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- スポーツ医療
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筋断裂による後遺症(コンパートメント症候群)とは 筋断裂を起こした場合、気を付けなければならないのが筋断裂による後遺症です。筋断裂を起こした際にきっかけで後遺症が残ってしまうと、長い期間痛みや動きの制限などで悩まされることになってしまいます。 今回は、筋断裂による後遺症にはどのようなものがあるかについて解説し、後遺症を残さないためにどういった点に注意していけばよいのかについて紹介します。 コンパートメント症候群とは?! 筋断裂による後遺症として代表的なのがコンパートメント症候群です。 コンパートメントとは、区画という意味です。ふくらはぎなどには区画された部屋のような部分がありますが、筋断裂による内出血でその区画された部分に血液が溜まってしまうことがあります。 そして、区画内で血液が溜まってしまうと、その中にある血管や神経が圧迫されるため、痛みやしびれなどの症状が出てきます。 また、区画内の組織が圧迫された状態が強くなると筋肉の壊死や神経障害などが起こり、さまざまな機能障害の後遺症が残る可能性があります。 筋断裂による後遺症(骨化性筋炎)とは 筋断裂がきっかけとなる後遺症には骨化性筋炎というものもあります。 骨化性筋炎とは筋肉内に骨様組織が形成させることによって、腫れや痛み、関節の屈曲に制限がかかるなどの症状が出るものです。 筋断裂で内出血して血液が溜まったときに、そこへ骨を形成する働きを持った細胞が侵入してしまうのが原因であるため、太ももの前側のように骨に近い部分で筋断裂が起こった場合に発生しやすいのが特徴です。 筋断裂による後遺症を残さないために注意すべきこと 筋断裂の後遺症であるコンパートメント症候群や骨化性筋炎などにならないようにするためには、決して無理をしないことが大切です。 スポーツや作業などで筋断裂になった場合、 ・痛みや腫れを我慢してスポーツや作業を続ける ・安静にしていたら痛みが軽くなったので、完治しないうちにスポーツや作業を再開する などをすると、コンパートメント症候群や骨化性筋炎になってしまう可能性があります。 スポーツや作業を休めないと無理してしまうと、後遺症が残り、長い期間つらい症状に悩まされたり、スポーツや作業ができなくなったりするので注意しましょう。 まとめ・筋断裂による後遺症(コンパートメント症候群)とは 筋断裂による後遺症にはどういったものがあるか、また、後遺症を残さないために注意すべきことについて紹介しました。筋断裂がきっかけで後遺症を残さないためには決して無理をしないことが大切です。医療機関で適切な治療を受けるようにしましょう。 近年は、スポーツ医療も進歩し、従来の治療法だけでなく再生医療など高い効果が期待できる治療法もあります。まずは専門医にご相談くださいね。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
最終更新日:2023.01.10 -
- ひざ関節
- スポーツ医療
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ロードバイクで鵞足炎の可能性!膝の痛みがあるなら疑うべき ロードバイクで気持ちよく颯爽と駆け抜ける中、急に膝の痛みが…。その痛みは、もしかすると鵞足炎かもしれません。今回はロードバイクで鵞足炎になるのかについて、また、鵞足炎の症状や原因について解説します。 ロードバイクで膝の痛み…鵞足炎を発症することもある 久しぶりにロードバイクを楽しんでいたら、膝に痛みが…。という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。そして、その痛みは鵞足炎かもしれません。 鵞足炎とは、膝を取り巻く3つの筋肉が合わさる鵞足という部分に炎症を生じる病気で、内側に膝を曲げたりするようなスポーツにより、過度な負荷がかかることによって起こります。 そして、ロードバイクでは、誤ったフォームによる膝への過度な負担が引き金となって、鵞足炎を発症するケースがあります。 ロードバイクで鵞足炎にならないようにするには? 鵞足炎はウォーミングアップが足りない、オーバートレーニングなどが原因の1つになります。ロードバイクだけでなく、スポーツなど体を動かす前には十分なストレッチやウォーミングアップが必要不可欠です。 また、ロードバイクの誤ったフォームとして、つま先が外側に向いてしまう、膝を内向きにして漕いでしまうという2つが挙げられます。このようなフォームでロードバイクを続けると、疲れが溜まりやすいですし、疲れがたまると、フォームへの意識が疎かになることがあります。 ロードバイクでは、きちんとしたフォームが大事!自分のフォームを見つめなおしましょう。 繰り返す鵞足炎の痛みでロードバイクが楽しめない!再生医療という最新療法 鵞足炎は一度発症すると何度も再発しやすい病気です。せっかくロードバイクを楽しんでいても、再発が怖い、痛みがあってロードバイクすら乗れないという方は、再生医療という治療法を検討してみてはいかがでしょうか。 現在ではPRP療法といって、自分の血液から取り出した血小板を濃縮し、その液体を直接患部に注射して血小板のもつ修復作用で病気を治すという治療法があります。 入院や手術の必要もありませんし、体に負担がかかりにくいというメリットもあります。 まとめ・ロードバイクで鵞足炎の可能性!膝の痛みがあるなら疑うべき 鵞足炎は予防をすることができる病気ですが、完全に発症を防ぐということはできません。ロードバイクが趣味という方には、膝の痛みは致命的な症状と言えるでしょう。鵞足炎を発症しないためにも、十分なウォーミングアップと適切なフォームの見直しをこころがけましょう。 また、何度も鵞足炎を繰り返すという方は再生医療という治療を選択するのも1つの選択ですよ。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2022.11.30 -
- 肩
- スポーツ医療
肩腱板損傷で悩む野球選手、従来の治療法と最新の再生医療をそれぞれ解説 野球選手にとって、肩の故障はとてもつらいものですよね。 肩を酷使するスポーツの1つである野球は、肩のトラブルを起こしやすいことが知られています。肩の腱板損傷もその1つであり、場合によっては野球選手としての選手生命に関わる重大な問題になる可能性があります。 そこで、肩腱板損傷の従来の治療法と、新しい治療法である「再生医療」について解説したいと思います。 野球選手の肩腱板損傷の原因と従来の治療法 肩腱板損傷の主な原因は、転倒時や肩のケガなどの衝撃により腱板に損傷や断裂などですが、野球選手の場合はその他にも「肩のオーバーユース」が原因となっている可能性が高いです。 野球選手はピッチャーを中心に投球動作を繰り返すスポーツであるため、肩や肘、手首などのオーバーユース(使いすぎ)によるケガのリスクは、スポーツをしていない人と比較してどうしても高くなってしまいます。 肩腱板損傷の治療法 肩腱板損傷の従来の治療法は、主に「保存療法」と「手術」の二択となっています。 保存療法は患部の安静を確保して症状の悪化を防ぎ、自然に肩腱板が治癒するのを待つ治療方針で、痛みなどの症状に対しては「薬物療法」などで対応します。軽度の障害であれば、保存療法(リハビリ)をしっかり行うことにより、数週間~数か月で症状が改善するケースもあります。 一方で保存療法が奏功しない場合や、症状が重い場合などには手術が選択されることもあります。これは肩腱板に対して直接の治療行為を行う方針であり、保存療法では改善しない症状でも改善できる可能性が高い一方で、患者さんの体に大きな負担をかけることになります。 また、保存療法と比較して手術には「失敗のリスク」があり、場合によっては肩の重大なトラブルに発展して選手生命の危機に陥る可能性も否定できません。 肩の腱板損傷、従来の治療法 ・保存療法(リハビリ) ・薬物療法(痛みに対処) ・手術(選手生命の危機を覚悟) 肩腱板損傷の治療で効果を期待できる「再生医療」とは 保存療法と手術、どちらも治療内容や治療結果に何らかのデメリットを抱えており、野球選手として活動を続けたい人にとって無視できない問題となります。 しかしながら、肩腱板の損傷を放置すれば、ベストパフォーマンスで野球を続けることは難しく、症状の悪化は避けられません。そこで、治療方法の選択肢としておすすめしたいのが「再生医療」です。 再生医療は手術を必要とせず、入院も必要ありません。保存療法(リハビリ)よりも積極的に患部を修復することで高い治癒効果を発揮する治療法です。 手術を避けることができるため、メスを患部に入れる必要がありません。筋肉を傷つけないことは選手生命を考えた場合には非常に大切なファクターになります。 合わせて入院を必要としないため、入院による体力の低下を恐れる必要が無くなり、その意味からも選手生命に優しい治療法と言えるのです。 ただ、この再生医療は日本ではまだまだ浸透しきっていない治療法ではありますが、すでに世界中の有名スポーツ選手が再生医療を利用している実績のある治療法です。 今後、注目されていくのではないしょうか! 海外のスポーツシーンで多用される再生医療 ・手術やそれに伴う入院を避けることができる ・メスを使わない、復帰に向けた選手生命を維持できる可能性が高い ・入院不要、体力などの低下を助けることができる ・保存療法より積極的に患部を修復する攻めの治療法 ・保存療法と合わせれば大きな期待を持つことが可能 まとめ・肩腱板損傷の治療で悩む野球選手に最適な話題の「再生医療」とは 肩腱板損傷のリスクは、野球選手として活動する以上はどうしても避けられないものです。早期の段階で治療をし、重症化することがないようにしましょう。 治療法の1つとして、再生医療をご紹介しました。再生医療は低リスクで高い治療効果を期待できる治療法であり、肩腱板損傷で悩む野球選手にとっても、メリットの多い治療法であるといえます。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。 再生医療は厚生労働省による厳しい基準をクリアしたクリニック等でしか受けることができません。通常の整形外科やクリニックでは受けることができません。当院は再生医療の専門クリニックです。 治療に関するお問合せやご不安、適用になるかなど、お問い合わせ頂ければ丁寧にお答えさせて頂きます。 以上、肩腱板損傷の治療で悩む野球選手に最適な再生医療について記させていただきました。ご質問等ございましたらご遠慮なくお問い合わせください。 監修;リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2023.10.09 -
- 腰椎分離症
- スポーツ医療
腰椎分離症は水泳選手のリスク!その治療に再生医療は有効か? 水泳選手は水中という特殊な環境下で体を動かすスポーツであり、激しい動きに伴いさまざまな症状のリスクを高めてしまいます。「腰椎分離症」もその1つなのですが、治療法として新たに「再生医療」が注目されています。 そこで、腰椎分離症の治療法と再生医療について解説します。 水泳選手に見られる腰椎分離症とは? 水泳選手などのスポーツ選手に見られる「腰椎分離症」とは、腰椎への負担が繰り返し発生することによって、腰椎の骨が耐え切れずに亀裂などが発生する状態です。 腰椎の上下の連絡が絶たれた状態になっており、分離した部分の可動域が異常に大きくなることで周辺の神経への刺激などによって痛みの症状を引き起こします。 バタフライの選手では20%の発症率! 腰椎分離症は、一般的に水泳や体操競技、サッカーなどのスポーツで発症しやすい症状で、水泳の場合は「バタフライ」や「平泳ぎ」のように、水泳動作や息継ぎなどの際に腰を大きく反る動作を繰り返すことで、腰椎分離症を引き起こしやすくなります。 そして、一般人の腰椎分離症の発症率は5%前後だとされていますが、バタフライの選手の場合だと20%以上の発症率になるといわれています。 腰椎分離症の従来の治療法とは? 腰椎分離症の治療法は、第一に「保存療法」が挙げられます。スポーツを中止して安静にし、数か月で痛みの軽減、骨の癒合を期待する場合は半年~1年程度の安静が必要になります。 腰の痛みがひどい場合には消炎鎮痛剤を用いるか、温熱療法や低周波治療などを行います。安静にしても痛みが取れない場合やスポーツ選手としての活動を視野に入れる場合には「手術療法」が選択される場合があります。 骨移植手術や、脊椎固定術などが用いられることが多いです。 水泳選手の腰椎分離症には負担の少ない再生医療がおすすめ 保存療法では回復を見込めない可能性があり、手術療法は患者さんの体への負担が少なくありません。そこで近年、その治療効果が注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は骨や筋肉、関節や靭帯といった体の動きに深く関わる組織の修復に効果的な治療法として注目されています。 特に、保存療法のように長い安静期間を必要とするものの、長く現場を離れることは困るスポーツ業界において、手術せずに早期に現場復帰することが期待できる再生医療は注目されています。 まとめ・腰椎分離症は水泳選手のリスク!その治療に再生医療は有効か? 水泳選手にとって、体の故障は選手生命にも大きく関わる大問題です。 体の問題を低負担で早期に解決する方法として、再生医療を治療法の選択肢として考慮することは有益なことだといえます。 ※当院では「腰椎分離症」の治療は行っておりません。知識としてご参照ください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2023.10.09 -
- 肩
- スポーツ医療
水泳肩の痛みで悩む競泳選手の治療法(治し方) 水泳肩ってご存知ですか?!あまり聞きなれない言葉ですね! 水泳肩とは、水泳の選手が行うバタフライや、クロールといった肩の関節を大きく動かす泳ぎ方を繰り返した場合、肩を酷使しやすく、疲労もたまりがちになります。こうなると肩の周り腱板や、肩関節に炎症を起こしたり断裂することがあり、これが「水泳肩」と呼ばれるものです。 この水泳肩、痛みなどの症状があるのに、大したことは無いと自己判断で放置していると、いつまでたっても治らないことになり、選手生命が損なわれる危険性もあります。 そこで、競泳選手の起こしやすい「水泳肩」の検査方法や治すための治療法について解説してまいりましょう。 水泳肩の検査方法 水泳肩の診断には、主に「身体診察」と「画像検査」が適応されます。水泳肩では、その症状が進むと肩関節周辺に左右で差が生じるなど、外見的な特徴が現れることがあります。身体診察では、肩関節に生じるこにおようなサインを確認します。 また、水泳肩は画像検査において異常が見つからないこともありますがレントゲン検査などで肩関節やその周辺に異常がないかどうかを確認し、特にMRI検査では、肩関節の内部に生じた病変や腱板の断裂などを確認できます。 水泳肩の治療方法/治し方 競泳選手の水泳肩は、特に肩関節を動かしたときに痛みが出やすく、水泳する動作にも少なからず影響を及ぼしますが、軽度の水泳肩であれば「保存療法」で症状が回復することがあります。 保存療法の場合、まずは肩関節の安静を確保し、症状の進行を予防しますが、既にある程度、症状が進んでいる場合は肩関節や、その周辺に炎症を起こしている可能性があります。その場合は、消炎鎮痛剤の内服や、湿布薬の使用で炎症に対処します。 生じている炎症が強く、痛みが強く出ている場合には、ステロイド剤の関節内注射を用いて炎症を抑える治療が選択されます。 水泳肩の治療方法 ・肩関節の安静 ・消炎鎮痛剤の内服、湿布薬の使用 ・関節内へのステロイド剤の注射 水泳肩は手術療法の選択もある 水泳肩では、腱板の損傷から最終的に「腱板断裂」を引き起こす可能性があります。そして、腱板断裂になると、安静時にも強い痛みが生じるようになり、生活の質を大きく下げてしまいます。 腱板断裂に対しては、「手術療法」を選択することになりますが、選手生命にも大きく関わるものなので、症状の出方などを考慮して選択し、内視鏡手術によって腱板の修復手術が行われます。 競泳選手の水泳肩に「再生医療」という選択肢 水泳肩の従来の治療法は、ここまでのご紹介したように保存療法と手術療法が中心となっていました。しかし、医療技術が進歩し、現在ではあらたな選択肢として「再生医療」という先端医療が実用化されています。 水泳肩の再生医療では、主に自身の脂肪を培養して幹細胞を増やし、患部に注射することで肩関節に生じている痛みの症状を軽減します。また、腱板や軟骨に生じている損傷に対しては、修復や改善の効果が見込まれることもわかっています。 再生医療は、手術を避けて治療することができるため、効率的かつ体への負担の少ない治療を行うことができ、早期にスポーツに復帰できる治療法として評価されていますから、競泳選手の水泳肩治療にも役立てることが可能です。 まとめ・「水泳肩」痛みで悩む競泳選手の治療法(治し方) 水泳肩の痛みは競泳選手生命への影響だけでなく日常生活の質を低下させる原因にもなるため、再生医療を含めた早期の対処を必要とします。水泳肩の再生医療は、早期にスポーツへの復帰を目指したい競泳選手にとってメリットの多い治療法だといえます。 いずれにせよ、肩に違和感を感じたら、けして放置することなく、早めに医療機関を受診されることをお勧めします。 以上、「水泳肩」で悩む競泳選手の治療法、再生医療も踏まえて解説させていただきました。参考にしていただければ幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらも併せてご参照ください。
最終更新日:2024.09.03 -
- ゴルフ肘
- テニス肘
- スポーツ医療
- 肘
テニス肘とゴルフ肘の違いについて テニス肘(テニスエルボー)は、肘の外側。ゴルフ肘(ゴルフエルボー)は、肘の内側が痛くなる症状です。どちらもそのスポーツの初心者の方に多いという特徴があります。 症状の違い • テニス肘:肘の「外側」が痛む • ゴルフ肘:肘の「内側」が痛む また、スポーツ活動だけでなく、日常生活の中で肘や前腕の筋肉に軽微な外力による負担を蓄積することでも同じような症状が出てきます。 今回は、テニス肘とゴルフ肘の違いや、リハビリ、そして治し方についてご紹介していきます。 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは テニス肘は、正式名称を外側上顆炎と呼びます。上腕骨の遠位部にある外側上顆で炎症が起きてしまう病態です。外側上顆は肘の外側にある、出っ張っている骨なので、体表からも容易に触診することが出来ます。 発生機序としては、テニスのバックハンドなど、手首や指を反らすような動きを繰り返すことによって起こります。外側上顆には前腕の伸筋群が起始している部分なので、伸ばす、反るといった動作がもっとも影響を与えやすいのです。 また、テニスのプレーだけでなく、日常生活動作の積み重ねでもテニス肘を起こします。例えば手のひらをしたにした状態でお鍋の柄を掴んだり、洗濯物を洗濯機の中から取り出したりする動作などで負担がかかります。 一回一回の動作によるダメージはそれほど大きくなくても、疲労が少しずつ蓄積することでテニス肘を発症するのです。外側上顆炎をテニス肘と呼ぶことが多いので、テニスを全くプレーしていない方でもテニス肘になるのです。 テニス肘になると、フライパンが持てない、ペットボトルの蓋が回せないなど日常生活動作でも支障が出てきます。 ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)とは ゴルフ肘は、内側上顆炎という病態のことを指します。外側上顆同様に、上腕骨の遠位端部に位置しています。内側上顆も骨の形状が出っ張っているので、体表から触診することが簡単にできます。 内側上顆には前腕の屈筋群が起始していて、手首や手指の屈曲や回旋運動に深く関与しています。ゴルフで地面を叩いてしまったり、体幹が上手く回転せずに手の力だけで打ったりするようなフォームを繰り返していると、前腕の屈筋群に余計な力が入ってゴルフ肘を発症します。 主に後ろになる手でゴルフ肘が発生しやすいので、右打ちの方は右肘、左打の方は左肘がゴルフ肘の症状が出やすいと言えます。ゴルフ肘も日常生活の中でかかる負担によっても同じ症状が出ることがあり、ゴルフのプレーだけが発生原因とは限りません。 重い物を何度も運ぶようなことを繰り返していれば、前腕の屈筋群に力が入ってダメージを蓄積してしまいます。ゴルフ肘になると、肘の屈曲や伸展、手首の屈曲、手指の屈曲といった動作で力が入ると肘の内側が痛くなります。 テニス肘やゴルフ肘の治し方(リハビリ) テニス肘やゴルフ肘を治すにはどのような対処法があるのかご紹介していきます。 1.ストレッチを行う テニス肘もゴルフ肘も、前腕の筋肉が緊張したり過度な負担がかかったりすることによって発生します。筋肉が硬くなっていることは間違いないので、前腕の筋肉をストレッチすることが有効です。 テニス肘の場合は特に前腕の伸筋群、ゴルフ肘の場合は特に前腕の屈筋群を入念にストレッチすることが重要です。肘を伸ばした状態で、手首を掌側(手のひら)に反対の手で手首を曲げると前腕の伸筋群のストレッチが出来ます。 逆に、手首を伸展方向に他動的に曲げると前腕の屈筋群のストレッチが出来ます。どちらのストレッチも、肘の関節が伸びている状態で行うことがポイントです。 前腕の屈筋群も伸筋群も、肘関節と手関節をまたぐ筋肉なので、肘が伸びていないとストレッチ効果が半減するのです。 2.肘(筋肉)の適切なケア テニス肘やゴルフ肘の症状に対するケアは、その状態によって異なります。 急性期(炎症症状がある場合) 炎症症状が見られる急性期では、アイシングが有効です。氷や冷却パックを使用して患部を冷やすことで、炎症を抑え、痛みを軽減することができます。 慢性期(慢性的な血流障害がある場合) 症状が慢性化し、血流障害が見られる場合は、患部を温めることが効果的です。これにより血流が改善され、筋肉の緊張緩和に繋がります。 慢性期のケア方法 お風呂でゆっくり温まる 電子レンジで温めた蒸しタオルを患部に当てる カイロを活用する 温める際は、テニス肘の場合は前腕の伸筋群を中心に、ゴルフ肘の場合は前腕の屈筋群を中心に行います。 また、慢性期では患部を冷やさないよう注意が必要です。長袖を着用したり、上腕から前腕まで覆うサポーターを使用したりするのも効果的です。 いずれの場合も、症状の程度や経過によって適切なケア方法が異なるため、必ず医師の診断を受け、その指示に従うことが重要です。自己判断でケアを行うのではなく、専門家のアドバイスを受けながら、症状に合わせた適切な対応を心がけましょう。 3.温熱療法を受ける 前述の方法では、自宅などでできる筋肉の温め方をご紹介しました。それとは別に、整形外科や接骨院などで受けられる温熱療法も効果的です。 筋肉を温めるという点では全く同じですが、温熱治療器を使えば芯の部分からしっかり温めることが出来ます。赤外線治療器なら、体表よりもむしろ深部を温めることができるので、効率的です。 さらに、ホットパックという道具もあり、蒸しタオルなどと違って温度が徐々に下がることなく一定を保つことができるので、自宅で行うよりもよく温まります。 4.電気(低周波)治療を受ける 電気治療は、テニス肘やゴルフ肘の治療において効果的な選択肢の一つですが、その適用は病期によって異なります。治療を開始する前に、必ず医師の診断を受け、適切な治療法と時期を判断してもらうことが重要です。 急性期 炎症が強い急性期では、電気治療は適していない場合があります。この時期は安静やアイシングなど、炎症を抑える治療が優先されることが多いです。 亜急性期(急性期の段階を過ぎて病状が安定し、リハビリや退院支援を行う段階にある状態)から慢性期 症状が落ち着いてきた亜急性期から慢性期にかけて、電気治療が効果を発揮する可能性が高くなります。電気治療は、整形外科や接骨院で受けることができ、保険適用の場合は比較的安価です。低周波治療器や干渉波治療器などが用いられ、これらは前腕の伸筋群と屈筋群の血流を改善し、代謝を向上させる効果があります。 電気刺激により、 血流が良くなり、疲労物質の排出が促進される 筋肉の緊張が緩和される 外側上顆や内側上顆への負担が軽減される ただし、個人によっては電気治療後に症状が悪化する場合もあります。これは電気刺激が強すぎることが原因の可能性があります。 その場合は、 電気の強度を弱める それでも改善しない場合は、他の温熱療法や手技療法に切り替える 人体は強すぎる刺激に対して防衛反応を示すため、適切な強度で治療を行うことが重要です。 電気治療を含むいかなる治療も、医師の指示のもとで行い、定期的に症状の経過を確認しながら進めることが大切です。病期や個人の状態に応じて、最適な治療法を選択していくことが、テニス肘やゴルフ肘の効果的な回復につながります。 人間は強すぎる刺激に対しては、無意識のうちに筋肉を硬直させる防衛反応が働くので、電気が強すぎるとテニス肘やゴルフ肘の症状は悪化してしまうのです。 5.運動療法を受ける 肘関節の屈曲や伸展、手関節の屈曲や伸展、手指の屈曲や伸展、といった動作をスムーズに行えるようにするために、運動療法を受けるのも効果的です。 どれもテニス肘やゴルフ肘の発生リスクに関わる動作であり、動かし方が間違っているとすぐに再発もします。また、テニス肘やゴルフ肘の痛みが軽減してからは、筋力を強化することも重要です。 前腕の屈筋群と伸筋群、肘の屈曲動作に関わる筋肉を強化することで、テニス肘やゴルフ肘の再発予防にも繋がります。最初はあまり大きな負荷でやらなくても良いので、500mlのペットボトルを上げ下げする程度の運動が良いでしょう。もし、痛みや違和感を感じた場合は直ちに運動を中止し、医療専門家に相談することが大切です。 6.マッサージを受ける 前腕の屈筋群や伸筋群をマッサージしたり、上腕、肩甲骨周辺のマッサージをしたりすることが重要です。マッサージをすることによって筋肉の緊張を取り除き、内側上顆や外側上顆にかかる牽引力を軽減するのです。 なぜ上腕や肩甲骨周辺までマッサージが必要なのかというと、肩甲骨周りの動きが制限されると、肩から指先にかけて負担がかかります。肩甲骨の動きが悪ければ、肩を挙げるときに肘関節がそれを補おうとします。 その結果前腕にも負担をかけ、テニス肘やゴルフ肘のリスクを高めるのです。しかし、マッサージをあまりにも強い力でやりすぎると、かえって自分の体を守ろうとして筋肉が硬くなることもあるので、マッサージが強ければ強いほど良いという勘違いは無くした方が良いでしょう。 7.整体を受ける テニス肘やゴルフ肘の治癒を早くするためには、全身のバランスも整えた方が良いです。背骨の歪みによって、前腕に大きな負担をかけるケースがあるのです。 テニス肘やゴルフ肘の発生機序として、単に前腕の屈筋群や伸筋群の使い過ぎということがあるだけでなく、それらの筋肉に負担をかけざるを得ない体のバランスが隠れています。 例えば猫背やストレートネックなど、肩甲骨の動きが悪くなるような姿勢だと、上肢全体の動きが悪くなります。通常よりも前腕の屈筋群や伸筋群に大きな負担をかけるようになるので、テニス肘やゴルフ肘のリスクが高まるのです。 肘や前腕の治療を集中的に行っても痛みがなかなか軽減しない場合は、医師と相談の上で、姿勢や体全体のバランスについても評価を受けることを検討しても良いでしょう。医師の指示のもと、理学療法士や整体師など他の専門家の助言を得ることで、より包括的なアプローチが可能になる場合もあります。 早期治癒と再発予防を目指す場合、医師の診断と指示に基づいて、適切なリハビリテーションプログラムや姿勢改善エクササイズを取り入れることが効果的かもしれません。 痛みが強い場合はステロイド注射をするケースも テニス肘は、「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」ゴルフ肘は、「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)」とも言われており、それぞれ肘の外側と内側に痛みが出る病気です。痛みが強い場合はステロイド注射をすることもあるでしょう。 痛みの主な原因は、ゴルフのスイングやテニスのフォアハンドであることが多く、ゴルフ肘はテニス肘と違い日常生活で痛みを感じる機会はあまりないのが特徴です。 テニスやゴルフを楽しむ人達は、発症すると趣味に支障が出てしまいます。 せっかくの楽しい趣味の時間が、痛みのためにつらい時間になってしまうのは悲しすぎますよね。 そこで、なるべく早く痛みを取りたい人に向けて、テニス肘やゴルフ肘のステロイド注射の効果や副作用について解説します。 ステロイド注射の副作用 テニス肘やゴルフ肘治療のステロイド注射には副作用もあります。 そのため、ステロイド注射は回数も決まっており、年に3~4回程度が限度とされています。また、1回目の注射から3ヶ月間の期間を空けることが決められています。 なぜ注射の回数や間隔が決まっているのかというと、頻繁にステロイド注射を行うことで肘の腱が弱まるからです。肘の筋肉が弱り腱が切れやすくなると、少しの刺激でもテニス肘やゴルフ肘の痛みが再発してしまいます。 ステロイド注射の治療効果はどれくらい? ステロイド注射には副作用もありますが、鎮痛効果も優れています。テニス肘やゴルフ肘でステロイド注射治療を行うのは、症状が進行し、痛みが簡単に取り除けなくなった時です。 テニス肘やゴルフ肘は、初期のうちは痛みが出たら安静にし、ストレッチをこまめに行うことで回復出来ます。しかし、安静にしていても痛みが引かなくなれば、飲み薬や湿布を用いた治療が行われ、飲み薬も湿布も効かなくなった段階で初めてステロイド注射の治療が始まります。 ステロイド注射には強い抗炎症作用があり、肘の炎症を起こしている部分に直接注射を行うため、飲み薬や湿布と比べると即効性があります。 もちろん、副作用を考えると頻繁には注射出来ませんが、痛みを素早く取るという点では非常に効果的な治療法です。 重症化すると肘が曲がらず手術の可能性がある テニス肘やゴルフ肘は、症状が重症化すると手術での治療が必要になる場合があります。手術というと少し大げさな感じがするかもしれませんが、テニス肘やゴルフ肘は進行すると腕を良い方と比べて曲げきれない、伸ばしきれないの両方向に制限が出るケースがあります。 そうなるとスポーツはもちろん、日常生活にも大きな支障が出てしまいます。そのため、症状が進行した患者さんには、手術による治療が勧められています。 手術が必要になるのはどのような時? テニス肘やゴルフ肘は、重症化するとなかなか治りません。症状が軽いうちは基本的に保存療法を行いますが、痛みが慢性化すると保存療法では効果がありません。そのため、手術での治療に移行します。 テニス肘やゴルフ肘は、肘を酷使する人に発症しやすい病気です。 日常生活や趣味での動作がきっかけで手術が必要になるなんてショックだと思いますが、日常生活に支障があるままというわけにはいかないので、信頼できる医療機関を受診し、適切な手術を受けることが必要です。 手術の種類について テニス肘やゴルフ肘の治療で行う手術には、2種類の方法があります。1つは関節鏡を用いて行う手術で、もう1つは切開による手術です。 テニス肘やゴルフ肘の、患者さんのほとんどは関節鏡を使用した手術で治療を行っているでしょう。その理由としては、傷口が小さいため回復が早いことが挙げられます。 関節鏡を使った手術の特徴 関節鏡による手術の場合、傷の小ささと回復の早さが最大のメリットになります。よほど重症でない限り、テニスやゴルフ愛好家を中心とした多くの患者さんにはこの方法で手術を行います。 テニス肘やゴルフ肘の痛みは、繰り返しの収縮-弛緩の繰り返しで腱に負担がかかり、炎症が起きることで生じます。 手術では断裂している腱の修復や、必要に応じて骨の一部を削って腱の通り道を確保します。これにより、腱が骨や周囲の組織と摩擦を起こしにくくなります。手術は全身麻酔で行いますが、術後にギプスを使う必要はなく、手術の翌日からリハビリの開始が可能です。 切開による手術の特徴 切開による手術は、上腕骨の外側上顆や内側上顆にある病変部を切除する方法です。局所麻酔での手術が可能という点が特徴的です。 この他にも、筋膜を切開し、筋肉内の圧を下げることで痛みを取り除く治療法、伸筋腱の起始部の切離と必要に応じて関節包・輪状靱帯や滑膜を切除していく治療法もあります。 テニス肘やゴルフ肘の治療には安静期間が必要 テニス肘やゴルフ肘になると痛みがつらいですが、痛みを我慢して動かしてしまう人が少なくありません。ですが、治療のためには痛みを感じるなら安静期間が必要になります。 テニス肘やゴルフ肘には必ず痛みの原因となった動作があります。テニス愛好家なら、テニスを打つ動作が要因として考えられ、ゴルフ愛好家はゴルフのスイングが原因でしょう。 発症の原因となった動作を行うと痛みが出るので、痛みを取り除くには原因となる動作を避け、安静にすることが必要です。 安静期間の長さは人それぞれ テニス肘やゴルフ肘になってしまったからと言って、ずっと動かせないのは不便ですよね。 しかし、痛みやしびれが引くまでは動かさないよう安静にしないと悪化しかねません。 テニス肘やゴルフ肘は多くの場合、自然に治ります。ただし、使いすぎたり、痛みがでるような動作を続けていると治りにくくなります。 軽い場合は数週間で治ることもありますが、症状によっては2~3ヶ月ほど必要になる場合もあり、重症の場合はそれ以上必要なこともあります。 これら治療期間は参考例ですが、その症状などで治療期間には個人差があります。 できるだけ早く医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。治療が遅れたり、重症の場合は、より長い時間が必要になることもあります。また、痛みが引いたからと言ってすぐに以前と同じ運動をしてはいけません。いきなり以前と同じレベルで動かすのではなく、ストレッチをしてみてからというのがポイントです。 テニス肘やゴルフ肘は再発することも多い病気ですので、治ったと思って無理に動かして悪化してしまう場合もあるため、安静期間には注意が必要です。 テニス肘やゴルフ肘になりやすい人とは テニス肘やゴルフ肘は、リスクを高める特徴がいくつかあります。再発予防のためにも、ぜひ押さえておきましょう。 1.テニスやゴルフの初心者 初心者の場合、ラケットやクラブのスイング動作を、どうしても上肢の力に頼って行うことになります。長年経験している方や、そのスポーツが上手い方の場合は、体幹の力を上手く使って体全体を回転させて打ちにいけるのですが、それが出来ないうちは肘や手首に負担がかかります。結果的に外側上顆や内側上顆に付着する筋肉へと負担が集中するので、痛みを発症しやすいです。 2.肘以外に痛みを抱えている人 肩や腰など、前腕以外に痛みを抱えている人はテニス肘やゴルフ肘のリスクを高めてしまいます。テニスやゴルフに共通するのは回転動作ですが、腰に不安があると体の回転が甘くなります。 その分パワーを発揮するには上肢の筋力をより大きく発揮させなければなりません。その結果前腕に力が入り、テニス肘やゴルフ肘を発症しやすくなってしまうのです。 日常生活の中でも、肩に痛みがあれば腕が上がりにくくなります。それでも腕を上げて行わなければならない洗濯物を干す動作をすれば、前腕に余計な負担をかけることになります。 その積み重ねでテニス肘やゴルフ肘のような症状を発生させるのです。この場合、肘だけを治療しても改善に時間がかかります。肘以外の痛みの治療も並行して行う必要がありますね。 3.姿勢が悪い人 背骨のバランスが悪い人は、肩を中心とした上肢の筋肉に慢性的な負担をかけ続けます。猫背などのように、横から見た時に頭の位置が体幹からかなり前に出ている人は、首から背中にかけて日常的に負担をかけ続けています。 その結果肩甲骨の動きが悪くなり、肩の可動域が狭まり、肘から先にも疲労を溜めやすくなるのです。さらに、姿勢が悪い人は背骨のしなやかさが失われていることが多く、仰向けや横向きになったときに体が休まりません。 すると睡眠時の回復力が低下してしまうので、疲れが抜けにくく筋肉の疲労を蓄積してしまいます。そこからテニス肘やゴルフ肘の症状に繋がることがあるので、姿勢を改善しておくことは非常に重要な項目であると言えます。 まとめ テニス肘とゴルフ肘の違いから、リハビリ、そして治療法であるステロイド注射や手術の種類 についてご紹介いたしました。痛みが強い場合の治療法でご紹介したステロイド注射は、即効性が最大のメリットです。しかし、その分強い薬でもあり、連続して使用すると副作用が出るデメリットもあることを念頭に置いておきましょう。 また、テニス肘やゴルフ肘は、そのスポーツを経験している人以外でも起きることがある症状です。肘の内側や外側で痛みが出るということ以外は、発生機序やリスクが同じなので、どちらの症状も同時に起こすことさえあります。 一回の外力で発生するというよりも、徐々に負担を蓄積して症状になるので、体の使い方など根本から改善しないとすぐに再発するでしょう。自分ひとりだけで解決しようとせず、症状が重症化して手術になる前に専門医のアドバイスを聞いて早期治癒と再発予防に努めましょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2024.07.12 -
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肘の外側、何もしてないのに痛い!上腕骨外側上顆炎や神経痛かも ぶつけたり捻ったりしたわけでもないのに、急に肘の外側が痛くなる。実はこれ、珍しい症状ではありません。普段の生活の中で軽微な外力による負担が積み重なり、あるとき突然、肘の外側で痛みを発生させます。 今回は、肘を伸ばすときや曲げると肘の外側が痛いとき、何もしなくても痛いときに考えられる原因や対処法、治療法や予防法についてご紹介していきます。ぜひご参考にされてください。 肘の外側が痛い場合は「上腕骨外側上顆炎(がいそくじょうかえん)」を疑う 上腕外側上顆炎という肘の病気をご存じでしょうか?肘の外側が痛いときの原因として考えられることがよくあります。 上腕骨外側上顆炎(テニス肘、テニスエルボー)とは? 別名テニス肘、近年ではスマホ肘と呼ばれることもある病態です。これらは正式名称を「上腕骨外側上顆炎」と呼び、上腕骨にある外側上顆で炎症が起きているということを言います。 外側上顆で痛みが出ているわけですが、実際に根本的な原因になっているのは肘関節というよりも前腕の筋肉群です。具体的には手関節や手指の伸展動作に関わる筋肉で、前腕の伸筋群と呼ばれます。 前腕の伸筋群は、上腕骨の外側上顆から前腕を通過し、手関節の先まで走行しています。そのため、前腕の伸筋群を使いすぎるなどしてダメージを蓄積した場合、外側上顆にも負担がかかります。 ぶつけていないのに肘が痛くなるのはなぜ? 手関節や手指の動きを繰り返し行うことで、前腕伸筋群が伸張を繰り返し、その牽引力が外側上顆の一点にかかります。これが長時間、または長期間続くことで徐々に外側上顆で炎症を起こし、結果的に伸ばすと痛い、曲げる痛い、何もしなくても肘の外側が痛いという症状となって現れるのです。 前腕の筋肉を多用するテニスプレーヤーに多い症状でもあることから、テニス肘という名称がついています。近年でスマホ肘と呼ばれる理由は、テニスをしていない人でもよく起こる症状であることも由来しています。 スマホを長時間操作していると、スマホを支えるために前腕の筋肉が硬直し、外側上顆に負担をかけるのです。 肘関節の構成 肘の関節は、上腕骨と前腕の橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)の3つの骨で構成されています。 肘関節のなかでもさまざまな関節があり、肘関節をもっと詳しくみていくと3つの関節が1つの関節包の中に納まっています。 1,腕尺関節(わんしゃく‐かんせつ) その中の1つの腕尺関節は、関節の種類でいうと蝶番関節であり、屈曲と伸展の運動を行っています。 2,腕橈関節(わんとう‐かんせつ) もう1つが腕橈関節であり、小さい関節ではありますが球関節の構造をしています。肘の屈曲伸展、回旋運動に関わる関節です。 3,上橈尺関節(じょうとうしゃく‐かんせつ) 最後の1つが上橈尺関節で、前腕の骨である橈骨と尺骨の間で構成されている関節です。主に前腕の回外や回内運動を行っています。 肘関節を動かす最も大きな筋肉は上腕二頭筋で、肘関節の屈曲と前腕の回外の運動に関わっています。 上腕二頭筋は肩甲骨から上腕を通過して前腕まで走行しているため、肩関節の動きに異常がでることによって肘関節に影響が出る可能性もあります。 また、肘関節伸展に関わる主な筋肉は上腕三頭筋であり、これも肩甲骨から上腕を通過して前腕まで走行しています。やはり肩関節を超えて肘関節をコントロールする筋肉なので、肘関節の異常が肩関節の使い方によって影響されることもあり得ます。 上腕骨外側上顆炎の症状 上腕骨外側上顆炎は男女どちらでも当然起こり得る症状ではありますが、患者数でいうと30~50代、さらに女性の方が多い傾向にあります。筋力の弱さやホルモンバランスも関係しているようです。 外側上顆炎を発症すると、伸筋群が原因であるにも関わらず、手関節の伸展や手指の伸展以外の動作でも、肘の外側に痛みを発生させます。 肘を伸ばすときや曲げるとき、前腕の回外、安静時でも肘の外側が痛むという症状があり、日常生活ではドアノブを回すときやタオルを絞るとき、キーボードを打つときや物を持ち上げるときに痛むなど、普段の生活にも大きく影響を及ぼすこともあるのです。 ・肘を伸ばすと痛い ・肘を曲げると痛い ・前腕の回外時に痛い ・安静時でも肘の外側が痛む ・ドアノブを回すと痛い ・タオルを絞ると痛い ・キーボードを打つときに痛む ・物を持ち上げるときに痛む 打撲や捻挫のように、一度の外力で急に外側上顆炎になることよりも、日常生活の動作の中で少しずつ負担を蓄積して発症するケースが多いという特徴もあります。そのため、治癒させるためには治療が長期間に及ぶこともしばしばです。 上腕骨外側上顆炎の5つの治療方法 上腕骨外側上顆炎の治療を医療機関で行う場合、どのような方法がとられるのかを5つご紹介していきます。 1.電気治療 痛みがある肘の外側、前腕の筋肉を中心に低周波や干渉波の電気治療が行われることがあります。主な目的は前腕の筋肉で起きている緊張を取り除くことと、血流を良くすることです。 しかし、炎症であることと、筋肉の緊張による牽引力が原因で起きている症状であるという特徴から、電気治療をすることで稀に悪化するケースも見られます。 電気刺激が強すぎると、かえって自分の体を守ろうとする防衛本能が働き、逆に筋緊張を強めてしまうのです。そのような反応が見られた場合は電気刺激を弱めるか、別の保存療法を選択するべきです。 2.手技療法 前腕の筋肉をマッサージやストレッチでほぐすことが主な手技療法になります。上腕骨から指先まで走行している伸筋群もあるため、前腕だけでなく手指の動きを良くすることも重要です。 手指の動きが良くなれば、必然的に外側上顆の負担は減り、肘の外側の痛みが消えるのも早いです。そういった意味では、手の内在筋をマッサージやストレッチでほぐすということも、外側上顆炎の有効な治療と言えます。 3.温熱療法 外側上顆炎の患者の中には、お風呂に入った後には少し痛みが軽減するという方もいます。これは、温められることによって血流が良くなり、前腕伸筋群の緊張が和らいだことが考えられます。 赤外線などで外側上顆から前腕にかけて温熱療法を行い、その後に手技療法や運動療法を行うことで改善を早めることに繋げます。 4.運動療法 肘関節の正しい動かし方を身につける運動療法や、手関節、手指の関節の動きをスムーズにするための運動学習など、様々な運動療法が有効です。もちろん痛みの程度を見ながら、無理のない範囲で徐々に行うことが大切です。 その際、肩関節の動きを良くして可動域を広げることも外側上顆炎の治療では重要です。肩関節や肩甲骨の動きが肘関節を動かす筋肉の負担に繋がり、それが外側上顆炎に結び付くことが考えられるからです。 5.背骨の矯正 一見すると関係なさそうですが、外側上顆炎を改善するために背骨のゆがみ、さらには骨盤のゆがみを改善することは有効な手段です。姿勢が良くなることで肩甲骨や胸椎の正しい動き、スムーズな動きが獲得でき、肩関節の可動域が広がります。 肩関節の可動域が広がれば、肘関節にかかる負担も軽減することができ、結果的に手関節や手指の動きをスムーズに行うことができるのです。 外側上顆炎だからといって肘だけを集中的に治療するよりも、背骨のゆがみから改善していった方が早期に治癒が見込めます。その上、繰り返しの外力によって発生するという外側上顆炎の特性上、再発の予防にも繋がる治療なのです。 上腕骨外側上顆炎は再発する!その予防方法は? 上腕骨外側上顆炎は一度なってしまうと治癒まで比較的時間がかかる症状であり、一度良くなった後も再発するケースが多いのも特徴です。自分でできる改善方法、再発予防方法をご紹介していきます。 1.ストレッチ 前腕の特に伸筋群に疲労を溜めることで外側上顆炎のリスクが高まるので、前腕のストレッチをこまめに行うことが予防方法になります。外側上顆炎になった後はストレッチの動作でも痛みを感じることがあるので、痛みが軽減してから習慣にしてください。 やり方は簡単で、手関節の屈曲と伸展方向にゆっくりと伸ばすだけです。外側上顆炎の主な原因筋が伸筋群なので、手関節を屈曲方向に曲げれば伸筋群がストレッチできます。 しかし、伸筋群だけのストレッチでは外側上顆炎の再発予防としては不十分です。屈筋群に緊張があるままだと、日常生活の中でも手関節伸展がしにくくなり、余計に筋力を発揮させて伸展動作を行わなければならなくなります。 それが外側上顆にかかる負担を増す原因になるので、屈筋群も併せてストレッチしておくことが大切です。 2.肘と前腕を温める 基本的に冷えは筋肉の緊張を生みやすいので、自分でも温めるようにした方が改善の助けになります。お風呂でしっかり温まることはもちろん、電子レンジなどで蒸しタオルを作って肘の外側から前腕にあてておくだけでも良いセルフケアです。 安価な物でも良いので、肘全体を覆うタイプのサポーターをするのも冷え対策になるのでオススメです。 神経痛によって肘の外側が痛むこともあるので注意! 頚椎ヘルニアなど、首から上肢にかけて走行している神経が圧迫されることによって肘の外側で痛みを発生させている場合もあります。 頚椎ヘルニア・神経痛とは? 神経を圧迫している原因の代表は頚椎ヘルニアで、スマホやPCが大部分に普及してきた現代では発生頻度も高くなっている病態です。頚椎から派出する神経が上肢を走行し、その過程で肘の外側も支配しています。 頚椎ヘルニアが上腕の外側を支配する高さで起こっている場合、肘の外側が痛むということは十分考えられます。デスクワーク、バイクの長時間の運転、姿勢が悪いという既往などが頚椎ヘルニアのリスクを高めます。 頚椎ヘルニアで肘の外側に痛みが出ている場合、そこだけでなく肩甲骨の内側や外側、首自体での痛みも同時に発生しているケースがほとんどです。 もし痛みが肘の外側だけでなく、体幹に近い部分にもいくつか発生しているなら、神経症状であることを疑いましょう。その他の鑑別ポイントとしては、安静時でも常に痛い、頸部の伸展や回旋動作などで痛みが悪化するといったことです。 頚椎ヘルニア・神経痛の5つの治療方法 肘の外側で出ている痛みが神経痛であった場合、肘の動きをいくら良くしようが、前腕や上腕の筋肉をいくらマッサージしようが、根本的な解決にはなりません。神経が発生している背骨の部分から治療していく必要があります。 1.薬物療法 痛み止めの処方や、神経痛の際によく出されるビタミン剤が主な薬物療法で使われます。飲み続けることによって痛みを感じにくくなりますが、頚椎ヘルニアなど神経を圧迫しているものが解決されるわけではないので、薬物だけですべてを解決するのは難しいときもあります。 ただ、あまりの痛みは日常生活に支障をきたすので、それを防ぐ目的で使用するのが良いでしょう。 2.温熱療法 神経痛もやはり温めることが有効な治療方法になります。血流が良くなる上に筋肉の緊張が取れるため、神経の圧迫も軽減されることがあるのです。 3.牽引治療 整形外科などでは、頚椎を牽引して治療する方法になることが多いです。牽引することで背骨全体の筋肉がストレッチされ、神経の通り道を広くすることが期待できます。しかし、現状では牽引治療だけで治癒に至らないケースも多いです。 4.整体 姿勢を改善して首の負担を取り除くことや、関節の動かし方を改善して頚椎から出る神経を圧迫しないような体作りをしていきます。手術以外ではこれがかなり有効な治療方法でもあり、早期の改善と再発予防に繋がる可能性もあります。 5.手術療法 スポーツ選手など特別な事情が無い限りは稀な選択と言えますが、頚椎の手術が選択される場合もあります。頚椎というシビアな場所だけに、一般では最終手段的な立ち位置でもあります。 まとめ・肘の外側、何もしてないのに痛い!上腕骨外側上顆炎や神経痛かも 肘の外側で起きる痛みには、肘や前腕で問題が起きている場合と、頚椎など中枢に近い部分で問題が起きている場合と2種類あります。両者は治療方法も全く異なるので、どこで問題が起きているのか見極めるのが大切です。 当院は、第二種・第三種再生医療提供計画を厚生労働省に提出し受理された厚生労働大臣許可医療機関です。当院では来院前でも「メール相談」を受付けています。どうぞ事前にご相談ください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 メール相談・お問い合わせフォームはコチラ
最終更新日:2023.09.14