-
- スポーツ医療
腕にも起こる筋断裂!筋断裂を起こした初期の処置(RICE処置)がその後に影響 腕は筋断裂が起きやすい箇所になります。腕に筋断裂が起こってしまった場合、初期処置をきちんとおこなうことが、その後の状態や治療に大きな影響を及ぼします。 そこで今回は、腕の筋断裂が起こりやすいシーン、腕の筋断裂を起こした際に、どのような処置をおこなうべきかについて紹介します。 腕の筋断裂を起こしやすいシーンとは 腕の筋断裂は、重い物を勢いよく持ち上げた時や、力を入れて重い物を強く押した時などに起こることがあります。また、ラグビー、テニス、ゴルフ、格闘技などコンタクトの激しいスポーツや腕に大きな負荷がかかるスポーツをおこなっている時にも起こりやすいです。 さらに、スポーツなどによる酷使や加齢によって筋肉が疲労していて、何らかの衝撃を受けたり、力を入れて大きな負荷がかかったりしたときに筋断裂が起こることもあります。 筋断裂を起こしやすいスポーツ ラクビー テニス ゴルフ 格闘技 腕の筋断裂を起こした際におこなうRICE処置とは 腕の筋断裂を起こしてしまったときには、RICE処置を初期の処置としておこなうことが基本です。RICEとは、安静(Rest)冷却(Icing)圧迫(Compression)拳上(Elevation)の4つの頭文字を並べたものです。 RICE処置 R --- 安静(Rest) I --- 冷却(Icing) C --- 圧迫(Compression) E --- 拳上(Elevation) 安静とは状態が悪化するのを防ぐために患部に負荷がかかるような活動を控えることです。冷却は腫れや内出血を抑えるために氷や冷却スプレーなどで患部を冷やすことです。 圧迫は、患部の血腫が大きくならないように包帯などで患部を抑えることです。拳上は血液やリンパの流れを良くして腫れを抑えるために患部を上部に挙げることです。 このRICE処置は筋断裂に限らず、打撲や捻挫などの外傷を受けた場合の初期処置として基本になります。また、RICE処置は基本的に筋断裂を起こしてから48時間おこなうのが一般的です。 RICE処置の重要性 腕の筋断裂の初期処置としてRICE処置をすぐにおこなうことは重要です。きちんとRICE処置をおこなうことで症状が悪化するのを抑え、回復していくまでの期間を短くすることが期待できます。 逆に、筋断裂を起こしても正しい処置をおこなわないと、症状を悪化させて回復するまでの期間が長くなってしまったり、回復するのが難しくなってしまう可能性があります。 RICE処置を知っておくと、無理をして動かしてしまったり、患部を温めたりするなど間違った処置をして悪化させることを避けることができます。スポーツをしている人や重い物を持つことが多い人などは知っておくとよいでしょう。 まとめ・腕にも起こる筋断裂!筋断裂を起こした初期の処置(RICE処置)がその後に影響 腕の筋断裂を起こしやすいシーンや、筋断裂を起こした場合の初期処置について紹介しました。スポーツや重労働などの際に腕の筋断裂は起こってしまった場合は、プレーや作業を中止して正しい処置(RICE)をおこないましょう。 また、初期処置した後は医療機関を受診して、専門家に判断をしてもらい、適切な治療を受けましょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
2019.12.20 -
- ひざ関節
- スポーツ医療
膝に水が溜まってしまい、痛みや不快感に悩まされている人もいるでしょう。膝に水が溜ると日常生活に支障をきたし、仕事やスポーツにおいても大きな負担となります。 この記事では、膝に水が溜まる主な原因や具体的な治療法、注意点について詳しく解説します。症状の改善に役立つ情報を提供しますので、ぜひ参考にご覧ください。 そもそも「膝に水が溜まる」とはどういう状態? 膝に水が溜まるとは、滑膜といわれる組織から分泌されている関節液が、怪我や体重の増加など、様々な原因により過剰に分泌されている状態のことです。 痛みや腫れなどの初期症状が出る場合があります。 この関節液は、健康な人でも膝関節に通常1~3ml程度ありますが、炎症などを起こした場合30ml以上溜まることもあります。 炎症が起こった場合、関節液の分泌と吸収のバランスが崩れることにより、膝に水が溜まる状態となります。 膝に水が溜まる原因 膝に水が溜る原因は、膝関節にある軟骨や滑膜組織の損傷による炎症です。炎症によって滑膜組織から過剰に関節液が分泌されて、膝に水が溜まります。 主な原因や疾患は、以下の通りです。 過剰な膝への負担 半月板損傷や靭帯損傷 変形性膝関節症による膝軟骨のすり減り リウマチ性の関節炎 細菌やウイルスによる関節炎 尿酸の過剰生成による痛風 上記からなる炎症は、主にスポーツや接触事故の強い衝撃、加齢から膝に負荷がかかり引き起こされます。 代表的な疾患は変形性膝関節症・感染症・リウマチです。 過剰な膝への負担 体重の増加や激しいスポーツなどによる過剰な膝への負担は、膝に水が溜まる原因となります。 適正な体重維持を行い、適度な運動、ストレッチや運動前のウォーミングアップを行うことで、膝への負担を軽減させましょう。 また、長時間のデスクワークで同じ姿勢を保つと血行不良になり、膝関節に悪影響を及ぼすため、定期的に姿勢を変更することも大切です。 半月板損傷や靭帯損傷 膝に水が溜まる原因として、半月板損傷や靭帯損傷をきっかけとした炎症が考えられます。 半月板は膝関節にある軟骨で、クッションの役割を持つ部位です。半月板損傷や靭帯損傷は激しいスポーツや日常生活の急な動きなどによって起こる可能性があります。 半月板損傷が起こると膝が腫れて、過剰に分泌された関節液が膝に溜まることがあります。 変形性膝関節症による膝軟骨のすり減り 変形性膝関節症による軟骨の摩耗によって骨同士の摩擦が生じ、炎症が発生することで膝に水が溜まる原因となります。 変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が摩耗し、軟骨が徐々にすり減っていく疾患です。 加齢によって軟骨が摩耗しやすくなる中高年に多く見られ、日常的な膝の痛みや腫れを引き起こします。 リウマチ性の関節炎 リウマチ性の関節炎により、滑膜が充血して腫れあがることで過剰に関節液が分泌され、結果として膝に水が溜まる原因となります。 リウマチは自己免疫の異常によって関節が慢性的に炎症を起こし、進行すると関節の変形を伴うリスクがあります。 また、関節炎が続くと膝軟骨が溶けるようになくなることで、膝の曲げ伸ばしが出来なくなり、骨が擦れる痛みも伴います。 細菌やウイルスによる関節炎 怪我や膝関節の注射などにより、細菌やウイルスが関節内に侵入し、急性の痛みや腫れが発生します。 また、虫歯菌が血管に入ってしまい、膝まで運ばれる血行性感染も原因です。 さらに細菌やウイルスによる関節炎が悪化すると、軟骨を破壊してしまい、強い痛みや熱感が発生します。 尿酸の過剰生成による痛風 痛風は足の親指の付け根の関節に発症することもありますが、膝関節に発症が見られた場合、膝に水が溜まる原因になります。 痛風は血中の尿酸値が高くなり、尿酸が過剰に生成されて関節内に蓄積することで炎症を起こします。 尿酸の過剰生成により、血液中のナトリウムと結合することで結晶が作られ関節内に溜まる状態が痛風です。 膝に水が溜まると生じる症状 膝に水が溜まると、歩行時や階段の上り下りなどでの膝の曲げ伸ばしに痛みが生じる症状が出ます。 また、膝が熱っぽく感じたりする場合は、膝関節の炎症が起きている可能性があります。 他にも膝が腫れていることにより、膝が重たい、違和感などの症状もあるのが特徴です。 歩行時や曲げ伸ばし時の痛み 膝に水が溜まると、歩行時や階段の上り下りなどで膝に痛みを感じます。 炎症が起こると滑膜組織から過剰に関節液が分泌されるほか、サラサラした水のような関節液になります。 サラサラの関節液では膝関節の負荷を軽減できず、骨と骨がぶつかるため、歩行時や膝の曲げ伸ばしの際に痛みが生じるのです。 熱感や腫れ 炎症が起きている状態では、膝関節の周囲が腫れます。スポーツで怪我をした場合、傷や内出血だけでなく膝の腫れにも注意が必要です。 軟骨や滑膜組織が損傷し、膝に水が溜まっている可能性も視野に入れて早めに受診してください。 また、腫れだけでなく膝が熱くなる、水が過剰に溜まって膝の周辺がブヨブヨしてくるなどの症状も現れます。 膝に水が溜まった場合の治療法 膝に水が溜まった場合の治療は、症状の原因や程度に応じて選択します。 軽度の場合は保存的治療が基本となりますが、症状が改善しない場合は他の治療が必要です。症状に合わせて治療を選択し、症状の改善を目指します。 治療法 内容 保存療法 消炎鎮痛剤の投薬や膝周辺のリハビリ 手術療法 関節の修復や人工関節置換 再生療法 PRPや幹細胞を利用により軟骨や組織の再生を促進 投薬や物理的な治療による保存療法 膝に水が溜まった場合、消炎鎮痛剤の投薬や、安静、圧迫、挙上(RICE療法)などを組み合わせて治療する保存療法があります。 専門の理学療法士による指導のもと、膝周辺の筋力や柔軟性を強化することにより、再発を防止することが目的です。 消炎鎮痛剤では、膝の関節の動きを痛みを緩和するヒアルロン酸注射や、膝の炎症や痛みがひどい場合に緩和するステロイド注射があります。 人工関節置換などの手術療法 重度の変形性膝関節症や半月板・靭帯の損傷、リウマチを発症している場合などは、手術療法を行う場合があります。 それぞれ症状に応じて、以下のような手術が検討されます。 変形性膝関節症の場合:人工膝関節置換術・骨切り術・関節鏡視下手術 半月板損傷の場合:半月板縫合術・半月板切除術 膝の靭帯損傷の場合:靭帯再建術・靭帯縫合術 リウマチ性関節炎:人工膝関節置換術・骨膜切除術 いずれも保存療法などによって改善が見られない場合に適用されるケースがほとんどです。 手術を回避するためにも早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。 PRPや幹細胞を利用した再生療法 膝に水が溜まる症状では、PRPや幹細胞を利用した再生療法が治療の選択肢となります。 PRP療法:患者さまの血液から抽出した血小板の濃縮液を用いて行う治療 幹細胞療法:患者さまの脂肪から幹細胞を採取・培養し、患部に投与する治療 再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。 膝に水が溜まる原因に関するよくある質問 膝に水が溜まる原因に関するよくある質問を2つ紹介します。 膝に溜まった水は自分で治せますか? 太り過ぎは膝に水が溜まる原因になりますか? 気になる疑問を解消して、症状の改善に向けた行動をとりましょう。 膝に溜まった水は自分で治せますか? 軽度の腫れであれば、安静にして膝への負担を減らすと自分で治せるケースがあります。 ただし、原因によっては医師の診断と治療が必要です。とくに感染症やリウマチ、関節の損傷が疑われる場合は、薬物治療やリハビリが欠かせません。 症状が続く場合は、専門医に相談しましょう。 太り過ぎは膝に水が溜まる原因になりますか? 太り過ぎは体重過多によって膝への負担が大きくなるため、膝に水が溜まる原因になります。 体重が増えると膝関節にかかる負担が増し、軟骨や関節に過剰な圧力がかかるためです。圧力がかかると軟骨の摩耗や炎症を引き起こし、膝に水が溜まる要因になります。 また、肥満は変形性膝関節症のリスクを高めます。体重管理を行い、膝への負担を減らしましょう。 【まとめ】膝に水が溜まってお困りの際は当院へご相談ください 膝に水が溜まる原因は膝への過剰な負担や変形性膝関節症、細菌やウイルス性の関節炎など多くの原因があります。 膝に水が溜まると現れる症状は、歩行時の痛みや熱感、腫れなどです。 治療法は症状の原因や程度によって異なり、保存療法や手術療法に加えて、再生医療という選択肢もあります。 再生医療は、患者さま自身の血液や幹細胞を利用するため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。再生医療が気になる方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。
2019.12.16 -
- 足底腱膜炎
- スポーツ医療
足底腱膜炎の悩み!足裏のアーチを保持して支えるサポーターが有効 足の裏は、立つ、歩く、走るといった動作の際に地面と唯一接する部分なので、スポーツをしている人はもちろんのこと、激しい運動をしていない人であっても負担がかかりやすい部分です。 そうした負担が続くことで足底腱膜炎になってしまう人も少なくありません。もし、足底腱膜炎になってしまったときは、サポーターを使用すると良いでしょう。 今回は、サポーターが足底腱膜炎になっている足に対してどのような役割を果たすのかについて紹介します。 足底腱膜の役割 足底腱膜炎に使用するサポーターの役割を紹介する前に、まずは足底腱膜の役割について解説します。 人の足の甲にある骨はアーチ状になっていて、体重を支える役割があります。また、歩いたり走ったりして負荷がかかる際に衝撃を吸収するクッションのような役割もあります。 足の甲にある骨がこうした役割をしっかりと果たすためには、正しいアーチ状を保持する必要がありますが、骨を支えてアーチを保持しているのが足底腱膜です。 しかし、オーバーワークなどで足底腱膜に負荷がかかった状態が続くと、小さい断裂や炎症が起きて痛みが生じてくるようになります。その症状が、足底腱膜炎です。 足底腱膜炎の対策としてサポーターがおススメの理由 足底腱膜炎の対策にサポーターが有効なわけは、サポーターの主な役割の1つが足裏のアーチの保持をサポートすることがあげられます。 足底腱膜の役割のところで解説したように足の甲の骨が本来の機能を発揮するためにはアーチの保持が大切ですが、足底腱膜と共にサポーターでアーチを支えることで保持しやすくなります。 また、サポーターには踵への衝撃を吸収して緩和する役割もあります。クッション性のあるサポーターをつけることで歩いたり、走ったりした時などの衝撃による負荷を軽減して足底腱膜炎の痛みを和らげることができます。 足底腱膜炎を対策するサポーターの種類 現在、足底腱膜炎対策のサポーターはたくさん販売されていますが、サポーターにはいろいろなタイプがあります。 例えば、リストバンドのようにアーチ部分に装着するタイプや、アーチ部分にパッドをあててベルトで固定するタイプ、踵の部分だけをサポートするタイプ、アーチ部分と踵部分を同時にサポートできるタイプなどがあります。 まとめ・足底腱膜炎の悩み!足裏のアーチを保持して支えるサポーターが有効 足底腱膜炎対策として使用するサポーターの役割について紹介しました。 こちらで紹介したようにサポーターにはいろいろなタイプがありますし、現在ではスポーツ医療も進んで、衝撃吸収性の高いサポーターや付け心地がいいサポーターなどたくさん開発されています。 足底腱膜炎で悩んでいる人は、サポーターをチェックして、自分に合ったものを見つけてくださいね。医療機関でどのようなサポーターがいいのか、また、サポーターはどのようにつけるとより効果的なのか、教えてもらうこともできますよ。 痛みがあるなら、あまり我慢をしないように、医療機関に相談してみてくださいね。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらも併せてご参照ください
2019.12.13 -
- 足底腱膜炎
- スポーツ医療
足底腱膜炎は手術を検討するケースも!手術以外の治療法はある? 足底腱膜炎の治療方法はいろいろありますが、手術も治療方法の1つです。 「足底腱膜炎の手術ってどのようなことがおこなわれるの?」「手術をすれば絶対に治るの?」という疑問を持っている人のために、ここでは足底腱膜炎の手術について解説します。 また、手術以外に足底腱膜炎に対して有効な治療方法はあるのかについても紹介します。 手術の前に検討される足底腱膜炎の治療方法 医療機関で足底腱膜炎の治療をする場合、いきなり手術が検討されることはほとんどなく、まずは、外用剤を使用したり、ストレッチしたりしながらできるだけ安静にして様子を見ます。 しばらくの期間、安静にしていても痛みなどの症状が治まらないという場合や、痛みが強いという場合は、ステロイド注射や、装具を使用して立つとき、歩くときの衝撃を和らげる方法が検討されます。 装具はいろいろあって、ヒールカップ(かかとのクッション材)やインソール(靴の中敷き)などはお店で購入することができます。医療機関では、足底板やアーチサポートなど義肢装具士がその人の足に合わせて作ったものを使用します。 足底腱膜炎の手術が検討されるケース 上記で紹介した治療方法を続けていくと、早い場合は数ヶ月、長い場合でも3年くらいで症状が自然に治まっていく場合が多いです。 しかし、なかなか症状が治まらなかった場合や、我慢できないレベルの痛みになって普段の生活にも支障が出るという場合などに手術が検討されることもあります。 足底腱膜炎の手術では内視鏡下で炎症や損傷などで厚くなっている足底腱膜の一部を切り取ります。そうすることで足底腱膜がゆるまるので、歩く、走るなど足底腱膜が引っ張れるような動作をしたときに痛みが生じにくくなります。 足底腱膜炎の手術以外の治療法 足底腱膜炎の症状が重症化した場合に、以前は手術しか選択肢がありませんでした。しかし、現在では衝撃波を身体の外から照射する「体外衝撃波治療法」や、足首の動脈に点滴のように薬剤を投与する「動注治療」、また、再生医療などの治療を選択肢にすることができます。 足底腱膜炎の痛みで悩んでいる人で、最終的には手術を受けるしかないのかと思っていた人もいるかもしれません。また、手術で治療に期間がかかることを避けたい、手術はイヤなので痛みを我慢しているという人もいると思います。 そういった場合、現在では手術以外の方法もあることを知っておくとよいでしょう。 特に再生医療は、アスリートのケガを治療する最先端の治療法として注目を集めており、スポーツ医療の分野でも貢献しています。 まとめ・足底腱膜炎は手術を検討するケースも!手術以外の治療法はある? 足底腱膜炎の手術についてと手術以外の治療法について紹介しました。 当記事で紹介したように足底腱膜炎の治療法はいろいろあるので、自分の症状に合った治療法を選ぶことが大切です。 痛いのを我慢して放置したり、間違った方法でケアしたりしていると悪化してしまう可能性もあるので、足裏の痛みがなかなか治らないという場合は医療機関で早めに診てもらうことをおすすめします。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらも併せてご参照ください
2019.12.08 -
- スポーツ医療
- 再生治療
筋断裂は、その名の通り筋線維が断裂を起こす疾患を指します。筋断裂からなる一部の状態は肉離れとも呼ばれます。 そんな筋断裂で注意すべきは後遺症です。適切な対処をしないと、長期にわたり痛みや動きの制限に悩まされることもあります。 本記事では、筋断裂の後遺症の症状と、その治療法についてお伝えします。 筋断裂による後遺症 筋断裂は深刻な筋肉の損傷であり、適切な治療と管理が行われない場合、長期的な影響を及ぼす可能性があります。 以下は、筋断裂による主な後遺症です。 コンパートメント症候群 骨化性筋炎 筋断裂による後遺症について解説します。 コンパートメント症候群 ふくらはぎには計4つ(前部・外部・浅後部・深後部)の区画された部屋のような部分があり、筋断裂による内出血で区画されたいずれかの部分に血液が溜まってしまいます。 区画内で血液が溜まってしまうとその中にある血管や神経が圧迫され、痛みやしびれなどの症状が出ます。 また、区画内の組織が強く圧迫された状態になると筋肉の壊死や神経障害を引き起こし、さまざまな機能障害の後遺症が残る可能性があります。 骨化性筋炎 骨化性筋炎とは、筋肉内に骨様組織が形成されることによって、腫れや痛み、関節の動きに制限がかかるなどの症状が出る疾患です。 筋断裂で内出血を起こし血液が溜まったところにカルシウムが沈着し、石灰化してしまうことが原因です。太ももの前側のように、骨に近い部位で筋断裂が起こった際に発生しやすい点が特徴です。 筋断裂による後遺症を防ぐために重要な「RICE処置」とは? RICE処置は、以下の頭文字を取った応急処置です。 Rest(安静) Icing(冷却) Compression(圧迫) Elevation(挙上) 後遺症を防ぐためには、外傷の応急処置を適切に行う必要があります。RICE処置が早ければ早いほど、ケガの早期回復が期待できます。 ただし、RICE処置はあくまで応急処置ですので、処置の後は必ず医療機関を受診して適切な治療を受けてください。 筋断裂による後遺症の治療方法 筋断裂による後遺症の治療方法を紹介します。 コンパートメント症候群の治療方法 骨化性筋炎の治療方法 後遺症によって治療法が異なります。 コンパートメント症候群の治療法 筋膜切開 必要に応じて高カリウム血症を治療 必要に応じて横紋筋融解症を治療 症状が軽減しない限り、筋膜切開が行われます。循環不全によって滞った血液の流れを元通りに戻す手術です。 治療が遅れると筋肉が壊死して、横紋筋融解症や高カリウム血症などの合併症により重症化する可能性があります。さらに放置すると命に関わる感染症を引き起こす場合があるため、早急な治療が必要です。 骨化性筋炎の治療法 骨化性筋炎は、症状の重さによって治療方法が異なります。主に以下の治療が行われます。 活動制限、電気療法などの保存療法 骨を除去する手術療法 保存療法での治療中は、足に負担をかけないために患部を固定します。 保存療法で症状の改善が見られない場合や、症状が進行している場合には手術が検討されるケースがあります。 筋断裂の早期回復を目指せる選択肢として「再生医療」をご検討ください 再生医療は、患者さま自身の細胞を用いた治療法で、拒否反応やアレルギーのリスクが低い治療法です。 患者さまの幹細胞を採取して加工し、投与するので入院・手術の必要がありません。 筋断裂の治療でお悩みの方や、スポーツに早期に復帰したい方は再生医療をご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療の提供を行っています。 無料のメール相談、オンラインカウンセリングを承っているので、ぜひお気軽にご相談ください。 筋断裂の予防・再発防止のためにできること 筋断裂の後遺症を予防するには、応急処置が大切です。しかし、筋断裂そのものを予防することがさらに重要です。 筋断裂を予防するために、日ごろからストレッチを行い筋肉の柔軟性を確保しましょう。 ストレッチを行う際は、筋肉への負担が少ない「筋肉が縮みながら力を発揮する動き」が好ましいです。具体的には階段を上る、ダンベルを持ち上げるといった動作です。 反対にダンベルをゆっくり下ろす動作やスクワットでしゃがむ動作など「筋肉が伸びながら力を発揮する動き」は負荷が大きく筋損傷のリスクがあるため、慎重に行う必要があります。 筋肉が伸びている状態で大きな力が加わることで筋損傷を引き起こすケースが多いです。 日ごろの筋肉トレーニングやストレッチに加え、スポーツで使う筋肉を鍛えておきましょう。 筋断裂の後遺症に関するよくある質問 筋断裂の後遺症に関してのよくある質問を紹介します。 筋断裂と肉離れの違いは? 筋断裂の後遺症は治らない? 筋断裂やその後遺症に関してお悩みの方は参考にしてください。 筋断裂と肉離れの違いは? 筋断裂と肉離れは混同されがちですが、実際は程度が異なります。 筋断裂 筋肉の線維が完全に切れてしまう 肉離れ(筋挫傷) 筋肉の線維が部分的に損傷する 筋断裂は、筋肉の線維が完全に切れてしまう重度の損傷を指します。一方で肉離れは、筋肉の線維が部分的に損傷する状態で、軽度から中程度までさまざまです。 筋断裂は肉離れよりも重症度が高く、完全に回復するまでにより長い時間がかかります。また、後遺症のリスクも高くなります。肉離れでは、痛みや不快感はあるものの、通常は筋断裂ほど重症ではありません。 筋断裂の後遺症は治らない? 筋断裂の後遺症は、適切な治療とリハビリテーションによって多くの場合改善されます。しかし、完全に元の状態に戻るかどうかは、損傷の程度や部位・個人の回復力・治療の質によって異なります。 たとえば、コンパートメント症候群や骨化性筋炎などの重度の合併症では、早期の適切な治療が行われなかった場合、永続的な機能障害が残る可能性があります。 一方で、適切な治療とリハビリテーションを受けることで、多くの方が日常生活やスポーツ活動に復帰されています。 重要なのは専門医の指導の下で、個々の状況に応じた適切な治療計画を立て、忍耐強くリハビリテーションに取り組むことです。 【まとめ】筋断裂の後遺症を防ぐには初期対応が重要 筋断裂の後遺症を防ぐには、受傷直後の応急処置が大切です。痛みを軽減するだけでなく、ケガの早期回復にも効果が期待できます。 筋断裂の後遺症を残さないためにも、医療機関で適切に治療を受けることが大切です。 筋断裂の後遺症を予防するのも大切ですが、筋断裂そのものを防ぐために、スポーツ前の準備運動を欠かさず行いましょう。 スポーツによる筋・腱・靭帯の損傷には、再生医療という選択肢もあります。 再生医療について詳しく知りたい方や、治療を検討している方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。
2019.12.02 -
- ひざ関節
- 再生治療
- スポーツ医療
ロードバイクで鵞足炎の可能性!膝の痛みがあるなら疑うべき ロードバイクで気持ちよく颯爽と駆け抜ける中、急に膝の痛みが…。その痛みは、もしかすると鵞足炎かもしれません。今回はロードバイクで鵞足炎になるのかについて、また、鵞足炎の症状や原因について解説します。 ロードバイクで膝の痛み…鵞足炎を発症することもある 久しぶりにロードバイクを楽しんでいたら、膝に痛みが…。という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。そして、その痛みは鵞足炎かもしれません。 鵞足炎とは、膝を取り巻く3つの筋肉が合わさる鵞足という部分に炎症を生じる病気で、内側に膝を曲げたりするようなスポーツにより、過度な負荷がかかることによって起こります。 そして、ロードバイクでは、誤ったフォームによる膝への過度な負担が引き金となって、鵞足炎を発症するケースがあります。 ロードバイクで鵞足炎にならないようにするには? 鵞足炎はウォーミングアップが足りない、オーバートレーニングなどが原因の1つになります。ロードバイクだけでなく、スポーツなど体を動かす前には十分なストレッチやウォーミングアップが必要不可欠です。 また、ロードバイクの誤ったフォームとして、つま先が外側に向いてしまう、膝を内向きにして漕いでしまうという2つが挙げられます。このようなフォームでロードバイクを続けると、疲れが溜まりやすいですし、疲れがたまると、フォームへの意識が疎かになることがあります。 ロードバイクでは、きちんとしたフォームが大事!自分のフォームを見つめなおしましょう。 繰り返す鵞足炎の痛みでロードバイクが楽しめない!再生医療という最新療法 鵞足炎は一度発症すると何度も再発しやすい病気です。せっかくロードバイクを楽しんでいても、再発が怖い、痛みがあってロードバイクすら乗れないという方は、再生医療という治療法を検討してみてはいかがでしょうか。 現在ではPRP療法といって、自分の血液から取り出した血小板を濃縮し、その液体を直接患部に注射して血小板のもつ修復作用で病気を治すという治療法があります。 入院や手術の必要もありませんし、体に負担がかかりにくいというメリットもあります。 まとめ・ロードバイクで鵞足炎の可能性!膝の痛みがあるなら疑うべき 鵞足炎は予防をすることができる病気ですが、完全に発症を防ぐということはできません。ロードバイクが趣味という方には、膝の痛みは致命的な症状と言えるでしょう。鵞足炎を発症しないためにも、十分なウォーミングアップと適切なフォームの見直しをこころがけましょう。 また、何度も鵞足炎を繰り返すという方は再生医療という治療を選択するのも1つの選択ですよ。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらも併せてご参照ください
2019.10.20 -
- 肩
- スポーツ医療
肩腱板損傷で悩む野球選手、従来の治療法と最新の再生医療をそれぞれ解説 野球選手にとって、肩の故障はとてもつらいものですよね。 肩を酷使するスポーツの1つである野球は、肩のトラブルを起こしやすいことが知られています。肩の腱板損傷もその1つであり、場合によっては野球選手としての選手生命に関わる重大な問題になる可能性があります。 そこで、肩腱板損傷の従来の治療法と、新しい治療法である「再生医療」について解説したいと思います。 野球選手の肩腱板損傷の原因と従来の治療法 肩腱板損傷の主な原因は、転倒時や肩のケガなどの衝撃により腱板に損傷や断裂などですが、野球選手の場合はその他にも「肩のオーバーユース」が原因となっている可能性が高いです。 野球選手はピッチャーを中心に投球動作を繰り返すスポーツであるため、肩や肘、手首などのオーバーユース(使いすぎ)によるケガのリスクは、スポーツをしていない人と比較してどうしても高くなってしまいます。 肩腱板損傷の治療法 肩腱板損傷の従来の治療法は、主に「保存療法」と「手術」の二択となっています。 保存療法は患部の安静を確保して症状の悪化を防ぎ、自然に肩腱板が治癒するのを待つ治療方針で、痛みなどの症状に対しては「薬物療法」などで対応します。軽度の障害であれば、保存療法(リハビリ)をしっかり行うことにより、数週間~数か月で症状が改善するケースもあります。 一方で保存療法が奏功しない場合や、症状が重い場合などには手術が選択されることもあります。これは肩腱板に対して直接の治療行為を行う方針であり、保存療法では改善しない症状でも改善できる可能性が高い一方で、患者さんの体に大きな負担をかけることになります。 また、保存療法と比較して手術には「失敗のリスク」があり、場合によっては肩の重大なトラブルに発展して選手生命の危機に陥る可能性も否定できません。 肩の腱板損傷、従来の治療法 保存療法(リハビリ) 薬物療法(痛みに対処) 手術(選手生命の危機を覚悟) 肩腱板損傷の治療で効果を期待できる「再生医療」とは 保存療法と手術、どちらも治療内容や治療結果に何らかのデメリットを抱えており、野球選手として活動を続けたい人にとって無視できない問題となります。 しかしながら、肩腱板の損傷を放置すれば、ベストパフォーマンスで野球を続けることは難しく、症状の悪化は避けられません。そこで、治療方法の選択肢としておすすめしたいのが「再生医療」です。 再生医療は手術を必要とせず、入院も必要ありません。保存療法(リハビリ)よりも積極的に患部を修復することで高い治癒効果を発揮する治療法です。 手術を避けることができるため、メスを患部に入れる必要がありません。筋肉を傷つけないことは選手生命を考えた場合には非常に大切なファクターになります。 合わせて入院を必要としないため、入院による体力の低下を恐れる必要が無くなり、その意味からも選手生命に優しい治療法と言えるのです。 ただ、この再生医療は日本ではまだまだ浸透しきっていない治療法ではありますが、すでに世界中の有名スポーツ選手が再生医療を利用している実績のある治療法です。 今後、注目されていくのではないしょうか! 海外のスポーツシーンで多用される再生医療 手術やそれに伴う入院を避けることができる メスを使わない、復帰に向けた選手生命を維持できる可能性が高い 入院不要、体力などの低下を助けることができる 保存療法より積極的に患部を修復する攻めの治療法 保存療法と合わせれば大きな期待を持つことが可能 まとめ・肩腱板損傷の治療で悩む野球選手に最適な話題の「再生医療」とは 肩腱板損傷のリスクは、野球選手として活動する以上はどうしても避けられないものです。早期の段階で治療をし、重症化することがないようにしましょう。 治療法の1つとして、再生医療をご紹介しました。再生医療は低リスクで高い治療効果を期待できる治療法であり、肩腱板損傷で悩む野球選手にとっても、メリットの多い治療法であるといえます。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。 再生医療は厚生労働省による厳しい基準をクリアしたクリニック等でしか受けることができません。通常の整形外科やクリニックでは受けることができません。当院は再生医療の専門クリニックです。 治療に関するお問合せやご不安、適用になるかなど、お問い合わせ頂ければ丁寧にお答えさせて頂きます。 以上、肩腱板損傷の治療で悩む野球選手に最適な再生医療について記させていただきました。ご質問等ございましたらご遠慮なくお問い合わせください。 監修;リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらも併せてご参照ください
2019.09.10 -
- スポーツ医療
「最近、水泳の練習中や練習後に股関節が痛む・・」と感じていませんか? 水泳は関節への負担が少ない低負荷の運動とされていますが、同じ動作を繰り返し行うことで股関節周辺の筋肉や筋膜に過度の負担がかかることがあります。 とくに、平泳ぎのように股関節を大きく使う泳法では、インピンジメントや関節唇損傷といった症状が起きることもあり、放置すると悪化やパフォーマンスの低下につながる恐れも。 この記事では、水泳によって股関節に痛みが生じる主な原因と、その対処法について詳しく解説します。 水泳によって股関節が痛くなる原因や治療法まで把握して、水泳を無理なく長く楽しむための知識を身につけましょう。 水泳で股関節が痛くなる主な原因 水泳は全身運動として健康に良いスポーツですが、フォームなど何かしらの問題があると、股関節に痛みを引き起こすことがあります。 本章では、水泳によって股関節に痛みが生じる以下の原因について詳しく解説します。 オーバーユースや筋膜の緊張 股関節インピンジメント 股関節唇損傷 これらの症状を早期に発見・対処して、水泳を長く楽しみましょう。 オーバーユースや筋膜の緊張 オーバーユース(使いすぎ)による股関節の痛みは、とくに長時間・高頻度のトレーニングを行う競泳選手に多く見られる症状です。 水泳では股関節を繰り返し動かすため、周辺の筋肉や筋膜に負担がかかり緊張状態になりやすく、これが長期間続くと股関節周辺に痛みを引き起こすことがあります。 このような症状は、適切な筋膜リリースやストレッチによって改善できる可能性があります。 また、痛みを予防するためにも水泳前後のウォームアップやクールダウンを行い、あわせてトレーニング量の調整にも意識して取り組みましょう。 股関節インピンジメント 股関節インピンジメントは、大腿骨頭と臼蓋(股関節の窪み)の間で骨同士が衝突することで、股関節の可動域が制限される状態を指します。 水泳、とくに平泳ぎのキック動作では股関節の屈曲・外旋・内転といった複雑な動きが繰り返されるため、股関節インピンジメントを引き起こす要因となることがあります。 股関節インピンジメントになると、膝を抱え込むように股関節を内側へ曲げる動作や、仰向けであぐらを組むようなときに痛みを感じることが多いです。 この症状は通常のX線写真では見つけにくいため、CTやMRI検査、関節鏡検査が行われます。 股関節インピンジメントの治療では、運動を控えることが基本です。 また薬物療法や関節内注射でも改善する可能性がありますが、重症の場合は手術が必要なこともあります。 股関節唇損傷 股関節唇損傷は、大腿骨頭と臼蓋(股関節の窪み)の間にある股関節の安定性と滑らかな動きを支える関節唇が傷ついた状態です。 水泳における強い屈曲・回旋動作が、この関節唇に負荷をかけ、損傷を引き起こすことがあります。 主な症状は股関節や足の付け根の痛みで、股関節を曲げると痛みが強くなります。 放置すると変形性股関節症に進行する可能性が高くなる場合もあるため、早期の治療が重要です。 初期段階では安静や消炎鎮痛剤、理学療法が中心となりますが、症状が続く場合は手術も検討されることもあります。 水泳の中でも平泳ぎは股関節に痛みが出やすい 水泳の代表的な泳法の中でも、とくに平泳ぎは股関節に負担がかかりやすいとされています。 平泳ぎのキック動作は「蛙足」とも呼ばれ、以下のように複合的な動きを繰り返し行います。 屈曲:足を引き寄せるときに股関節を前方に曲げる 外旋:膝を外に開く動作 内転:蹴り出すときに足を内側に寄せる動き この一連の動きの繰り返しによって、股関節唇損傷やインピンジメントを引き起こす一因になる可能性があります。 しかし、適切な対策を取ることで、平泳ぎによる股関節への負担を軽減することが可能です。 まず、正しいフォームを身につけることが重要で、過度に膝を開きすぎない、蹴り出しの際に足首をしっかり曲げるなどの点に注意しましょう。 また、水泳前後のストレッチを丁寧に行い股関節周囲の柔軟性を高めるとともに、筋力強化トレーニングを取り入れることで関節の安定性を向上させ、負担を分散することができます。 これらの対策を日常的に取り入れて、股関節を痛めないように予防しましょう。 股関節の痛みに対する治療方法 股関節の痛みに対する治療方法としては、主に次の2つがあります。 保存療法 手術療法 症状の程度や原因によって、適切な治療法が選択されます。 保存療法 水泳による股関節の痛みに対しては、手術を行わずに症状の改善を目指す「保存療法」が選択されることが一般的です。 保存療法では、まず活動の制限を行います。 痛みを引き起こす動作、とくに平泳ぎなどの股関節に負担のかかる泳法を一時的に控えることで、炎症を抑え組織の回復を促します。 薬物療法も効果的で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や外用剤を使用して、痛みや炎症を抑えます。 症状が強い場合には、ステロイド剤や麻酔薬の関節内注射も治療の選択肢です。 また、理学療法も治療において重要な位置を占めており、専門のセラピストによる股関節周囲の筋力強化やストレッチング、筋膜リリースなどが行われます。 理学療法により、股関節の安定性が高まり、痛みの原因となる動きの改善が期待できます。 ご自身による日常生活での自己管理も大切で、適切なウォームアップやクールダウン、正しいフォームの習得、そして十分な休息を取ることで、症状の再発を防ぐことができます。 手術療法 保存療法で症状が改善しない場合には、手術療法が検討されます。 股関節の問題に対する代表的な手術方法としては、股関節鏡手術(内視鏡手術)があります。 股関節鏡手術(内視鏡手術)は小さな切開から内視鏡を挿入して行う低侵襲な手術です。損傷した関節唇の修復や、インピンジメントを引き起こす骨の突出部分を削る処置などが行われます。 股関節唇損傷の場合は、股関節鏡視下股関節唇形成術という手術が行われます。可能な限り本来の組織を温存することを目指して、傷ついた股関節唇を縫い合わせる手術です。 また、大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)に対しては、大腿骨頭の出っ張り(カム変形)を削る処置も組み合わせて行われます。これにより股関節唇への負担を軽減し、変形性股関節症への進行を防ぐことができます。 股関節鏡手術は入院期間も短く、術後のリハビリテーションを経て多くの場合、スポーツ活動への復帰が可能です。ただし、完全な回復には数か月を要することがあります。 より重度の変形性股関節症に進行している場合には、人工股関節置換術などのより大きな手術が必要になることもあります。 【まとめ】水泳時に股関節が痛む場合は放置せず、医療機関へ受診を 水泳は全身運動として健康に良いスポーツですが、適切なフォームや対策なしでは股関節に痛みを引き起こすことがあります。 股関節の痛みを防ぐには、フォームの見直しや運動前のウォームアップ、休息を設けるなどの対策が必要です。 症状によっては、運動の制限や薬物療法で改善できますが、重症の場合は手術が必要になるケースもあります。 手術を避けたい、入院せずなるべく短期間での治療をしたいとお考えの方は、再生医療も治療の選択肢としてご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、股関節の痛みに対して2つの再生医療「幹細胞治療」と「PRP療法」を行っています。 どちらも患者さま自身の幹細胞・血液を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 また、手術・入院を伴わないため、早期のスポーツ復帰も目指せます。 「幹細胞治療」と「PRP療法」について詳しく知りたい方は、当院へお気軽にご相談ください。
2019.09.02 -
- ゴルフ肘
- テニス肘
- 肘
- スポーツ医療
低周波治療器は、電気刺激を利用して筋肉の痛みをやわらげる医療機器のことです。パッドを貼って微弱な電流を体に流して治療を行います。 肘の外側に痛みが生じるテニス肘にも低周波治療は有効で、症状の緩和に役立つ可能性が高いです。 そこで本記事では、テニス肘に低周波治療器を使う方法や併用がおすすめの治療法について詳しく解説します。低周波治療器を有効に活用して、テニス肘の痛みをやわらげてください。 テニス肘における低周波治療器の貼り方 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、上腕骨の遠位部に位置する外側上顆で炎症が起きて発症します。 低周波治療器は、痛みを感じている部分に貼るのが重要なので、テニス肘の症状を緩和したい場合は肘の外側に貼ります。 炎症が強い急性期には適していない場合が多く、症状が落ち着いてきた亜急性期から慢性期に使用しましょう。 治療前に必ず医師の診断を受け、適切な治療法と時期を判断してもらうのが重要です。電気刺激を行うと以下の効果が得られます。 血流が良くなり、疲労物質の排出が促進される 筋肉の緊張が緩和される 外側上顆や内側上顆への負担が軽減される テニス肘の治療方法【低周波治療器以外】 テニス肘の治療法として、以下の方法も効果的です。自分の状態に合わせて取り入れてください。 ストレッチを行う 冷やす・温める 病院で温熱治療を受ける 運動療法を行う 患部をマッサージする 整体に通う ステロイド注射を打つ 手術を受ける テニスエルボーバンドを装着する ストレッチを行う テニス肘は前腕の筋肉が緊張したり過度な負担がかかったりして発生します。筋肉が硬くなっているため、前腕の筋肉を伸ばすストレッチが有効です。 テニス肘の場合はとくに手首の伸筋群(前腕)を入念にストレッチしましょう。肘を伸ばした状態で、手首を掌側(手のひら)に反対の手で手首を曲げると手首の伸筋群のストレッチが出来ます。 逆に、手首を伸展方向に他動的に曲げると前腕の屈筋群のストレッチが出来ます。どちらのストレッチも、肘の関節が伸びている状態で行ってください。 前腕の屈筋群も伸筋群も、肘関節と手関節をまたぐ筋肉なので、肘が伸びていないとストレッチ効果が半減します。 冷やす・温める テニス肘の症状に対するケアは、状態によって異なります。 自宅で患部を温める場合は以下のケア方法がおすすめです。 お風呂でゆっくり温まる 電子レンジで温めた蒸しタオルを患部に当てる カイロを活用する また、慢性期では患部を冷やさないよう注意が必要です。長袖を着用したり、上腕から前腕まで覆うサポーターを使用したりするのも効果的です。 いずれの場合も、症状の程度や経過によって適切なケア方法が異なるため、必ず医師の診断を受け、指示に従いましょう。自己判断でケアを行うのではなく、専門家のアドバイスを受けながら、症状に合わせた適切な対応を心がけてください。 病院で温熱治療を受ける 自宅で患部を温めるだけでなく、整形外科や接骨院などで受けられる温熱療法も効果的です。 筋肉を温めるという点ではまったく同じですが、温熱治療器を使えば芯の部分からしっかり温められます。赤外線治療器なら、体表面よりも深部を温められるため、効率的です。 さらに、ホットパックという道具を使うと温度を一定に保てるので、自宅で行うよりもよく温まります。 運動療法を行う 肘関節の屈曲や伸展、手関節の屈曲や伸展、手指の屈曲や伸展といった動作をスムーズに行うために、運動療法を受けるのも効果的です。運動療法は患部外を含めた練習動作も行います。 スポーツにおける体の動かし方が間違っているとすぐに再発してしまいます。また、テニス肘やゴルフ肘の痛みが軽減してからは、筋力強化も重要です。 前腕の屈筋群と伸筋群、肘の屈曲動作に関わる筋肉を強化すると、テニス肘やゴルフ肘の再発を予防できます。最初はあまり大きな負荷でやらずに、500mlのペットボトルを上げ下げする程度の運動がおすすめです。もし、痛みや違和感を感じた場合は、直ちに運動を中止し、医療専門家に相談しましょう。 患部をマッサージする 前腕の屈筋群や伸筋群をマッサージしたり、上腕・肩甲骨周辺のマッサージをしたりするのも重要です。マッサージによって筋肉の緊張を取り除き、外側上顆にかかる牽引力を軽減できます。 肩甲骨周りの動きが制限されると肩から指先にかけて負担がかかるため、上腕や肩甲骨周辺までマッサージを行います。 マッサージをあまりにも強い力でやりすぎると、かえって自分の体を守ろうとして筋肉が硬くなる可能性もあるため、マッサージが強ければ強いほど良いわけではありません。 整体に通う テニス肘の治癒を早くするために、全身のバランスも整えましょう。背骨の歪みによって、前腕に大きな負担をかける場合があります。 テニス肘が発症する理由は、単に前腕の屈筋群や伸筋群の使い過ぎだけでなく、体のバランスの崩れも考えられます。 たとえば猫背やストレートネックなど、肩甲骨の動きが悪くなるような姿勢だと、上肢全体の動きが悪くなります。通常よりも前腕の屈筋群や伸筋群に大きな負担をかけるので、テニス肘のリスクが高まるのです。 肘や前腕の治療を集中的に行っても痛みがなかなか軽減しない場合は、医師に相談した上で、姿勢や体全体のバランス評価を受けることを検討しましょう。医師の指示のもと、理学療法士や整体師など他の専門家の助言を得ると、より包括的なアプローチが可能です。 早期治癒と再発予防を目指す場合は、医師の診断と指示に基づいて、適切なリハビリテーションプログラムや姿勢改善エクササイズを取り入れるのが効果的です。 ステロイド注射を打つ テニス肘は、上腕骨外側上顆炎とも言われており、肘の外側に痛みが出る病気です。痛みが強い場合はステロイド注射をする場合もあります。 ステロイド注射は頻繁に打つと肘の腱が弱まるため、打てる回数が決まっています。打てる回数は年に3~4回程度で、1回目の注射から3カ月間の期間を空けてください。 ステロイド注射は即効性があり、数日から数週間効果が持続します。湿布などで痛みを取り除けず日常生活に支障を来す場合は、医師に相談してみましょう。 手術を受ける テニス肘は、症状が重症化すると手術が必要になる可能性があります。テニス肘は進行すると腕を曲げきれない、伸ばしきれないなどの症状が出るケースがあります。 症状がでるとスポーツはもちろん、日常生活にも大きな支障をきたしかねません。そのため、症状が進行した患者さんには、手術による治療が勧められています。 テニス肘になりやすい人の特徴 テニス肘になりやすい人には以下の特徴があります。テニス肘を再発予防するためにも、ぜひ押さえておきましょう。 テニス初心者 肘以外に痛みを抱えている人 姿勢が悪い人 テニス初心者 初心者の場合、ラケットのスイング動作を上肢の力に頼って行う人が多いです。 長年経験している方や、スポーツが上手い方のは、体幹の力を上手く使って体全体を回転させて打ちにいけますが、出来ないうちは肘や手首に負担がかかります。 結果的に外側上顆に付着する筋肉へと負担が集中するため、痛みを発症しやすいです。 肘以外に痛みを抱えている人 肩や腰など、前腕以外に痛みを抱えている人はテニス肘のリスクを高めてしまいます。テニスは回転動作を行うスポーツのため、腰に不安があると体の回転が甘くなります。 その分パワーを発揮するには上肢の筋力を発達させなければなりません。その結果前腕に力が入り、テニス肘を発症しやすくなってしまうのです。 日常生活の中でも、肩に痛みがあれば腕が上がりにくくなります。例えば腕を上げて行わなければならない洗濯物を干す動作をすれば、前腕に余計な負担をかけてしまうでしょう。 なお肘だけを治療しても改善に時間がかかります。肘以外の痛みの治療も並行して行いましょう。 姿勢が悪い人 背骨のバランスが悪い人は、肩を中心とした上肢の筋肉に慢性的な負担がかかり続けます。猫背などのように、横から見たときに頭の位置が体幹からかなり前に出ている人は、首から背中にかけて日常的に負担をかけ続けています。 その結果肩甲骨の動きが悪くなって肩の可動域が狭まり、肘から先にも疲労を溜めやすくなるのです。さらに姿勢が悪い人は背骨のしなやかさが失われている場合が多く、仰向けや横向きになったときに体が休まりません。 すると睡眠時の回復力が低下してしまうので、疲れが抜けにくく筋肉の疲労を蓄積してしまいます。疲労からテニス肘の症状につながるケースがあるので、姿勢の改善はとても重要です。 テニス肘と低周波治療器に関するよくある質問 テニス肘と低周波治療器に関するよくある質問にお答えしていきます。以下を参考にして、効果的に低周波治療器を使用しましょう。 低周波治療器は使いすぎるとどうなりますか? 低周波治療器の効果的な使い方を教えてください テニス肘の安静期間はどのくらいですか? 低周波治療器は使いすぎるとどうなりますか? 長時間の治療や出力を強くしすぎた場合は、過剰な刺激になってしまい筋肉が疲労します。(文献1)心地良いと感じる強さで1カ所あたり3〜15分程度行いましょう。 症状に合わせて刺激時間を30分程度に長くしても問題ありませんが、人によっては疲れを感じやすいため注意が必要です。 低周波治療器の効果的な使い方を教えてください 低周波治療器を効果的に使うためには、正しいパッドの貼り方と電気刺激の強度を知ることが重要です。 パッドは痛みのある部位に貼りましょう。痛みのある部位に合わせて上下または左右で挟むように貼るとより効果的です。強さは強すぎず心地良いと感じる強さで実施してください。(文献2) テニス肘の安静期間はどのくらいですか? テニス肘は原因となった動作を行うと痛みが出るので、安静にする必要があります。 軽い場合は数週間程度で治りますが、症状によっては2〜3カ月ほど安静期間が必要です。重症になると、さらなる安静期間をすごさなければなりません。 テニス肘の可能性がある人は、早期に医療機関を受診して医師の診断を受けましょう。 低周波治療器を効果的に貼ってテニス肘の痛みを改善しよう テニス肘の治療法として有効な低周波治療器のパッドの貼り方や、それ以外に併用できるおすすめの治療法を解説しました。発症時期に合わせて適切に低周波治療器を使用すると、テニス肘の痛みの改善が期待できます。 テニス肘になりやすい特徴に当てはまっている方は、その他の原因の治療も必要です。自分ひとりで解決しようとせず、症状が重症化する前に早期治癒と再発予防に努めましょう。 手術を避けたい場合は、再生医療も選択肢の1つです。当院では来院前の無料相談をメールで受け付けておりますので、まずは一度ご連絡ください。 参考文献 文献1^ Yoon YS, Ko MH, Cho IY, Kim CS, Bajgai J, Jang HY, Kim KE, Lee KJ, Lee M. Effects of Personal Low-Frequency Stimulation Device on Myalgia: A Randomized Controlled Trial. Int J Environ Res Public Health. 2022 Jan 10;19(2):735. doi: 10.3390/ijerph19020735. PMID: 35055558; PMCID: PMC8775751. 文献2^ Chesterton LS, Lewis AM, Sim J, Mallen CD, Mason EE, Hay EM, van der Windt DA. Transcutaneous electrical nerve stimulation as adjunct to primary care management for tennis elbow: pragmatic randomised controlled trial (TATE trial). BMJ. 2013 Sep 2;347:f5160. doi: 10.1136/bmj.f5160. PMID: 23999980; PMCID: PMC3759476.
2019.04.12 -
- テニス肘
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日常生活で特に思い当たる原因がないのに、ジンジンとした痛みや違和感を抱える方は少なくありません。 このような痛みが続くと、普段の動作に支障をきたしたり、不安を感じたりすることもあります。 本記事では、肘の外側が痛む原因として考えられる上腕骨外側上顆炎(テニス肘やスマホ肘)や神経痛について詳しく解説します。 肘の痛みを抱える方が少しでも安心して対策を講じられるよう、お役立ち情報をお届けします。 何もしてないのに肘(外側)が痛む原因 何もしていないのに肘の外側が痛む主な原因は、上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)と呼ばれる肘の病気です。 別名でテニス肘やスマホ肘とも呼ばれ、老若男女問わず発症する可能性があります。 上腕骨外側上顆炎の概要や治療法、予防法について詳しく解説します。 上腕骨外側上顆炎(テニス肘・スマホ肘)とは 上腕骨外側上顆炎とは、別名でテニス肘・スマホ肘と呼ばれる病態です。上腕骨にある外側上顆で炎症が起きる症状を指します。 上腕骨外側上顆炎の根本的な原因は、肘関節よりも前腕の筋肉群で生じる過度な負担です。手関節や手指の伸展動作に関わる筋肉で、前腕の伸筋群と呼ばれます。 前腕の伸筋群は上腕骨の外側上顆から前腕を通過し、手関節の先まで通っています。そのため、前腕の伸筋群を使いすぎによるダメージの蓄積が外側上顆にも負担をかけているのです。 ぶつけていないのに肘が痛くなるのはなぜ? 手関節や手指を繰り返し動かすことで前腕伸筋群が伸張を繰り返し、その牽引力が外側上顆の一点にかかります。 これが長時間・長期間続くことで徐々に外側上顆が炎症を起こし、結果的に伸ばすと痛い・曲げると痛いといった何もしなくても肘の外側に異常が生じるのです。 前腕の筋肉を酷使するテニスプレーヤーに多い症状であることから、テニス肘と別名がついています。 また、長時間にわたる操作でスマホを持つ(支える)前腕の筋肉が硬直し、外側上顆に負担をかけることからスマホ肘とも呼ばれています。 そのため、前腕をよく使うスポーツ選手はもちろん、何気ない日常生活から万人が発症します。 肘関節の構成 肘の関節は、上腕骨・前腕の橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)の3つの骨で構成されています。 肘関節を詳細に分類すると3つの関節が1つの関節包の中に納まっています。 肘関節を動かす最も大きな筋肉は上腕二頭筋です。肘関節の屈曲と前腕の回外の運動に関わっています。 上腕二頭筋は肩甲骨から上腕を通過して前腕まで通っているため、肩関節の異常が肘関節に影響する可能性もあります。 また、肘関節伸展に関わる主な筋肉は上腕三頭筋です。これも肩甲骨から上腕を通過して前腕まで通っています。 肩関節から肘関節にかけてコントロールする筋肉なので、肩関節の使い方次第で肘関節に影響を及ぼします。 上腕骨外側上顆炎の症状 上腕骨外側上顆炎はどなたでも起こり得る症状ではありますが、30~50代の女性の発症率が高い傾向にあります。筋力の弱さやホルモンバランスが関係しているとされています。 外側上顆炎は伸筋群が原因であるにも関わらず、手関節の伸展や手指の伸展以外の動作でも肘の外側に痛みを発生させます。 日常生活の動作では、以下の状況で痛みを感じます。 打撲や捻挫のように、一度の外力で急に外側上顆炎になることよりも、日常生活の動作の中で少しずつ負担を蓄積して発症するケースが多いのが特徴です。 そのため、治療が長期間に及ぶことも珍しくありません。 上腕骨外側上顆炎の治療方法 医療機関での上腕骨外側上顆炎の治療方法を紹介します。 上記の治療方法は、症状の程度や患者さんの状態に応じて選択されます。 とくに、再生医療は組織の修復や回復を促進する方法として、効果が期待されています。 1.電気治療 痛みがある肘の外側・前腕の筋肉を中心に行う、低周波や干渉波の電気治療が行われることがあります。 主な目的は前腕の筋肉で起きている緊張を取り除くことと、血流を良くすることです。 しかし、上腕骨外側上顆炎は炎症かつ筋肉の緊張による牽引力が原因であることから、稀に電気治療によって悪化してしまうケースもあります。 電気刺激が強すぎると、かえって自分の体を守ろうとする防衛機能が働き、逆に筋緊張を強めてしまうのです。 同反応が見られた場合は、電気刺激を弱めるか別の保存療法を選択します。 2.手技療法 前腕の筋肉をマッサージやストレッチでほぐすことが主な手技療法です。 上腕骨から指先まで通っている伸筋群もあるため、前腕だけでなく手指の動きを良くすることにもつながります。 手指の動きが良くなれば必然的に外側上顆の負担は減り、肘の外側の痛みが改善する仕組みです。 3.温熱療法 外側上顆炎の患者の中には、お風呂に入った後に少し痛みが軽減する方もいます。 これは、温められることによって血流が良くなり、前腕伸筋群の緊張が和らいだことが要因です。 そのため、赤外線などで外側上顆から前腕にかけて温熱療法を行いつつ、手技療法や運動療法をあわせて行うことで改善を早めます。 4.運動療法 運動療法は、肘関節の正しい動かし方を身につけたり、手関節や手指関節の動きをスムーズにしたりとさまざまな療法が存在します。 もちろん、痛みの程度を見ながら無理のない範囲で徐々に行うことが大切です。 肩関節や肩甲骨の動きが間接的に肘関節に影響を及ぼすため、肩関節の動きを良くして可動域を広げることが外側上顆炎の治療において重要です。 5.背骨の矯正 背骨や骨盤のゆがみを改善することで、外側上顆炎の改善効果が期待できます。 矯正によって姿勢が整うと、肩甲骨や胸椎の動きが正しくスムーズになり、肩関節の可動域が広がります。 肩関節の可動域が広がることで、肘関節への負担が軽減され、結果として手関節や手指の動きがスムーズになるのです。 外側上顆炎の治療では、肘だけに焦点を当てるよりも、背骨のゆがみを含めた全身のバランスを整える方が早期の改善につながりやすいとされています。また、再発予防にも効果的です。 6.再生医療 再生医療は幹細胞や血液を活用して損傷した組織の修復や再生を促進する治療法です。 上腕骨外側上顆炎のような慢性的な炎症や組織損傷に対して、有効な治療方法の一つとして挙げられます。 再生医療は従来の治療法では改善が難しい症例にも効果が期待され、早期の症状緩和や機能回復が目指せます。また、自身の細胞を利用する再生医療は副作用が少ない点も特徴です。 肘の痛みが長引いている場合や、より根本的な治療を検討している方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。 上腕骨外側上顆炎の予防方法 上腕骨外側上顆炎は一度なってしまうと治癒まで比較的時間がかかる症状であり、一度良くなった後も再発するケースが多いです。 そこでこの項目では、自分でできる上腕骨外側上顆炎の予防方法をご紹介します。 肘の痛みにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。 1.ストレッチ 前腕の伸筋群に疲労が蓄積することで外側上顆炎のリスクが高まることから、こまめな前腕のストレッチが予防に有効です。 外側上顆炎を発症した初期はストレッチの動作でも痛みを感じることがあるので痛みが軽減してから習慣にしてください。 やり方は簡単で、手関節の屈曲と伸展方向にゆっくりと伸ばすだけです。 しかし、伸筋群のみのストレッチでは外側上顆炎の再発予防としては不十分です。 屈筋群に緊張があるままだと、手関節伸展がしにくくなり、余計な筋力を発揮させて伸展動作を行わなければならなくなります。 外側上顆の負担を増す原因になるので、屈筋群もあわせてストレッチしておくことが大切です。 2.肘と前腕を温める 冷えは筋肉の緊張を生みやすいので、基本は温めるようにした方が改善の助けになります。 お風呂でしっかり温まることはもちろん、電子レンジなどで蒸しタオルを作って肘の外側から前腕にあてておくだけでも良いセルフケアです。 安価な物でも良いので、肘全体を覆うタイプのサポーターをするのも冷え対策につながるためおすすめです。 神経痛によって肘の外側が痛むこともある! 首から上肢にかけて通っている神経が圧迫されることによって肘の外側で痛みを発生させている場合もあります。 この項目では、肘の痛みの原因となる神経痛の概要や治療方法についてご紹介します。 頚椎ヘルニア・神経痛とは? 神経を圧迫する主な原因の一つに、頚椎ヘルニアが挙げられます。 この疾患は、神経が圧迫されることでさまざまな症状を引き起こします。 姿勢の悪いデスクワーク、バイクの長時間運転などにより、頚椎ヘルニアになってしまうと上記のような症状が現れます。 また、姿勢の悪さから頸椎ヘルニアになった場合は、肩甲骨の内側や外側の痛みや首自体の痛みも同時に感じるケースが多くあります。 肘の外側の痛みに加え、体幹に近い部位に痛みが点在している場合は、神経症状が原因である可能性を考慮することが重要です。 頚椎ヘルニア・神経痛の治療方法 肘の外側で出る痛みが神経痛であった場合、肘の動きの改善や前腕・上腕のマッサージは根本的な治療にはなりません。 神経が発生している背骨から治療していく必要があります。 この項目では、頚椎ヘルニア・神経痛の主な治療方法を5つご紹介します。 1.薬物療法 痛み止めや、ビタミン剤が薬物療法として主に使用されます。 あくまでも薬物療法は鎮痛作用を促すためのものです。 完治にはつながりにくいものの、日常生活に支障をきたす辛い痛みを防ぐ補助的な目的で利用します。 2.温熱療法 神経痛においても温めることが有効な治療方法です。 血流が良くなる上に筋肉の緊張が取れるため、神経の圧迫の軽減につながります。 3.牽引治療 整形外科では、頚椎を牽引して治療することが多いです。 牽引により背骨全体の筋肉がストレッチされ、神経の通り道を広くすることに期待できます。 しかし、牽引治療だけでは完治に至らない場合が多いです。 4.整体 姿勢を改善して首の負担を取り除くことや、関節の動かし方を改善して頚椎から出る神経を圧迫しないような体作りをしていきます。 手術以外の方法の中でも有効な治療方法であり、早期改善と再発予防につながりやすいです。 5.手術療法 スポーツ選手など特別な事情がある場合を除いては稀な選択と言えますが、頚椎の手術も有効な治療のひとつです。 頚椎のシビアな場所だけに、一般的には最終手段として選択される治療方法です。 肘に痛みが生じている際のストレッチ 肘の痛みが生じている際には、適切なストレッチを行うことで症状の緩和が期待できます。 以下に、肘の外側および内側に効果的なストレッチ方法をご紹介します。 肘の外側に効果的なストレッチ 肘の外側の痛みを和らげたいときは、下記のストレッチを試してみてください。 ストレッチは無理をせず、痛みを感じない範囲で行いましょう。 肘の内側に効果的なストレッチ 続いては、肘の内側の痛みを和らげるストレッチです。 ストレッチを行う際は、無理のない範囲でゆっくりと行い、痛みが強くなる場合は中止してください。 また、症状が長引く場合は専門医にご相談ください。 肘が痛む際に自分でできる対処法はある? 肘の痛みを和らげるために、自宅で簡単にできる対処法をいくつかご紹介します。 対処法 効果と説明 サポーターの使用 肘を固定し、動きを制限することで負担を軽減。炎症や痛みの緩和が期待でき、作業や運動中に効果的。 湿布を貼る 消炎鎮痛効果のある湿布で炎症や痛みを緩和。冷感タイプは急性の痛みに、温感タイプは慢性的な痛みに適している。 テーピング 筋肉や関節をサポートして痛みを軽減。専門家に貼り方を教わると効果的で、運動や日常動作の負担を軽くする。 安静にする 痛みが強い場合は肘を安静に保ち、過度な動作を避けることで症状を悪化させない。負荷のかかる作業や運動を控える。 冷却または温める 急性の痛みにはアイスパックで冷却、慢性的な痛みには温める方法が有効。痛みのタイプに応じて使い分ける。 これらの対処法は一時的な痛みの軽減に役立ちますが、痛みが長引く場合や悪化する場合は、医療機関での診察を受けることをおすすめします。 何もしてないのに肘の外側が痛む方からよくある質問 肘の外側が何もしていないのに痛む症状について、多くの方が疑問や不安を抱えています。 そこでこの項目では、よくある質問に対して医師の観点から回答します。 これらの質問に対する正しい理解を深めることで、症状への不安を軽減し、適切な対応が取りやすくなります。 気になる症状がある場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう。 何もしていない肘の痛みはガンの可能性もある? 結論から言えば、肘の痛みがガンである可能性は非常に低いですが、完全に否定はできません。 肘の痛みの大半は、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)や神経痛によるものです。 ただし、痛みが長期間続く、急激な体重減少を伴うなどの場合はガンの可能性も考えられるため、専門医の診断を受けることをおすすめします。 ガン以外にも、関節リウマチなどの自己免疫疾患の可能性もあるため、早期発見・早期治療が重要です。 不安な症状がある場合は、まずは医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けましょう。 ジンジン・ズキズキする肘の痛みはすべて神経痛やテニス肘? ジンジンやズキズキといった肘の痛みは、必ずしもすべてが神経痛やテニス肘が原因ではありません。 肘部管症候群・滑膜ひだ症候群・単純な筋肉の張りなど、考えられる疾患はさまざまです。 正確な診断と適切な治療のためには、症状の詳細な観察と医師による専門的な診断が重要です。 自己診断は避け、持続する痛みがある場合は整形外科をはじめとする医療機関を受診しましょう。 何もしていない肘の痛みは内側にも発症する? 肘の痛みは外側だけでなく、内側にも発症する可能性があります。 何もしていないのに肘の内側に痛みを感じる主な原因として、上腕骨内側上顆炎が考えられます。 この症状は、手首を曲げる筋肉や前腕の筋肉が肘の内側の骨(上腕骨内側上顆)に付着する部分で炎症を起こすことで生じます。 とくに、ゴルフやテニスのバックハンド、野球の投球動作など手首を曲げる動作を繰り返す人に多く見られます。 また、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を取り続けることでも発症することがあります。 本記事で紹介した上腕骨外側上顆炎の内側版と覚えていただいても差し支えありません。 何もしてないのに肘の外側が痛む原因まとめ 肘の外側で起きる痛みは、肘や前腕で問題が起きている場合と頚椎など中枢に近い部分で問題が起きている場合の2種類があります。 両者は治療方法も異なるので、どこで問題が起きているのか見極めるのが大切です。 何もしていないのに発症する外側の肘の痛みを早期に改善したい方は、医療機関を受診し専門医に相談するよう心がけましょう。 また、当院でも肘の痛みに関するご相談を受け付けています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
2019.04.08