管の損傷 過度の飲酒 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常) ストレスや過労 肥満 加齢による血管の老化 とくに高血圧は脳溢血の最大の危険因子とされており、血圧管理が予防の鍵となります。 これらの原因の多くは、食事や運動などの生活習慣の改善により対策できるため、日頃からの健康管理が重要です。 脳溢血と脳梗塞・脳卒中との違い 脳溢血、脳梗塞、脳卒中は混同されがちですが、それぞれ異なる病気です。 以下の特徴や違いがあります。 病気の名称 特徴 脳溢血(脳出血) 脳の血管が破れて出血する 脳梗塞 脳の血管が詰まって血流が止まる 脳卒中 脳溢血・脳梗塞・くも膜下出血の総称 脳卒中は脳溢血(脳出血)・脳梗塞・くも膜下出血の総称であり、脳組織が障害を受ける病気のことです。 また、脳溢血は血管の破裂による出血が原因であるのに対し、脳梗塞は血管の詰まりが原因という点で大きく異なります。 どちらも緊急性の高い病気のため、早期に医療機関に連絡し、適切な治療を受けることが重要です。 脳卒中の種類について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 脳溢血は出血した部位によって症状や後遺症が異なる 脳溢血の症状や後遺症は、出血が起こった脳の部位によって大きく異なります。 本章では、出血部位別の特徴について解説します。 被殻出血(ひかくしゅっけつ) 視床出血(ししょうしゅっけつ) 橋出血(きょうしゅっけつ) 小脳出血 大脳皮質下出血 それぞれの出血部位の特徴を知ることで、症状に応じた適切な対応や治療選択肢の検討ができます。 被殻出血(ひかくしゅっけつ) 被殻出血は、脳溢血全体の約50%を占める最も多いタイプです。 被殻は大脳の奥にある部位で、運動機能を司る重要な役割を果たしており、出血すると以下のような症状が現れます。 片側の手足の麻痺 片側の顔面麻痺や表情の変化 感覚の鈍さやしびれ 言葉が出にくい、ろれつが回らない 重症化すると意識障害 被殻出血の主な症状は「運動麻痺」のため、適切なリハビリテーションによる機能回復を促すことが重要です。 早期からの適切なリハビリにより、日常生活動作の改善が期待できます。 脳溢血の後遺症について、麻痺が回復するのかどうか解説している以下の記事もご参考ください。 視床出血(ししょうしゅっけつ) 視床は感覚を司る脳の中継点として重要な役割を担っています。 視床出血で現れる症状は、以下のような感覚に関するものが中心です。 片側の感覚障害(触覚や痛覚の異常) 目が内側に向く特徴的な眼球運動異常 視床痛(腕や脚に激しい痛みを感じる) 進行すると運動麻痺も出現 記憶や注意力の低下 視床痛は視床出血特有の後遺症で、通常の痛み止めでは効果が得られにくい難治性の痛みです。 しかし、適切な治療の継続によって症状の軽減が期待できます。 諦めずに医師とともに治療を継続することが大切です。 橋出血(きょうしゅっけつ) 橋は脳幹の一部で、生命維持に必要な呼吸や意識状態をコントロールする重要な部位です。 そのため、橋出血は以下のような重篤な症状を引き起こす可能性があります。 急激な意識障害(昏睡状態になることが多い) 両側の手足の麻痺 呼吸困難や呼吸停止 体温調節の異常 血圧の急激な変動 橋出血は出血量が少なくても重篤な症状を引き起こすため、直ちに集中治療が必要です。 生命に関わる緊急事態であり、一刻も早い医療機関での治療が求められます。 小脳出血 小脳は身体のバランス感覚や協調運動を司る部位で、小脳出血では以下のような症状が現れます。 強いめまいや回転感 激しい吐き気や嘔吐 歩行困難やふらつき 頭の後ろ部分の激しい頭痛 手の震えや動作の不正確さ 突然の激しいめまいと頭痛が同時に起こった場合は、小脳出血を疑って緊急受診が必要です。 大脳皮質下出血 大脳皮質は脳の表面に位置し、部位によって異なる機能を担っているため、出血した場所により多様な症状が現れます。 運動麻痺 感覚麻痺 言語障害 視力や視野の障害 性格や行動の変化 記憶障害や認知機能の低下 大脳皮質下出血では、出血部位に応じてリハビリテーションの内容を個別に調整する必要があります。 言語療法、作業療法、理学療法を組み合わせた包括的なアプローチが効果的です。 脳溢血の予防法 脳溢血は、血圧管理や正しい生活習慣によって予防可能な病気です。 血圧の管理 生活習慣の改善 これらの予防法を継続的に実践し、脳溢血のリスクを減少させましょう。 脳溢血(脳出血)の再発率について詳細は、以下の記事で解説しているので、併せてご覧ください。 血圧の管理 高血圧は脳溢血の最大の危険因子であり、予防には血圧管理が重要です。 適切な血圧管理により、脳溢血を含む脳卒中の再発リスクを43%減少できる※という報告もあります。 ※出典:PubMed 血圧管理の具体的な方法は、以下のとおりです。 定期的な血圧測定を行い、家庭用血圧計で毎日同じ時間に測定する習慣をつける 目標血圧は家庭血圧で125/75mmHg未満を維持する 高血圧と診断された場合は、医師の指導のもと降圧薬を適切に服用する 寒い季節や早朝の急激な血圧上昇に特に注意する 起床時はゆっくりと身体を起こし、急激な体位変換を避ける 室温調整により血圧の急激な変動を防ぐ また、高血圧を防ぐには、食事や運動などの生活習慣の改善も欠かせません。 生活習慣の改善 脳溢血の予防において、正しい生活習慣への改善も重要です。 禁煙:喫煙は血管を傷つけ動脈硬化を促進させるため、禁煙外来の利用も検討 運動習慣:週3回以上、30分程度の有酸素運動でウォーキング・水泳・サイクリングなど 食事療法:塩分6g未満・野菜果物を豊富に・魚類のオメガ3脂肪酸を積極摂取 適度な飲酒:男性は日本酒1日1合程度、女性はその半分程度まで 十分な睡眠:7~8時間の質の良い睡眠を確保 ストレス管理:リラクゼーション法や趣味活動でストレス発散 とくに、運動と食事療法は血圧を直接的に低下させる効果があり、禁煙は血管の健康を改善します。 適度な飲酒制限は血圧上昇を防ぎ、十分な睡眠とストレス管理は血圧の安定に寄与します。 これらの生活習慣を継続的に実践し、脳溢血のリスクを減少させましょう。 脳溢血に関するよくある質問 脳溢血に関してよくある質問と回答を紹介します。 脳溢血と脳出血の違いは? 脳溢血に前兆はある? 脳溢血の初期症状は? 脳溢血への理解を深めて、不安を解消しましょう。 脳溢血と脳出血の違いは? 脳溢血と脳出血は、同じ病気を指す言葉です。 どちらも脳の血管が破れて出血する病気であり、症状や治療法に違いはありません。 医学的には「脳出血」という用語が使用され、「脳溢血」は一般的な呼び方として広く使われています。 医療機関では「脳出血」という用語で説明されることが多いですが、同じ病気であることを覚えておきましょう。 脳溢血に前兆はある? 脳溢血は、通常突然発症する病気です。 しかし、以下の前兆症状が先行してみられることがあります。 軽い頭痛やめまい 手足のしびれ ろれつの回りにくさ 物忘れの増加 など これらの症状は脳梗塞をはじめとする他の病気でも現れるため、脳溢血の確実な前兆とはいえません。 普段と異なる症状が現れた場合は、早期に医療機関に相談しましょう。 脳溢血の初期症状は? 脳溢血の初期症状は出血部位により異なりますが、特徴的な初期症状として突然の激しい頭痛が挙げられます。 「今まで経験したことがないような頭痛」と表現されることが多く、突然症状が現れます。 その他、片側の手足の脱力や麻痺、ろれつが回らない、意識がぼんやりする、激しい吐き気なども初期症状として現れる場合があります。 これらの症状が一つでも現れた場合は、迷わず救急車を呼んで、すぐに医療機関を受診しましょう。 脳溢血の治療、後遺症を治すには再生医療をご検討ください https://youtu.be/pSaJBptY3Bc?si=WFuCvq4ABq9PcOmT 脳溢血は、適切な急性期治療により症状改善も期待できますが、残念ながら多くのケースで後遺症が出ます。 そんな脳溢血の後遺症に対して、近年の治療では「再生医療」が注目されています。 \脳溢血の後遺症に有効な再生医療とは/ 再生医療は、損傷した脳細胞にアプローチする治療によって、従来の治療では難しい脳細胞の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脳溢血が治るか不安を抱えている 治療後にも後遺症に悩まされている 現在の治療では目立った効果が出ていない 脳溢血の後遺症や再発予防にお悩みの方は、従来のリハビリテーションと再生医療の併用をご検討ください。 以下の動画では、実際に当院リペアセルクリニックで再生医療を受け、脳溢血(脳出血)の後遺症が改善された患者様の症例を紹介しています。 https://youtu.be/AoMLP77h-c4?si=r7ykvSwmkQJPeu9i 当院リペアセルクリニックでは、患者さまの症状に適した治療やリハビリの訓練・指導が行えるように、医師の他に理学療法士や柔道整復師などの専門資格を持つチーム体制が整っています。 再生医療について詳しい情報をご希望の方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。
2025.09.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
- くも膜下出血
頭を打ったとき、「どの場所を打つと危ないのか」「病院に行くべきなのか」不安になる方は多いのではないでしょうか。 結論、頭を打ったときに「ここだけが特に危険」といった特定の場所はありません。 どの部位でも打ち方や衝撃の強さによって危険が伴うため、頭部を打った部位以外にも注意する必要があります。 本記事では、頭を打ったときの部位ごとの特徴的なリスクや注意すべき危険な症状について詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、頭部打撲に伴う脳の後遺症に対して期待できる再生医療の治療法や実際の症例を配信しています。 頭部の症状でお悩みの方はぜひ一度ご覧いただき、今後の治療や生活改善にお役立てください。 頭を打つと危ない場所は?おでこ以外に注意すべき部位 頭のどこを打っても危険ですが、部位によってリスクは異なります。 頭部打撲の部位と影響 頭をぶつけた後に注意すべき危険な症状 部位ごとの特徴を把握して、早期の受診につなげましょう。 頭部打撲の部位と影響 頭を打ったときの危険性は、打った部位や年齢によって異なります。 とくに1歳半から2歳ごろの子どもは頭蓋骨が柔らかく、大人より衝撃に弱い上に変形しやすいため注意が必要です。 代表的な部位と起こりやすい影響は、以下の通りです。 部位 影響 側頭部(こめかみ周辺) 骨が薄く骨折のリスクがある 内側に重要な血管が走っているため、出血が脳を圧迫すると危険な状態につながる恐れがある おでこ(前頭部) 強い衝撃で脳挫傷や頭痛・吐き気が出る場合がある 目の周囲(眼窩) 前方からの衝撃で骨折したり、物が重なって見えたりする状態が起こる可能性ある 見た目には大きな異常がなくても、眼球内部で出血が起こる場合がある まゆ毛の外側を強くぶつけると視神経まわりの骨に影響を与え、急に視力が落ちる恐れがある 後頭部 首の後ろや両肩に痛みが生じたり、脳内出血を起こしたりする可能性がある 子どもは出血がなくても脳震盪で何度も吐くことがある 耳周り・側頭後方 耳周りの頭蓋骨が骨折した場合、鼓膜の破裂や顔の神経が麻痺して顔の半分の筋肉が動かせなくなる恐れがある 打撲後は部位ごとの特徴や症状を理解し、異常があれば早めに医療機関で確認しましょう。 頭をぶつけた後に注意すべき危険な症状 頭を打った後はすぐに症状が出ないこともありますが、異常が現れた場合は見逃さずに対応するのが重要です。 注意すべき代表的な症状は、以下の通りです。 嘔吐を繰り返す 長引く頭痛 二重に見える 物がかすんで見える 自分の意志とは無関係に筋肉が動く 症状がすぐに現れなくても、怪我をしてから24時間(とくに最初の6時間)※は注意深く様子を見ましょう。 ※出典:防衛医科大学校防衛医学研究センター外傷研究部門「軽症頭部外傷・軽症頭部爆傷」 とくに小さな子どもは自分で症状を伝えられないため、大人が慎重に見守ることが大切です。 頭部打撲によって起こりうる病気・症状 頭部打撲によって起こりうる病気・症状は、以下の通りです。 脳震盪 急性硬膜下血腫 外傷性くも膜下出血 脳挫傷 高次脳機能障害 症状の現れ方は、打った部位や衝撃の強さによって異なります。 そのため、頭部打撲で起こりうる病気をあらかじめ知っておくことが大切です。 脳震盪 脳震盪(のうしんとう)とは、頭部への衝撃で脳が一時的に揺れ、機能が乱れる状態です。 主な症状は、以下の通りです。 意識消失 打つ前後の出来事を覚えていない 頭痛 吐き気 倦怠感 めまい 睡眠障害 脳震盪を繰り返すと癖になり、重い後遺症や頭蓋内出血のリスクが高まる恐れがあるため注意が必要です。 多くの場合、症状は2週間以内に自然に回復しますが、子どもや若年者では回復に時間がかかることもあります。 脳震盪が疑われる場合は、安静を保ちつつ医療機関を受診しましょう。 急性硬膜下血腫 急性硬膜下血腫は、脳の表面の血管が損傷し、脳と硬膜(脳を包む膜)の間に血の塊がたまる病気です。 おでこ・こめかみ・頭上部に多く見られ、脳全体に影響を及ぼすことがあります。 急性硬膜下血腫の主な症状は、下記の通りです。 激しい頭痛 意識障害 片側の手足の動きが鈍くなる 症状は受傷直後だけでなく、遅れて現れることもあり、油断はできません。 高齢者は数週間〜数か月後に頭の中に血が溜まる慢性硬膜下血腫と呼ばれる症状が現れる場合があります。 そのため、頭痛や物忘れが多くなるなどの症状が見られた場合は脳神経外科を受診しましょう。 血の塊が大きくなると脳を圧迫し、緊急手術が必要になる恐れがあります。 早期診断と迅速な対応が、予後を大きく左右します。 外傷性くも膜下出血 外傷性くも膜下出血は、頭を打ったことによって脳を覆う薄い膜(くも膜)と脳の間で出血が起こる病気です。 主な症状は、以下の通りです。 激しい頭痛 吐き気・嘔吐 意識がぼんやりする 目の痛み とくに、強い頭痛が出る場合はすぐに救急車を呼び、医療機関で診察を受けましょう。 外傷性のくも膜下出血は、血管が破裂すると死亡率が50%以上※と高く、早期の治療が必要です。 ※出典:日本医科大学「頭部外傷の病態と治療」 手術方法は状況によって異なり、血管を修復する方法や血流を確保する手術が行われることもあります。 脳挫傷 脳挫傷は、頭部への強い衝撃で脳が損傷を受けた状態です。 症状は損傷した部位によって変わりますが、主に次のようなものがあります。 頭痛 片方の手足が動きにくくなる 言葉の理解や表出が難しくなる 脳挫傷は、衝撃を受けた側だけでなく反対側の脳にも損傷が起こることがあります。 外傷後、数時間から数日にかけて広がる可能性があるため、症状の変化を注意深く観察しましょう。 重症化すると意識がもうろうとして混乱状態になることがあり、早期の受診と適切な治療が重要です。 高次脳機能障害 高次脳機能障害は、頭部外傷の後遺症として起こり、さまざまな障害が生じる症状のことです。 主な症状は、以下の通りです。 症状 具体例 記憶障害 物の場所を忘れる 同じ質問を繰り返す 注意障害 注意力が続かない 複数の作業を同時に行うと混乱する 遂行機能障害 考えや判断がうまくできない 自分で計画を立てて行動できない 社会的行動障害 怒りやすい 自己中心的な行動が目立つ 高次脳機能障害は外見ではわかりにくいため、患者さまや周囲の方も気づきにくい場合があります。 発症後できるだけ早くリハビリを始めると回復の可能性が高まるため、早期に異変に気づき治療を開始するのが重要です。 以下の記事では、高次脳機能障害の回復過程やリハビリ方法について解説しているので参考にしてください。 頭を打つと危ない場所に関するよくある質問 頭を打つと危ない場所に関するよくある質問は、以下の通りです。 頭をぶつけたときの危険なサインは? 頭を打ったら病院に行くべき? 頭を打った直後は痛みや違和感が軽くても、数時間〜数日後に症状が現れることもあります。 危険な症状や受診のタイミングを把握して、自身の状態を確認しましょう。 頭をぶつけたときの危険なサインは? 頭をぶつけた後に注意すべき危険なサインは、以下の通りです。 意識がぼんやりする 嘔吐を繰り返す 激しく頭が痛む 手足がしびれる ろれつが回らない 二重に見える ぶつけた直後だけでなく、数日経ってから現れることもあるため、頭部を打った24時間は注意深く観察しましょう。 とくに、小さな子供や高齢者の場合、以下のような症状が見られたら迷わず医療機関を受診してください。 6歳以下の子どもは、普段と様子が違って元気がない場合や何度も嘔吐する場合 高齢者は、受傷後数週間~数か月経って頭痛・吐き気・脱力感・ふらつきなどの症状が現れた場合 症状が少しでも気になる場合は、脳神経外科で診てもらいましょう。 頭を打ったら病院に行くべき? 頭を打った際の症状に不安があるときや、どの症状が危険か判断できないときは医療機関を受診しましょう。 症状が軽くても、脳や頭部には外見ではわからない損傷が隠れている恐れがあります。 また、数日後に症状が現れる遅発性の合併症が見られる可能性があるため、違和感がある場合は医療機関を受診することが重要です。 頭を打つと危ない場所以外にも衝撃の強さに注意しよう 頭部打撲は、打った部位だけでなく、衝撃の強さや事故の状況によっても危険度が変わります。 軽く打っただけに見えても、数時間から数日後に症状が現れることがあります。 転倒やスポーツ、日常生活での外傷に注意し、周囲の安全確保やヘルメットの着用などで頭を守る工夫をしましょう。 頭部に異常を感じた場合は医療機関を受診することも重要です。 また、頭を打ったことによる脳の損傷に対して、当院リペアセルクリニックでは先端医療の一つである「再生医療」による治療を提供しています。 再生医療は損傷した組織にアプローチし、後遺症の改善につながる可能性がある治療法です。 頭部外傷による脳損傷や後遺症の治療法について詳しく知りたい方は、当院の公式LINEもご参考ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/
2025.09.30 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳梗塞とは脳の血管が血栓で詰まり、血流が止まることで脳組織が死んでしまう病気です。 突然発症することが多く、治療が遅れると重篤な後遺症のリスクがあり、生命に関わることもあります。 脳梗塞を発症した方やご家族の中には、「本当に治るのか」「どのような治療を受ければよいのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。 この記事では、脳梗塞の回復見込みや病期別の治療法、入院期間について詳しく解説します。 また、現在リペアセルクリニックでは脳梗塞の後遺症や再発予防に対する治療法として、再生医療を行っています。 \脳梗塞に有効な再生医療とは/ 再生医療は、損傷した脳細胞にアプローチする治療によって、従来の治療では難しい脳細胞の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脳梗塞が治るか不安を抱えて生活している 治療後にも後遺症に悩まされている 現在の治療では目立った効果が出ていない 「脳梗塞が治るか不安」「後遺症を早く治したい」という方の新たな選択肢として、ぜひ検討してみてください。 以下の動画では、実際に当院リペアセルクリニックで再生医療を受け、脳梗塞の後遺症が改善された患者様の症例を紹介しています。 https://youtu.be/AoMLP77h-c4?si=r7ykvSwmkQJPeu9i 再生医療の治療法や症例については、当院リペアセルクリニックの公式LINEで発信しているので、ぜひご登録ください。 脳梗塞は治る見込みあり|早期治療が重要 脳梗塞は治る見込みがある疾患です。 以下の適切な知識を持って治療に取り組むことで、より良い回復を目指せる可能性があります。 早期治療の重要性 脳梗塞治療に必要な検査 これらの正しい知識を身につけて、適切な治療を選択しましょう。 また、脳梗塞の後遺症の回復に関しては、以下の記事も参考になります。 早期治療の重要性 脳梗塞の回復において、早期治療は重要な要素です。 脳梗塞は発症してから時間が経つにつれて、脳組織の損傷が拡大していきます。 とくに発症から4.5時間以内に治療を開始できれば、血栓を溶かす薬物治療が可能になり、脳へのダメージを最小限に抑えられます。 また、原則6時間以内(特定条件下では24時間以内)※であれば血管内治療による血栓除去も有効です。 ※出典:日本脳神経血管内治療学会 そのため、手足の麻痺やろれつが回らないなど、脳梗塞の症状を感じたらすぐに救急車を呼んで医療機関での治療を受けましょう。 脳梗塞治療に必要な検査 脳梗塞に対して早期治療を行うためには、まずは以下の検査による正確な診断が必要です。 検査 内容 身体検査 心臓の音や血圧を測り、脳や神経の働きを調べる 血液検査 血液の凝固速度、血糖値、感染症の有無を調べる CT検査 脳出血や脳の腫れ、異常な影などを画像で確認する MRI検査 脳の細かな変化や血流の状態を詳細に画像化する 頸動脈超音波検査 首の動脈の狭窄や血管壁の厚みを超音波で調べる 脳血管造影検査 造影剤を使って血管の形や血流の流れを詳しく観察する 心エコー検査 心臓の動きや構造、血栓の有無を超音波で確認する 検査結果に基づいて、患者様一人ひとりに合った治療計画を立てられます。 【病期別】脳梗塞に対する治療法 脳梗塞は病期に応じた適切な治療法を理解することが大切です。 脳梗塞の治療は、以下の急性期、回復期、生活期の3つの段階に分けられ、それぞれ異なる治療目標があります。 急性期 回復期 生活期 各段階で適切な治療を受けることで、より良い回復を目指しましょう。 急性期 急性期は脳梗塞の発症から2〜3週間程度の時期を指し、脳へのダメージを最小限に抑える治療が優先となります。 とくに発症から6時間以内は、血管を詰まらせている血栓に直接アプローチできる治療が適応できる可能性があります。 急性期に行われる治療は、主に以下の3つです。 血栓溶解療法(t-PA治療) 血栓溶解療法(t-PA治療)は、血管を詰まらせている血栓を溶かすアルテプラーゼという薬を注射する治療法です。 脳梗塞の発症後4.5時間以内に開始すると効果的で、脳への血流を回復させることができます。 4.5時間を超えると、薬により出血のリスクが高くなるため使用できません。 そのため、症状を感じたらできるだけ早く医療機関を受診することが重要です。 血管内治療(血栓回収療法) 血管内治療(血栓回収療法)は、重症の脳梗塞に対してカテーテルという細い管を血管に挿入し、直接血栓を除去する治療法です。 局所麻酔または全身麻酔下で行われ、網目状の器具や吸引装置を使って血栓を取り除きます。 血栓溶解療法と同様に、脳梗塞発症後できるだけ早く開始すると効果的です。 一般的には6時間以内の治療が推奨されています。 抗血栓療法(内服治療) 抗血栓療法は血栓に対する急性期治療に加えて、脳梗塞の再発予防として内服薬による治療も同時に行います。 主に2種類の薬が使用されます。 内服薬 特徴 抗血小板薬(アスピリン・クロピドグレル) 新しく血栓ができることを防ぐ薬 患者様の状態に応じて、クロピドグレルなど他の抗血小板薬と併用する場合もある 抗凝固剤(ワーファリンなど) 新たな血栓ができるリスクを減らすために使用される薬 ワルファリンやダビガトランなど、長期間使用できる種類がある 医師が患者様の状態を総合的に判断して薬を選択し、再発予防を目指します。 回復期 回復期は脳梗塞の発症から約6カ月間の時期を指し、主な治療目標はリハビリテーションによる機能回復です。 この時期には理学療法、作業療法、言語療法などの専門的なリハビリを集中的に行います。 理学療法:歩行訓練や筋力強化 作業療法:日常生活動作の練習 言語療法:話す・飲み込む機能の改善 回復期リハビリテーション病院では、医師、看護師、各種療法士などの多職種チームが連携し、患者様の状態に合わせた個別のリハビリプログラムを作成します。 生活期 生活期は回復期以降の時期を指し、在宅での生活を継続しながら維持期リハビリを行う段階です。 この時期の治療は、外来でのリハビリや訪問リハビリを継続し、獲得した機能を維持・向上させることが目標となります。 また、血圧管理、血糖管理、コレステロール管理などの内科的治療を継続し、脳梗塞の再発予防に努めます。 定期的な医師による診察と検査により、適切な薬物調整を行うことが重要です。 脳梗塞の入院期間・費用 脳梗塞の治療について、入院期間と費用を事前に把握することで適切な準備ができます。 入院に関する情報は以下の2つに分けて説明します。 平均入院期間 平均入院費用 これらの情報を参考に、入院に向けた準備を進めましょう。 平均入院期間 厚生労働省の調査※によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院期間は68.9日です。 ※出典:厚生労働省「患者調査」 軽度の脳梗塞の場合は2週間程度で退院できることもありますが、障害のある脳の部位や範囲など、脳梗塞の重症度によって入院期間は大きく変動します。 また、年齢によっても入院期間に差があります。年齢別の平均入院期間は以下の通りです。 年齢 平均入院期間(平均在院日数) 0~14歳 11.8日 15~34歳 31.4日 35~64歳 44.5日 65歳以上 75.5日 70歳以上 77.7日 75歳以上 80.1日 ※出典:厚生労働省「患者調査」 高齢で脳梗塞を発症した場合、リハビリが長期化しやすい傾向があります。 年齢が高くなるほど入院期間が長くなることを理解しておきましょう。 平均入院費用 厚生労働省の調査※によると、脳梗塞を含む脳血管疾患の平均入院費用は約72~94万円(加入している医療保険制度により異なる)です。 ※出典:厚生労働省「医療給付実態調査報告」 脳梗塞の入院・治療費は、高額療養費制度を活用することで負担を軽減できます。 高額療養費制度※とは、医療機関での医療費が1カ月で上限額を超えた場合、超えた分の金額があとから払い戻される制度です。 ※出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 脳梗塞の医療費は入院期間や重症度によって変動するため、具体的な金額については医療機関にご確認ください。 脳梗塞の治る見込みや治療に関するよくある質問 脳梗塞の治療や回復見込みについて、よくある質問をご紹介します。 脳梗塞になったら長生きできる? 脳梗塞が完治する確率は? 治療方針の検討にお役立てください。 脳梗塞になったら長生きできる? 脳梗塞を発症しても、適切な治療とリハビリにより長生きすることは十分に可能です。 とくに軽度から中等度の脳梗塞の場合、適切な治療により社会復帰される方も多くいらっしゃいます。 ただし、長生きを目指すうえでは再発予防が重要です。 血圧管理、血糖管理、コレステロール管理など内科治療の継続、そして生活習慣の改善も大切です。 禁煙、節酒、適度な運動、バランスの取れた食事を心がけ、健康的な生活を送りましょう。 脳梗塞が完治する確率は? 国内外の大規模研究によると、発症から90日後に完治に近い状態(mRS 0~1:症状がない、あるいは日常生活にほとんど支障がない状態)となる人の割合はおおよそ30~40%程度と報告※されています。 ※出典:日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2025)」 早期の治療(血栓溶解療法や血管内治療)やリハビリテーションの導入が、良好な回復につながる重要な要因です。 脳梗塞を根本的に治したい方は再生医療をご検討ください 脳梗塞は完治が困難な場合もありますが、適切な治療により日常生活の質を向上させることも十分に可能です。 現在、脳梗塞の後遺症や再発予防として再生医療が注目されています。 再生医療は損傷を受けた脳組織の再生を促す医療技術で、麻痺やろれつが回らない後遺症がある方や、脳梗塞の再発予防を希望される方の治療選択肢となっています。 また、リペアセルクリニックには理学療法士や柔道整復師、鍼灸師、トレーナーのチーム体制が整っており、各専門職によるリハビリテーションの訓練や指導も可能です。 脳梗塞の後遺症や再発予防でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
2025.09.30 -
- 脳卒中
- 頭部
脳挫傷などの頭部外傷は、数年経過してから後遺症が現れることがあります。 最近記憶力が落ちた、集中できなくなったと感じる症状は、過去の脳挫傷が原因で後遺症が現れているかもしれません。 本記事では、脳挫傷後に数年経過してから現れる後遺症の種類や症状、後遺症に気づくきっかけについて詳しく解説します。 また、後遺症が判明した場合に利用できる支援制度や交通事故の場合の法的な問題まで、幅広く対応方法をご紹介します。 脳挫傷の後遺症でお悩みの方やそのご家族の方に、少しでも安心していただける情報をお届けします。 脳挫傷は後遺症として残りやすい傾向にある 頭部に強い衝撃を受けた際に脳組織が損傷する「脳挫傷」は、後遺症が残りやすい傾向があります。 脳挫傷が後遺症として残りやすい主な理由は以下の通りです。 脳神経細胞は一度損傷すると完全な修復が難しく、再生能力が限られている 損傷は受傷部位だけでなく周辺組織にも影響を及ぼすことがある 初期検査では検出できない微細な損傷が時間経過とともに症状として現れることがある 脳の各部位が特定の機能を担っているため、損傷部位によって症状が異なる 重要なのは、脳挫傷の重症度と後遺症の程度が必ずしも比例しないことです。 一見すると軽症に見えても、後に深刻な後遺症が現れる可能性があります。 とくに高次脳機能障害が軽度の場合などは、日常生活や仕事の中で少しずつ症状に気づくことがあります。 頭部に衝撃を受けた場合は、症状がなくても医療機関での診察と経過観察を行うことが重要です。 脳挫傷(頭部外傷)の数年後に現れやすい後遺症 脳挫傷を含む頭部外傷では、受傷直後から症状が現れるケースだけでなく、数ヶ月から数年経過してから症状が顕在化することがあります。 これは遅発性後遺症・遅発性脳障害と呼ばれることもあり、患者さまやご家族が戸惑うことが少なくありません。 脳挫傷の数年後に現れやすい後遺症は個人差が大きく、脳のどの部位が損傷を受けたかによっても異なります。 数年後に現れやすいとされる後遺症は以下の通りです。 遅発性脳障害 高次脳機能障害 外傷性てんかん 身体性機能障害 本章では、それぞれの後遺症について詳しく解説していきます。 遅発性脳障害 頭部外傷後、数ヶ月から数年、あるいは数十年経過してから現れる神経変性疾患を遅発性脳障害と呼びます。 脳挫傷に限らず、頭部外傷によって引き起こされる可能性がある後遺症です。 現れる症状は、高次脳機能障害や外傷性てんかん、人格変化、PTSDなどさまざまです。 代表例として「慢性外傷性脳症(CTE)」があり、かつては「ボクサー脳症」として知られていました。 慢性外傷性脳症(CTE)」は主にボクシングやアメリカンフットボールなどで繰り返しの頭部外傷を受けた人に見られますが、稀に単発の重度頭部外傷後にも発症します。 症状の出現に個人差があるため、頭部外傷の既往がある方は定期的な経過観察が重要です。 高次脳機能障害 高次脳機能障害とは、脳挫傷などの頭部外傷によって引き起こされる認知・記憶・行動などの機能障害です。 特徴的なのは、受傷直後には明らかな症状が現れず、数ヶ月から数年後に日常生活や仕事の中で徐々に気づかれることがあるという点です。 とくに症状が軽い場合、脳挫傷直後に異常を自覚できないことが多く、時間の経過とともに症状が顕在化します。 会社や学校復帰後、複数作業の処理が困難になったり、新しい情報を記憶するのが難しくなったりといった、社会生活で変化に気づくケースが少なくありません。 異変を感じたらすぐに専門医への受診をおすすめします。 外傷性てんかん 頭部外傷後、数ヶ月から数年経過してから外傷性てんかんが発症することがあります。 外傷性てんかんには発症時期によって分類があります。 受傷後24時間以内や1週間以内に発作が起きる「超早期・早期てんかん」 受傷後1週間以上経過してから発症する「晩期てんかん」 早期てんかんは晩期てんかんと比較して予後が良好なケースが多く見られますが、個人差があります。 一方、晩期てんかんはより長期的な治療が必要になることが多く、中には難治性てんかんに進展する場合もあります。 症状としては痙攣発作や意識障害が典型的であり、発作が繰り返されることで日常生活に支障をきたします。 重要なのは、脳損傷の大きさだけではてんかんの重症度は判断できないという点です。損傷部位以外が二次的にてんかんの原因となるケースもあります。 専門医による適切な診断と継続的な抗てんかん薬による治療が必要になるので、症状が現れた場合は、すみやかに神経内科や脳神経外科を受診しましょう。 身体性機能障害 脳挫傷を含む頭部外傷後に生じる身体性機能障害の代表的なものが、運動麻痺です。 これは脳の運動をつかさどる部位(大脳皮質運動野や内包、橋など)が損傷を受けることで起こります。 運動麻痺はその範囲によって以下のように分類されます。 四肢麻痺:両側の四肢(両腕と両脚)が麻痺する状態 片麻痺:一側の上下肢(片方の腕と脚)が麻痺する状態 単麻痺:一肢のみ(片方の腕または脚)が麻痺する状態 また、麻痺の程度は重症度によって以下のように分けられます。 高度:運動性・支持性がほとんど失われ、基本動作ができない状態 中等度:運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限がある状態 軽度:運動性・支持性が多少失われ、動作の巧緻性や速度が損なわれている状態 症状は時間経過とともに改善することもありますが、重度の場合は後遺症として残ることもあります。 身体性機能障害は日常生活や就労に大きな影響を与えることがあり、重症度に応じたリハビリテーションや支援が必要です。 数年後に脳挫傷の後遺症に気づくきっかけとなる症状 脳挫傷を含む頭部外傷を受けた後、数年経過してから後遺症に気づくことは珍しくありません。 とくに高次脳機能障害は、日常生活の中で少しずつ顕在化することが多いのが特徴です。 後遺症に気づくきっかけは、主に日常のさまざまな場面での「以前とは違う」という変化として現れます。 仕事や学業のパフォーマンスの低下、人間関係での摩擦の増加、日常生活での計画立案や実行の困難さなど、脳の機能低下が具体的な形で現れるようになります。 これらの症状は当初、単なる疲れや加齢、ストレスによるものと考えられがちですが、実は脳挫傷の後遺症である可能性があります。 以下では、数年後に気づくことが多い主な症状について、仕事・学業、人間関係、日常生活の3つの側面から詳しく解説していきます。 仕事や学業での困難|記憶力低下・複数作業の困難さ 脳挫傷後の数年経過後に気づかれやすい症状として、仕事や学業での困難があります。 とくに「記憶力の低下」は多くの患者さまが自覚する症状です。 新しい情報を覚えられない 覚えてもすぐに忘れてしまう 以前なら簡単に思い出せたことが出てこない など また「複数の作業を同時に行う難しさ」も特徴的です。 会議中にメモを取りながら発言の内容を理解する、話をしながら資料を探すなど、以前は何気なくできていた同時並行作業が困難になります。 集中力も続かなくなり、作業の切り替えにも時間がかかるようになります。 こうした変化によって、仕事のミスが増える、納期に間に合わない、学業成績が低下するなどの問題が生じ、本人が「何かおかしい」と感じるきっかけになることが少なくありません。 人間関係の変化|感情コントロール・対人関係の問題 脳挫傷の後遺症として、感情のコントロールが難しくなることがあります。 これは前頭葉の機能低下によるもので、以前は抑制できていた感情が抑えられなくなる症状です。 些細なことでイライラする 急に怒りっぽくなる 感情の起伏が激しくなる 泣きやすくなる など 具体的には、些細なことでイライラする、急に怒りっぽくなる、感情の起伏が激しくなる、泣きやすくなるなどの変化が現れます。 また、感情表現が乏しくなる「感情の平板化」が起こることもあります。 これらの変化は対人関係に大きな影響を与えます。家族や同僚、友人との関係に摩擦が生じ、「性格が変わった」と周囲から指摘されることも少なくありません。 本人は自分の変化に気づいていないこともあり、周囲からの指摘で初めて後遺症の可能性に気づくケースもあります。 日常生活での支障|計画性の低下・疲れやすさ 脳挫傷の後遺症は日常生活にも様々な支障をきたします。 予定の管理ができなくなる、 優先順位をつけられなくなる 数時間で極度の疲労を感じる 集中力が持続しない これらの「計画性の低下」と「疲れやすさ」は特徴的な症状です。 その他、時間や場所の感覚が鈍くなる、物事への関心が薄れる、意欲の低下などの症状も現れることがあります。 これらの変化が複合的に起こることで、日常生活全般に支障をきたし、生活の質が低下します。 交通事故から数年後に脳挫傷の後遺症が現れた場合 交通事故などによる脳挫傷の後遺症が数年後に現れるケースは少なくありません。 当初は軽症と思われていた症状が時間の経過とともに悪化したり、新たな症状が出現したりすることがあります。 このような「遅発性」の後遺症は、法的・医学的に複雑な問題を引き起こすことがあります。 脳挫傷による主な後遺症には以下のようなものがあります。 後遺症の種類 主な症状 高次脳機能障害 記憶障害 集中力低下 判断力・計画力の低下 情緒的変化 身体性機能障害 身体の麻痺 手足のしびれ 歩行障害 バランス感覚の低下 外傷性てんかん けいれん発作 意識障害 認知機能の低下 遅発性脳障害 進行性の認知症状 人格変化 運動障害 感覚器の機能障害 視力低下 聴力障害 嗅覚・味覚異常 平衡機能障害 めまい 吐き気 バランス感覚の喪失 慢性頭痛 持続的な頭痛 光・音への過敏症状 交通事故から数年経過して後遺症が判明した場合、損害賠償請求の期限や、事故と症状の因果関係の立証など、法的な問題に直面することがあります。 本章では、これらの課題について詳しく解説します。 損害賠償請求の期限|民法の規定 交通事故から数年後に脳挫傷の後遺症が判明した場合、損害賠償請求が可能かどうかは「消滅時効」という概念が重要になります。 民法では不法行為による損害賠償請求権に関して、第724条で「被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間」※と規定しています。 ※出典:民法 第七百二十四条 さらに第724条の2では、「人の生命または身体を害する不法行為」については、この期間が「5年間」に延長※されます。 ※出典:民法 第七百二十四条の二 つまり、脳挫傷の後遺症を自覚した時点から5年以内であれば、法律上は損害賠償請求が可能となります。 また第724条では「不法行為の時(事故発生時)から20年間」という長期の時効期間も設けられています。 ただし、後遺症が発生してから年月が経過するほど、その症状と事故との因果関係を証明することは難しくなります。 時効が成立していなくても、因果関係の立証ができなければ賠償請求は認められない可能性が高いのが実情です。 数年後に因果関係を立証するのは簡単ではない 脳挫傷の後遺症と交通事故との因果関係を数年後に立証することは、非常に困難です。 一般的に交通事故による症状は事故直後から現れ、時間の経過とともに改善していくと考えられています。 そのため、「数年後に症状が出現した」と主張しても、「事故との関連性が不明」と反論されるケースが多いのです。 因果関係を立証するためには、以下の条件が必要と考えられます。 事故(受傷)の事実が客観的に確認できること 日常生活または社会生活に明らかな制約があること その制約の主な原因が脳損傷による障害であること 事故直後からの診断画像や診断書など医学的証拠があること 特に重要なのは、事故後早期の段階でMRIやCTなどの画像検査で脳損傷の所見が確認されていること、そして継続的に医療機関を受診していた記録が残っていることです。 これらの証拠がなければ、後遺症と事故との因果関係を証明することは極めて困難になります。 脳挫傷の後遺症が数年後に判明した場合の対応方法 脳挫傷の後遺症が数年経過してから判明した場合でも、適切な対応で症状改善や生活の質向上が期待できます。 対応の基本は三つの側面から考えることが重要です。 専門的な医療機関での診断と適切なリハビリテーション 家族を含めた周囲の理解とサポート体制の構築 利用可能な公的支援制度の活用です。 後遺症の種類や重症度は個人差が大きいため、患者さま一人ひとりの状況に合わせた総合的なアプローチが必要になります。 本章では、これらの対応方法について詳しく解説していきます。 医療機関の受診とリハビリ 脳挫傷の後遺症を疑う症状に気づいたら、まずは脳神経外科や神経内科などの専門医療機関を受診しましょう。 医師に対して「以前に頭部外傷があった」ことを必ず伝え、現在の症状を詳しく説明することが重要です。 診断では、MRIやCTなどの画像検査に加え、神経心理学的検査などが行われることがあります。 診断が確定したら、症状に応じた適切なリハビリテーションプログラムが提案されます。 機能回復のためには、高次脳機能障害には認知リハビリテーション、運動麻痺には理学療法など、症状に合わせた専門的なリハビリの継続が重要です。 家族や周囲のサポート 脳挫傷の後遺症、特に高次脳機能障害は目に見えない障害であるため、家族や周囲の理解とサポートが非常に大切です。 患者さまの変化を理解し、無理な要求を避け、できることを少しずつ増やしていく姿勢を持ち接することで、症状の改善を目指せます。 また、家族会などの自助グループに参加することで、同じ悩みを持つ家族との情報交換や精神的なサポートも得られます。 日常生活では、環境を整理して混乱を減らす、メモやスケジュール表を活用するなどのサポートも効果的です。 後遺症が判明した際に利用できる支援制度 脳挫傷の後遺症が判明した場合、以下のような公的支援制度を利用することができます。 高次脳機能障害の相談窓口:各都道府県に設置されており、相談支援を行うほか、適切な医療機関や支援機関の紹介を行っています。 障害者手帳の申請:症状に応じて、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の交付対象となる場合があり、医療費助成や税金の減免などの支援を受けられることがあります。 介護保険サービス:40歳以上の方で、症状が介護保険の特定疾病に該当する場合、介護保険サービスを利用できることがあります。 障害福祉サービス:自立支援医療や就労支援サービスなど、障害者総合支援法に基づくサービスを利用できる場合があります。 これらの制度を効果的に活用するために、地域の障害福祉課や高次脳機能障害の相談窓口に連絡することをおすすめします。 【まとめ】脳挫傷(頭部外傷)は数年後に後遺症が現れる可能性がある 脳挫傷は後遺症が残りやすい傾向があり、受傷直後だけでなく数年後に症状が顕在化することがあります。 主な後遺症として高次脳機能障害、遅発性脳障害、外傷性てんかん、身体性機能障害などが挙げられます。 後遺症に気づくきっかけは、記憶力低下や複数作業の困難さ、感情コントロールの問題、計画性の低下や疲れやすさなど、日常生活の様々な場面での変化として現れます。 数年後に後遺症が判明した場合でも、専門医療機関での診断・リハビリ、家族のサポート、公的支援制度の活用など適切な対応で症状改善が期待できます。 頭部に衝撃を受けた方は、症状の有無にかかわらず医療機関を受診して、経過を観察しましょう。 脳の疾患による後遺症に対して、近年では改善・回復効果が期待できる治療方法として再生医療が注目されています。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身の幹細胞を採取・培養して投与する幹細胞治療を実施しています。 幹細胞は神経・血管・骨・軟骨などに変化する性質があり、その幹細胞を培養して数を増やすことで、いろいろな組織に変化する性質を利用して脳細胞を再生。 これによって一度機能しなくなった脳細胞が復活し、脳卒中の後遺症の改善が期待できます。 脳の再生医療による脳卒中の治療は、早ければ早いほど脳機能の回復が期待できますが、一定時間が経ってしまっても効果を発揮します。 再生医療について興味をお持ちの方は、お気軽に当クリニックまでご相談ください。
2025.03.08 -
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 頭部
脳挫傷の後遺症が治るのか、不安な方はいませんか。 脳挫傷とは、頭部へ強い衝撃が加わることで、脳が損傷し出血や腫れを引き起こした状態です。 損傷部位や衝撃を受けた範囲によって、症状の程度や回復具合は異なります。 本記事では、脳挫傷の後遺症や後遺症の回復に影響する要因について、詳しく解説します。 後遺症について不安がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。 脳挫傷の後遺症は治るのか|回復の可能性について 脳挫傷では、脳組織の破壊がみられない、損傷の程度が軽度であれば、症状は徐々に回復する可能性があります。 しかし、損傷が重度の場合や適切な治療が遅れた場合は、後遺症が残ることもあります。 脳は人体の他の部位に比べて再生能力が乏しいため、損傷度合いが大きい場合は完全再生が難しいことが理由です。 また、回復の程度は脳の損傷部位・範囲・深さや、リハビリテーションなどによって大きく異なります。 脳挫傷になった際の年齢や合併症の有無などの要因も、後遺症の出現に大きく関係するため、患者様自身に合った治療を受けることが重要です。 脳挫傷の原因・症状を解説 脳挫傷の原因は、交通事故や転倒などで、頭部に強い衝撃が加わることです。 脳の損傷部位や程度によって、以下の症状が現れます。 頭痛 嘔気・嘔吐 意識障害 麻痺 感覚障害 言語障害 脳挫傷は、受傷後1~2日経過してから症状が現れることもあるため、事故直後は無症状だった場合も経過に注意が必要です。 頭部を強打した場合は、たとえ無症状でも必ず医療機関を受診し、医師の指示に従って経過観察を行ってください。 脳挫傷の後遺症 脳挫傷になると、以下の後遺症が現れる場合があります。 軽度の脳挫傷であれば、適切な治療と経過観察により、数日で症状が改善する場合もあります。 しかし、重症の場合は生命に関わる状態になったり、重い後遺症が残ったりする可能性があります。 重い後遺症は日常生活に支障をきたす可能性が高いため、症状に気づいた時点で早急に医療機関を受診しましょう。 高次脳機能障害 脳挫傷の後遺症の1つに、高次脳機能障害があります。高次脳機能障害とは、「脳損傷に起因する認知障害※」のことであり、主に以下の4つの機能が障害されます。 ※引用:高次脳機能障害情報・支援センター 記憶障害 注意障害 遂行機能障害 社会的行動障害 記憶力や注意力が低下したり、物事を上手く実行できなかったりする症状のため、周囲から見ても症状がわかりにくいのが特徴です。 運動機能障害 脳挫傷になると、身体の麻痺やしびれをはじめとした、以下の症状が現れる運動機能障害を引き起こす場合があります。 手足のしびれ 身体の麻痺 筋力低下 歩行障害 運動機能障害は継続的なリハビリテーションで、徐々に症状が回復していく可能性があります。 感覚障害 脳挫傷の後遺症に、以下の6種類の感覚障害がみられる場合があります。 感覚障害の種類 症状 感覚過敏 外部からの刺激が過剰に感じ、不快感を伴う 異常感覚 電気が走っているような感覚がみられる 錯感覚 触られると痛みやぴりぴり感を感じる 神経痛 神経の刺激により引き起こされる痛みを感じる 感覚鈍麻 五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)が鈍くなる 感覚脱失 五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を感じなくなる しびれや痛みなどの症状は、感覚障害から引き起こされる場合と運動障害に起因しているケースがあります。 感覚障害と運動障害を併発している場合もあるため、医療機関を受診して原因を調べることが必要です。 遷延性意識障害 遷延性意識障害(植物状態)は、重篤な脳挫傷の後遺症の1つです。 日本脳神経外科学会は、以下の6項目が3カ月以上続いた状態を「遷延性意識障害」と定義しています。 自力移動が不可能である 自力摂食が不可能である 屎尿失禁状態にある 声を出しても意味のある発語が不可能である 簡単な命令(眼を開く、手を握るなど)にはかろうじて応じることもあるが、それ以上の意思疎通は不可能である 眼球はかろうじて物を追っても認識は出来ない 遷延性意識障害は、適切な治療を受けても症状の改善がみられない状態を指します。 外傷性てんかん 脳挫傷の後遺症に、外傷性てんかんがあります。 外傷性てんかんとは、脳から発せられる身体を動かす指令が正常時とは異なってしまう疾患で、以下の症状が現れます。 けいれんが起こる 意識を消失する 記憶が飛ぶ てんかん発作は、多くの場合は繰り返し症状が現れます。早期に適切な治療を開始し、てんかんの発生頻度を低下させまることで症状をコントロールすることが重要です。 平衡機能障害 脳挫傷では、平衡機能障害が後遺症として現れる場合があります。平衡機能障害は身体のバランスが取りづらくなる状態で、以下の症状がみられます。 めまいやふらつき 歩行困難 立位の不安定性 めまいやふらつきの症状が重くなると、転倒リスクが高まるため注意が必要です。 平衡機能障害が後遺症で出た場合は、医師の指示のもとリハビリテーションやバランス運動を行い、平衡感覚の改善を目指しましょう。 頭痛 脳挫傷になると、慢性的な頭痛が現れる場合があります。 頭痛がひどい場合には、光や音に敏感になったり、吐き気を催したりするケースもあります。 受傷直後より痛みが激しくなった場合は、脳挫傷の悪化も考えられるため、早急に医療機関を受診してください。 脳挫傷の後遺症の回復に影響する要因 脳挫傷の後遺症の回復には、以下の要因が影響します。 損傷した部位や範囲 損傷の深さ 受傷時の年齢 既往歴 合併症の有無 脳挫傷は損傷部位によって現れる症状が異なり、後遺症の回復にも個人差があります。 後遺症の回復には早期治療がカギとなるため、少しでも身体に異変を感じたら、医療機関を受診し治療を受けましょう。 脳挫傷の後遺症の治療・リハビリテーション 脳挫傷の後遺症の治療やリハビリテーションは、受傷してからの日数によって異なります。 急性期から治療やリハビリテーションを開始すると、後遺症が回復する可能性が高まります。 時期や症状に合った治療を受け、後遺症の回復を目指しましょう。 急性期のリハビリテーション 脳挫傷の急性期は、全身状態が不安定で生命の危険性もあるため、感覚刺激やポジショニング(正しい姿勢の保持)を主としたリハビリテーションを行います。 急性期は昏睡状態や意識障害が生じている場合が多く、集中治療室で全身状態を厳重に管理されている場合がほとんどです。 肺炎・褥瘡・関節拘縮といった二次的な合併症の予防をしつつ、早期の機能回復を目指しリハビリテーションを実施します。 回復期のリハビリテーション 急性期を脱し全身状態の安定がみられる回復期は、以下の4機能に分けてリハビリテーションを進めていくことが大切です。 運動機能 日常生活動作 認知機能 行動異常 脳挫傷をはじめとした頭部外傷では、初期の意識障害が長期にわたるほど高次脳機能障害が重症化しやすく、後遺症の回復が難しくなる傾向があります。 維持期(生活期)のリハビリテーション 脳挫傷の維持期は生活期と呼ばれ、後遺症と上手く付き合うためのリハビリテーションを行います。 脳挫傷は後遺症の回復の程度に個人差が大きく、社会生活へ復帰するまでの期間も異なり、数ヶ月から数年、あるいはそれ以上かかる場合もあり様々です。 運動機能や認知機能へアプローチするリハビリテーションを継続しながら、日常生活動作の再獲得を目指しましょう。 脳挫傷の後遺症と上手く付き合うための生活の工夫 脳挫傷の方は、以下を参考に生活を工夫し、後遺症と上手く付き合うことが大切です。 環境を整備する リハビリで自身に合った身体の動かし方を知る 家族や友人、職場へ症状を伝えておく 気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診する 受傷直後に無症状であった脳挫傷でも、経時的に後遺症が現れる場合があります。 脳挫傷の症状がみられる場合は、家族や友人など周囲の人に症状の程度を伝えておき、必要時にサポートを受けることも大切です。 高次脳機能障害や認知機能の低下により、新たな症状に気づかないケースもあるため、少しでも気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 【まとめ】脳挫傷の後遺症は回復する可能性がある!早期リハビリテーションの実施が重要 脳挫傷は組織が損傷していなければ、後遺症の回復が期待できます。 後遺症の回復には、早期治療や継続的なリハビリテーションの実施が重要なため、症状がみられたら早急に医療機関を受診しましょう。 ただし、発症してから一定期間が過ぎてしまった場合、リハビリテーション以外に後遺症に対して効果のある治療法がないのが現実です。 脳挫傷を含む脳卒中の症状の多くは、発症後数ヶ月はリハビリを行えば改善が見込めますが、慢性期を過ぎてしまった場合は効果が低くなっていきます。 そのようなケースに対して回復効果が期待できるのが再生治療です。 当院(リペアセルクリニック)では、損傷した部位の修復や再発予防が期待できる、再生医療による治療を実施しています。 後遺症でお困りの方は、お気軽に当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。
2025.03.08 -
- 脳卒中
- 頭部
「高次脳機能障害は治るか知りたい」と不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 高次脳機能障害とは、脳の一部がダメージを受けたことで思うような行動が取れなくなったり、注意力や記憶力に問題が生じたりする脳卒中の後遺症の一つです。 高次脳機能障害は完治が難しいと考えられていますが、リハビリを受けることで症状の緩和・改善が見込めます。 この記事では、高次脳機能障害の回復過程やリハビリ方法について解説しています。 また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、脳卒中の治療として注目されている再生医療に関する内容や症例を公開中です。 後遺症の改善や、脳卒中の再発予防につながる可能性がある治療法なので参考にしてください。 高次脳機能障害が治る見込みはある? 高次脳機能障害はリハビリを継続することで改善の見込みがあります。 脳は損傷を受けても残っている神経の働きを活用したり、新しい神経経路を作り出したりする可塑性(かそせい)と呼ばれる力があります。 そのため、早期に適切なリハビリを始め、継続的に取り組むことが重要です。 ただし、リハビリの効果があらわれるスピードや程度は個人差があります。 症状が軽度の方は比較的早く改善が見られることもありますが、重度の場合は回復に時間がかかることもあります。 専門医と相談しながら、患者さまに合ったリハビリを継続しましょう。 高次脳機能障害の回復過程|期間は1年が目安 高次脳機能障害とは、脳の損傷により記憶力・注意力・思考力・言語能力・感情などに障害が起こる後遺症です。 主な原因は脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など)や、交通事故による頭部の外傷とされています。 高次脳機能障害は外見からはわかりにくく、周囲の方や患者さまも障害に気づきにくいのが特徴です。 適切なリハビリを受けると、症状が回復する可能性があります。 リハビリ後1年で約97%の方に改善がみられる 回復には発症から早期のリハビリ開始が重要 この項目では、高次脳機能障害の具体的な回復期間について解説します。 リハビリ後1年で約97%の方に改善がみられる 高次脳機能障害のリハビリを受けた方のうち、症状の改善がみられた割合は以下の通りです。※ ※出典:高次脳機能障害者支援の手引き(改訂第2版) 発症から半年:74% 発症から1年:97% 高次脳機能障害は、発症早期に適切な訓練を受けるのが重要です。 多様な種類のリハビリがあるので医療機関や福祉施設など、さまざまなサービスと連携して行います。 リハビリの効果には個人差がありますが、合計1年を目安とした訓練を受けるのが望ましいです。 回復には発症から早期のリハビリ開始が重要 高次脳機能障害は、発症からリハビリ開始までの期間が短いほど、改善に期待ができます。 発症からリハビリ開始までの期間別に、症状が改善した患者の割合をまとめました。※ ※出典:平成13年度高次脳機能障害支援モデル事業年次報告 (北海道・札幌市) 発症から6カ月以内に訓練開始:46%が改善 6か月から1年以内に訓練開始:32%が改善 1年以上経ってから訓練開始:14%が改善 高次脳機能障害は外見からはわかりにくく、患者さま本人やご家族も障害に気づかない場合や気付くのが遅れる場合もあります。 上記のデータでは、発症から時間が経ってしまうと十分な効果を得にくい傾向があることがわかります。 リハビリは医療機関やリハビリテーションセンターで受けられるので、心配な方は受診を検討してください。 【症状別】高次脳機能障害のリハビリ方法 高次脳機能障害のリハビリは、主に病院や診療所などで行います。 以下では、高次脳機能障害の症状とリハビリの内容をまとめました。 記憶障害のリハビリ方法 注意障害のリハビリ方法 遂行機能障害のリハビリ方法 社会的行動障害のリハビリ方法 一つずつみていきましょう。 記憶障害のリハビリ方法 高次脳機能障害の症状の一つに記憶障害があります。 記憶障害とは、新しい情報を覚えにくくなったり、過去の出来事や約束を忘れやすくなったりする状態※を指します。 ※出典「:医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター」 また、新しいことを覚えるのに時間がかかることも少なくありません。 記憶障害のリハビリでは、どの種類の記憶に問題があるのか、どの程度の期間情報を保持できるのかを確認しながら個々に合った訓練を行うことが重要です。 具体的なリハビリ方法は、主に以下の2つに分けられます。 リハビリ方法 内容 内的記憶戦略法 言葉やイラストを使って情報を関連付けることで、覚えやすくする 買い物リストを頭の中で物語のように組み立てる 覚えたい言葉を絵や記号と結びつける 外的補助手段 ノート、手帳、スマートフォンのメモ機能などを活用して、忘れやすい情報を補う 日々の予定や買い物リスト、重要な連絡事項などを記録し、忘れたことによる不便やトラブルの軽減を目指す いずれの方法も、訓練を繰り返し行います。 また、思い出しやすい環境を整えることも効果的です。 ご家族が声かけやメモの補助を行うことで、リハビリの効果をさらに高められます。 注意障害のリハビリ方法 高次脳機能障害の症状の一つに注意障害があります。 注意障害とは物事に集中する力が低下したり、周囲の状況をうまく判断できなかったりする状態※です。 ※出典:「医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター」 たとえば、長時間の作業が続かず途中で止めてしまったり、複数の作業を同時にこなすのが難しかったりする場合があります。 注意障害のリハビリでは、集中しやすい環境を整えることが大切です。 具体的には、個室や静かな場所で決まった支援者と一緒に訓練を行うことで、注意力を高めやすくなります。 また、課題は簡単なものから少しずつステップアップしていくことが効果的です。 主なリハビリの内容は、以下の通りです。 パズル まちがい探し 教育関連のテキスト 電卓の計算 校正作業 辞書調べ 入力作業 訓練を繰り返すと注意を持続させる力が徐々に改善され、日常生活や仕事でのミス軽減につながります。 ご家族がそばで声かけや環境の調整を行うことも、リハビリの効果を高めるポイントです。 遂行機能障害のリハビリ方法 高次脳機能障害の一つに遂行機能障害があります。 遂行機能は物事を計画・段取りする力で、障害があると予定に遅れやすくなったり、作業を途中でやめたりします。※ ※出典:「医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター」 記憶障害や注意障害が影響している場合もあり、どの能力に問題があるのかを見極めることが重要です。 遂行機能障害のリハビリでは日常生活や作業に近い課題を通して、計画性や行動の管理能力を段階的に訓練します。 個々の特性に応じて、習慣化しやすい方法を取り入れることもポイントです。 主なリハビリの内容は、以下の通りです。 日常生活で必要な動作や作業を繰り返し行って習慣化し、手順を体で覚える 作業やスケジュールの順序を支援者と一緒に考え、段取りの立て方や優先順位を身につける ワークブックや組み立てキットなどマニュアルに沿って作業を行い、計画性の改善と作業の安定につなげる リハビリを繰り返すことで、遂行機能障害の影響を受けにくい生活の習慣や作業手順を作れます。 ご家族が日常生活で声かけや作業の補助を行うと、より効果的にリハビリを進められます。 社会的行動障害のリハビリ方法 高次脳機能障害の一つに社会的行動障害があります。 社会的行動障害は欲求や感情のコントロールが難しくなり、他者との関わりで問題が生じやすくなる症状※です。 ※出典:「医学的リハビリテーションプログラム | 国立障害者リハビリテーションセンター」 たとえば、興奮して大声を出したり、自傷行為に至ったり、自分中心の行動で満足感を得ようとしたりする場合があります。 社会的行動障害のリハビリでは、まず刺激の少ない静かな環境を整えることが重要です。 どのような状況やきっかけで症状が現れるのかを把握し、患者さまと一緒に対処法を考えていきます。 主なリハビリの内容は、以下の通りです。 症状が出やすい場面や行動のパターンを観察し、どの刺激が問題を引き起こすかを整理する 落ち着く方法や感情の切り替え方、声かけや環境調整など、症状が出たときに取る対応を練習する 簡単なゲームやロールプレイを通じて他者との関わり方やマナーを学ぶ リハビリを繰り返すことで感情や行動のコントロールが少しずつ身につき、日常生活や人間関係の安定につながります。 ご家族の理解や支援も、リハビリ効果を高める大切なポイントです。 高次脳機能障害へ家族ができる接し方と対応方法 高次脳機能障害へご家族ができる接し方と対応方法は、以下の通りです。 症状を理解する 生活環境を整備する 専門機関の利用を検討する 高次脳機能障害のある方を支える際、ご家族の関わり方は回復や日常生活の安定に大きく影響します。 接し方や対応方法を知ることで、本人もご家族も負担を軽くしながら生活しやすくなります。 症状を理解する 高次脳機能障害に対応する際は、まず症状を正しく理解することが大切です。 症状の現れ方は患者さまによって異なり、たとえば物事をすぐに忘れてしまう、集中が続かない、決められた行動がとれない、感情の起伏が激しいなど多岐に渡るためです。 対応の基本的な考え方は、以下の通りです。 どのようなときに問題が現れるのか観察する 問題が現れた際の状況を整理する(時間や場所、相手、話題など) 整理した状況を元に、単純な対策を立てて実行する(人の多い場所を避ける、手帳やメモなどの補助ツールを活用する) ※出典:厚生労働科学研究「障害福祉サービス等事業者向け高次脳機能障害支援マニュアル」 高次脳機能障害の方自身も感情のコントロールが難しい場合があるため、ご家族が症状を把握しておくことで無用な摩擦を避けられます。 症状を理解できれば、患者さまもご家族も余計なストレスを減らせ、日常生活のサポートがよりスムーズになります。 生活環境を整備する 高次脳機能障害のある方を支える上で、生活環境の整備は有効な対処法です。 環境を工夫できれば日常生活のしやすさが増し、症状の悪化を防ぎ改善を助ける可能性があります。 環境整備の具体例は、以下の通りです。 症状 環境整備の具体例 作業のミスが多い 作業後のチェック方法を話し合って決める 外出のたびに家の鍵が見つからない 鍵の保管場所を決める 家電の操作方法が覚えられない 操作方法の図や写真を家電の近くに貼る 浴室に入っても体を洗わずに座っている 最初の動作を補助する ギャンブルにお金を使い込む 不安や他の問題の回避のためにギャンブルに依存している可能性があるため、代替え方法を探してみる ※出典:厚生労働科学研究「障害福祉サービス等事業者向け高次脳機能障害支援マニュアル」 上記の工夫により本人は安心して生活でき、ご家族もサポートしやすくなります。 専門機関の利用を検討する 高次脳機能障害の症状に長期的に対応するために、医療や介護・福祉の専門サービスを活用しましょう。 主な障害福祉サービスの一例は、下記の通りです。 障害者福祉サービス 内容 自立訓練(生活訓練) 通所や自宅の訪問、施設での宿泊などを通じて日常生活に必要な能力を高めるための支援を行う 共同生活援助(グループホーム) 少人数での共同生活にて孤立の防止や身体・精神状態の安定を目指す 施設入所支援 施設に入所した方に入浴や食事の介護、日常生活の支援を行う ※出典:厚生労働科学研究「障害福祉サービス等事業者向け高次脳機能障害支援マニュアル」 また、高次脳機能障害の方が受けられる支援の一例は、下記の通りです。 身体障害者手帳を取得すると、医療費の自己負担が軽くなったり、公共料金が割引かれたりする 介護保険を利用して訪問介護やヘルパーサービスを受け、本人やサポートするご家族の負担を軽減する 医療機関やリハビリ施設では、症状に応じたリハビリプログラムを提供してもらえる 患者さまとご家族が安心して生活するために、制度やサービスを上手に活用しましょう。 高次脳機能障害の社会復帰を目指す生活訓練プログラムについて 生活訓練プログラムとは、日常生活を安定させ、積極的な社会参加ができるようになることを目指します。 患者さま本人だけでなく、ご家族にも働きかけます。 以下では、生活訓練プログラムの内容をまとめました。 生活リズムの確立 生活で必要な管理能力の向上 社会生活技能の獲得 社会的コミュニケーション能力の向上 障害の自己認識と現実的な目標設定 必要とする支援の明確化 家族への支援体制 順番に紹介します。 生活リズムの確立 生活訓練プログラムでは、生活リズムを整えるのが重要です。 高次脳機能障害では、記憶力や意欲の低下によって、日課を組み立てて行動するのが難しい場合があるためです。 施設に入所して規則正しい生活を身につけ、日中の訓練と訓練の空き時間を少なくすると安定する傾向にあります。 生活で必要な管理能力の向上 生活管理能力の向上も生活訓練プログラムの一つに挙げられます。 患者さま自身が進んで日課をこなすために、施設では以下の訓練を行います。 スケジュール帳の活用 目印や案内の表示に沿って行動する その日のスケジュールを確認する時間をとる チェック表や薬ボックスを使用して服薬を管理する 小遣い帳を使用して金銭を管理する スケジュール帳や薬ボックスなど、シンプルでわかりやすいものを使用して、自己管理の習慣化を図ります。 社会生活技能の獲得 社会生活技能では、地域での生活や患者さまの目標に沿って外出や生活体験の実習を行います。 具体的な内容は買い物や交通機関の利用、調理などです。 支援者から実習の場で評価や助言があるので、次回に活かせるようにしましょう。 社会的コミュニケーション能力の向上 社会的なコミュニケーション能力を向上するために、施設の患者さま同士でグループワークを行います。 意見の交換や役割分担などは、コミュニケーション能力の向上に効果的です。 グループワークでは、福祉制度を学んだり、外出の計画をしたりします。 また、他の施設の患者さまと共に日課をこなし、交流するのも重要な訓練です。 障害の自己認識と現実的な目標設定 生活訓練プログラムでは、障害の認識を深め、現実的な目標が設定できるようになる支援も行っています。 具体的な内容は以下の通りです。 外出や課題の訓練のフィードバックを受ける 患者さま同士のトラブルがあった際、支援者による客観的なフィードバックを受ける 一般企業や就労継続支援事業所にて実習する 実習の結果は、職員から直接本人に伝えてもらうとより高い効果が期待できます。 必要とする支援の明確化 必要とする支援の明確化も生活訓練プログラムの一つです。 患者さま本人の希望と支援者が提案する支援内容や方向性の間にギャップが生じる場合があるためです。 現在は何が必要かを考え、支援者の提案に患者さまが消極的でも実際に試してみましょう。 スムーズに適応する可能性があります。 家族への支援体制 生活訓練プログラムでは、ご家族の支援も重要です。 患者さまが障害を負ったことへのショックは大きく、受け止めるまでには時間がかかるでしょう。 主な内容は以下の通りです。 ご家族の不安や負担の軽減を図る 患者さまの障害について理解してもらう 相談を受ける サポートや介護の情報提供 家族懇談会の開催 ご家族が孤立しないよう、継続的に支援を受けられます。 就労移行支援プログラム 就労移行支援プログラムは、一般企業や在宅で働きたいとお考えの患者さまを対象に、障害者支援施設が行います。 必要な知識や能力を高めるトレーニングを行う 施設内外で職場実習を行い、さまざまな職業の体験 患者さまの能力にあった仕事探し 職場や患者さまに連絡をとり、就職後も長く働けるような支援を行う 日頃の生活リズムや訓練を通じて、適性を見極めるのが重要です。 希望と現実の間にギャップがある場合は、長期的な目標と短期的な目標を設定し、段階的にステップアップしていくことが一般的です。 高次脳機能障害の根本的な回復を目指す「再生医療」とは 再生医療は損傷した組織にアプローチし、後遺症の改善や脳卒中の再発予防につながる可能性がある治療法です。 患者さま自身から組織の修復や再生のベースとなる幹細胞を採取・培養し、幹部に投与することで失われた機能の改善を目指します。 副作用のリスクが低く手術や入院の必要もないため、高齢の方や体力に不安がある方でも取り組みやすい治療です。 当院「リペアセルクリニック」では、高次脳機能障害の患者さまに再生医療をご提供しています。 高次脳機能障害の回復を不安に感じているご家族や患者さまは、まずはお気軽にご相談ください。 高次脳機能障害の回復期間は1年が目安!早期のリハビリ開始が重要 高次脳機能障害の回復期間は、適切な治療・リハビリを継続することで1年を目安に症状の改善がみられます。 また、治療の開始は発症から早いほど症状の改善に期待できます。 高次脳機能障害リハビリプログラムは、発症後すぐに行う医学的リハビリテーションプログラムから始め、症状に合わせて日常生活や就労の訓練を行います。 ご自身の症状や目標に合わせて適切なプログラムを選択し、継続的にリハビリに取り組むことが大切です。 また、高次脳機能障害の根本的な改善を目指し、リハビリ効果を高める方法として、再生医療をご検討ください。 再生医療の治療効果は、脳卒中の発症後から早ければ早いほど改善が期待できます。 高次脳機能障害を治療したいとお考えの方は、当院「リペアセルクリニック」の再生医療をご検討ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/
2025.03.08 -
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症状が軽い脳梗塞に対して「症状が軽ければ治るのか?」という疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。 脳梗塞は軽いから大丈夫と油断できるものではありません。 本記事では、軽い脳梗塞のタイプや症状・予防法、そして根本的な改善を目指せる再生医療の選択肢についてご紹介します。 軽い脳梗塞について疑問や不安がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEにて脳梗塞(脳卒中)の再発予防に役立つ再生医療を紹介しています。 再生医療について知りたい方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 軽い脳梗塞とは 脳梗塞の中には症状が軽く、気づきにくいタイプがあります。 このような症状が軽い脳梗塞や自覚症状がないまま進行する脳梗塞を「無症候性脳梗塞」と呼びます。 多くの場合は「ラクナ梗塞」 軽い脳梗塞の重症化を防ぐカギは「早期発見」 本章では、軽い脳梗塞について詳しく解説します。 多くの場合は「ラクナ梗塞」 脳梗塞は主に、アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症・ラクナ梗塞の3種類に分類されます。 この中で、症状が軽いケースはラクナ梗塞であることが多いです。 ラクナ梗塞は、脳の細い血管(穿通枝)が詰まることで起こる脳梗塞で、脳の深部(基底核や脳幹など)に小さな病変ができるのが特徴です。 症状が軽い傾向にあるラクナ梗塞ですが、繰り返し発症すると次第に認知機能障害や歩行障害、排尿障害などを引き起こす可能性があります。 これは小さな梗塞が積み重なることで、脳の機能に徐々に影響を及ぼすためです。 軽い脳梗塞の重症化を防ぐカギは「早期発見」 軽い脳梗塞は発見された時点では後遺症がないことが多いのですが、放置すると新たな脳梗塞につながる可能性があります。 脳梗塞を繰り返すことで徐々に脳の機能に影響を及ぼし、最終的には認知機能の低下や運動障害などの後遺症につながることもあります。 後遺症を残さないためには早期発見と適切な治療が重要です。 早期発見ができれば、生活習慣の改善などを行い、新たな脳梗塞の発症リスクを大幅に下げることができます。 軽い脳梗塞の前兆・初期症状 軽い脳梗塞は自覚症状がほとんどないため発見が難しいものですが、重度の脳梗塞へと進行する前に何らかの前兆が現れることがあります。 これらの前兆や初期症状を見逃さないことが、深刻な事態を防ぐ鍵となります。 脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作(TIA)」 脳梗塞の初期症状を見逃さないための「FASTチェック」 脳梗塞を少しでも早く発見できるよう、前兆や初期症状への理解を深めましょう。 脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作(TIA)」 一過性脳虚血発作(TIA: Transient Ischemic Attack)は、脳梗塞と同じ症状が一時的に起こり、通常は数分から数時間以内、多くは24時間以内に自然消失する状態を指します。 すぐに症状が消失したからといって、決して軽視してはいけません。 一過性脳虚血発作を経験した人の約3割※が、後に本格的な脳梗塞を発症します。 ※出典:先進医療.net「脳卒中の前触れ発作『一過性脳虚血発作(TIA)』とは」先進医療.net, 2018年1月5日 一時的な症状であっても、次の発作は軽いとは限らず、重度の脳梗塞になる可能性があります。 脳梗塞の初期症状を見逃さないための「FASTチェック」 脳梗塞が疑われる場合、迅速な行動が必要です。 脳梗塞を含む脳卒中の主な症状を簡単に確認できる方法「FASTチェック」を紹介します。 F(Face):顔の片側が下がる、または笑うと片側だけ動かない A(Arm):片方の腕が上がらない、または力が入らない S(Speech):言葉がはっきり話せない、ろれつが回らない T(Time):上記のFASの症状が見られたら発症時刻を確認し、すぐに救急車を呼ぶ 「F・A・S」の部分でひとつでも当てはまる症状があれば、脳卒中の可能性が高いと言われています。 脳卒中は症状が出てからの時間経過が治療効果を大きく左右するため、T(Time)が特に重要です。 「様子を見よう」と判断せず、すぐに119番通報し、救急車を呼ぶ行動が命を守ることにつながります。 軽い脳梗塞の主な原因と予防方法 軽い脳梗塞の主な原因は以下の7つです。 高血圧 糖尿病 脂質異常症 肥満 飲酒・喫煙 運動不足 ストレス 予防の第一歩は、原因を理解することです。できることから生活に取り入れていきましょう。 高血圧 高血圧は軽い脳梗塞の最も重要な原因の一つです。 血圧が高い状態が続くと血管に強い圧力がかかり、血管の壁が傷つきやすくなります。 傷ついた血管には血の塊ができやすく、これが脳の血管を詰まらせる原因となります。 高血圧の予防には、塩分を控えた食事、適度な運動、十分な睡眠が効果的です。 薬による治療が必要な場合もありますが、生活習慣の改善で血圧をコントロールできることも多くあります。 糖尿病 糖尿病は血液中の糖分が多い状態が続く病気で、脳梗塞のリスクを高めます。 高血糖が続くと血管の内側が傷つき、血液がドロドロになって血の塊ができやすくなります。 糖尿病の予防には、バランスの取れた食事と規則正しい生活リズムが重要です。 とくに炭水化物の摂りすぎに注意し、野菜を多く取り入れた食事を心がけましょう。 既に糖尿病と診断されている方は、血糖値をコントロールし、定期的に血液検査を受けて医師と相談しながら治療を続けることが大切です。 脂質異常症 脂質異常症は血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に多い、または善玉コレステロールが少ない状態です。 悪玉コレステロールが増えすぎると血管の壁に蓄積し、血管を狭くして血の流れを悪くします。 この状態が続くと血管が詰まりやすくなり、脳梗塞の原因となります。 脂質異常症の予防には、揚げ物や肉の脂身を控え、魚や野菜を多く摂る食生活が効果的です。 青魚に含まれるEPAやDHAは血液をサラサラにする働きがあります。 運動も脂質の改善に重要で、週に3回以上、30分程度のウォーキングから始めることをおすすめします。 肥満 肥満は他の生活習慣病の原因となり、間接的に脳梗塞のリスクを高めます。 体重が増えすぎると高血圧、糖尿病、脂質異常症を引き起こしやすくなり、脳梗塞の危険性が上がります。 肥満の解消には、摂取カロリーを適切にコントロールすることが重要です。 食塩の1日の適正摂取量は、男性7.5g未満・女性6.5g未満・高血圧対策では6.0g未満が推奨※されています。 ※出典:厚生労働省「日本における食塩摂取量の現状と減塩推進への課題」 急激なダイエットではなく、月に1〜2kg程度のペースでゆっくり体重を減らしていきましょう。 また、筋肉量を増やすことで基礎代謝が上がり、太りにくい体質になります。 飲酒・喫煙 飲酒と喫煙は脳梗塞の危険因子です。 過度の飲酒は血圧を上昇させ、喫煙は血管を収縮させるため、ともに血液の流れを悪くし脳梗塞の危険因子となります。 脳梗塞を防ぐためには、飲酒を控え、禁煙を目指すことが重要です。 禁煙が難しい場合は、禁煙外来や補助薬の活用も検討しましょう。 運動不足 運動不足は血液の流れを悪くし、生活習慣病の原因となって脳梗塞のリスクを高めます。 定期的な運動は血液の流れを良くし、血圧や血糖値、コレステロール値の改善に効果があります。 運動習慣がない方は、まず1日20〜30分程度のウォーキングから始めましょう。 エレベーターを使わず階段を利用したり、一駅分歩いたりするなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことも効果的です。 ストレス 慢性的なストレスは血圧を上げ、血液をドロドロにして脳梗塞のリスクを高める要因となります。 ストレスが続くと体内でストレスホルモンが分泌され、血管を収縮させて血液の流れを悪くします。 ストレス対策には、十分な睡眠時間の確保、趣味の時間を作る、深呼吸や軽いストレッチなどのリラクゼーション方法が効果的です。 また、人との会話や笑うことも自然なストレス解消になります。 ストレスを完全になくすことは難しいですが、上手に付き合っていく方法を身につけることで、脳梗塞の予防に繋がります。 軽い脳梗塞の再発予防に注目されている「再生医療」について 軽い脳梗塞を経験すると気になるのは「再発するのではないか」という点でしょう。 近年では、脳梗塞の再発予防に関して、再生医療という新しい治療選択肢が注目を集めています。 再生医療とは、患者さま自身の幹細胞を利用して損傷した細胞や組織の再生・修復を促す医療技術のことです。 脳梗塞の再発予防や後遺症の改善を目的とした再生医療について、詳しく知りたい方は当院「リペアセルクリニック」の公式LINEにご登録ください。 公式LINEでは、再生医療についての詳細や脳梗塞の改善症例をご確認いただけます。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 軽い脳梗塞に関してよくある質問 軽い脳梗塞に関してよくある以下の質問をご紹介します。 軽い脳梗塞になったらどうなる? 軽い脳梗塞は治る? 正しい知識を持つことで不安を軽減し、適切な対応ができるようになります。ご自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。 軽い脳梗塞になったらどうなる? 軽い脳梗塞になると、一時的な手足のしびれ、ろれつが回らない、言葉が出にくい、めまい、ふらつきなどの症状が現れることがあります。 これらの症状は通常24時間以内に改善することが多く、日常生活への影響は比較的軽微です。 しかし、軽い脳梗塞や一過性脳虚血発作は「警告サイン」とも呼ばれ、将来的により大きな脳梗塞を起こすリスクが高まります。 症状が軽いからといって放置せず、必ず医療機関を受診することが大切です。 軽い脳梗塞は治る? 軽い脳梗塞は、適切な治療により症状の改善が期待できる疾患です。 治療には薬物療法、リハビリテーション、生活習慣の改善が組み合わされます。 薬物療法では血液をサラサラにする薬や血圧を下げる薬などが使用され、再発予防に重要な役割を果たします。 軽い脳梗塞でも油断は禁物!早期発見と治療が回復のカギ 軽い脳梗塞は、一時的な手足のしびれや言葉の出にくさ、めまいなどの症状が現れる脳梗塞です。 症状が短時間で改善することが多いため見過ごされがちですが、放置すると将来的により重篤な脳梗塞を起こす可能性があるため油断はできません。 軽い脳梗塞は早期発見・早期治療により良好な回復が期待できます。 予防・治療法としては、高血圧管理や生活習慣の改善、医師の判断による抗血小板薬の服用などがあります。 早期発見できた場合は、適切な対策を講じて将来の重篤な脳梗塞を予防しましょう。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防や後遺症の改善に対しては、再生医療という選択肢もあります。 再生医療は幹細胞を用いる治療法で、傷ついた血管や組織の再生・修復を促す医療技術のことです。 脳梗塞の再発予防や後遺症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。
2025.03.08 -
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脳出血は再発リスクが高いと聞いて、再発が心配な患者さまやご家族も多いのではないでしょうか。 再発させないためには、生活習慣の改善や血圧の管理などが重要です。 この記事では、脳出血の再発を予防する方法や年代別の対策、再発を防ぐ治療法について解説します。 脳出血の再発予防に効果が期待される再生医療についても、まとめているのでぜひ参考にしてみてください。 なお、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、「再生医療ではどのような治療を行うのか」「再生医療で治療した症例」を無料で配信しています。 脳出血の再発予防が期待できる再生医療について気になる方は、ぜひ公式LINEをチェックしてみてください。 脳出血を再発しないためにできること 脳出血を再発しないためにできることを紹介します。 再発率が高い脳出血ですが、適切な健康管理や対策ができれば再発リスクの低下が期待できます。 血圧管理 食生活の改善 有酸素運動の習慣化 睡眠時間の確保 禁煙 減酒・禁酒 ストレス解消 薬を正しく服用 定期的な検査 一つずつみていきましょう。 血圧管理 脳出血を再発しないためには、以下のような継続的な血圧の管理が欠かせません。 日頃から血圧を測り記録する 塩分の摂取を抑える 血圧を下げる薬の服用 禁煙 血圧は、毎日同じ状態かつ同じ方法で測り、記録しましょう。 家庭で測る際の家庭血圧では、125/75mmHg未満※が正常値です。 ※出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」 血圧が高い際や定期健診の際に医師に提出すると、適切な治療が受けられます。 また、喫煙は高血圧や動脈硬化を引き起こす作用があるので、禁煙も血圧の管理には重要です。 高血圧は脳卒中における大きな危険因子なので、再発しないためにも血圧には注意しましょう。 食生活の改善 https://youtu.be/FytmHfYCyt4?si=Xvu6TyqVwK2G9KkR 脳出血を再発しないためにできることの一つに食生活の改善が挙げられます。 以下のような食べ物は脳出血のリスクを高めることが報告されているので、毎日摂取することは控えましょう。 食べ物 脳出血のリスクを高める理由 塩分の多い食べ物 塩は水分を引き寄せる性質があるため、血液の量が増え高血圧になる。 アルコール 血管を収縮させたり、心臓を興奮させたりして血圧が上昇する。 甘い食べ物 糖尿病や肥満、脂質異常症など、脳出血の危険因子となる病気を引き起こす。 天ぷらのような脂質の多い食べ物 血管の詰まりを引き起こす。 チーズ 血中コレステロールが増加し、血管の詰まりを引き起こす。 バター LDLコレステロールが増加し、心臓や血管の病気を引き起こす。 高血圧の予防には、1日の塩分摂取量6g未満※が目標とされています。 ※出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」 また、野菜や果物は塩分を排出する効果が期待できるので、適度に摂取すると良いでしょう。 有酸素運動の習慣化 有酸素運動を習慣化することも、脳出血の再発防止に有効です。 おすすめの有酸素運動は、以下のとおりです。 ウォーキング サイクリング 水泳 ラジオ体操 ストレッチ 上記のような有酸素運動は、血中の糖分や脂肪分を消費するので、血圧や血糖値を下げる効果が期待できます。 1日30分程度から、無理のない範囲で続けてみましょう。 睡眠時間の確保 脳出血の再発を防ぐためには、十分な睡眠時間を確保しましょう。 睡眠不足や不規則な生活は、糖尿病や高血圧など、脳出血を引き起こす生活習慣病の原因となります。 年齢別の推奨睡眠時間は、以下のとおりです。 年齢 推奨睡眠時間 15歳 約8時間 25歳 約7時間 45歳 約6.5時間 65歳 約6時間 ※参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 成人後は20年ごとに約30分単位で推奨睡眠時間が減少します。 また、良い睡眠には睡眠の質も重要です。 十分な睡眠時間が確保できていても、睡眠の質が低いと良い睡眠とはいえません。 朝は日光を浴びて体内時計をリセットする 散歩やジョギングなどの運動を日中に行う 1日3食をバランスよく食べる 就寝前1~2時間前に入浴する カフェインやアルコール、タバコなどは控える 上記を参考に、睡眠時間と睡眠の質の両方を意識してみてください。 禁煙 タバコを吸っている方は、脳出血の再発を防ぐために禁煙しましょう。 タバコにはさまざまな有害物質が含まれており、一部の物質は血管を狭くしたり、血管を硬くしたりする働きがあるといわれています。 脳出血は脳卒中の原因の1つですが、喫煙者は非喫煙者に比べ、男性で1.3倍、女性で2.0倍、脳卒中になりやすいという研究結果もあるほどです。 また、タバコを吸う本数が増えるほど脳出血のリスクが高くなります。 タバコは脳出血以外にもさまざまな病気を引き起こすため、タバコを吸っている方は禁煙するようにしましょう。 ※参考:国立がん研究センター「男女別、喫煙と脳卒中病型別発症との関係について」 減酒・禁酒 脳出血を再発させないために、アルコールはほどほどにしましょう。 過度なアルコール摂取は血圧を上昇させ、脳出血のリスクとなるからです。 適量であればアルコールは血圧を下げる効果がありますが、過度に摂取すると血管が収縮し、心臓の働きが活発になります。 また、アルコールを肝臓で分解するときに体内の水分を使用するため、脱水状態になり、脳出血を引き起こしやすくなります。 結果として血圧が上昇してしまうため、適度な飲酒を心がけてください。 1日の推奨アルコール摂取量は、以下のとおりです。 日本酒:1合 焼酎:0.6合 ビール:350mL〜500mL チューハイ:350mL〜500mL ワイン:180mL 上記の量を目安に、飲み過ぎには注意してください。 ※参考:京都大学医学部附属病院「脳卒中の再発予防」 ストレス解消 脳出血を再発しないためには、ストレス解消も重要な対策の一つです。 ストレスは以下のような脳出血の原因となる生活習慣病を引き起こします。 高血圧 脂質異常症 糖尿病 ストレスは現代社会において避けられないものですが、できる範囲でセルフケアを意識しましょう。 簡単にできるセルフケアとしては、以下の5つが挙げられます。 軽いランニングや散歩をする 気持ちを紙に書いたり、言葉として吐き出したりしてみる 深呼吸をする 好きな音楽を聴く 好きな歌を歌う セルフケアのポイントは無理をしないことです。 その日の体調や気分に合わせて、好きなものを選んでみてください。 薬を正しく服用 脳出血を再発しないためには、医師の指示に従って薬を正しく服用しましょう。 原因や患者さまの状態に合わせて、以下のような種類の降圧剤が処方されます。 血液をサラサラにする 血管を広げる 塩分や水分を排出する また、忘れず服用し、自己判断で止めないようにしましょう。 薬についてお悩みの点があれば、薬剤師や医師に相談してください。 定期的な検査 定期検査で潜在リスクの早期発見をすることは、脳出血の再発予防に欠かせません。 脳出血の原因である動脈硬化や高血圧、糖尿病などは、患者さま自身では症状に気づきにくい場合があるためです。 検査では、血液検査や尿検査、MRIやCTを使用して脳の状態を確認する脳ドックなどを行います。 早期に発見できれば重症化を防げる可能性があるため、症状がなくても定期的に検査を受けましょう。 【年代別】脳出血を再発しないための対策 脳出血の再発を防ぐ対策を年代別に紹介します。 40〜50代|生活習慣の改善が重要 60代以上|血圧管理が重要 年代ごとに対策のポイントが異なるので、詳しくみていきましょう。 40〜50代|生活習慣の改善が重要 40~50代の脳出血の再発対策は、以下のとおりです。 ウォーキングやストレッチなどの定期的な運動 生活リズムを整える ストレスの管理 定期的な健康診断 とくに40~50代の方は、生活習慣を改善するのが脳出血の再発を防ぐポイントです。 ストレスは高血圧の原因の一つです。家庭や仕事のストレスは適度な運動や趣味で発散しましょう。 また、40~50代の方は仕事や育児で多忙な方も多いことでしょうが、定期的な健康診断を受けて再発を早期に発見できるようにしましょう。 60代以上|血圧管理が重要 高齢者の方の再発防止策は、以下のとおりです。 高血圧を予防する 医師による定期的な診察を受ける 薬を指示どおりに正しく服用する 柵や杖などで転倒を防止する 高齢者の方は老化によって脳出血が起こりやすいので、再発に注意したい年代です。 血圧は定期的に計測し、記録しておきましょう。 また、食生活も高血圧と深い関わりがあるため、塩分を控えて、野菜や果物を意識して摂取しましょう。 脳出血の再発予防に注目されている再生医療 脳出血の再発予防に、再生医療による治療が注目されています。 再生医療の治療方法や当院が扱う再生医療の特徴について紹介します。 再生医療とは 当院(リペアセルクリニック)の特徴 脳出血を再発しないための選択肢として参考にしてみてください。 再生医療とは 再生医療とは患者さま自身の細胞の力を用いて、入院や手術なしで脳出血の再発予防ができる可能性がある治療法です。 治療で用いられる幹細胞は、損傷した血管や組織の修復や再生を促す働きがあります。 脳出血の患者さまが再生医療を受けた際に期待できる効果は、以下のとおりです。 弱った血管の修復や新しい血管の再生による再発予防 脳細胞の修復による後遺症の回復 再生医療は、脳出血を発症して損傷した血管だけでなく、再発のリスクになり得る弱った血管の修復にも期待できます。 脳出血を再発しないための治療法をお探しの方は、再生医療を検討しましょう。 当院(リペアセルクリニック)の特徴 当院が扱う再生医療の特徴について紹介します。 自己脂肪由来幹細胞治療を行う 独自の培養技術で生存率・活動率が高い幹細胞を投与できる 一度に最大2億個の幹細胞を投与できる 当院の自己由来幹細胞治療では、患者さまの細胞を用いるため、アレルギーや拒絶反応のリスクが少ない点が特徴です。 また、独自の培養技術で生存率・活動率が高い幹細胞を一度に2億個も投与できます。 高品質な幹細胞を一度に大量に投与できるため、治療成績も良好です。 脳出血を再発しないためにできることに関するよくある質問 最後に、脳出血を再発しないためにできることに関するよくある質問を紹介します。 脳出血を再発しやすい人は? 脳出血の予防に水分摂取が必要なのはなぜ? 脳出血の再発について気になることがある方は、ぜひ参考にしてください。 脳出血を再発しやすい人は? 以下のような方は脳出血を再発するリスクが高いです。 高血圧や糖尿病を持っている お酒をよく飲む タバコを頻繁に吸う 普段運動をしない 食べ物のバランスが悪い 睡眠不足 薬をきちんと服用しない ※参考:京都大学医学部附属病院「脳卒中の再発予防」 脳出血や脳梗塞を始めとする脳卒中は、発症から10年以内に約50%以上の人が再発するといわれています。 処方された薬は医師の指示どおりに服用し、よく寝て運動するなど生活習慣を見直しましょう。 また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を患っている方は、そのような病気を治療することも重要です。 脳出血の予防に水分摂取が必要なのはなぜ? 脳出血の予防に水分摂取が必要なのは、高血圧が脳出血の原因となるからです。 脳出血を発症した患者の74%が過去に高血圧を患っていたというデータもあるほど、高血圧は脳出血の主要なリスク因子の1つです。 ※参考:自治医科大学「[医学部]日本人脳出血患者の発症前未治療高血圧と血圧コントロール状況の詳細を報告」 水分は1日2Lを目安に、こまめに飲むようにしましょう。 脳出血を再発しないために危険因子を防ぐことが重要 再発率の高い脳出血ですが、再発しないためにできることはいくつかあります。 以下の改善ポイントを押さえ、生活習慣を見直して高血圧や動脈硬化、糖尿病などの危険因子を防ぎましょう。 血圧管理 食生活の改善 有酸素運動の習慣化 睡眠時間の確保 禁煙 減酒・禁酒 ストレス解消 薬を正しく服用 定期的な検査 上記の対策に加えて、脳出血の再発予防には再生医療による治療も選択肢の一つです。 これまで、脳出血によって一度損傷した脳細胞は「二度と元に戻らない」と言われてきました。 しかし、先端医療である再生医療では、損傷した脳細胞に対する治療によって、従来の治療では元に戻らないとされている脳細胞の改善が期待できます。 具体的な治療法や症例については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。
2025.03.07 -
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脳梗塞を発症し、怒りっぽい性格になった方はいませんか。 怒りっぽい性格になったように感じるのは、後遺症の1つである「社会的行動障害」の症状が原因となっている可能性があります。 本記事では、脳梗塞の後遺症で怒りっぽくなる理由や、後遺症の治療方法について、詳しく解説します。 脳梗塞の後遺症である「高次脳機能障害」の症状は、周囲からはわかりにくい特徴があります。 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合は、家族や友人へ症状を伝え、必要なサポートを受けましょう。 脳梗塞の後遺症で怒りっぽい性格になるのは本当? 脳梗塞の後遺症で怒りっぽい性格になった場合は、以下のような原因・特徴があります。 性格の変化は「社会的行動障害」の症状の一つ 自分では性格の変化を認識できないことが多い 社会的行動障害の症状が現れている可能性があります。 社会的行動障害になると、感情や行動のコントロールに困難感を感じ、二次的に意欲・活動性の低下が起こるのが特徴です。 性格の変化は自分自身で気づくことが難しく、周囲の方に指摘されて初めて後遺症に気づく場合が大半です。 性格の変化は「社会的行動障害」の症状の一つ 脳梗塞発症後の性格の変化は、社会的行動障害の可能性があります。 社会的行動障害とは、後遺症である高次脳機能障害の一つで、感情のコントロールが難しくなったり、暴言や大声を発したりする症状がみられます。 感情コントロールが上手くできずに人間関係に悩む方もいるため、社会的行動障害について周囲も理解を深めることが大切です。 自分では性格の変化を認識できないことが多い 脳梗塞後の性格の変化は、自分自身で症状を認識することが難しい特徴があります。 「温厚だった人が怒りっぽくなった」「意欲がない」などの症状は、脳梗塞の後遺症にみられる症状です。 怒りっぽい性格になり暴言や大声を発したりすることで、周囲の人との関係が上手くいかなくなり、抑うつ状態になる場合もあるため家族や周囲のサポートが必要です。 脳梗塞の後遺症で起こる「高次脳機能障害」の症状はさまざま 脳梗塞の後遺症で起こる高次脳機能障害には、以下の症状があります。 記憶障害 注意障害 遂行機能障害 社会的行動障害 脳梗塞の発症部位によって、症状の程度や現れる後遺症は異なります。 高次脳機能障害がみられる方は、周囲へ症状を伝えたり医療機関を受診したりして、適切な支援を受けましょう。 記憶障害 脳梗塞後に以下の症状がある場合は、高次脳機能障害の1つである記憶障害の可能性があります。 数秒前に言ったことを忘れてしまう 人や時間、場所がわからなくなる 事実とは違う話をする 脳梗塞になる前のことを忘れてしまう 人や場所がわからなくなる症状(見当識障害)が現れると、家族や友人を認識できなくなる場合もあり、孤独感を感じやすくなります。 記憶障害による孤独感は、感情のコントロールへも影響が出るため注意が必要です。 短期記憶に障害が生じると、物忘れが激しくなったり、作り話で記憶障害を隠したりする場合があります。 記憶障害のある患者様の作り話に悪意はないため、矛盾点を強く指摘しないことが大切です。 注意障害 高次脳機能障害の1つである注意障害がみられる場合は、以下の症状が現れます。 反応が鈍くなる 気が散りやすい 作業中のミスが増える 特定の物事に固執してしまい切り替えが難しくなる 注意障害では、集中力が低下し固執性が強くなる症状が現れるため、仕事でミスをしやすくなります。 日常生活で集中力を必要とする作業は、高次脳機能障害の患者様に大きな負担がかかるため注意が必要です。 遂行機能障害 脳梗塞後に高次脳機能障害の一つである遂行機能障害がみられる場合があります。 遂行機能障害とは物事を進める能力が低下する障害で、以下の症状が現れます。 物事の計画ができない 衝動的に行動する 複数の作業に優先順位をつけられない 自主的に行動ができない 遂行機能障害の程度には個人差があり、具体的な診断基準はありません。 そのため認知機能テストで遂行機能障害の程度を把握し、症状に合わせた認知リハビリテーションで遂行機能の向上を目指します。 社会的行動障害 社会的行動障害は感情や行動のコントロールが難しくなり、以下の症状が現れます。 感情のコントロール障害 易怒性 金銭管理の困難感 意欲・活動性の低下 固執 抑うつ 感情のコントロール障害や易怒性は、二次的に意欲・活動性の低下につながります。 社会的行動障害では自身の欲求を抑えられずに、金銭トラブルに発展する例もあり注意が必要です。 意欲・活動性が低下すると抑うつ傾向になるため、社会参加や対人関係にも困難感を感じやすくなります。 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合に家族ができること 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合に、患者様の家族ができることは以下の2つです。 後遺症を理解し本人の意思を尊重する 専門家に相談することも重要 性格の変化は患者様自身で気づくことが難しく、家族から受診をすすめられても断られるケースがあります。 脳梗塞患者様の家族は、後遺症の問題を抱え込まないように、周囲の支援を受けることが大切です。 後遺症を理解し本人の意思を尊重する 脳梗塞後に性格の変化がみられる場合は、症状を理解し本人の意思を尊重しましょう。 本人は後遺症に気づいていない場合もあり、周囲から指摘されて初めて症状に気づくケースが大半です。 家族は後遺症による不安や悩みなどを傾聴し、適切な治療が受けられるように支援することが大切です。 専門家に相談することも重要 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった場合は、医療者や行政機関などの専門家に相談することも重要です。 家族が本人に悩みを聞いても、強く拒まれ適切な治療を開始できない場合があります。 また、怒りっぽい性格は対人トラブルを招きやすく、家族も大きなストレスを抱えてしまう可能性があります。 怒りっぽい性格が社会的行動障害に起因する場合は、障がい者支援や介護保険サービスが利用できることもあるため、専門家に相談しましょう。 脳梗塞後の高次脳機能障害に対する治療方法 脳梗塞後の高次脳機能障害には、以下の3つの治療方法があります。 リハビリ 薬物療法 再生医療 高次脳機能障害にはさまざまな種類があり、症状の程度も個人差があります。症状に合わせた治療方法を検討し、後遺症を緩和していくことが大切です。 リハビリ 脳梗塞後に高次脳機能障害になった場合は、以下のような認知機能にアプローチするリハビリテーションを行います。 自分自身の言動を振り返る 記憶障害の代償方法を身につける グループ活動で自身を客観的に捉える 高次脳機能障害は、自身の言動を客観的に捉えて理解することで、症状の緩和を目指します。 本人が興奮状態にあるうちは自身を振り返ることが難しいため、場所や時間などを変え冷静になってから振り返りを行いましょう。 薬物療法 脳梗塞で意欲の低下や感情コントロールの困難がみられる場合の治療法に、薬物療法があります。 脳梗塞後の後遺症に対する薬物療法は、精神的な症状を改善する薬剤や脳梗塞の再発を防ぐ薬を使用します。 薬物療法は症状の軽減を目的とするため、リハビリや専門家のサポートと並行して行いましょう。 再生医療 脳梗塞後の高次機能障害に対する治療方法の1つに、再生医療があります。 再生医療は患者様自身の細胞を利用して損傷した組織の修復を促す治療法で、以下の特徴があります。 脳梗塞の後遺症を治療する際は、リハビリテーションと並行して再生医療を受けると、症状の改善に期待できます。 脳梗塞の後遺症でお困りの方は、当院(リペアセルクリニック)へお気軽にご相談ください。 【まとめ】脳梗塞後に怒りっぽい性格になったら高次脳機能障害の治療を行いましょう 脳梗塞後に怒りっぽい性格になった際は、高次脳機能障害の治療を行いましょう。 高次脳機能障害の症状改善には、リハビリや薬物療法、再生医療による治療があります。 脳梗塞の後遺症は個人差があり、患者様に合った治療を組み合わせて症状の改善を目指すことが大切です。 高次脳機能障害でお悩みの方は、当院(リペアセルクリニック)の再生医療をご検討ください。
2025.03.07







