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「納豆は痛風でも食べていい?」 「健康に良い納豆を食べたいけれど、痛風への影響が心配」 痛風と診断され、上記のような疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 プリン体が多いとされる大豆製品の中でも、納豆は特に身近な食品であるため、その摂取量や頻度について気になることでしょう。 本記事では、痛風の方が納豆を食べる際の適切な目安量や、尿酸値を上げにくい食べ方について解説します。 正しい知識を取り入れ、安心して食卓に納豆を並べられるための参考にしてください。 納豆は痛風でも食べていいのか 痛風や尿酸値が高めの方であっても、適量であれば納豆を食べても問題ありません。 本章では、納豆と痛風の関係について、以下の2つのポイントについて解説します。 プリン体含有量は比較的少ないため適量ならOK 納豆を食べる場合は「1日1パックまで」が目安 納豆はプリン体を含んでいますが、極端に多いわけではなく、目安量を守ることで健康的な食生活の一部として取り入れることができます。 過度な心配をせずに納豆を食べるためにも、納豆と痛風の関係性について理解しておきましょう。 プリン体含有量は比較的少ないため適量ならOK 納豆のプリン含有量は、他の高プリン体食品と比較するとそれほど多くはないため、適量であれば痛風の方が食べても問題ありません。 市販納豆に含まれるプリン体総量は「56.6mg/100g」と報告※されており、納豆1パック(40〜50g)あたり約28mgです。 ※出典:J-STAGE「納豆摂取習慣による尿酸代謝への影響」 これは、高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインで注意されている「極めて多い(300mg以上)」に該当していません。 高プリン体の食品と納豆のプリン体含有量の比較は、以下のとおりです。 食品名 プリン体含有量(100gあたり) 備考 納豆 56.6mg 少ない 鶏レバー 312.2mg 極めて多い 白子(イサキ) 305.5mg 極めて多い カツオ 211.4mg 多い ※出典:公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品中プリン体含量」 上記のように、レバーや白子などの内臓類と比べれば納豆のプリン体は少ないです。 一般的な肉や魚と比較しても低い部類に該当するため、過剰摂取さえ避ければ、日常的に食べても尿酸値への影響は限定的といえるでしょう。 納豆を食べる場合は「1日1パックまで」が目安 痛風の患者さまが納豆を食べる場合、「1日1パック(40〜50g)」を目安にすることをおすすめします。 高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、1日のプリン体摂取量を「400mg以下」に抑えることが推奨されています。 納豆1パックに含まれるプリン体は約28mg程度ですので、これだけで制限を超えることはありません。 しかし、私たちは納豆以外の食事(肉や魚、主食など)からもプリン体を摂取しているため、他の食材とのバランスを考慮すると、納豆は1日1パックに留めておくと良いでしょう。 朝食や夕食のどちらかに一回食事に取り入れる程度が、無理なく続けられる適量です。 納豆を食べると「痛風になる」って嘘?本当? 「納豆を食べると痛風になる」という噂を耳にすることがありますが、過剰摂取していない限り「誤解」といえます。 納豆が痛風の直接的な引き金になる可能性は低く、過剰に恐れる必要はありません。 むしろ、納豆をはじめとする豆類を食事に取り入れることで、血清尿酸値が低下したという研究結果が報告※されています。 ※出典:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 食事に豆類を取り入れる際は、豆の種類や加工方法によって異なるプリン体含有量に注意しましょう。 食品名 プリン体含有量(100gあたり) 納豆 56.6mg 乾燥大豆 172.5mg 味噌(白味噌) 63.5mg ピーナッツ 49.1mg 枝豆 47.9mg 醤油 45.2mg そら豆 35.5mg 豆腐(冷奴) 31.1mg 豆乳 22.0mg ※出典:公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品中プリン体含量」 「納豆=痛風の原因」と決めつけるのではなく、食事全体のバランスや生活習慣を見直すことが重要といえるでしょう。 痛風で納豆を食べるときの注意点 納豆はプリン体含有量が比較的少なめで痛風の方でも食べられる食品ですが、無条件にどれだけでも食べていいわけではありません。 痛風の方が納豆を食事に取り入れるために注意したい点は、以下の3つです。 納豆の食べ過ぎに注意する 他の食材のプリン体含有量も考慮する アルコール摂取は控える これらを守ることで、納豆を食べながら痛風リスクをコントロールできるでしょう。 納豆の食べ過ぎに注意する 納豆のプリン体含有量は少なめとはいえ、食べ過ぎれば摂取量は積み重なり、尿酸値を上げる原因となります。 先述のとおり、1日1パック(約40~50g)であればプリン体摂取量は約28mg程度に収まりますが、これが2パック、3パックとなれば話は別です。 健康に良いからといって極端に摂取量を増やすのではなく、「適量を守ることが重要」と考えましょう。 プリン体は納豆以外の食品からも摂取することになるため、納豆は1日1パック食べる習慣をつけることをおすすめします。 他の食材のプリン体含有量も考慮する 納豆を食べる際は、その日の食事全体のプリン体総量を意識し、一緒に食べるおかずの選び方に工夫が必要です。 納豆自体に一定量のプリン体が含まれているため、メインのおかずにプリン体が多い食品(レバー、干物、カツオなど)を選ぶときは注意しましょう。 高プリン体の食品を一食でも取り入れるだけで、一日のプリン体摂取量の「400mg以下」ギリギリになってしまう可能性があります。 納豆を食べる日は、主菜をプリン体の少ない卵料理や野菜中心のメニューにするなど、プリン体総量のバランスを整えると良いでしょう。 アルコール摂取は控える 納豆を食べるときに限った話ではありませんが、痛風ケアの観点からはアルコールの摂取には注意が必要です。 アルコールは、尿酸の生成を促進するだけでなく、体外への排泄を妨げるという二重のリスクを持っています。 「プリン体ゼロ」の発泡酒であっても、アルコール成分そのものが尿酸値を上げる働きをするため、アルコール摂取は控えた方が賢明です。 納豆を食べる際は、できるだけお酒を控えるか、休肝日を設けるなどして、肝臓への負担を減らすよう心がけましょう。 痛風患者向けの納豆のおすすめの食べ方 痛風で納豆を食べるなら、単体で食べるよりも「尿酸の排泄を助ける食材」や「尿をアルカリ化する食材」と組み合わせるのがおすすめです。 本章では、納豆と相乗効果を狙えるおすすめの食べ方について紹介します。 納豆におすすめの食品の組み合わせ おすすめの納豆レシピ これらを日々の食事に取り入れ、美味しく効率的な対策を続けていきましょう。 納豆におすすめの食品の組み合わせ 納豆を食べるときは、尿をアルカリ性に傾けるアルカリ性食品や、代謝を助けるビタミン類を含む食品との組み合わせが効果的です。 特におすすめしたい食品は、以下のとおりです。 海藻類(わかめ・ひじき) ほうれん草・トマト・大根 きのこ類 大豆製品(豆腐) いも類 など これらの食品は納豆との相性も良く、手軽に料理に追加できるものばかりなので、痛風対策に効果的な食事法のためにも、ぜひ取り入れましょう。 おすすめの納豆レシピ 手軽に作れて、痛風対策としての栄養価も高いおすすめレシピを紹介します。 材料を混ぜるだけの簡単なメニューなので、忙しい朝食などに取り入れてみてください。 レシピ めかぶ納豆 材料 ・めかぶ:2パック(約80g) ・納豆:1パック(約40g) ・醤油:大さじ1/2 作り方 ①めかぶと納豆をボウルに入れ、醤油を加えて和える 期待できる効果 ・尿のアルカリ化をサポートし、尿酸の排出を促す ・めかぶと納豆の相乗効果で腸内環境の改善につながる 上記はあくまで一例ですが、納豆の持つ栄養価を活かしつつ、痛風に気を付けた組み合わせを工夫することで、痛風の方でも納豆を美味しく食べられるでしょう。 納豆は痛風でも1日1パックはOK!食べ合わせにも注意しよう 痛風だからといって、あれもこれもダメと制限しすぎると、食事の楽しみが減ってしまうものです。 納豆はプリン体含有量が比較的少なめなので、痛風の方でも1日1パックを目安として食べることができます。 食べる際は、「納豆の食べ過ぎ」「他の食材のプリン体含有量も考慮」「アルコールは控える」などの注意点を守りましょう。 痛風と向き合うためにも正しい知識を持ち、適量を守って食べることで健康的な毎日を維持していくことが大切です。
2025.11.28 -
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「痛風にコーヒーはダメ?」「発作が怖いけれど、コーヒーは飲みたい」 日常的にコーヒーを飲む習慣がある方で、痛風と診断されてから上記のようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。 カフェインは体に良くないというイメージから「ダメ」だと思われがちですが、コーヒーは痛風にとって「ダメな飲み物」ではありません。 むしろ、近年の研究ではコーヒーを飲む習慣が痛風に良い影響を与える可能性も示唆されています。 本記事では、痛風や尿酸値とコーヒーの関係性について詳しく解説します。 正しい知識を身につけ、不安なくコーヒータイムを楽しみたい方は、ぜひ最後までご覧ください。 痛風にコーヒーはダメじゃない!尿酸値との関連性 痛風の方や尿酸値が高めの方であっても、コーヒーを完全に避ける必要はありません。 むしろ、コーヒーを飲む習慣が痛風の発症リスクを低下させるという研究データも報告されています。 コーヒーと尿酸値の具体的な関係について、以下の2つの視点から詳しく解説します。 コーヒーは痛風の発症リスク低下につながる 尿酸値への影響は解明されていない コーヒーが持つ意外なメリットと、現在の医学的な見解を正しく理解することが大切です。 コーヒーは痛風の発症リスク低下につながる コーヒーを習慣的に飲むことは、痛風の発症リスクを20〜60%低減させる※と考えられています。 ※出典:J-STAGE「痛風・高尿酸血症の病態と治療」 アメリカで実施された大規模なコホート研究によると、コーヒーを飲む量が多い人ほど、痛風を発症する確率が低いという結果が出ました。 具体的には、1日に4杯から6杯以上のコーヒーを飲む男性において、痛風リスクの大幅な低下が見られています。 しかし、これらの研究結果は、個人差があることやエビデンスが不十分であると判断されていることから、コーヒーの効果を過信しないことが大切です。 とはいえ、過剰摂取などに注意すれば痛風でもコーヒーを飲めるので、コーヒーを飲む習慣がある方には朗報といえるでしょう。 尿酸値への影響は解明されていない コーヒーが痛風の発症リスクを低下させるというデータがある一方で、「尿酸値を下げる」などの影響に関する詳細は解明されていません。 複数の研究結果を見ても、コーヒーを飲んで尿酸値が下がったグループもあれば、上がったグループもあるため、コーヒーの消費量と尿酸値に関連性は認められませんでした。 現時点では、コーヒーと尿酸値の関連性として以下のような仮説が考えられています。 仮説 詳細 排泄の促進 カフェインの利尿作用などが、尿酸の体外排出を助けている可能性 インスリン抵抗性の改善 尿酸値を高める原因となるインスリンの働きを整える可能性 上記のことから、コーヒーを飲めば確実に尿酸値が下がるというわけではない点に注意が必要です。 あくまで「痛風の発症リスクを下げる可能性がある嗜好品」として捉え、適切な治療やバランスの良い食事と併用する意識を持つと良いでしょう。 痛風予防でコーヒーを飲むときの注意点 コーヒーは痛風予防に役立つとされていますが、飲み方を間違えるとカフェインの過剰摂取などによる健康被害を引き起こす可能性があります。 健康的にコーヒーを楽しむために、特に意識したい注意点は以下の3つです。 コーヒーの飲み過ぎ 砂糖やシロップが含まれたコーヒーを飲む コーヒー以外の水分を摂取しない これらの注意点を理解し、健康的な飲み方を心がけることで、痛風の方でもコーヒーを楽しめるでしょう。 コーヒーの飲み過ぎ 痛風の発症リスクを低下させる可能性があるとはいえ、カフェインの過剰摂取につながるほどの飲み過ぎは避けましょう。 一般的に、成人の1日のカフェイン摂取量は400mg以下(コーヒー約3〜4杯分)が目安とされていますが、カフェインへの耐性は個人差が大きいものです。 カフェインを摂りすぎると、不眠や胃腸の荒れ、動悸といった健康被害を引き起こす可能性があるため、飲む量には注意が必要です。 ご自身の体調と相談しながら、リラックスできる適量を守ってコーヒーを飲みましょう。 砂糖やシロップが含まれたコーヒーを飲む 砂糖や甘いシロップが入ったコーヒーは、過剰摂取により尿酸値を上昇させるリスクがあるため、おすすめできません。 糖が体内で分解される過程で尿酸の産生を促進したり、糖分の摂りすぎによって肥満になったりすることで、結果として痛風のリスクを高めることにつながります。 痛風の方がコーヒーを飲む場合は、砂糖やシロップが含まれるものは避けることが望ましいです。 また、ブラックコーヒーが苦手な方は、同じく痛風リスクを下げるといわれている無糖のミルク(牛乳)※で割って飲むと良いでしょう。 ※出典:J-STAGE「血清尿酸値の低下作用が示唆される食材および食材に含まれる物質の作用機序」 コーヒー以外の水分を摂取しない コーヒーには利尿作用があるため、水やお茶など他の飲み物でもしっかりと水分補給を行うことが欠かせません。 コーヒーだけを水分源にしていると、体内の水分が尿として排出され、知らず知らずのうちに脱水気味になることがあります。 また、水分不足は血液中の尿酸濃度を高め、尿酸が結晶化しやすい環境を作ってしまう原因となります。 痛風予防のためには、1日2リットル程度の水分摂取が推奨※されているため、コーヒー以外の飲み物で意識的に水分補給しましょう。 ※出典:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 痛風改善・予防に役立つコーヒー以外の飲み物 コーヒー以外にも、日々の水分補給を通じて痛風改善・予防を助けてくれる飲み物があります。 痛風予防の観点から積極的に取り入れたい飲み物は、以下のとおりです。 水(ミネラルウォーターや水道水) 緑茶、麦茶 牛乳、乳製品 先述のとおり、痛風予防ためには、1日2リットル程度の水分摂取が推奨されているため、上記を取り入れることでコーヒーだけに頼らない水分補給が可能になります。 また、牛乳などの乳製品には、尿酸の排泄を助ける「カゼイン」や「ラクトアルブミン」というタンパク質が含まれています。 毎日コップ1杯程度の牛乳を飲む習慣は、尿酸値が高めの方にとって心強いサポートとなるはずです。 低脂肪乳を選ぶと、カロリーや脂質も抑えられるため、より健康的といえるでしょう。 痛風とコーヒーに関してよくある質問 痛風とコーヒーに関してよくある以下の2つの質問について回答します。 痛風にはインスタントコーヒーでもいい? 痛風でコーヒーと一緒に食べてはいけないものは? 以下では、それぞれの質問に対して詳しく解説しているので、疑問や不安がある方はここで解消しておきましょう。 痛風にはインスタントコーヒーでもいい? インスタントコーヒーであっても、痛風の発症リスクを低減する効果が期待できるでしょう。 有効成分であるポリフェノールはインスタントにも含まれていますが、ドリップコーヒーに比べると含有量が少ない傾向があります。 それでも、過去の研究ではドリップとの厳密な区別なく効果が確認されているため、日常的な摂取としては十分に期待できます。 しかし、インスタントコーヒーには砂糖やミルクがあらかじめ配合されている製品が多く、糖分の摂りすぎにつながる可能性があるため、注意が必要です。 インスタントコーヒーを選ぶときは、成分表示を確認する習慣をつけると良いでしょう。 痛風でコーヒーと一緒に食べてはいけないものは? 痛風でコーヒーと一緒に絶対に禁止すべき食べ物はありませんが、砂糖や果糖たっぷりのスイーツとの組み合わせには注意が必要です。 ケーキやドーナツなどの甘いお菓子は、体内で尿酸値を上昇させる大きな原因となります。 コーヒーによる発症リスクの低減を過信せずに、素焼きのナッツや高カカオチョコレートなど、低糖質なものを選ぶ工夫をしましょう。 痛風でもコーヒーは飲んでOK!飲み方と量に注意しよう 痛風や尿酸値が気になる方でも、コーヒーを完全に避ける必要はなく、日常的に飲んでも問題はありません。 むしろ、コーヒーを飲む習慣によって痛風の発症リスクを低減させることにつながると考えられているため、適切な飲み方を守れば健康管理のに役立ちます。 「痛風だから」と好きなものを我慢しすぎることは、かえってストレスの原因になりかねません。 生活習慣の改善と合わせて、コーヒーの飲み過ぎや砂糖・シロップが含まれたコーヒーの過剰摂取を控えて、コーヒーを楽しみましょう。
2025.11.28 -
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高血圧の治療薬を服用中は、食事との組み合わせに細心の注意が必要です。 特に柑橘類には、薬の副作用を強めすぎてしまう種類がグレープフルーツ以外にも存在します。 本記事では、グレープフルーツ以外に避けるべき果物や、相互作用の心配が少ない種類について詳しく解説します。 また、高血圧が招く脳梗塞のリスクに備えるため、損傷した組織の再生・修復を促す再生医療についても紹介します。 食事への不安を解消し、将来の健康を守るために本記事を参考にしてください。 高血圧の薬でグレープフルーツ以外にも注意すべき柑橘類 薬との飲み合わせが悪いのはグレープフルーツだけではありません。 ここでは、注意が必要な種類を具体的に解説します。 注意すべき柑橘類【一覧】 果汁に注意すべき柑橘類 果皮に注意すべき柑橘類 注意すべき柑橘類を知り、日々の食事選びに役立てましょう。 また、次の記事では高血圧についてわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてください。 注意すべき柑橘類【一覧】 薬の代謝を妨げる可能性がある「フラノクマリン類」を含む柑橘類は、グレープフルーツ以外にも複数存在します。 主な種類は、以下のとおりです。 注意すべき柑橘類【一覧】 グレープフルーツ スウィーティー メロゴールド バンペイユ レッドポメロ ダイダイ ブンタン ハッサク ※出典:J-STAGE「酵素免疫測定法による食物・生薬中のフラノクマリン類含有のスクリーニング」 これらは品種改良によって近い特性をもっているため、同様の成分を含みます。 一方で、温州みかんやデコポン、イヨカンなどは影響が少ないとされていますが、判断に迷った際は自己判断をせず、医師や薬剤師へ相談してください。 果汁に注意すべき柑橘類 果肉を絞ったジュースにもフラノクマリン類が含まれるため、果汁にも注意が必要です。 特に以下の柑橘類は果汁中のフラノクマリン類の含有量が高いため、飲み物として摂取する場合も注意が必要です。 柑橘名 果汁のDHB換算量(μg/mL) スウィーティー 17.5 グレープフルーツ 13.0 バンペイユ 12.5 メロゴールド 12.5 レッドポメロ 6.4 ※出典:J-STAGE「酵素免疫測定法による食物・生薬中のフラノクマリン類含有のスクリーニング」 健康のためにと飲んだジュースが、思わぬ不調を招く原因になる可能性があります。 該当する果物のジュースは避け、水やお茶を選びましょう。 以下のページでは、脳梗塞後に食べてはいけないものについて解説しているので、併せて参考にしてください。 果皮に注意すべき柑橘類 果肉・果汁の部分よりさらに注意が必要なのが、柑橘類の「皮」です。 果皮には果汁の何倍もの高濃度でフラノクマリン類が含まれている柑橘類があり、マーマレードや皮ごと食べる加工品はリスクが高まります。 特に含有量が多い柑橘類は、以下のとおりです。 柑橘名 果皮のDHB換算量(μg/mL) グレープフルーツ 3600.0 メロゴールド 3400.0 スウィーティー 2400.0 甘夏ミカン 1040.0 サワーポメロ 1000.0 ※出典:J-STAGE「酵素免疫測定法による食物・生薬中のフラノクマリン類含有のスクリーニング」 甘夏ミカンは果汁の数値が低いものの、皮にはフラノクマリン類が多く含まれます。 皮の砂糖漬けやジャムなどは口にしないよう注意しましょう。 高血圧の薬と相互作用の心配が少ない食材 高血圧の治療中でも、すべての柑橘類を避ける必要はありません。 成分分析の結果、果汁に含まれるフラノクマリン類が検出されない、または極めて微量で影響が少ないとされる種類も確認されています。 分類 主な果物名 定番の柑橘類 温州みかん、デコポン、イヨカン、ポンカン オレンジ類 スウィートオレンジ、マンダリンオレンジ 香酸柑橘類 ゆず、カボス、スダチ その他 リンゴ、ブドウ、バナナ、イチゴ これらは日常的に手に入りやすく、適量であれば薬の効果を強めすぎてしまうリスクも低いです。 以下の動画では、血糖値を下げるために効果的なことについて解説しているので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/XsADuZQd4wc?si=xv2dvdcy5DiOUXG7 高血圧の薬とグレープフルーツの相互作用について 高血圧の治療薬、特にカルシウム拮抗薬を服用している間は、グレープフルーツの摂取を控える必要があります。 なぜ一緒に食べてはいけないのか、体内で起きている反応とリスクについて解説します。 薬の効果を妨げてしまう 摂取量に比例してリスクが高まる 正しいメカニズムを理解し、ご自身の体を副作用から守りましょう。 薬の効果を妨げてしまう グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン類」と呼ばれる成分が、薬の代謝を妨げて副作用を引き起こします。 通常、薬は小腸にある酵素によって適度に分解され、体内に吸収されます。 しかし、フラノクマリン類はこの酵素の働きを阻害するため、薬が分解されずにそのまま体内に吸収され、血中濃度が想定以上に高くなります。 結果として、薬が効きすぎてしまい、以下の症状が出る恐れがあります。 主な症状 具体的な状態 過度な血圧低下 ふらつき、立ちくらみ 脳への血流不足 めまい、頭痛 心臓への影響 動悸、頻脈 上記のような影響は、一度フラノクマリン類が含まれる柑橘類を食べると数日間続く場合があります。 薬を服用している期間は、ジュースや加工品を含めて摂取を避けましょう。 摂取量に比例してリスクが高まる フラノクマリン類が含まれる柑橘類は、食べる量が増えれば増えるほど、体への悪影響も大きくなります。 一般的に、グレープフルーツジュース1杯程度でも薬の代謝に影響を与えますが、果実を丸ごと食べたり、濃縮ジュースを飲んだりすると、さらにリスクは跳ね上がります。 体質や薬の種類によって差はありますが、多量摂取は危険な副作用を招く原因になります。 特に高齢の方や肝臓・腎臓の機能が低下している方は、薬の成分が体から抜けにくいため、より慎重な管理が必要です。 高血圧の薬を服用中にグレープフルーツを食べてしまったときの対処法 万が一、グレープフルーツや柑橘類を食べてしまった場合でも焦りは禁物です。 体調の変化を観察し、適切な行動をとりましょう。 高血圧の薬を服用中にグレープフルーツを食べてしまったときの対処法 激しい運動を避け安静にする 血圧や体調の変化を記録する 異変があれば医療機関へ連絡する 摂取直後に症状が出るとは限らないため、数時間は激しい運動や入浴を避け、自宅で安静に過ごしましょう。 特に注意すべき症状は、以下のとおりです。 症状の分類 具体的なサイン 血圧低下 めまい、ふらつき、立ちくらみ 心臓の異常 動悸、胸の苦しさ、頻脈 その他 強い倦怠感、頭痛、冷や汗 これらの症状が現れた場合は、すぐに医師または薬剤師に連絡し、指示を仰いでください。 「薬を飲むのをやめる」「量を減らす」といった自己判断は、症状を悪化させる原因になるため、注意しましょう。 必ず専門家の指示に従いましょう。 高血圧の薬と柑橘類に関してよくある質問 ここでは、高血圧の薬と柑橘類に関してよくある質問に回答していきます。 高血圧の薬にレモンは大丈夫? フラノクマリンが多い柑橘類は? 正しい知識を身につけ、日々の食生活に取り入れましょう。 高血圧の薬にレモンは大丈夫? レモンは、高血圧の治療薬を服用中の方でも相互作用の心配が少ない食材です。 グレープフルーツとは異なり、レモンの果肉・果汁には薬の代謝を妨げる成分「フラノクマリン類」がほぼ含まれていません。 同様にフラノクマリン類含有量が少ない主な柑橘類は、以下のとおりです。 温州みかん カボス ゆず すだち デコポン しかし、ほとんどの柑橘類で果肉・果汁よりも果皮の方に多くのフラノクマリン類が含まれているため、皮には注意が必要です。 相互作用の心配が少ないレモンでも、過剰摂取や果皮を食べないようにしてください。 フラノクマリンが多い柑橘類は? フラノクマリン類を多く含み、薬との飲み合わせが悪い柑橘類は複数存在します。 特に注意が必要な種類は、以下のとおりです。 フラノクマリン類が多い柑橘類 グレープフルーツ スウィーティー メロゴールド バンペイユ レッドポメロ ダイダイ ブンタン ハッサク など これらは果肉だけでなく、果皮にも高濃度の成分が含まれるため、柑橘類の皮を材料としたマーマレードなどの加工品も避ける必要があります。 見た目だけでは判断が難しいため、迷った際は口にせず、主治医や医療機関に確認しましょう。 高血圧の薬にはフラノクマリンの多い柑橘類に注意しよう 本記事では、薬との飲み合わせが悪い柑橘類について解説しました。 特に以下の点は、日々の生活で意識する必要があります。 グレープフルーツ、甘夏ミカン、スウィーティーなどは避ける 果肉だけでなく、果汁や果皮を使った加工品も控える レモンや温州みかんは相互作用の心配が少ないため代用できる 正しい食事制限を続けることは、血圧を安定させ、将来的な「脳梗塞」を防ぐために欠かせません。 高血圧の状態が長く続くと、血管に負担をかけ続けて動脈硬化を進行させるリスクがあり、将来的に脳の血管が詰まってしまう可能性を高めます。 もし、薬によるコントロールだけでなく、より根本的な予防を検討したい場合は「再生医療」も選択肢の一つです。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を使って傷ついた血管や組織の再生・修復を促す治療法です。 脳梗塞の予防や、発症後の機能回復に役立つ新たなアプローチとして注目されています。 ご自身の健康を守るために、食事の管理と併せて、再生医療という選択肢も検討してみてください。 >再生医療による脳梗塞(脳卒中)の症例はこちら 「再生医療について詳しく知りたい」という方は、当院リペアセルクリニックにご相談ください。
2025.11.28 -
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ズキズキと刺すような痛みと、透明な液体が詰まった赤い発疹を伴う症状が出る。 実はこれ、誰でも発症する可能性のある帯状疱疹かもしれません。 本稿では、帯状疱疹がなぜ起こり、どんな症状が出るのか、治療法、そして予防に有効なワクチン情報まで、詳しく解説します。 もしかして、今の体の不調は帯状疱疹の初期症状かも? 少しでも気になる方は、ぜひ読み進めてみてください。 帯状疱疹の症状と原因を詳しく解説 帯状疱疹は、ズキズキと刺すような痛みと、透明な液体が詰まった赤い発疹を伴う症状が現れる病気です。 特徴的なのは、体の左右どちらか一方にのみ現れる発疹です。 実は、幼少期に感染した水ぼうそうの原因ウイルスは体内に残り、誰にでも起こりうる身近な病気とも言えます。 今回は、帯状疱疹の症状や原因、そして病気の経過について、わかりやすく解説していきます。 帯状疱疹とは? 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされます。 このウイルスは、実は小児期の水疱瘡の原因となるウイルスと同じものなのです。 初感染時には水ぼうそうとして発症しますが、治癒した後もウイルスは神経節と呼ばれる神経細胞の集まりに潜伏し続けます。 このウイルスは通常、人体の免疫システムによって抑制された状態で体内に留まっていますが、加齢や過労、ストレスなどによって免疫力が低下すると、休眠状態だったウイルスが再び活動を始め、帯状疱疹の症状として現れてきます。 VZVはアルファヘルペスウイルスというグループに属し、単純ヘルペスウイルスと同様に、一度感染すると体内に潜伏し続けるという特徴を持っています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 帯状疱疹の初期症状 帯状疱疹の初期症状は、実にさまざまです。 そのため、他の病気と見分けにくく、診断が遅れてしまうケースも少なくありません。 初期には、風邪に似ただるさや頭痛、微熱といった全身症状が現れることがあります。 また、皮膚症状が現れる数日前から、ピリピリとした痛みやしびれ、かゆみといった皮膚の違和感を感じることもあります。 こうした症状は、ウイルスによって神経に炎症が生じることで起こります。 しかし、これらの初期症状は個人差が大きく、必ずしも全員が同じような症状が出るわけではありません。 例えば、皮膚症状が出る前に強い痛みを感じる人もいれば、全く痛みを感じない人もいます。 重要なのは、これらの初期症状に注意を払い、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診することです。 帯状疱疹の特徴的な症状:ピリピリとした痛みと赤い発疹 帯状疱疹の最も特徴的な症状は、なんといってもピリピリとした痛みと赤い発疹です。 痛みは、発疹が現れる数日前から始まることもあり、ヒリヒリ、シクシクなど、痛みの感じ方は人それぞれです。 痛みの程度も個人差が大きく、軽い痛みで済む人もいれば、激痛に苦しむ人もいます。 赤い発疹は、小さな水ぶくれが集まったもので、神経に沿うような帯のような形で出現してきます。 この水ぶくれは、次第にかさぶたになり、おおよそ2~3週間程度で完治に向かいます。 しかし、皮膚の症状が治まった後も、痛みが続く場合があります。 これは「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる合併症で、この症状は、とりわけお年を召した方に発生する傾向が確認されています。 帯状疱疹の症状の経過と回復までの期間 帯状疱疹の症状は、一般的に2~4週間で治まります。 最初は赤い水疱が現れ始め、かさぶたになって治っていきます。 しかし、前述のように、痛みは発疹が治った後も残ることがあります。 この帯状疱疹後神経痛は、数か月、数年と長引くことも報告されており、生活の質を著しく低下させる可能性があります。 年齢が高い方や免疫が弱っている方については、この病気にかかりやすいだけではなく、その後の神経痛に悩まされる可能性も増加します。 できるだけ早い段階で治療を始めることによって、そのような症状が残るリスクを抑制できることもあり、早期発見・早期治療が重要です。 帯状疱疹の原因:水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化が原因で起こります。 幼少期に水疱瘡を経験したことのある方は、このVZVが体内の神経節に潜伏しています。 加齢、疲労、ストレス、病気などによって免疫力が低下すると、VZVが再び活性化し、帯状疱疹を発症します。 免疫力の低下は、VZVの再活性化の主要な引き金となります。 高齢者や免疫抑制剤を使用している人、あるいは持病がある人は、特に注意が必要です。 VZVの再活性化は、神経に沿って炎症を引き起こし、独特の痛みと共に、皮膚に吹き出物が現れるのが特徴です。 帯状疱疹の発生率は、年齢とともに増加することが知られており、特に50歳以上で急増します。 帯状疱疹の治療法と後遺症 帯状疱疹は、体の片側にピリピリとした痛みと赤い発疹が現れる病気です。 早期に適切な治療を行うことで、症状を迅速に和らげ、合併症の危険性も軽減できます。 少しでも気になる症状があれば、ためらわずに医療機関を受診しましょう。 帯状疱疹の治療薬:抗ウイルス薬 帯状疱疹の治療の要となるのは、抗ウイルス薬です。 この薬は、帯状疱疹の原因である水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑えることで、皮膚の症状を早く治し、神経の痛みなどの合併症を防ぐ働きがあります。 抗ウイルス薬には、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどがあり、一般的には内服薬として処方されます。 それぞれのお薬の働きをシンプルにご説明いたします。 アシクロビル:アシクロビルは帯状疱疹治療の基本となる薬ですが、1日5回服用する必要があります。 バラシクロビル:バラシクロビルはアシクロビルに比べて1日の服用回数が少なく、飲み忘れを防ぎやすいという利点があります。 ファムシクロビル:ファムシクロビルは1日2~3回服用し、食事の影響を受けにくいという特徴があります。 どの薬が患者さんに最適かは、現在の状態や他の疾患の有無、年齢などを考慮して医師が判断します。 自己判断で薬の服用を中止したり、服用量を変えたりすることは大変危険ですので、絶対にしないでください。 医師の指示に従って正しく服用することが重要です。 発疹出現後72時間以内に抗ウイルス療法を開始することで、症状の悪化や併発症の危険性を抑えられることが示されています。 帯状疱疹の痛みを抑える薬 帯状疱疹では、発疹に伴い、強い痛みを感じる方が多くいらっしゃいます。 このような痛みは、ウイルスが神経を刺激して炎症が発生することにより生じます。 痛みを和らげるために、鎮痛薬が使用されます。 鎮痛薬には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などがあります。 これらの薬は、痛みや炎症を抑える効果があります。 痛みが強い場合には、神経障害性疼痛治療薬と呼ばれる種類の薬が処方されることもあります。 神経障害性疼痛治療薬は、神経の損傷によって生じる痛みを特異的に抑える薬です。 適切な鎮痛薬を選ぶことで、日常生活における痛みを軽減し、より快適に過ごせるようになります。 痛みの強さと性質を考慮して、医師が適切な薬剤を選択し、処方しますので、ご安心ください。 ▼痛み止めどれがいい?併せてお読みください。 帯状疱疹の治療期間 帯状疱疹の治療期間は、症状の重さや個人差によって異なりますが、通常は2~4週間程度です。 抗ウイルス薬は、発疹が出てから72時間以内に服用を開始すると最も効果的です。 できるだけ早い段階で治療を始めることにより、症状の悪化や後遺症のリスクを減らすことができます。 治療期間中は、医師の指示に従って薬をきちんと服用し、患部を清潔に保つことが大切です。 また、十分な休息と栄養を摂ることも、早期回復に繋がります。 帯状疱疹の合併症:帯状疱疹後神経痛 帯状疱疹の合併症として最も注意すべきなのは、帯状疱疹後神経痛(PHN)です。 この症状は、帯状疱疹そのものが完治した後でも痛みが残る症状のことで、お年寄りや抵抗力が弱っている患者さんに発症することが多いとされています。 帯状疱疹後神経痛は、日常生活の質が大きく損なわれる可能性があり、適切な治療と管理が必要です。 帯状疱疹後神経痛の症状と治療法 帯状疱疹後神経痛の症状は、ピリピリ、シクシクする痛み、焼けつくような痛みなど、人によって様々です。服が軽く当たっただけでも痛みが生じたり、夜も眠れないほどの強い痛みが出ることもあります。 治療には、鎮痛薬、神経障害性疼痛治療薬、抗うつ薬、抗けいれん薬などが用いられます。 また、塗り薬や神経ブロック注射、リハビリテーションなども有効な場合があります。 痛みが長引く場合は、ペインクリニックなどの専門医療機関への受診も検討しましょう。 帯状疱疹後神経痛は、QOL(生活の質)に大きな影響を与える可能性があります。 日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、我慢せずに医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。 帯状疱疹ワクチンの種類と効果 帯状疱疹は、ビリビリ、シクシクする痛みと赤みを帯びた発疹が主な特徴となる病気です。 50歳を過ぎると発症リスクが急激に上がり、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。 帯状疱疹後神経痛といった後遺症に悩まされる方も少なくありません。 帯状疱疹はワクチンで予防できることをご存知ですか? ワクチン接種によって発症リスクや重症化リスクを大幅に下げることができますので、ぜひワクチンについて知っていただきたいと思います。 帯状疱疹ワクチンの種類:生ワクチンと不活化ワクチン 帯状疱疹ワクチンには、大きく分けて「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。 それぞれの特徴を理解し、あなたの状態に適したワクチンを選ぶことが大切です。 ワクチン種類 特徴 効果 副反応 対象年齢 生ワクチン 毒性を弱めた生きたウイルスを使用 帯状疱疹の発症予防効果は約50% 注射部位の痛み、発赤、腫れ 50歳以上 不活化ワクチン ウイルスの一部または不活化したウイルスを使用 帯状疱疹の発症予防効果は約90%、帯状疱疹後神経痛の発症予防効果も高い 注射部位の痛み、発赤、腫れ、頭痛、疲労 50歳以上 生ワクチンは、毒性を弱めた水痘・帯状疱疹ウイルスを接種することで、体内に免疫を作り出す仕組みです。 水疱瘡の感染予防としても活用されています。不活化ワクチンは、ウイルスの抗原となる一部を接種することで免疫を獲得させます。 ウイルスは不活化されているため、生ワクチンに比べて安全性が高い一方、免疫反応を高めるために、複数回の接種が必要となる場合があります。 帯状疱疹ワクチンの効果と持続期間 帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹を発症する確率を下げることができます。 生ワクチンの場合、その効果は約50%で、効果の持続期間は5年程度です。 つまり、接種後5年経過すると、この病気を防ぐ効果が次第に低下し、再び発症リスクが高まる可能性があります。 一方、不活化ワクチンの場合、90歳以上の方でも約90%の高い発症予防効果があり、後遺症として生じる神経痛の危険性も軽減できます。 その効果は少なくとも10年間持続すると考えられており、より長期的な予防効果が期待できます。 2018年から利用可能な不活化サブユニットワクチンは、有効性が高く、比較的忍容性も良好です。 帯状疱疹ワクチンの副反応 帯状疱疹ワクチン接種後に起こりうる副反応として、注射部位の痛み、発赤、腫れなどの局所反応が挙げられます。 これらの症状は、ワクチン接種による免疫反応の一環として現れるものであり、通常は数日以内に軽快します。 その他、頭痛や疲労感、発熱などの全身症状が現れる場合もありますが、多くは一時的なものです。 重篤な副反応はまれですが、アナフィラキシーショックなどのアレルギー反応が起こる可能性もゼロではありません。 気になる症状が出た場合は、速やかに医師に相談しましょう。 帯状疱疹ワクチンの接種費用と接種場所 帯状疱疹ワクチンの接種費用は、医療機関によって異なりますが、おおよそ1回あたり20,000円程度です(不活化ワクチン2回接種の場合の合計は40,000円程度)。 多くの自治体で助成制度が設けられており、自己負担額が軽減される場合がありますので、お住まいの自治体にお問い合わせください。 接種は、医療機関やワクチン接種会場で受けられます。 かかりつけ医に相談するか、自治体のホームページなどで接種可能な医療機関を検索できます。 帯状疱疹ワクチンの接種対象者 帯状疱疹ワクチンは、50歳以上の方を対象に接種が推奨されています。 とりわけ、お年を召した方や抵抗力が弱っている人は、帯状疱疹を発症すると重症化しやすい傾向があるため、ワクチン接種が重要です。 ただし、妊娠中の方、免疫不全の方、水痘ワクチン接種後8週間以内の方などは接種できない場合があります。 特定の疾患をお持ちの方は、接種前に医師に相談する必要があります。 生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Ehrenstein B. "[Diagnosis, treatment and prophylaxis of herpes zoster]." Zeitschrift fur Rheumatologie 79, no. 10 (2020): 1009-1017. Arvin AM. "Varicella-zoster virus." Clinical microbiology reviews 9, no. 3 (1996): 361-81. 監修医師 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.12 -
- 内科
つらい痛み、我慢していませんか? 日常生活を脅かす頭痛、生理痛、神経痛など、痛みは種類も程度も人それぞれ。 市販の痛み止めを飲んでみたけれど効かない、、そんな経験はありませんか? 実は痛み止めには様々な種類があり、その効果や副作用、適切な使い分けを知ることが、痛みを効果的に管理する鍵となります。 この記事では、NSAIDsなどの代表的な痛み止めの種類や効果から、副作用、多剤併用鎮痛法といった一歩進んだ知識まで、医師がわかりやすく解説します。 自分にぴったりの痛み止め選び、そして痛みと賢く付き合う方法を、一緒に探ってみましょう。 痛み止めの種類と効果を知る5つのポイント 痛みは、私たちにとって非常に不快な感覚であり、日常生活に大きな影響を与えます。 痛みを我慢することは、身体的にも精神的にも負担が大きく、生活の質を低下させる可能性があります。 そこで今回は、様々な痛みを和らげる「痛み止め」の種類と効果について、内科専門医がわかりやすく解説します。 年齢や痛みの種類によって適切な薬は異なりますので、この情報を参考に、ご自身に合った痛み止め選びのヒントとして役立ててください。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の特徴と効果 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、炎症を抑え、痛みや熱を和らげる効果があります。 「非ステロイド性」とは、ステロイド系の薬ではないことを意味しています。 ステロイド系の薬は強力な抗炎症作用がありますが、副作用も多いため、NSAIDsは比較的安全に使用できる痛み止めとして広く使われています。 よく耳にする「ロキソニン」や「ボルタレン」も、このNSAIDsの一種です。こ れらの薬は、炎症を起こしている部分に直接作用することで、痛みや腫れ、熱といった症状を改善します。 例えば、ねんざをして足首が腫れて熱を持っている時、NSAIDsを服用すると、炎症が抑えられ、痛みや腫れ、熱が引いていくのです。 薬の名前 効果 注意点 ロキソニン 筋肉痛、関節痛などに効果を発揮します。 腎障害や脳浮腫のリスクがあります。特に、若年者で運動前に服用すると、これらのリスクが高まる可能性があるので注意が必要です。 ボルタレン 激しい痛みや怪我、捻挫、骨折など急性期の痛みに効果を発揮します。 長期間の使用は胃腸への負担となることがあります。 セレコックス 胃腸への負担が少ない 他のNSAIDsと比べて高価な場合があります。 アセトアミノフェンの特徴と効果 アセトアミノフェンは、比較的副作用が少なく、安全性が高い痛み止めとして知られています。 解熱効果もあるので、風邪などで熱がある時にもよく使われます。「カロナール」という名前で市販されている薬が代表的です。 アセトアミノフェンは、NSAIDsのように炎症を抑える効果は弱いため、強い炎症を伴う痛みにはあまり効果がありません。 しかし、安全性が高いため、子供や高齢者、妊娠中・授乳中の方にも使用できる場合があります。 オピオイド鎮痛薬の特徴と効果 オピオイド鎮痛薬は、他の痛み止めでは効かないような強い痛みに対して使われる、非常に強力な鎮痛薬です。 手術後の痛みや、がんによる痛みなど、激しい痛みに対して効果を発揮します。 しかし、依存性や副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。 「トラムセット」のように、アセトアミノフェンとオピオイドを組み合わせた薬もあります。 オピオイド鎮痛薬は、多剤併用鎮痛法の一環として使用されることもあり、パラセタモール(アセトアミノフェンの別名)との併用で相加的または相乗的な効果を発揮し、鎮痛効果を高め、副作用を軽減する可能性が示唆されています。 その他の鎮痛薬(抗うつ薬、抗てんかん薬など) 実は、抗うつ薬や抗てんかん薬といった薬も、特定の痛みに効果を発揮することがあります。 神経痛など、他の痛み止めでは効果が得られないような慢性的な痛みを抱えている方は、医師に相談してみましょう。 これらの薬は、本来の目的とは異なる用途で使用されるため、「適応外使用」と呼ばれます。 痛み止めが効かない時:多剤併用鎮痛法とは 痛みがなかなか取れない、そんな時もあるかもしれません。 痛みの種類や程度、原因は人それぞれ異なるため、一つの痛み止めだけでは効果が不十分な場合があります。 そこで、複数の種類の薬を組み合わせて使う「多剤併用鎮痛法」という方法があります。 それぞれの薬が異なるメカニズムで痛みを抑えるため、単剤よりも高い鎮痛効果が期待できる一方で、薬物相互作用や副作用のリスクも考慮する必要があります。 例えば、NSAIDsとアセトアミノフェンを併用することで、より強い鎮痛効果が得られる場合があります。 また、オピオイド鎮痛薬を使用する場合、パラセタモールとの併用は、オピオイド鎮痛薬の量を減らすことができ、副作用軽減につながる可能性があります。多 剤併用鎮痛法は、特に高齢者で合併症や併用薬が多い場合に、そのメリットが大きくなります。 痛み止めの副作用と注意点6選 痛み止めは、つらい痛みを和らげてくれる頼もしい存在ですが、一方で副作用も存在します。 安全に服用するためには、どのような副作用が起こりうるのか、どのような点に注意すべきなのかを事前に理解しておくことが重要です。 この章では、痛み止めの副作用や注意点、そして副作用が出たときの対処法について、より詳しく解説します。 自分に合った痛み止めを選び、正しく服用することで、痛みを効果的にコントロールし、快適な生活を送れるようにしましょう。 鎮痛薬の種類別の副作用 痛み止めには様々な種類があり、それぞれに特徴的な副作用があります。それぞれの副作用と、その副作用がなぜ起こるのかを理解しておくことが大切です。 アセトアミノフェン: 比較的安全性が高い薬として知られていますが、過剰に摂取すると肝臓に負担がかかり、肝機能障害を引き起こす可能性があります。 肝臓は、体内の有害物質を解毒する重要な臓器です。アセトアミノフェンも肝臓で代謝されますが、過剰に摂取すると肝臓の処理能力を超えてしまい、肝細胞がダメージを受けてしまうのです。 決められた服用量を厳守し、用法用量を守ることが非常に大切です。 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬): 胃腸障害(吐き気、下痢、胃痛、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など)や腎臓への影響(腎機能障害)、まれにですが心血管系への影響(心筋梗塞、脳卒中)などが起こる可能性があります。 NSAIDsは炎症を引き起こす物質の生成を抑えることで効果を発揮しますが、同時に胃腸を守る働きを持つ物質の生成も抑制してしまうため、胃腸障害が起こりやすくなります。 特に、高齢の方や持病のある方は注意が必要です。空腹時の服用を避け、胃腸薬と併用する、あるいはセレコックスのような胃腸への負担が少ないNSAIDsを選択するなどの対策が有効です。 また、腎機能が低下している方は、NSAIDsの服用によって腎機能がさらに悪化する可能性があるため、医師への相談が必要です。 さらに、ロキソニンを運動前に服用すると、腎障害や脳浮腫のリスクを高める可能性があるという報告もあります。これは、運動によって腎血流量が低下している状態でロキソニンを服用すると、腎臓への負担がさらに増大してしまうためと考えられています。 オピオイド鎮痛薬: 便秘、眠気、吐き気などが起こりやすいです。 また、長期間使用すると依存性が生じる可能性があり、さらに、呼吸抑制といった重篤な副作用も起こりえます。 医師の指示に従って服用することが非常に重要です。分娩時の疼痛緩和にもオピオイド鎮痛薬が用いられることがありますが、母体と胎児への影響を考慮して慎重に使用する必要があります。 併用禁忌の薬とその理由 一部の痛み止めは、特定の薬と一緒に服用すると、効果が弱まったり、副作用が強まったり、あるいは予期せぬ重篤な副作用が生じる可能性があります。 例えば、ワーファリンなどの抗凝固薬とNSAIDsを併用すると、出血しやすくなる作用が重なってしまい、出血のリスクが高まる可能性があります。 また、一部の抗うつ薬と特定の痛み止めを併用すると、セロトニン症候群という、精神状態の変化、自律神経系の異常、神経筋の異常を特徴とする重篤な副作用が起こる可能性があります。 服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。 妊娠中・授乳中の服用について 妊娠中や授乳中は、服用できる薬が限られます。胎盤や母乳を通じて薬の成分が胎児や乳児に移行し、影響を与える可能性があるためです。 アセトアミノフェンは、他の鎮痛薬と比較して比較的安全とされていますが、それでも医師や薬剤師に相談してから服用することが推奨されます。 NSAIDsは、妊娠後期に服用すると、胎児の動脈管収縮などを引き起こし、胎児に悪影響を与える可能性があるため、一般的には避けられます。 オピオイド鎮痛薬も、胎児や新生児に影響を与える可能性があります。自己判断で服用せず、必ず医師の指示に従ってください。 分娩時の疼痛緩和には、硬膜外鎮痛法が最も効果的ですが、患者さんの希望や状況によっては、笑気やオピオイド、非オピオイドなどの全身薬物療法が用いられます。 薬剤によって母体や胎児への副作用が異なるため、医師と相談して適切な方法を選択することが重要です。 子供・高齢者の服用時の注意点 子供や高齢者の方は、薬の代謝能力が低下している場合があり、副作用が出やすい傾向があります。 子供には、年齢や体重に合わせた適切な用量を服用させることが重要です。 高齢者も、少量から開始し、様子を見ながら徐々に増量していくなどの配慮が必要です。 また、高齢者は複数の薬を併用している場合が多いため、飲み合わせにも注意が必要です。 アセトアミノフェンは、小児や高齢者にも比較的安全に使用できることが多いですが、それでも用量には注意が必要です。 痛み止めの依存性と対策 オピオイド鎮痛薬は、長期間使用すると依存性が生じる可能性があります。 身体的依存と精神的依存があり、身体的依存は、薬を急にやめると離脱症状(吐き気、嘔吐、下痢、発汗、震えなど)が現れる状態です。 精神的依存は、薬がないと不安になったり、薬を求める気持ちが強くなったりする状態です。 依存性を防ぐためには、医師の指示に従って服用し、自己判断で増量したり、長期間服用したりしないことが重要です。 また、痛みが治まったら、医師の指導の下、徐々に減量していくことが必要です。 副作用が出た場合の対処法 痛み止めを服用して、何か異変を感じたら、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。 自己判断で他の薬を服用したり、症状を我慢したりすることは危険です。適切な対処を受けることで、重篤な事態を防ぐことができます。 自分に合った痛み止めの選び方4つのステップ 痛みは、日常生活を送る上で大きな妨げとなります。 痛みを我慢せず、適切な痛み止めを使用して痛みをコントロールすることは、生活の質を向上させる上で非常に重要です。 しかし、痛み止めにも様々な種類があり、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、自分に合った痛み止めを選ぶための4つのステップをご紹介いたします。 痛みの種類(頭痛、生理痛、神経痛など)に合った薬 痛みには、ズキズキとした頭痛、鈍い生理痛、ピリピリとした神経痛など、様々な種類があります。 痛みの種類によって、効果的な痛み止めも異なります。 例えば、頭痛にはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの市販薬が有効ですが、神経痛にはこれらの薬はあまり効かず、プレガバリンやデュロキセチンといった処方薬が必要となることがあります。 医師は、痛みの種類を正確に診断し、最適な薬剤を選択するお手伝いをいたしますので、自己判断で薬を選ぶのではなく、医療機関を受診して適切なアドバイスを受けるようにしてください。 痛みの程度(軽い、中程度、激しい)に合った薬 痛みの程度も、痛み止めの選択において重要な要素です。 軽い痛みであれば、アセトアミノフェンなどの市販薬で十分な場合もありますが、中程度以上の痛みには、より強力な鎮痛効果を持つNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が必要となることもあります。 激しい痛みには、オピオイド系鎮痛薬が用いられることもありますが、これらは依存性や副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。 痛みの程度を正確に伝えることは、適切な薬剤を選択する上で非常に重要です。 例えば、「我慢できる程度の痛み」や「耐えられないほどの痛み」といった表現ではなく、「10段階でいうとどの程度の痛みか」といった具体的な表現で医師に伝えることで、より的確な診断と治療を受けることができます。 持病や体質に合った薬 持病がある場合や特定の薬にアレルギーがある場合は、痛み止めの選択にさらに注意が必要です。 例えば、胃腸が弱い方は、NSAIDsによって胃腸障害を起こしやすいため、アセトアミノフェンやセレコキシブなど、胃腸への負担が少ない痛み止めを選択する必要があります。 高齢者や腎機能が低下している方は、薬の代謝が遅くなるため、薬の量を調整する必要があります。また、妊娠中や授乳中の場合は、胎児や乳児への影響を考慮して、医師に相談しながら服用する薬を決めることが重要です。 特に、妊娠後期にNSAIDsを服用すると、胎児の動脈管収縮などを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 分娩時の疼痛緩和には硬膜外鎮痛法が最も効果的ですが、患者さんの希望や状況によっては笑気やオピオイド、非オピオイドなどの全身薬物療法が用いられます。 薬剤によって母体や胎児への副作用が異なるため、医師と相談して適切な方法を選択することが重要です。 市販薬と病院で処方される薬の違い 市販薬と病院で処方される薬は、主成分が同じでも、用量や剤形が異なる場合があります。 市販薬は比較的軽い痛みに対して使用されることが多い一方、病院で処方される薬は、より強い痛みや慢性的な痛みに対して使用されます。 市販薬は手軽に入手できるというメリットがありますが、持病がある場合や複数の薬を服用している場合は、医師の診察を受けて自分に合った薬を処方してもらう方が安全です。 パラセタモールは、単独で使用されることもありますが、他の鎮痛薬、例えばオピオイドと組み合わせて使用されることもあり、その相乗効果で鎮痛効果を高め、副作用を軽減する可能性が示唆されています。 参考文献 Freo U. "Paracetamol for multimodal analgesia." Pain management 12, no. 6 (2022): 737-750. Zuarez-Easton S, Erez O, Zafran N, Carmeli J, Garmi G, Salim R. "Pharmacologic and nonpharmacologic options for pain relief during labor: an expert review." American journal of obstetrics and gynecology 228, no. 5S (2023): S1246-S1259. 監修医師 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.11 -
- 内科
あなたは、気づかないうちに忍び寄る"サイレントキラー"の存在を知っていますか? 実は、日本人の約4人に1人がかかっているにもかかわらず、自覚症状がほとんどないため、放置されがちな高血圧。 2017年のアメリカのガイドライン改訂で、基準値が厳しくなった今、あなたも高血圧予備軍かもしれません。 高血圧は、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こす危険因子。 この記事では、高血圧の定義から合併症、最新の治療法まで、内科専門医がわかりやすく解説します。 ご自身の健康状態を正しく理解し、健康寿命を延ばすための第一歩を踏み出しましょう。 高血圧を理解する:定義と分類、合併症のリスク 高血圧は、知らず知らずのうちに進行し、ある日突然、重大な病気を引き起こす可能性があるため、「サイレントキラー」と呼ばれています。 ご自身の健康状態を理解し、健康管理に役立てていただくために、高血圧の定義や分類、合併症、初期症状、家庭血圧測定の重要性について、内科専門医の立場からわかりやすく解説します。 高血圧とは?基準値と高血圧の分類 高血圧とは、心臓が血液を送り出す圧力(血圧)が高い状態が続いていることを指します。血圧は2つの数値で表されます。 心臓がギュッと収縮して全身に血液を送り出す時の圧力が収縮期血圧、心臓が休息して血液を再び心臓に取り込む時の圧力が拡張期血圧です。 高血圧は、大きく分けて本態性高血圧と二次性高血圧の2種類に分類されます。 90%以上の方は原因が特定できない本態性高血圧で、遺伝的要因と環境要因(食塩の過剰摂取、肥満、運動不足、過度の飲酒など)の相互作用が関係していると考えられています。 一方、二次性高血圧は、腎臓病、ホルモン異常、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因で起こる高血圧で、全体の10%程度です。 若年者で高血圧が見つかった場合には、二次性高血圧の可能性が高いため、原因となる疾患の精査が必要です。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 高血圧が引き起こす合併症:脳卒中、心筋梗塞、腎臓病など 高血圧は自覚症状が少ないため、放置すると血管に負担がかかり続け、動脈硬化が進行します。 動脈硬化は血管の壁が厚く硬くなり、血管が狭くなる状態です。高血圧は動脈硬化を進行させ、血管が詰まったり、破れたりするリスクを高めます。 高血圧が原因となる主な合併症には、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病、心不全などがあります。 脳卒中:脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりする病気です。 麻痺やしびれ、言語障害などの後遺症が残ることもあり、要介護状態となるリスクも高い病気です。 心筋梗塞:心筋梗塞は、心臓の血管が詰まって、心臓の筋肉が壊死する病気で、強い胸痛や呼吸困難などの症状が現れ、突然死のリスクも高い病気です。 腎臓病:腎臓病は、腎臓の血管が傷つき、腎臓の機能が低下する病気です。むくみやだるさなどの症状が現れ、最終的には人工透析が必要になることもあります。 心不全:心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気です。息切れや動悸、むくみなどの症状が現れます。 高血圧は、血管に常に高い圧力をかけることで血管を傷つけ、動脈硬化を促進し、これらの合併症のリスクを大きく高めます。 高血圧の初期症状:自覚症状が少ないため注意が必要 高血圧は初期にはほとんど自覚症状がありません。 そのため、健康診断などで指摘されるまで、高血圧に気づかない人が非常に多いです。「サイレントキラー」と呼ばれる所以です。 高血圧の症状として、頭痛、めまい、肩こり、動悸、耳鳴りなどが挙げられることがありますが、これらの症状は高血圧以外でも起こるため、高血圧特有の症状とは言えません。 また、これらの症状が現れる頃には、すでに高血圧がかなり進行している可能性もあります。 高血圧は自覚症状が乏しいため、定期的な血圧測定を行うことが重要です。 高血圧のサインを見つける: 家庭血圧測定の重要性 家庭血圧測定は高血圧の早期発見・早期治療のために非常に有効です。 家庭血圧測定は、リラックスした状態で血圧を測ることができるため、病院で測定する白衣高血圧による影響を受けず、より正確な値が得られる場合もあります。 また、毎日血圧を測ることで、血圧の変化を早期に把握しやすくなります。 家庭血圧計は、薬局や家電量販店などで手軽に購入できます。 家庭血圧測定を行う際には、朝、排尿後、朝食前に測定し、安静にしてから正しい姿勢で測定する、毎日同じ時間に測定する、などの点に注意しましょう。 家庭で血圧を測ることで、高血圧の早期発見・早期治療につながり、治療中の場合は、血圧コントロールの状態を把握するのにも役立ちます。 高血圧の原因と危険因子を知る 高血圧の危険因子は多岐に渡り、大きく分けて「加齢」「遺伝」「生活習慣」の3つに分類できます。 高血圧はこれらの因子が複雑に絡み合い発症すると考えられており、ご自身の危険因子を知ることで、予防や治療への意識を高め、健康管理に繋げることが重要です。 加齢、遺伝、生活習慣…高血圧の危険因子 まず、「加齢」による影響について考えてみましょう。 生まれたばかりの赤ちゃんの血管は柔らかく、しなやかで、風船のように柔軟です。しかし、年齢を重ねるにつれて、血管も徐々に老化し、弾力性を失い硬くなっていきます。 これは、血管の壁が厚く硬くなる動脈硬化の進行によるもので、加齢とともに血管が硬くなるのは自然な老化現象の一つと言えます。 血管が硬くなると、血液がスムーズに流れにくくなり、心臓はより強い力で血液を送り出さなければならなくなり、その結果、血圧が上昇しやすくなります。 次に、「遺伝」についてです。高血圧は、親から子へと遺伝する可能性のある疾患です。 両親が高血圧の場合、子供も高血圧になりやすい傾向があり、これは体質や遺伝子などが影響していると考えられています。 遺伝的要因は私たち自身でコントロールすることはできません。 しかし、遺伝だけで高血圧のすべてが決まるわけではなく、後述する生活習慣の改善によって予防できる可能性も十分に秘めているのです。 最後に、「生活習慣」について解説します。これは、私たちが毎日の生活の中で意識的に変えられる部分であり、高血圧の予防と治療において非常に重要な要素です。 食生活の乱れや運動不足、喫煙、過度の飲酒、ストレスなどは、高血圧のリスクを大きく高める要因となります。 塩分過多、肥満、運動不足…生活習慣と高血圧の関係 高血圧と密接に関係する生活習慣の中でも、特に注意が必要なのは、「塩分の摂りすぎ」「肥満」「運動不足」の3点です。 塩分の過剰摂取は、体内の水分量を増加させ、血液量を増加させることで、心臓がより多くの血液を送り出す必要が生じ、血圧の上昇に繋がります。 現代の食生活では、加工食品や外食などで、知らず知らずのうちに過剰な塩分を摂取していることが多いです。 厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満ですが、現状では平均で男性10.9g、女性9.3gと、大幅に超過しているのが現状です。 高血圧を予防するためには、毎日の食事で減塩を意識することが重要です。 肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、血圧を上げる物質の分泌を促進し、高血圧のリスクを高めます。 内臓脂肪は、皮下脂肪とは異なり、臓器の周囲に蓄積される脂肪で、様々な生理活性物質を分泌し、血圧や血糖値、コレステロール値などに悪影響を及ぼすことが知られています。 適正な体重を維持することは、高血圧だけでなく、様々な病気の予防にも繋がります。 運動不足は、高血圧だけでなく、様々な生活習慣病のリスクを高めます。 体を動かす習慣がないと、血液の循環が悪くなり、心臓はより多くの血液を送るために、強い力で拍動しなければならなくなります。 結果として、血圧が上昇しやすくなります。適度な運動は、血圧を下げるだけでなく、ストレス解消や精神的な健康維持にも効果的です。 喫煙、過度の飲酒…高血圧のリスクを高める要因 喫煙は、ニコチンが血管を収縮させ、血圧を上昇させる原因となります。 血管が収縮すると、血液が流れにくくなり、心臓はより強い圧力で血液を送り出さなければならず、血圧が上昇します。 さらに、喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を促進する作用もあるため、高血圧のリスクをさらに高めます。 禁煙は、高血圧だけでなく、様々な病気のリスクを軽減し、健康寿命を延ばすために非常に有効です。 過度の飲酒も、血圧を上昇させる要因の一つです。 アルコールは、血管を拡張させる作用と収縮させる作用の両方がありますが、過剰に摂取すると血管が収縮し、血圧が上昇します。アルコールの摂取量が多いほど、高血圧のリスクは高くなるため、節度ある飲酒を心がけましょう。 基礎疾患や薬の影響で高血圧になることも 高血圧は、加齢や生活習慣だけでなく、他の病気や薬の影響で引き起こされることもあります。 これを二次性高血圧と言い、腎臓病、副腎疾患、甲状腺疾患などが原因となることがあります。 例えば、腎臓は体内の水分や塩分のバランスを調整する役割を担っていますが、腎臓病になるとこの機能が低下し、体内に水分や塩分が過剰に蓄積され、高血圧を引き起こす可能性があります。 また、一部の薬も高血圧の副作用を引き起こす可能性があります。 例えば、ステロイド剤や一部の鎮痛剤、風邪薬などに含まれる成分が、血圧を上昇させることがあります。 服用している薬がある場合は、医師や薬剤師に相談することが大切です。 特に、高齢者の高血圧患者は約6人に1人が、3種類以上の降圧薬を最大量使用しても血圧が下がらない難治性高血圧に該当する可能性があり、早期の診断と適切な治療が重要です。 高血圧の治療と予防:生活習慣の改善と薬物療法 高血圧の治療は、大きく「生活習慣の改善」と「薬物療法」の2つの柱から成り立っています。 まるで、建物を支える二本の頑丈な柱のようなものです。 どちらか一方だけでは、真に健康な状態を維持することは難しく、両方をバランスよく行うことが重要です。 まず、生活習慣の改善について考えてみましょう。 高血圧の危険因子には、塩分の摂りすぎや肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒など、様々なものがあります。 まるで、私たちの体に少しずつ負荷をかけていく重りのようなものです。 これらの重りを一つずつ取り除く、あるいは軽くしていくことで、高血圧を予防し、治療していくことができるのです。 2017年のアメリカ心臓病学会(ACC)とアメリカ心臓協会(AHA)のガイドラインでも、高血圧管理には包括的な戦略が必要であると強調されています。 薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善も重要視されているのです。 生活習慣の改善法 具体的には、1日に6g未満の塩分摂取を目標に減塩を心がけましょう。 外食や加工食品には、想像以上に多くの塩分が含まれていることが多いです。 例えば、カップラーメン1杯には約5g、スナック菓子1袋には約1gの塩分が含まれています。 普段何気なく口にしているものが、実は高血圧の大きな原因となっている可能性もあるのです。 カリウムを多く含む野菜や果物を積極的に摂ることも、血圧を下げる効果が期待できます。 次に、適度な運動についてです。 ウォーキングやジョギング、水泳など、無理なく続けられる運動を見つけ、1日30分以上を目標に取り組んでみましょう。 体を動かす習慣がないと、血管の柔軟性が失われ、血液循環が悪化し、心臓に負担がかかります。 その結果、血圧が上昇しやすくなるのです。 運動は、血圧を下げるだけでなく、ストレス軽減や精神的な健康維持にも効果的です。 心身ともに健康な状態を保つために、日常生活に運動を取り入れてみましょう。 さらに、禁煙も高血圧の予防と治療に大きく貢献します。 喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させるだけでなく、動脈硬化も促進します。 動脈硬化は、血管の壁が厚く硬くなり、血管が狭くなる状態です。 まるで、水道管に徐々に錆が溜まっていくようなものです。 錆が溜まると、水の流れが悪くなるのと同様に、動脈硬化が進むと、血液の流れが悪くなり、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。 そして、過度の飲酒も控えましょう。 アルコールは、少量であれば血管を拡張させる作用がありますが、過剰に摂取すると血管が収縮し、血圧が上昇します。 薬物療法での改善 次に、薬物療法についてです。 生活習慣の改善だけでは血圧が十分に下がらない場合や、すでに合併症の危険性が高い場合には、薬物療法が必要になります。 降圧薬には、利尿薬やACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬など、様々な種類があり、2023年のコクラン共同計画のシステマティックレビューでは、一次治療薬としてチアジド系利尿薬が他の降圧薬と比較され、総死亡率や心血管イベント発生率に大きな差がないことが示唆されています。 さらに、有害事象による治療中止は利尿薬の方が少ない傾向があることも示されています。 薬の種類や服用量は、患者さんの状態や他の病気の有無などを考慮して、医師が決定します。 薬を飲み始めたら、必ず医師の指示に従って服用し、自己判断で中断したり、量を変えたりしないようにしましょう. 高血圧の治療は、長期にわたる場合がほとんどです。生活習慣の改善や薬物療法を継続していくためには、医師との信頼関係が不可欠です。疑問や不安があれば、遠慮なく医師に相談し、一緒に治療を進めていきましょう。 まとめ 高血圧は自覚症状がないまま進行し、脳卒中や心筋梗塞などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と適切な管理が重要です。 高血圧の基準値は収縮期血圧130mmHg以上、または拡張期血圧80mmHg以上で、家庭血圧測定による日常的な血圧管理が推奨されています。 高血圧の大部分は原因不明の本態性高血圧で、加齢や遺伝、生活習慣の積み重ねが影響しています。 特に、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒は高血圧のリスクを高めるため、生活習慣の改善が重要です。 生活習慣の改善に加えて、必要に応じて薬物療法も併用されます。 自分に合った治療法を見つけるためには、医師と相談し、信頼関係を築きながら治療を進めていくことが大切です。 高血圧は早期発見・早期治療で合併症のリスクを減らすことができるので、少しでも不安を感じたら、まずは医療機関に相談してみましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 2017年版 成人高血圧の予防、検出、評価、管理に関するACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNAガイドライン(要約) Li EC, Heran BS, Wright JM. "Angiotensin converting enzyme (ACE) inhibitors versus angiotensin receptor blockers for primary hypertension." The Cochrane database of systematic reviews 2014, no. 8 (2014): CD009096. 高血圧と血管疾患 Reinhart M, Puil L, Salzwedel DM, Wright JM. "First-line diuretics versus other classes of antihypertensive drugs for hypertension." The Cochrane database of systematic reviews 7, no. 7 (2023): CD008161. Shalaeva EV, Messerli FH. "What is resistant arterial hypertension?" Blood pressure 32, no. 1 (2023): 2185457. Messerli FH, Bangalore S, Mandrola JM. "β blockers switched to first-line therapy in hypertension." Lancet (London, England) 402, no. 10414 (2023): 1802-1804. Carey RM, Moran AE, Whelton PK. "Treatment of Hypertension: A Review." JAMA 328, no. 18 (2022): 1849-1861. 医師監修 リペアセルクリニック 内科専門医 渡久地 政尚
2025.02.11





