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脳卒中の種類と予防!再発を防ぐために? 脳卒中とは、脳の血管障害が原因で発症する疾患群の総称で、脳の血管が破れたり、詰まったりして起こる病気です。 脳卒中の症状は突然起こることが多く、「ついさっきまで元気だったのに、突然手足が動かなくなった」というような急性発症のエピソードを訴え、具体的な時間も言える場合が多くあります。 今回は、脳卒中の種類について、さらに「一次予防」と「二次予防」と呼ばれる予防法についても解説していきます。 脳卒中の種類 脳卒中は、大きく、血管が詰まることで発症する「虚血性脳卒中」と、血管が破れて発症する「出血性脳卒中」に分けられます。 虚血性脳卒中の代表疾患としては脳梗塞が、出血性脳卒中の代表疾患としては、脳出血やくも膜下出血があります。 脳卒中は、2019年2月現在、わが国の死因の第3位を占めます(第1位:がん、第2位:虚血性心疾患)。寝たきりの原因としては第1位であり、寝たきりとなった患者さんの約40%は脳卒中が原因です。 脳卒中には高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙など、いわゆる生活習慣病が大きく関与しています。また、食生活の欧米化などにより、日本人の脳卒中(特に脳梗塞)の割合が増加しています。 ■脳出血 脳出血とは、脳の血管が破れて脳内で出血した状態をいいます。脳出血の多く(約60%)は、高血圧症を基盤とします。高血圧と動脈硬化により脳の細い動脈が壊死を起こし、小さな血管のこぶ(微小動脈瘤)ができます。 強い力(高血圧)がかかることにより、その微小動脈瘤が破れて脳出血を引き起こします。アルコール常飲者、肝機能障害者、血小板減少症の患者さんでは止血機構の作用が悪く、大量出血になる傾向があります。 高血圧のほかには脆弱な血管ができる疾患(脳動静脈奇形、もやもや病、血管腫、脳腫瘍など)の合併症として脳出血が起こることもあります。 ■くも膜下出血 くも膜下出血とは「くも膜下腔(脳の表面とくも膜の間のスペース)」に出血が起きた状態です。原因の多くは脳動脈瘤の破裂で、くも膜下出血の70~80%にあたります。 脳動脈瘤が破裂した場合、急激な頭蓋内圧の上昇により激しい頭痛や悪心・嘔吐、項部硬直などが、さらに脳灌流の低下により意識障害が出現します。 また、頭蓋内圧がさらに上昇すると、周囲の脳組織を圧迫して死に至ることもあります。くも膜下出血発症後の病態としては、再出血(最も多いのは最初の出血後24時間以内)や水頭症、脳血管攣縮(くも膜下出血後4~14日頃に発生)などがあり、時期に応じたケアが必要になります。 ■脳梗塞 脳梗塞とは脳へと伸びる血管が閉塞したり、重度の狭窄を起こしたりして血液の供給が十分でなくなった場合、血管の支配領域の細胞が栄養不足から死に至ります。 まれに、脳の静脈が詰まることで血液の流れが悪くなり、脳梗塞が起こることもあります。脳細胞は、皮膚などとは違って再生能力がないため、一度死滅した細胞はもとには戻りません。 このように、脳細胞が不可逆的に障害された状態を「脳梗塞」といいます。脳梗塞は、主に3つの病型(ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、心原性脳塞栓症)に分類されます。 また、脳梗塞が起こる前触れの状態を「一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)」といいます。脳梗塞と同様に突然症状がみられますが、多くは24時間以内に消失し、画像検査でも脳梗塞の所見を認めない場合を指します。 TIAはその後、脳梗塞に進展する危険性が高いといわれており、早急な原因検索や脳梗塞に準じた治療を行う必要があります。 脳卒中の予防と再発予防 脳卒中を一度起こした人は、原因となる生活習慣や基礎疾患をもっていることが多く、脳卒中を再発するリスクが高いといわれています。脳卒中が再発すると、初発のときよりも重症であったり、重度の後遺症が残ることもあるため、再発予防が重要となります。 再発予防には、生活習慣の改善が必要となり、看護師は患者の生活背景を把握し、それぞれの患者にあった生活指導をしていくことが重要です。 脳卒中の予防 脳卒中の予防には「一次予防」と「二次予防」があります。 脳卒中を起こしたことのない人の発症予防を「一次予防」といい、生活習慣の見直しや環境の改善などにより脳卒中を予防します。また、健診などを受けることで危険因子を早く発見し、治療することが重要となります。 対して、一度でも脳卒中を起こしたことのある患者の再発予防を「二次予防」といい、こちらも生活環境を改善し危険因子を管理すること、また服薬を継続することが重要となります。 脳卒中の危険因子には主に、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、心房細動、喫煙、飲酒、睡眠時症候群(SAS)、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病(CKD)があげられ、日本脳卒中協会は、脳卒中の予防啓発のための「脳卒中予防十か条」、脳卒中の再発予防のための以下のような「脳卒中克服十か条」を掲げて注意を促しています。 脳卒中の一次予防 脳卒中の2次予防(再発予防) 退院後の健康の維持・回復のためには、問題のある保健行動を改善していく必要があり、これを「行動変容」といいます。この行動変容が患者教育・退院指導の主な目的となり、行動変容のためには3つの条件があります。 行動変容のための3つの条件 ■知識 患者さんが何を行うべきか、その理由は何かを知る必要があり、看護師は脳卒中という疾患について、生活環境の改善方法、内服薬継続の必要性を説明し、指導する必要があります。 この際、上記にあげた「脳卒中予防十か条」に沿って説明していくと、患者さんにもわかりやすく説明ができます。コメディカルと連携し、例えば食生活については管理栄養士による栄養指導、運動についてはセラピスト(PT、OT、ST)による自宅で続けられる運動の指導、服薬管理については薬剤師による服薬指導を実施することも効果的な方法です。 ■意欲 患者さんに知識を共有しても、指導内容を継続できなければ意味がありません。指導後、患者さんが実際に行動を導入したり、行動継続の過程において重要となるのが「自己効力感」です。 自己効力感とは「目的とする結果を得るために必要な行動をうまく実行できる確信」と定義されており、この“できるかもしれない”という確信が、行動に移す意欲を促すとされています。 ■技術 技術には無理なく行動を変えるための技、知恵、コツなどが含まれます。そのなかの1つが「小さな目標設定」です。 例えば、生活習慣の改善として適度な運動が挙げられますが、健康増進のためには有酸素運動(30分のウォーキングを週3回行うなど)がよいとされています。 しかし運動習慣のない人にとっては、実現できるのだろうかと不安に思い、行動に移せないことも考えられます。そのような患者さんに対する退院指導では、「バス停1つ分を歩く」「3階までなら階段を使う」など実現できそうな目標を設定し、達成できれば少しずつ目標を上げていくといった提案をしていくことも重要です。 この“小さな目標を達成できた”という気持ちが、自己効力感を高めることにもつながります。 次に、再発予防指導の内容を具体的に紹介していきます。 再発予防指導による生活習慣の改善 ■血圧 脳卒中最大の危険因子といわれており、血圧値と脳梗塞の発症率との関係をみると、血圧値が高くなるほど、発症率が急激に高くなっていきます。 「健康日本21」では、国民の平均血圧が2 mmHg低下すると、脳卒中死亡患者は1万人減少し、ADL(日常生活動作)が新たに低下する患者の発生も3,500人減少するといわれています。 その為には普段から栄養バランスのよい食事を摂るように意識し、塩分の摂りすぎに注意したり、適度な運動をすることが大切です。 また血圧を測る習慣をつけ、血圧を管理することも必要です。 同じ時間、同じ条件で測定し記録するように指導しましょう。高血圧と診断された患者さんは、薬物療法で血圧を正常に保っておくことも重要です。 ■食事 偏った食事は高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、動脈硬化を促進してしまうため、標準体重に対する適切な1日の摂取エネルギー量を目安にした、バランスのよい食事を摂ることが必要です。 塩分控えめ(1日10g未満)、高脂肪の乳製品は控え、魚や植物性(オリーブ油など)の油を積極的に摂るように心がけます。また、食物繊維の多い食事もよいでしょう。 ■運動 ウォーキングなどの有酸素運動を30分以上、週 3 回程度行うのが望ましいといわれています。運動を習慣化するためには、毎日10分程度のストレッチ体操を取り入れるのも効果的です。 ■喫煙 喫煙は百害あって一利なしであり、患者には禁煙を指導する必要があります。禁煙に自信がない患者さんには、「禁煙外来」の受診を勧めるのも 1 つの方法です。 ■飲酒 飲酒は適正量を守ることが重要です。ビールなら 1 日あたり中瓶 1 本(500mL)、日本酒なら 1 合(180 mL)くらいまでといわれています。週1日程度の休肝日をつくることも大切です。 ■服薬 脳卒中の中でも、脳梗塞の再発予防のための抗血栓薬は、効果がみえるものではありません。そのため、勝手に中断したり、手術や検査のために中止になり、そのまま再開されずに未内服となったりすることがあります。 抗血栓薬が何のための薬剤かを説明し、継続の必要性を伝えることが重要です。 まとめ・脳卒中の種類と予防!再発を防ぐために?! 脳卒中を起こすと失語などの高次脳機能障害が残ります。理解力が十分でない患者に対しては、家族も一緒に指導するなどの工夫が必要です。 食事は配偶者など同居している家族が作ることも多く、特に栄養指導は家族も一緒に行うことが重要です。患者の症状、生活歴をふまえ、指導の対象を考えることが必要となります。 また、脳卒中早期発見の啓発も行っていかなければなりません。血栓溶解療法は、脳梗塞発症後4.5時間までしか使用できません。 「顔・腕の麻痺」「言葉の障害」など、脳卒中の疑いがあれば 1 秒でも早く救急要請し、治療を開始しなければならないことを、家族をふくめて説明する必要があります。 最後に、脳卒中予防の秘訣に「3つの“R”」がありますのでそちらを紹介します。 1.Recognize(危険因子を発見する) 2.Reduce(危険因子を減らす、治療する) 3.Respond(発作に反応する、早期に受診する) 以上のことを実行すれば、脳卒中の危険性はかなり下がり、発症後の後遺症も比較的軽く抑えることができるでしょう。 この記事がご参考になれば幸いです。
最終更新日:2024.05.29 -
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脳卒中の発症後は時間との闘い!その時に取るべき行動と知っておきたいこと 脳は障害を受けた場所により症状が異なります。脳は大脳・中脳・小脳・間脳・橋・延髄などに分けることができ、その部位ごとに役割が違います。 また大脳は前頭葉・側頭葉・頭頂葉・後頭葉に区分けでき、それぞれで司る機能が違うため、脳卒中により障害を受けると、その部位により様々な症状が現れます。 脳卒中というと「突然、意識を失い倒れる病気」と思っている方も多くいると思いますが、このようにひどい症状で発症するのはほんの一部に過ぎません。 「脳卒中」の代表的な「初期症状」には以下のようなものがあります。 ・ろれつが回らない 食事中にはしを落とす 片目が見えない ・視野が半分になる 顔の半分と片方の手足の感覚がおかしい 言葉が理解できない ・言いたいことが言えない ・半身に力が入らず歩きにくい バランスがとれない 突然の強い頭痛や吐き気 ・意識がもうろうとする ・急に興奮して暴れ出す ひどいめまい けいれん発作 症状は急に現れることが多く、だいたいの場合、発症時刻がはっきりしています。例えば夜中にトイレで起きた際や、朝起きた際、あるいは日中に急に発症するというパターンがほとんどです。 最初にみられた症状が徐々に軽くなり、そのまま消えることもあり、これを「一過性脳虚血発作※」といいます。 ※一過性脳虚血発作(Transient Ischemic Attack:TIA) 脳梗塞の前触れとして、脳梗塞と同じ症状が短時間(数分~数十分、長くても24時間以内)だけ出現するものを、「一過性脳虚血発作」といいます。 症状が一時的で比較的軽いため、たいしたことはないと安易に考えがちですが、本質は重症の脳卒中発作と同じメカニズムで起きているので、そのうち再起不能の発作に襲われる危険性が高いとみるべきです。前触れをそのまま放置するか、すぐに病院を受診して適切な治療を受けるかによって、予後が大きく変わるのはいうまでもありません。 発症後は時間との戦いです 発症後「3~6時間以内に初期治療を受ける」ことが特に重要、一番大切です。 脳卒中を疑ったら可能な限り早く専門医を受診しましょう。脳の障害は脳卒中の発症後、時間が経つほど大きくなります。障害が大きくなると後遺症も重度となり、命の危険も高まります。 それとは逆に、早期診断や早期治療開始を行うことで、後遺症が軽くなることがあります。また脳梗塞では、発症してから4.5時間以内、8時間以内の患者さんのみに行える特殊な治療があります(t-PA点滴治療、血管内治療)。 発症した際にまずやるべきこと 自分や周りの人で脳の異常が疑われる症状がみられた場合は、速やかに適切な対応を取りましょう。 ①意識がある時 とにかく周囲に助けを求め、できるだけ動かずその場で横になることが原則です。周囲の人は、マットや毛布の上に患者さんを乗せて、広いところに移動して寝かせましょう。 これは脳への血流を保つこと、血圧上昇による出血の悪化や、再出血を予防するためです。横になれる場所が近くになくても、自分で立って歩くべきではありません。 なぜなら脳の血管が詰まって症状が出ている時には、歩くことで脳への血流が悪くなり、脳の障害がひどくなる恐れがあるからです。 ②意識がない時 こちらからの呼びかけや、体をゆすっても反応がまったくない、一時的に目を開けてもまたすぐに閉じて眠り込んでしまう、さらに目は開いていても応答が曖昧な場合は、周囲の人が慎重に機敏に対応しなくてはなりません。 ③救急車を呼ぶ 脳卒中が疑われる時は、一刻も早く専門医の受診が必要になります。通院治療中のかかりつけ医がいる場合は、専門の医療機関を紹介してもらうのが良いましょう。 すぐに連絡がつかない場合は、直ちに119番に電話し、救急車を呼びましょう。受診予定の病院には、あらかじめかかりつけ医や救急隊から連絡し、搬送予定の患者の病状を説明した上で受け入れ可能か確かめておけば無駄な時間を省いて搬送できます。 重症の場合ではもちろんですが、軽症と思われる時も救急車を利用しましょう。これは一刻も早く救急搬送するためであり、また搬送の途中で急に容体が悪化することも十分あり得るからです。 もしも救急車が他の現場へ出動中などで到着に時間がかかる時は、患者さんに横向きに寝てもらって、家族や周囲の人が車を運転し、病院へ運んでください。 ただし、患者さん本人が運転したために大事故を起こした例や、手遅れになるほど病状が悪化した例もあるため、患者さんが自分で運転して病院へ向かうのは絶対にやめましょう。 意識がない時の対応のポイント 1.適切な場所への移動 ・敷物などに寝かせ、処置や運び出しがしやすい場所に移動 ・戸外であれば、風通しのよい日陰に移動させる ・頭をできるだけ動かさない(特に前に曲げない) 2.気道の確保と誤飲の防止 ・頭を前屈させない(=枕をしない) ・いびきや呼吸が苦しそうな時は、バスタオルや座布団などを巻いて肩の下に敷く(首を反らせ気味にすると、呼吸が楽になることが多い) ・嘔吐しそうな時は、誤飲や窒息を防ぐため体ごと横向きに寝かせる(麻痺がある時は、麻痺側を上に向ける) 3.環境調節 ・上着のボタンを外し、ズボンのベルトを緩める ・眼鏡、腕時計などのアクセサリー、入れ歯を外す ・照明をやや暗く、室温を20℃程度にして換気をする ※脳卒中発症後すぐに生命の危険があるのは、重症のくも膜下出血を除けば、ほとんどありません。落ち着いて上記の3点をすぐに実行してください。 急性脳卒中のガイドライン/FAST 急性脳卒中を診断する際には、「FAST」と呼ばれるガイドラインが使用されます。FASTは、脳梗塞を早期発見するためにチェックするポイントの頭文字を合わせたものです。 ■FACE:顔 うまく笑顔が作れますか? 片側の顔だけが歪んでいたり、ひきつっていないか、顔の麻痺状態をチェックしましょう。 ■ARMS:腕 腕を上げたままキープできますか? 両腕をゆっくりと上げ下ろししてみて、腕の麻痺が起きていないかどうかをチェックします。もしも両腕を前に上げた際に、片腕だけが脱力して腕が上げられなければ要注意です。 ■SPEECH:話 短い文がいつも通り話せますか? 簡単な問いかけ(例えば本人の名前や今日の日付など)をしてみて、正しい返答があるかどうかをチェックしましょう。 ■TIME:時間 発症時刻を確認。 脳梗塞の場合、発症してからの時間によって治療内容が変わります。発症後2〜3時間以内であれば、薬物により血栓を溶かす治療が可能となることがあります。 ▲ 周りにいる人が突然倒れたり、自分でおかしいなと思ったら、上記の4点を確認して、速やかに救急車を呼びましょう「F・A・S」のチェックのうち、ひとつでも項目が確認できたら、発症した時刻を確認して、速やかに救急車を呼びましょう。 脳卒中へと繋がる生活習慣病 脳卒中は、高血圧や糖尿病、高脂血症など「生活習慣病」を持っている人に起こりやすいとされています。 これらの病気は、動脈硬化の原因となったり、心臓に血液のかたまりをつくり、それが血管にのって飛んでいき、脳の血管をふさいだりします。 また、こうした病気においては、 ・脂質、塩分、糖分の取り過ぎ ・喫煙や酒の飲み過ぎ ・運動不足 ・過剰なストレス といった生活環境が深く関係しているため「生活習慣病」と名付けられています。 さらに、性別や遺伝的素因、年齢なども脳卒中発症に深くからんでおり、これらをまとめて 「危険因子」と呼びます。危険因子をもつ人は、予備軍であると心得て、生活環境を見直して危険因子を減らし、生活習慣を改善すべきです。 脳ドックについて また脳卒中の危険因子が多い人は、日頃から脳ドックを受けるなどで脳卒中発症前の予防に努めるのも良いでしょう。以下に当てはまる方は一度「脳ドック」を受けてみるべきといえます。 ■40歳以上でまだ一度も脳ドックを受診したことがない ■高血圧、脂質異常(高脂血症)、動脈硬化などの診断を受けている ■家族や血縁者に脳卒中になった人がいる。もしくは糖尿病、高血圧の傾向がある ■飲酒、喫煙の習慣がある 脳ドックの検査項目には以下のようなものがあります。 ・MRI(磁気共鳴断層撮影) ・MRA(脳血管撮影) ・マルチスライスCT ・超音波検査 ・脳波測定 ・血圧測定 ・血液検査 ・尿検査 ・心電図 ・眼底検査 まとめ・脳卒中の発症後は時間との闘いです!その時に取るべき行動、知っておきたいこと 脳の障害では、早期発見や早期治療がその後の予後に大きく関わります。何か異常がみられた際は様子を見るのではなく、少しでも早い対応をとりましょう。 また自分が脳卒中の危険因子に当てはまる場合は、生活習慣を見直し、検診を受けるように心がけましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2023.06.02 -
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脳卒中発症後の神経症状等、具体的な後遺症を解説! 脳卒中の後遺症では、脳の中枢神経がダメージを受けることでさまざまな神経症状が現れることがあります。脳が受けたダメージが重いほど後遺症の種類も増え、症状も重くなります。 今回は、脳卒中の発症後によく現れる神経症状の種類と後遺症について詳しく解説していきます。 脳卒中の後遺症による神経症状の種類・障害 ①運動障害 脳卒中が起こると、脳の運動に関わる部位にダメージを受け、「体を思い通りに動かせない」、「麻痺する」、「力が入らない」といった症状が現れることがあり、これを「運動障害」と呼びます。 障害された脳の損傷具合に影響されます。また、運動障害の1つである麻痺は、その現れた部位によって名称が決まっています。 麻痺や運動障害の重さ 痙縮 ・筋肉が重く、突っ張った感じがする程度 不全麻痺 ・部分的な麻痺、わずかな麻痺 完全麻痺 ・まったく動かない麻痺 不随意運動 ・「動かそう」という意思がないのに、手足が勝手に動いてしまう異常運動 例)健側に力を入れると麻痺側の手足が勝手に動く 運動失調 ・筋力低下や麻痺が無いにも関わらず、協調運動ができず随意運動のできない状態 例えば小脳が障害されると、ふらふらする、バランスが悪くなり上手く歩けない、めまいといった運動失調が現れることもあります 麻痺の現れる部位別の名称 単麻痺 ・片半身の上肢あるいは下肢だけの麻痺。前大脳動脈閉塞では下肢の単麻痺を起こしやすい 片麻痺 ・右半身あるいは左半身の上下肢の麻痺のこと 脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳の外傷等で起こる 対麻痺 ・両側の下肢が麻痺するもので、上肢は自由に使える状態 主な原因はスポーツや交通事故、転落・落下による脊髄損傷により起こる 四肢麻痺 ・両側の上肢と下肢の両方が麻痺した状態 脊髄損傷や脳性麻痺などによって起こる 通常、運動障害は脳の障害が起きた部位の反対側に運動障害が現れるのが特徴で、このことを「半身麻痺」と呼びます。脳からの指令は神経を通じて全身に伝達され、その神経は、脳から脊髄へ通じる途中の首のあたりで交差しています。 その為、右脳の指令は左半身へ、左脳の指令は右半身へと伝達されます。したがって、左右の脳の障害と運動障害の関係は次のようになります。 ・右脳に障害がある場合は、左半身の運動機能が障害され左半身麻痺 ・左脳に障害がある場合は、右半身の運動機能が障害され右半身麻痺 ②言語障害 構音障害(運動障害性構音障害) 構音障害とは、正しい言葉を選択し話せるものの、声が出にくかったり、呂律が回らず正しい発音が出来なくなる言語障害です。つまり、構音障害の人は、口や舌といった発声発語器官を上手く動かすことが出来なくなってしまいます。 失語症 失語症とは、発語発音器官に運動障害が無いものの、脳の言語をコントロール言語中枢の障害により、思ったことと異なる言葉が出たり、聞いた言葉を理解できなくなる障害です。例えば、”言葉が分からない国に、突然放り出されたような状態”と捉えていただくと分かりやすいかもしれません。 誰でも、相手の言葉を理解できず、自分の思いも上手に伝えることが出来ないもどかしさは想像に難くありません。ましてや、失語症の場合は、今まで住み慣れた環境が突然外国のように感じるので、そのもどかしさやショックは図り知れないものです。 ③感覚障害 脳梗塞や脳出血、事故などにより、半身の運動障害が発生するのと同じように、半身の感覚が麻痺したり、手足がしびれたり、触覚、痛覚、温度感覚などが鈍くなる感覚障害が現れることがあります。 ④嚥下障害 私たちは普段は何気なくしている食事ですが、老化、脳出血の麻痺、認知症などによって、食べ物の飲み込みが上手にできなくなることがあります。 俗に嚥下(飲み込み)障害といわれる障害で、窒息や誤嚥性肺炎を引き起こし、最悪死に至ることもあります ⑤排尿障害 脳卒中により排尿に関わる神経が障害されると、うまく排尿をコントロールできなくなる排尿障害が現れます。 排尿障害の症状には失禁、頻尿、尿が出ない、尿意を感じられなくなる等があります。 ➅感情障害 脳卒中(脳梗塞や脳出血)の後遺症には、感情面の障害もあります。イライラしやすくなったり、怒りっぽくなるなど、感情が不安定になります。 ・意欲の低下 ・感情失禁(少しのことで、喜怒哀楽が激しく現れる) ・幻覚や妄想 また、気分障害の一種である「鬱病(うつびょう)」になる場合もあります。鬱病とは、気持ちの落ち込みが長く続き、心の持ちようや精神力がコントロールできなくなる病気です。 抑うつ気分や不安感、焦燥感(しょうそうかん:焦りやイライラ感のようなもの)、精神活動の低下、不眠、食欲の低下、などを特徴とする精神疾患です。 脳卒中による鬱病は、後遺症により今までできていたことがうまくいかないためのショックから起こったり、脳の機能が損傷したために起こったりします。 脳卒中の後遺症による精神的症状・心理的変化 脳卒中を起こすと後遺症が残ってしまうことにより、精神的に追い詰められてしまうことも多くあります。 ・手足の自由がきかない ・仕事をやめざるを得なくなった ・介護を必要とする身体になってしまった 脳卒中を発症した方は、それまでとは違う環境に、戸惑うことは当然のことです。また、リハビリを経て身体機能がある程度回復してからも、精神的に不安定になることはよくあることです。 特に、退院後は脳卒中の発症前とギャップを実感するため、落ち込んでしまうことがよくあります。入院中は障害を受け入れることができていたのに、退院後の周りの環境が健常者ばかりになるので、心理的な変化が現れやすくなります。 したがって、ご家族や周囲は、本人の心理的な変化に気を使い見守ってあげるべきといえるでしょう。抑うつなどの精神的症状が強くみられる場合は早めに医療機関を受診しましょう。 また、以下のような取り組みをおこない、精神面・心理面のケアをしていくことが大切です。 ①社会参加を積極的にする ・障害が重いと外出が困難になる ・精神的に外に出るのがおっくうになる 上記のことは、本人だけでなく介護者に共通して言えることだと思います。しかし、家に引きこもるようになると、ますます精神的につらくなり、鬱状態になってしまいます。よって、できる限り外界との関わりをもつことが望まれます。家族ばかりでなく、色々な人と接することで精神を安定させることが非必要不可欠です。 ②ボランティアやレクレーションなどの社会活動 ボランティアやレクレーションといった社会活動を行うことも効果的です。社会の一員として活動し、自身の存在価値を認識することで、生きる意欲の向上に繋がります。 ③デイサービスやデイケアで他人の交流 また、デイサービスに通うことも効果的です。同じ境遇の人たちと交流を持つことで、今の自分を見つめ直し、病状を受け入れる良い機会になります。自身の病状を受け止めることは、とても勇気がいることですが、現状を受け止めることが見えてくることがあるのも確かです。 脳卒中による後遺症とその具体的な症状 脳卒中発症後は、日常生活にも影響を及ぼすような後遺症が現れます。具体的な症状を紹介します。 《骨折・打撲》 リハビリや日常生活動作(ADL)の中、脳卒中後遺症の麻痺の為に思い通りに身体が動かないことがあります。思い通りに身体が動かせないと、階段や少しの段差でつまずく、転倒することが多くなります。 特に、高齢者で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が進んでいると尚更です。したがって、室内の環境をバリアフリーにするなどして安全に過ごせるように整備しましょう。 《疼痛:とうつう》 疼痛が現れる原因もさまざまです。麻痺の部位を動かした時に感じる疼痛、リハビリで過度な運動を行った時の疼痛(視床痛)などがあります。このような疼痛を抑制するのに、各種の物理療法、消炎鎮痛薬や麻酔薬による神経ブロック治療、抗不安薬等が用いられることがあります。 《失禁・便秘》 失禁が酷い場合は、介護用おむつの使用も検討します。しかし、出来るだけ排泄の自立を目指しましょう。また、夜間の失禁が多い場合は、排尿時間をコントロールするための薬物治療が行われることもあります。 便秘がある場合は、緩下剤や浣腸が使用されることもあります。 《異所性骨化》 異所性骨化とは、関節周囲の軟部組織の中に骨ができる病気で、麻痺の患者や、関節の手術後によく見られます。 過度のリハビリで肩や肘、膝関節や股関節などが硬くなり、骨化することがあり、更に運動を続けると周囲の組織が傷つき、骨化を進行させてしまうこともあります。 症状が治まるまでは、患部に過度の刺激を与えないように注意し、腫れや痛みがある場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。 《廃用症候群》 寝たまま動かずにいると、筋肉や骨が衰えたり関節が固まって動かしにくくなったりする「廃用症候群」が起こり、その後のリハビリが困難になります。 急性期のリハビリをできるだけ早く始めるのは、廃用症候群を予防し、機能が失われるのを最小限にとどめるためです。脳卒中で壊死した脳細胞の周囲には、死んではいないが機能が停止している“仮死状態”の脳細胞があります。 急性期においてのリハビリは、こうした脳細胞に刺激を与えることで機能を回復させる効果があると考えられています。また、急性期に早期からリハビリを始めたほうが、しばらくしてから始めた場合よりも早く退院でき、死亡率も減ることがわかっています。 【上図】発症後まもなくリハビリを開始した群と、しばらくしてから開始した群の 6週間後の状態を比較しました。すぐに開始した群では、自宅に戻れる割合が 50%を超えているだけでなく、死亡率も半減していることがわかります。 まとめ・脳卒中発症後の神経症状等、具体的な後遺症を解説! いかがでしたでしょうか。 脳卒中の発症直後で意識障害が強く現れている時は、どのような後遺症が残るのか予測しにくいですが、意識が回復するにつれてさまざまな後遺症が表面化してきます。また、脳卒中の後遺症は 1 つだけでなく、複数の障害が現れることもあります。 一般的に、脳卒中の影響により脳が受けたダメージが重ければ重いほど、後遺症の種類も増え、症状も重くなる傾向があります。 後遺症を受け入れ、早期からリハビリを開始することはもちろん、身体的、精神的ともに本人だけでなく介護者など周囲の理解やサポートが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の後遺症に対する新たな治療法として注目が必要です
最終更新日:2024.03.28 -
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脳卒中の前兆はこんな症状!検査で早期発見と早期治療が必須 脳卒中とは、脳の血管が急に破れたり詰まったりして脳の血液の循環に障害をきたし、様々な症状を起こす病気です。 重い後遺症を残さないためにも、早期発見、早期治療をすることが必須です。 今回は、脳卒中の前兆で現れる症状や、脳卒中のセルフチェック方法、検査についてご紹介します。 脳卒中とは 以下のように脳卒中は、脳の血管が破れる「脳出血」と、脳の血管が詰まる「脳梗塞」とに大別されます。 脳卒中 脳出血 ・実質内出血(脳の組織自体に出血が起こる) ・くも膜下出血(脳動脈瘤が破裂することが原因となって、脳の表面である"くも膜下腔"に出血が起こる) 脳梗塞 心原性脳塞栓症 ・アテローム血栓性脳梗塞 ・ラクナ梗塞 ・その他 脳卒中患者数 日本では脳卒中の患者のうち4分の3を“脳梗塞”が占めています。 ・脳梗塞・・・112.9万人 ・脳内出血・・・17万人 ・くも膜下出血・・・5.1万人 ・【その他】・・・13万人 脳に関する【その他】の疾患 脳卒中の原因となる、脳に関する【その他】の疾患は以下です。 ■一過性脳虚血発作 一時的に血栓が血管をふさぐもの。(すぐ開通する) ■脳腫瘍 脳の中にできた腫瘍が圧迫して、鋭い頭痛や吐き気などが起こる。 ■脳動脈瘤 脳の動脈の一部が膨らんで弱くなる。くも膜下出血につながることもある。 ■脳動静脈奇形 脳の一部において異常な血管を介し、動脈と静脈がつながっている状態で、けいれんを起こしたりする。 ■もやもや病 脳の太い動脈がつまり補うため周りから細い血管が発達して、鋭い頭痛などを起こす。 脳の病気に対する危険因子 脳卒中を引き起こす危険リスクとして、生活習慣病が関係しています。以下に当てはまる要素が多い人は脳卒中にかかるリスクが高く、注意が必要です。 ■高血圧 脳の血管の大きな負担となり動脈がもろくなります。その結果、血管が詰まったり、破裂することがあります。血圧は塩分の摂取によっても高くなるので、食事の時はなるべく塩分の摂取を控えましょう。 ■糖尿病 近年の食生活の欧米化により罹患数が増えていますので、糖尿病患者は摂取カロリーを低く抑える必要があります。バランスの良い食事をし、間食や油料理を減らし、体重のコントロールを行いましょう。 ■脂質異常症 特に悪玉のLDLコレステロールが高い人は、脂肪の摂取量を抑えることが大事です。油分の多い料理を避け、芋類、豆類、根菜類、海草、キノコなどコレステロール低下に作用する食べ物を選びましょう。 ■不整脈(心房細動) 心臓の中にできた血栓が脳まで移動して、脳の動脈を詰まらせます。ワルファリンなどの抗凝固薬を使い、血栓が作られにくくすることで、脳梗塞の予防が可能となります。 ■喫煙 ニコチンは血圧を上昇させたり、動脈硬化を促進する原因となります。百害あって一利なしです。そのほか、肥満、高齢者、男性、運動不足、過度の飲酒などが脳卒中の危険因子となります。 日本における脳卒中の現状と患者動向 現在、脳卒中の患者数は約150万人いるといわれ、毎年約25万人以上が新たに発症しているとされています。脳卒中はがん、心臓病に次いで日本における死因の第3位となっており、「寝たきりになる原因」の約3割近くが、脳卒中などの脳血管疾患です。 寝たきりになる原因 ・脳血管疾患(脳卒中など):27.7% ・高齢による衰弱・・・16.1% ・骨折・転倒・・・11.8% ・認知症・・・10.7% ・関節疾患(リウマチなど)・・・10.4% ・パーキンソン病・・・6.6% ・心臓病・・・3.1% ・その他・・・13.6% 全医療費の1割近くが脳卒中の治療に費やされ、高齢者の激増や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の増加により、脳卒中の患者は今後も増加していくと予想されています。 脳卒中の前兆とセルフチェック 以下に示した症状に加えて、意識状態が悪化することもあります。軽い場合は、なんとなくぼんやりしているという印象ですが、重症の場合は強い呼びかけや、つねったりしても目を閉じたままで反応がありません。 脳卒中の前兆 ・ろれつがまわらない、言葉が出てこない ・相手が話していることを理解できない ・片半身がしびれる、感覚が鈍くなる ・顔半分がしびれる、引きつる ・めまいがする ・体が動きにくい、力が入らない ・片目が見えにくい ・両目で見たときに物が二重に見える ・激しい肩こりが起こる ・激しい頭痛が起こる (普段から片頭痛などがある方は、いつもとは違うような頭痛) 尚、くも膜下出血では頭痛の強さは発症時にピークに達し、その後も痛みは持続します。同時に、嘔吐することもあります。「最近なんとなく頭が痛い」といったように開始時刻を特定できない場合は、くも膜下出血ではないでしょう。 FASTテスト 気になる症状がある場合に簡単にできるチェック方法に、“FASTテスト”というものがあります。 これらの症状に気付いたら、発症時刻を確認してすぐに119番通報をしましょう!とにかく早期発見、早期治療が重要です。 ・Face(顔)=顔の麻痺のチェック 鏡に向かって微笑んだときの、口角の左右のバランスをチェックします 片側が引きつって歪んだように見えたら黄信号です ・Arm(腕)=腕の麻痺やしびれのチェック 真っ直ぐ立って手のひらを上に、両腕を肩の高さまで突き出します 高さを維持できずに片腕が下がってきたら、片麻痺の疑いがあります ・Speech(言葉)=言葉の異常をチェック 「花子が太郎にリンゴをあげた」これを声に出して言ってみてください 顔や口元に麻痺があると滑舌が悪くなり、特に「ラ行」が発声しづらくなります ・Time(時間)=症状に気付いた時刻 脳卒中の検査とリハビリ 脳卒中が疑われたらまず出血の有無を確認し、脳梗塞の起こっている部位を特定するため、画像診断を行います。脳卒中は場合によっては生死にかかわるため、早急に検査が必要です。 脳卒中の検査 脳卒中の診断には以下のような検査が行われます。これらの検査で脳卒中の種類を診断します。 ・コンピュータ断層撮影(CT) ・核磁気共鳴画像(MRI) ・核磁気共鳴血管撮影(MRA) ・超音波検査・心エコー ・X線撮影(血管造影検査) 以下でそれぞれ詳しく説明していきます。 ■CT検査 X線撮影をコンピュータで解析して脳の輪切りを映し出し、脳卒中の有無や種類を判定します。脳梗塞の場合は発症から24時間以上経たないとはっきり描画できませんが、脳出血は発症後すぐに描画されます。 ■MRI検査 磁力を使って脳の断層像を映し出します。CTと比較して鮮明な画像が得られ、出血部分や 梗塞部分が発症後すぐに描画されます。 ■MRA検査 造影剤は使用せず、磁力を使って脳の血管を映し出します。詰まっている血管を見つけだ すことができます。 ■超音波検査 超音波の発信受信装置を首にあてて、動脈硬化の有無や程度を調べる検査です。また心エコーといわれる心臓の超音波検査も行われます。 ■血管造影検査 カテーテルという細い管を通して造影剤を入れ、X線撮影をすることで血管の状態が詳細にわかります。 脳卒中のリハビリテーション 以下のリハビリテーションは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門のスタッフによって行われます。リハビリテーションの効果は個人差がありますが、劇的な効果がみられなくても、諦めることなく根気よく続けることが大切です。 ■急性期 ・時期:発症から1~3週間 ・治療施設:急性期病院 ・リハビリテーションのポイント ⇨廃用症候群の予防、リスク管理(座位、運動負荷)、合併症管理 ■回復期 ・時期:1~3週間から3~6週間 ・治療施設:リハビリテーション専門病院 ・リハビリテーションのポイント ⇨機能回復訓練、心理的支持、維持期への橋渡し ■維持期 ・時期:3~6ヵ月以降 ・治療施設:リハビリテーション専門病院、介護保険対応の病院、施設、在宅 ・リハビリテーションのポイント ⇨機能維持、介護負担の軽減、環境調整、社会資源の活用 脳卒中の後遺症を、新しい先端医療「再生医療」で治療した例 再生医療は、脳卒中の後遺症に対する新たな治療法として注目を集めている治療法です。 治療例はこちらをご覧ください。 再生医療は、通常の病院やクリニックでは受けることができません。当院は厚生労働省の認可を受けた再生医療専門クリニックです。後遺症の治療など再生医療に関してはお気軽にお問い合わせください。 まとめ・脳卒中はセルフチェック、検査で早期発見と早期治療が必須! ■脳卒中予防の4大ポイント ・30代から自分の血圧を知り、コントロールする心がけを ・塩分控えめの食生活と、コレステロールを減らす ・仕事を離れてリラックスできる趣味を持ち、適度な運動も心がける ・40歳になったら脳ドックを受診し、脳の健康状態を把握する 脳卒中は三大生活習慣病の一つで、発病すると生死にかかわり、麻痺や言語障害、意識障害などの後遺症を残すことが多い病気です。 現在、日本における死亡原因のトップ3はがん、心臓病そして脳卒中となりますが、数十年前までは脳卒中がトップでした。 これは脳卒中が減少したわけではなく、医療の進歩により死亡する人数が減少したに過ぎません。死亡率の高い脳出血は減少傾向にありますが、高齢化に伴い脳卒中の約6割を占める脳梗塞の患者数は増加傾向にあります。 また脳卒中は発病する前に予測し、予防するができる病気です。脳卒中を引き起こす主な原因には動脈硬化があげられます。その動脈硬化を招く要因としては、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などがあります。 つまり、脳卒中は生活習慣病が要因となっているのです。脳ドックで早期発見し、なおかつ普段の生活を見直せば脳卒中は予防することができるでしょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の再生医療/幹細胞治療は以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の新たな治療法として注目を浴びています
最終更新日:2023.10.09 -
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脳卒中のリハビリは急性期が肝心!リスク管理、日常生活動作(ADL)がポイント 脳卒中について、症状が現れた当初の2週間程度の急性期こそ、前向きなリハビリテーションが必要です。その大きな目的は、合併症予防、廃用症候群予防のために運動量を可能な限り確保すること、機能の回復を促すために適切な運動課題を実施することなどが挙げられます。 脳卒中のリハビリテーションは、急性期、発症してから何時間後に、もしくは何日後に始めるべきか明確な基準がないのが現状ですが、リスク管理を徹底して行いながら可能な限り積極的に介入していくことが望ましいと考えられます。 この時期のリハビリにおいては注意すべきことが多々あります。詳しく解説していきます。 脳卒中のリハビリは「日常生活動作(ADL)」がポイント まずは機能障害の面だけをみて患者さんを評価せず、病棟での実際の日常生活動作(activities of daily living:ADL)にも着目する必要があるという点です。 なぜなら過度の安静により長期間の臥床(がしょう)が続くと、廃用症候群といわれる「身体の不活動状態により生ずる二次的障害」によって様々な二次的合併症の出現に注意すべきであり、そのため早期から車椅子に移乗し、ベッドから離れて、食事や洗面、トイレ、歩行などのADLを進めていく必要があるからです。 このような早期離床の大きな効果として、ADL(日常生活動作)能力の向上、二次的合併症の予防が挙げられます。脳卒中の急性期では、脳の血流を一定に保つはたらきをする脳循環自動調節能が障害されます。 そのため、脳の血流は血圧の影響を大きく受けやすくなっています。座位や立位によって血圧が変動すれば、脳循環に影響を与え、症状の悪化につながる危険があるため、血圧変動に注意しながら意識レベル、バイタルサイン、呼吸状態、神経症状の有無などを注意しながらよく観察し、進める必要があります。 離床前に注意すべき点 ・意識障害の進行がない ・神経症状の進行がない ・心原性ショックや急性循環不全(収縮期血圧<90mmHg)がない 以上の基準を満たしているか確認するようにします。 また、離床を実施するにあたり、途中で運動を中止する場合の基準となる目安をあらかじめ決めおくべきです。 途中で運動(リハビリ)を「中止する場合」 ・中等度以上の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛、頭痛、強い疲労感などが出現 ・脈拍が140/分を超えた ・運動時の収縮期血圧が 40 mmHg以上または拡張期血圧が 20 mmHg以上上昇 ・30回/分以上の頻呼吸、息切れが出現 ・運動により不整脈が増加 ・徐脈が出現 ・意識状態の悪化 いったん運動(リハビリ)を中止し、回復を待って「再開する場合」 ・脈拍数が運動前の30%を超えた (ただし、2分間の安静で10%以下に戻らないときは以後のリハビリは中止、またはきわめて軽労作のものに切り替える) ・脈拍が120/分を超えた ・10回/分以上の期外収縮が出現 ・軽い動悸、息切れが出現 その他、血尿が出現した場合、喀痰(かくたん)量や体重、下肢の浮腫が増加した場合、倦怠感がある場合、食欲不振や空腹時も注意が必要です。 症状別の離床開始基準 脳卒中には様々な病型があり、それぞれ離床開始の基準は異なります。離床を行う際は、病型による違いをふまえて検討します。その際、脳出血においての急激な血圧上昇や、脳梗塞においての急激な血圧低下等、離床に伴う血圧変動にも注意が必要です。 離床とは、ベッド等で生活していた人が、徐々に床(ベッド)から離れて生活機能・範囲を拡大していくことをいいます。 臥床が続くほど、心肺機能や消化機能・運動機能・精神状態等、心身ともに機能低下が進んでしまうため、全身状態が落ち着いたら可及的早期に座位や立位・歩行を行う「早期離床」を進める必要があります。 脳梗塞(ラクナ梗塞) ・診断日より離床開始可能 ・進行性麻痺を認める症例は個別で検討 (心原性脳塞栓症) ・心エコーの評価後、残留心内血栓と心不全徴候がなければ離床開始 (アテローム血栓性脳梗塞) ・原則、診断日翌日より離床開始を検討 ・検査画像上、梗塞の拡大を認める場合、神経症状の進行を認める場合は個別に検討 脳出血 以下の項目を満たしていれば離床を開始 ・収縮期血圧 140 mmHg以下にコントロール ・フォローアップ画像検査で血腫の増大、急性水頭症は否定されている くも膜下出血 以下の項目を満たしていれば離床を開始 ・破裂脳動脈瘤の根治術が行われている ・症候性脳血管攣縮がない ・急性水頭症が無い 脳卒中において、早期離床は世界的にも推奨されていますが、発症から何日目に行うか、離床中の具体的な血圧管理・変動に対する判断などは、各病院・施設に委ねられているのが現状です。 また一方では、発症 24 時間以内の早期離床は危険であるとの報告もあります。つまり、離床を画一的に行うのではなく、患者の病態、既往歴、合併症など含めて、慎重に判断し、注意深く実施していくことが重要となります。 具体的に早期離床を個別で判断する例 脳出血では入院後の血腫増大、急性水頭症、降圧薬でコントロール困難な血圧上昇例、脳動静脈奇形(AVM)があげられます。また脳梗塞では、内頸動脈狭窄ないし閉塞、脳底動脈血栓症、解離性動脈瘤、出血性梗塞、塞栓源が特定困難な脳塞栓症、トルーソー(Trousseau)症候群など。 さらに脳出血、脳梗塞共通のものでは、意識レベルやバイタルサインの増悪、頻脈性心房細動、急性期心不全、低酸素血症、重症感染症、深部静脈血栓症(DVT)があります。 重症例で、長期臥床や低活動の場合は、特に以下の2点に注意します。 深部静脈血栓症(DVT) 脳卒中患者は、安静臥床や片麻痺による血流の停滞、血液凝固能の亢進など、深部静脈血栓症を発症しやすい状態にあります。肺塞栓症(PE)をきたす確率が高く、呼吸状態の急性増悪、心肺停止のリスクがあります。担当医に治療方針を確認後、酸素飽和度、APTT、D-dimer、PT-INRの値を確認し、離床再開のタイミングを検討します。 起立性低血圧 座位や起立の抗重力位をとることで、下肢静脈に血液が貯留し、静脈還流が減少することで血圧低下を引き起こします。離床はヘッドアップ座位→端坐位→立位の順に段階的に進めていき、下肢運動を実施しながら行うなど工夫が必要です。 ADL(日常生活動作)評価の注意点 離床が進み、ADL(日常生活動作)が拡大していくにあたって注意点があります。臥位、座位でバイタルサインが安定している場合であっても起立、歩行などを実施する際に体調が変動することがあるため、循環動態に影響を及ぼす原因がないか、脱水、不整脈、心不全などの合併症の有無をチェックします。 転倒にも注意が必要ですがその原因として、麻痺や関節拘縮、筋力低下などが挙げられます。また、立ち直り反射(姿勢反射)が低下しているため、バランスを崩しやすく、軽度の麻痺でも転倒のリスクがあります。 転倒の特徴は、トイレ動作や排泄に関連する転倒の頻度が高いといわれており、患者に応じて転倒を生じやすい場面を具体的に予測し、転倒予防に努めます。 急性期のリハビリテーション 「脳卒中ガイドライン2015」のなかで、リハビリテーションは発症早期からADL向上と社会復帰を図るために、十分なリスク管理のもと、積極的に行うことが強く勧められています。 特に発症早期の患者では、機能低下の回復を促すために、訓練量や頻度を増やし、日常生活の場面で課題を繰り返し行うことが勧められています。 リハビリテーションは、患者のADLや機能障害、患者属性など、さまざまな背景をもとにリハビリテーションプログラムが計画されています。このプログラムを計画、評価、実施、修正するにあたり、リハビリテーションの効果を評価するには、機能障害を評価するだけでは不十分であり、ADLを評価する必要があります。 「脳卒中治療ガイドライン2015」のなかでも、一般的に広く用いられ、信頼性・妥当性が検証されているADL評価法が勧められています。看護師は、24時間患者のそばにいる環境のなかで、日常生活援助を通してリハビリテーションを行い、その成果を評価していくことが大切です。 ADL評価は、実際のADLを観察して評価 特に脳卒中急性期には、投与される薬剤や、日々変化する神経症状など、患者の状態そのものが変動的な時期にあります。そのため、評価するスタッフ(評価)や時間帯、環境や条件などによりADL評価は変化します。 理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)など、リハビリテーション機能訓練の専門スタッフが、「リハビリで〇〇さんは、何とか歩行器を使用してトイレまで歩けましたよ」と言っても、病棟で看護師は「夜は歩かず、オムツや尿器を使用しているなぁ」と感じることがあります。 これは、訓練などで最大限の能力を発揮する場合での「できるADL」と、普段日常生活で実際に行っている「しているADL」による評価の違いがあるからです。 患者のリハビリテーションを行っていくうえで、発症早期から十分なリスク管理のもとに、このがんばって「できるADL」を、普段の生活のなかでも「しているADL」に近づけていくことが、急性期脳卒中リハビリテーションの目標といえます。 FIM(functional independence measure:機能的自立度評価法)・・・「しているADL」の評価 セルフケア、排泄コントロール、移乗、移動、コミュニケーション、社会認知の6つをカバーした全18項目で、それぞれを実生活のなかで実際に行っている介助の量や質に従い、7段階で評価する評価法 バーセルインデックス(Barthel Index:BI、機能的評価)・・・「できるADL」の評価 各ADLについて、患者の能力が「自立」「要介助」「全介助」のいずれであるかを簡潔に評価する評価法 まとめ・脳卒中のリハビリはリスク管理の上、急性期から前向きに!日常生活動作(ADL)がポイント 看護師は、患者の日常生活を24時間みているという専門性から、普段から日常的に行っている活動の「しているADL」を評価することができます。(※ADL:日常生活動作) その際は、これまでのように「食事は一部介助で全量摂取」ではなく、患者はどのような姿勢で、どちらの手(麻痺側、健側)で摂取したか、看護師はどの部分をどのように介助したか、その介助量はどれくらい必要であったかなど、患者のADLを細かく評価しなければなりません。 看護師は、患者の「できるADL」に常に関心を持ち、把握し、看護師が普段みている「しているADL」との間の差を、客観的に評価できるスキルを身につけなければなりません。 そこで、「できるADL」と「しているADL」の乖離している要因について、PTやOT、STと話し合い、より効果的な支援ができるよう介入計画を作成する必要があります。そのためにはADL評価法を用いて、「しているADL」を客観的に評価することが重要となります。 以上、脳卒中のリハビリについてリスクを管理した上で急性期から積極的に行うことが必要であること、それは日常生活動作(ADL)がポイントという点で記載してまいりました。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療について 再生医療は、脳卒中のリハビリを最大に有効化できる治療法としてご注目ください
最終更新日:2023.10.09 -
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【脳梗塞の後遺症】リハビリ内容は「3つの期間」で異なります 脳梗塞を発症した場合、治療を受けたとしても後遺症が残ってしまうケースは少なくありません。 その後遺症を軽くするために欠かせないのがリハビリですが、リハビリの内容は脳梗塞を発症してからの期間によって異なります。 そして、脳梗塞による後遺症の期間を大きく分けると急性期、回復期、維持期の3つになります。 今回は、脳梗塞による後遺症のリハビリの内容を時期ごとに紹介します。 脳梗塞による後遺症(急性期)のリハビリ 昔は脳梗塞を発症したらすぐに身体を動かすのはよくないと言われていました。しかし、現在では、脳梗塞の後遺症に対しては、できるだけ早めにリハビリを開始することが推奨されています。 そして、脳梗塞による後遺症のリハビリは、発症してから2週間くらいまでの期間である急性期が、特に重要だと言われています。 急性期のリハビリでは、寝たきりの状態が続き、筋肉や骨が委縮したり、関節が硬くなったりすることで運動機能が低下する「廃用症候群」の予防が主な目的になります。 具体的には手足の関節を動かす、寝返り動作をするなどのリハビリをします。 また、症状が軽く頭を起こしても問題がないと判断される場合は、座る訓練をおこなうこともあります。 重要:脳梗塞の後遺症のリハビリは、急性期(発症後2週間までの期間)が特に重要 脳梗塞による後遺症(回復期)のリハビリ 急性期を過ぎて病状が安定してくる回復期では、脳梗塞の後遺症の症状に合わせて、日常で必要となる動作ができるようになるためのリハビリをします。 回復期のリハビリでは、自力で立ったり座ったりする訓練や車いすに移動する訓練、着替えや入浴、食事、トイレなどで必要となる動きをする訓練などを繰り返しおこないます。 また、呂律が回らなくなる構音障害の後遺症がある場合は、口、舌、喉の筋肉を動かす訓練や言語聴覚士による発声練習などもおこなわれます。 脳梗塞による後遺症(維持期)のリハビリ 急性期、回復期を過ぎて退院した後(維持期)も、身体を動かさないでいると、身体の機能が低下してしまうので、引き続きリハビリをする必要があります。 維持期における脳梗塞の後遺症のリハビリは、回復期にしていたリハビリを継続したり、散歩や軽い運動をするなどします。 維持期のリハビリは基本的に自宅でおこなうことになりますが、クリニックの物理療法を受けるのも効果的です。 まとめ・【脳梗塞の後遺症】リハビリ内容は「3つの期間」で異なります 脳梗塞による後遺症のリハビリの内容について紹介しました。 リハビリによってすぐに回復したいという気持ちが強すぎると、なかなか改善がみられずリハビリを諦めてしまう人も少なくありません。 脳梗塞の後遺症によるリハビリは、長期的におこなう必要があるという気持ちを持ち、コツコツと取り組んでいくことが大切です。 近年では、再生医療によってリハビリの効果を高めるという方法もあります。脳梗塞による後遺症で悩まされている人は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。 再生医療は手術や入院も不要という今、注目の先端医療です。当院は国内でも有数の症例数を有し、厚生労働省から認可を受けた専門クリニックです。ご質問やご相談などはお気軽にお問い合わせください。 監修:リペアセルクリニック大阪院
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脳梗塞の後遺症“しびれ”の原因は?生活への影響とその治療方法 脳梗塞の後遺症に悩まされている人のなかには、顔面や麻痺側の手足のしびれという症状があるという人もいます。そして、脳梗塞の後遺症によるしびれは日常生活にさまざまな悪影響を及ぼしてしまうので、何とかしたいと思っている人が多いのではないでしょうか。 今回は、脳梗塞の後遺症でしびれが発生する原因や、しびれが日常生活に及ぼす悪影響について、また、脳梗塞によるしびれの治療方法についても紹介します。 脳梗塞“しびれ”の原因 脳梗塞の後遺症でしびれが生じてしまう原因は、運動障害によるものと感覚障害によるものがあります。 運動障害 脳梗塞による麻痺で身体を動かすことができなくなると、動かさなくなった部分の筋肉が硬くなって血管も収縮してしまいます。血管が収縮すると血液の流れが悪くなってしまい、その状態が続くとしびれが生じるようになります。 感覚障害 脳梗塞によって感覚を司っている脳神経がダメージを受けると、体の感覚に対する情報がうまく処理することができなくなります。すると、触っている感覚がよく分からない、手足がしびれる、不快な刺激を感じるといった症状が生じるようになります。 脳梗塞の後遺症「しびれ」による生活への影響とは 脳梗塞の後遺症によってしびれが生じると、日常生活にさまざまな悪影響を及ぼすようになります。しびれによって身体を思うように動かすことができない、不快感が続くなどすると、体を動かすことを避けるようになり、活動量の低下につながります。 活動量が低下すると気分もふさぎ込みがちになり、鬱にもなりやすくなってしまいます。また、しびれによる不快感によって慢性的な睡眠不足になってしまうケースもありますし、顔面がしびれている場合だと食欲不振になってしまうケースも少なくありません。 脳梗塞の後遺症によるしびれの治療方法 脳梗塞の後遺症によるしびれの原因が運動障害である場合は、リハビリによって運動障害自体を改善する、また、血液の流れをよくするための治療をおこないます。 しびれの原因が感覚障害である場合は、薬物療法がおこなわれるケースが多いです。薬物療法のほかにも、脳に電極をつけ、電気で刺激することでしびれを抑えるという脳神経外科的による治療方法もあります。 まとめ・脳梗塞の後遺症“しびれ”の原因は?生活への影響とその治療方法 脳梗塞の後遺症でしびれという症状が発生する原因や、しびれが日常に及ぼす影響について紹介しました。また、脳梗塞の後遺症によるしびれを治療する方法についても紹介しました。 近年は、脳梗塞の後遺症に対して、再生医療による治療を選択することもできます。再生医療の治療によって、即効的に元の状態に回復できるということではありませんし、個人差はありますが、麻痺やしびれによる悩みが軽減されることはじゅうぶんに期待できます。 脳梗塞の後遺症である「しびれ」を何とかしたいという人は、再生医療による治療を実施している当院までお問い合わせください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼脳梗塞の後遺症|「しびれ」の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の”しびれ”に対する新たな治療法として注目を浴びています
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脳梗塞の後遺症・言語障害の種類と言語聴覚士の役割 脳梗塞による後遺症はいろいろありますが、言語障害もそのうちの一つです。脳梗塞の後遺症で言語障害となり、リハビリをおこなっていくことになった場合、気になるのが「リハビリをおこなっていけば治るのか」ということだと思います。 今回は、脳梗塞による言語障害の種類やリハビリをすれば必ず治るのかについて、また、言語障害のリハビリをおこなう言語聴覚士についても紹介します。 脳梗塞の後遺症による言語障害は治る? 脳梗塞の後遺症による言語障害が治るかどうかは人によって異なります。 周囲の人が言語障害だと気付かないくらい改善する人や、本人は思うように話せないと感じてはいるものの周囲は問題なく話せていると思うくらい改善する人もいます。 しかし、長い期間きちんとリハビリをおこなっていても言語障害がほとんど改善されない人もいます。 脳梗塞の後遺症による言語障害の種類 脳梗塞の後遺症による言語障害が治るかどうかは言語障害の種類によっても異なってきます。 脳梗塞による言語障害の種類には「失語症」と「構音障害」があります。 失語症 脳梗塞によって脳の言語中枢が損傷を受けてしまったことが原因で、読む、書く、話す、聞くといった言語機能に障害が生じます。 構音障害 脳梗塞による麻痺や運動の調節障害によって話す際に必要な口や舌、声帯などを上手く動かすことができずに、上手く話せなくなります。 言語聴覚士の役割について 脳梗塞の後遺症による言語障害が治るかどうかに大きく関わっているのが、言語障害のリハビリをおこなう言語聴覚士です。 言語聴覚士は、検査や会話をおこなって言語障害の重度を判断したり、リハビリをおこなうことによって言語能力を改善させたりというのが主な役割です。 また、コミュニケーションの手段には言葉を話すだけではなく、ジェスチャー、絵、文字、写真などいろいろな方法があるので、言葉以外の手段で上手にコミュニケーションをとる方法を本人や周囲の人に提案するのも言語聴覚士の役割です。 さらに、言語障害による悩みや問題を一緒に考えて解決を目指すといった心理面や社会面のサポートをおこなっていくという役割もあります。 まとめ・脳梗塞の後遺症・言語障害の種類と言語聴覚士の役割 脳梗塞の後遺症による言語障害は治るのかについて紹介しました。 リハビリによって言語障害が改善する人もいれば、長いリハビリに励んでも思うように改善されないなど、個人差があります。 現在では、再生医療によってリハビリの効果を高めるという手段もあります。脳梗塞による言語障害で悩んでいる、リハビリの効果を高めたい、うまく話せるようになりたいという人は、再生医療も検討してみてはいかがでしょうか。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪 ▼脳梗塞の後遺症|脳梗塞の言語障害は最新の幹細胞治療をご参考下さい 再生医療は、脳梗塞の言語障害に対する新たな治療法として注目を浴びています
最終更新日:2023.10.09 -
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脳梗塞(ラクナ梗塞・アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症)とは 脳梗塞は、一過性脳虚血発作と呼ばれる「ラクナ梗塞・アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症」という3つの分類に分けられます。 同じ脳梗塞でもそれぞれ発症頻度や障害の重さも違い、発症の原因も異なります。 今回は、脳梗塞のそれぞれの分類について、さらに検査や治療法、リハビリについて解説していきます。 脳梗塞とはどんな病気なのか 脳梗塞とは、脳を栄養する動脈の血行不良によって、栄養や酸素を受けている神経細胞が死ぬことによりさまざまな症状を起こす病気です。 脳梗塞は、脳卒中のうちのひとつで、一時的に血管が詰まる一過性脳虚血発作(TIA)は、24時間以内に元の状態に戻るため原則として後遺症を残すことなく、脳梗塞とは区別されています。しかし、原因が取り除かれない場合には再発することがあり、やがて脳梗塞となる危険性もあります。 初期症状は、脳梗塞は突然起こるもの、というイメージがあるかもしれませんが、予兆というのがあります。脳梗塞の予兆は、一過性脳虚血発作(TIA)といって短くて数分、長くても30分ほどで症状が治まります。 そのため「ちょっと調子が悪いのかな」という感じで放っておいてしまいがちなのですが、一過性脳虚血発作を起こると約5%から20%の人に脳梗塞が発症すると言われています。 脳梗塞になる半数の人は、一過性脳虚血発作(TIA)を起こしてから48時間以内に発症しており、約3割の人は3ヶ月以内に発症するというデータもあるので、予兆には十分注意をしなくてはいけません。 一過性脳虚血発作の症状はいろいろあり、急に言語が出なくなる失語症や、ろれつが回らなくなってしまう構音障害が代表的な初期の症状になります。また、何も原因がないのに顔が歪む片側顔面麻痺、急激に片方の視力が低下する一過性黒内障や視界の半分が見えなくなってしまう症状もあります。 他にも両手を持ち上げようとしても片腕だけ上がらない、といった症状も挙げられます。このような異変が起きた場合は、一過性脳虚血発作の可能性があります。 脳梗塞の分類 ラクナ梗塞 ラクナ梗塞(Lacunar Infarction: LI)とは、脳梗塞の中で最も多いタイプの脳梗塞で、脳の中の穿通枝(せんつうし)という200μm程度の細い血管が詰まって起こる脳梗塞です。ラクナ(Lacunar)とは、小さな空洞という意味で、15mm未満の小さな梗塞巣を意味しています。 最大の原因は高血圧症で、高い圧力が細い血管に負担が掛かると、血管が脆くなり、詰まったり、破れたりしやすくなります。穿通枝が破れると脳出血、詰まるとラクナ梗塞になります。どちらも高血圧症が最大のリスク因子なので、高血圧症の治療、血圧を正常に保つことが最も重要です。 ラクナ梗塞の診断 脳の中の穿通枝と呼ばれる細い血管があり、レンズ核線条体動脈、内側線条体動脈、前脈絡動脈、視床膝状体動脈、視床穿通動脈、傍正中動脈などがあります。梗塞に陥った血管から先の血流が途絶えしまい、脳の神経細胞に栄養分と酸素が行き渡らなくなった場所の神経機能が失われる症状、神経脱落症状が突然に発症します。 症状は起こる場所によって様々で、軽度のろれつ障害、上肢や下肢の痺れ、麻痺、などの軽微な神経脱落症状が特徴的で、ラクナ症候群(Lacunar syndrome)と呼びます。ラクナ梗塞のみで意識障害に陥ることは稀です。 脳卒中というと突然の頭痛というイメージがあるかも知れませんが、ラクナ梗塞だけでは基本的に痛みはありません。例外で視床梗塞では視床痛(Thalamic pain)という痛みが出ることがあります。 穿通枝の場所によっては明らかな自覚症状を来さない無症候性脳梗塞、いわゆる隠れ脳梗塞の場合も少なくありません。 無症候性脳梗塞が多発すると、多発性ラクナ梗塞と言って、一個一個の梗塞の症状は明らかでなくても積み重なると脳の中の細かい神経に障害を来して、もの忘れ、脳血管性認知症(Vascular dementia: VaD)の原因になります。症状の有無に関わらず、予防することが大事です。 アテローム血栓性脳梗塞 アテローム血栓性脳梗塞とは、脳の比較的太い血管に動脈硬化やアテローム硬化が起き、脳の血管が詰まって起きる脳梗塞です。心臓の血管に動脈硬化が起こると、狭心症、心筋梗塞になりますが、同じことが脳の血管にも起きると、アテローム血栓性脳梗塞になります。 血管が詰まる前に、一過性脳虚血発作(Transient ischemic attack: TIA)という脳梗塞の予兆を起こることがあり、脳梗塞と一過性脳虚血発作をまとめて、心血管における急性冠症候群(Acute coronary syndromes :ACS)に相当する概念として急性脳血管症候群(Acute cerebrovascular syndrome :ACVS)と呼ばれ、より早期に診断、治療することが大切となります。 アテローム血栓性脳梗塞の診断 アテローム硬化は粥状硬化と呼ばれ、主にコレステロールがプラークと言って粥状に血管壁にかたまりを作っている状態です。プラークが破綻すると、急速に血小板や凝固因子などが活性化され血栓が出来て、その場で血管が詰まってしまったり、血栓が末梢の血管を閉塞させたりします。 梗塞や閉塞に陥った血管から先の血流が途絶え、脳の神経細胞に栄養分と酸素が行き渡らなくなった場所の神経機能が失われる症状、神経脱落症状が突然発症します。 アテローム血栓性脳梗塞の場合は、比較的太い血管が閉塞することが多く、半身麻痺、視力低下、眩暈、嘔吐、意識障害、ろれつ障害、言語障害、顔面麻痺、などの神経脱落症状が出現することが多いです。ラクナ梗塞が、主に高血圧症が原因で細い血管に起こり、症状が軽微であることが多いのとは対照的です。 心原性脳塞栓症 心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)とは、心臓の中の血栓が原因となり、脳の血管を詰まらせて起こる脳梗塞です。原因は心房細動(しんぼうさいどう)という不整脈が主な原因です。心原性脳塞栓症は重症な脳梗塞になることが多く予防が大変重要です。 心原性脳塞栓症の診断 心房細動という不整脈があると、心臓の中の左心房という場所に血液の滞りが続き、血液の塊、血栓が出来やすくなります。なぜなら血液は、出血に備えて流れていないと固まるといった、凝固する性質をもともと持っているからです。 心臓に出来た血栓は、左心房、左心室、大動脈、総頚動脈、内頚動脈と、血管の中を流れていき、脳の血管まで辿り着き、最終的に脳の血管に詰まると脳梗塞に至ります。 小指の爪くらいの大きさの血栓であっても脳の半分の血管が一本詰まってしまうくらい、重症な脳梗塞になってしまいます。重症な脳梗塞とは、2割は命が助からず救急車で運ばれてすぐに最善の治療をしても、2割は寝たきりか要介護の状態に、5割の患者さんは何らかの後遺症が残ってしまいます。 通常の社会生活に復帰出来る場合はほんとわずかです。ですので、なんとしても脳梗塞が起こすのを防ぐことが重要です。これが心房細動を放置してはいけない理由です。心原性脳塞栓症を疑うような神経脱落症状が突然発症している場合には、脳卒中を疑い速やかに頭部画像検査を行います。 脳梗塞の検査 脳梗塞が疑われた場合、早急に治療を開始するために迅速な検査・診断が必要となります。 CTやMRIを用いて梗塞や出血の有無を確認し、どのタイプの脳梗塞かを調べるなど、頭部の血管の様子を立体画像化するMRA(磁気共鳴血管造影)で、動脈の硬化が進行して細くなってしまった血管や動脈瘤の様子を調べます。 また、脳の血流の分布を画像で示し、障害が起きている部分を観察する脳血流検査や、カテーテルから造影剤を入れて検査する脳血管造影検査も行います。その他に、心臓の検査(心房細動の有無を調べる心電図検査、血栓がないかを調べる心臓超音波検査)や、脳梗塞のリスク要因を確かめる為に血液検査も必要に応じて行われます。 まずは、出血なのか梗塞なのか、どちらでもないのかが重要ですので、頭部CTにて脳出血、くも膜下出血を検出します。心原性脳塞栓症は広大な範囲の梗塞巣を来すことが多く、大脳半球に大きな早期虚血所見(Early CT signs)を認めることもあります。 心原性脳塞栓症発症後の自然再開通を起こした例では、一定時間梗塞や虚血に陥った脆弱な血管が破綻し、出血性梗塞(Hemorrhagic infarction)を起こしていることも珍しくなく、心原性脳塞栓症を疑うCT所見が必要です。 頭部CTの次に頭部MRIを撮影します。頭部MRI、特に拡散強調画像(Diffusion weighted image: DWI)は発症早期の脳梗塞も検出可能とされています。T2*強調画像(T2 Star weighted image: T2 Star)では微小出血も含めた出血病変の検出も可能なので、 施設によってはCTをスキップしてMRIで最初に検査をするところもあります。脳卒中の原因、病型診断の精査のために、通常、MR血管画像(Magnetic resonance angiography: MRA)、凝固や線溶マーカーも含めた採血検査も行われます。 心原性脳塞栓症を疑った場合には、塞栓子となった血栓がどこから飛んできたのか塞栓源の検索をすることが重要で、頸動脈エコー、心エコー、心電図、必要があればホルター心電図や経食道心エコー(Trans esophageal echocardiography: TEE)、明らかな塞栓源が見当たらない場合は、アテローム血栓性脳梗塞として治療を開始することも少なくありません。 また逆に、アテローム血栓性脳梗塞として治療していた所、発作性心房細動や左心房内に血栓が見付かり、心原性脳塞栓症の治療に切り替えることも少なくありません。 原因によって、治療法や予防法が異なりますので、確定診断のために何度も検査を繰り返し行うこともあります。検診等で心房細動と指摘されたことがあるという病歴は非常に重要で、不整脈と言われたことがあるだけではなく、心房細動以外の不整脈なのか、あるいは他の場合の不整脈なのかが極めて重要ですので、不整脈と指摘された場合は合わせてその診断名まで把握しておくことがとても大切です。 脳梗塞の治療法 ラクナ梗塞やアテローム血栓症に対しての治療法は、動脈のように血流がとても速い血管のなかで血栓がつくられるのを防ぐため、抗血小板薬が有用となります。 また、抗血小板薬による薬物治療で十分に改善しない場合、外科治療も行なわれます。頚動脈内皮剥離術(CEA)という手術法によってプラークを除去する方法と、梗塞している血管内にステントを置いて狭窄部分を広げるステント留置術(CAS)があります。 さらに、動脈硬化が発症の大きな原因になるので、メタボリック症候群や喫煙、高血圧などの生活習慣の改善が、再発や症状悪化に対する予防につながると考えられます。 メタボリック症候群の基準 ・腹囲 男性>85㎝、女性>90㎝ ・中性脂肪 150㎎/dl以上 ・HDLコレステロール 男性<40㎎/dl、女性<50㎎/dl ・血圧 収縮期130㎜Hg以上、拡張期85㎜Hg以上 ・血糖 110㎎/dl以上 ▲上記5項目のうち3項目を満たすものをメタボリック症候群と言います。 心原性脳塞栓症(左房内血栓)の原因となる血栓は、静脈にできる血栓と同様に、血流の滞ったところでゆっくりとつくられるので、フィブリンという成分が主体となった血栓を形成します。このような血栓に対する治療は抗凝固薬が有用です。 抗凝固薬の種類として、これまではワルファリンという内服薬が主流でしたが、現在ではNOACsと呼ばれる新しい抗凝固薬が登場してきています。NOACsはワルファリンとは異なり、直接的にトロンビンあるいは第Ⅹa因子を阻害する薬で、副作用として問題になる頭蓋内出血のリスクが低いと考えられています。 また現在では血栓もしくは塞栓を直接溶かすための薬で、2005年から日本でも、脳梗塞発症4.5時間以内に治療可能な患者に対して、アルテプラーゼ(rt-PA)の静脈注射の使用が認められました。 このアルテプラーゼ(rt-PA)を使用することで、詰まった血管をいち早く再開通させ、脳に血液を再び送ることが可能となり、脳梗塞の後遺症の程度が著明に少なくなることが証明されています。 しかし、その効果の反面、脳内出血を生じる危険性も高いために治療を受ける場合は担当医の説明をきちんと聞いて、合併症についても理解した上で、同意をする必要があります。 脳梗塞のリハビリ 神経機能の回復のメカニズムはまだ良く分かっていないこともありますが、少なくとも早期にリハビリテーションを開始すると、機能予後は格段に良くなることがわかっています。 リハビリテーションは体の運動機能の回復だけでなく、社会的・心理的な回復も意味しています。一人ひとりの障害の程度に応じたリハビリテーションを行うことで、その人が行っていた脳梗塞発症前の日常生活にスムーズに戻れるようにしていくことが重要です。 また、リハビリは本人だけでなく、家族や友人などの周りのサポートや理解も重要なポイントとなってきます。 脳梗塞発症・治療開始直後は全身状態が変化しやすく、再度危険な状態になりやすいため、生命維持が優先されます。治療後~14日はベッド上でのリハビリテーションが中心に行われます。ただし、廃用症候群※などを防ぐために、無理のない範囲でベッド周辺でのリハビリテーションを開始します。 ※廃用症候群とは? 寝たきり状態や不活動状態が続くことで、筋肉が萎縮、関節が硬くなり、運動機能が衰えた状態のことを指します。体のさまざまな器官が機能しにくくなり、寝たきりによる床ずれや、起立性低血圧、深部の静脈での血液のかたまりの形成(深部静脈血栓症)、感染症などさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。 急性期を脱して病態や血圧が安定してきた頃には、症状に応じて様々なリハビリテーションが開始されます。基本的には、日常生活を行う上で必要な動作が行えるように運動機能・嚥下機能・高次脳機能などを改善せるリハビリテーションが中心となります。 基本動作の自立 寝返りをうつ、ベッド上で座る、ベッドサイドで立つ、自力で座る、立つ 歩行訓練 バランス獲得、車いすへの移動、杖や歩行器などを用いた歩行練習 応用動作の訓練 作や手芸、その他の作業 日常動作 食事やトイレ、着替え、入浴動作 嚥下・言語機能に関するリハビリ(言語聴覚士が行う)は、まず言語聴覚士による機能の評価、X線透視装置や内視鏡を用いた飲み込みの評価を行っていきます。 次に舌の運動や発声、首回りや肩の筋肉を動かしたり、舌や喉の奥を刺激したりする間接的訓練、その人の機能に応じた食事形態で飲み込みの練習をする直接嚥下訓練などをしていきます。 急性期で鼻や口から管を入れて流動食を流して栄養管理(経管栄養)をしていた人も、これらの訓練を行うことで多くの方は口から食べることができるようになります。 口周りの訓練 発声や舌・口・喉の筋肉を動かす運動 顔周りの訓練 首まわりや肩まわりの筋肉を動かす運動 間接的嚥下訓練 凍らせた綿棒などで喉の奥を刺激するなど 直接的嚥下訓練 ゼリーや水などの食物を用いる飲み込みの練習 機能に応じ発声練習・理解の向上、ゆっくりと話す練習や舌の運動、口まわりのストレッチや状況に応じて文字盤や日常よく使う言葉を書いたカードを用いたコミュニケーションの練習などを行います。 高次脳機能障害を防ぐリハビリでは、注意障害や遂行機能障害、半側空間無視、失認、失行などさまざまな機能評価を行って、まず障害を認識して頂くところから始めていきます。 次に、その人の障害に応じて、日常生活動作を確実にリスクなく行えるにはどのような点に注意すべきか理解を深め、繰り返し同じ行動を反復練習する、メモなどを用いて記憶の曖昧さを補うなどの工夫をしていきます。 ・プリント教材や風船、積木などの物品を用いた訓練 ・繰り返し同じ行動の練習 ・行動の順序を確認する 脳梗塞後の維持期に入ると一度回復した機能も、退院後何もしないでじっとしていると再び機能低下が進みますので、退院後も外来や介護保険を利用したリハビリテーションを続けることは極めて重要であると言われています。 脳梗塞のリハビリの専門家である鍼灸・理学療法士・作業療法士・運動トレーナーなどによる徒手的リハビリも機能維持するうえで大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼脳梗塞の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の新たな治療法として大きな可能性を持っています。
最終更新日:2023.10.09