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大腿骨頭壊死の保存療法とは?効果や手術との違いを解説

大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)とは、太ももの付け根にある大腿骨頭への血流が低下し、骨の組織が壊死してしまう疾患です。
※参照:難病情報センター「特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)」
壊死した部分に体重がかかって骨が潰れる(圧潰)と、強い痛みや歩行障害につながります。
しかし、壊死の範囲や進行度によっては、手術をせずに保存療法で経過をみられるケースもあります。
本記事では、大腿骨頭壊死の保存療法の内容や対象となる方、効果と限界、手術へ切り替える目安についてわかりやすく解説します。
目次
保存療法は進行を抑えながら股関節を守る治療
大腿骨頭壊死の保存療法は、壊死した骨を元に戻す治療ではなく、股関節への負担を減らしながら症状の改善と進行抑制を目指す治療です。
一度壊死して潰れてしまった骨組織が、自然に元の健康な状態へ戻ることはないとされています。
そのため保存療法の目的は、痛みをコントロールしながら骨頭の圧潰(あっかい:骨が潰れること)をできるだけ防ぎ、日常生活を維持することにあります。
ただし、壊死範囲が広い場合や骨頭の陥没がすでに進んでいる場合には、保存療法だけでは対応が難しく、手術が必要になるケースもあります。
まずはご自身の病状がどの段階にあるのかを、整形外科で正確に評価してもらうことが大切です。
保存療法の対象となる人
保存療法の対象となるのは、主に骨頭の陥没がない初期〜早期の患者様や、痛みなどの症状が軽度な患者様です。
壊死の範囲が小さく、体重がかかりにくい部位にとどまっている場合は、圧潰が起こらずに経過するケースもあるとされています。
※参照:難病情報センター「特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)」
そのため、症状が出ていない段階や軽い段階では、定期的な経過観察と生活指導を中心とした保存療法が選択されやすくなります。
一方で、骨頭の陥没が進行している場合や、痛みが強く日常生活に支障が出ている場合には、保存療法だけで十分な効果は期待しにくいのが実情です。
ご自身が保存療法の対象になるかどうかは、レントゲンやMRIなどの画像検査の結果をもとに医師が判断します。
大腿骨頭壊死で行われる保存療法
大腿骨頭壊死の保存療法は、股関節への負担軽減・痛みのコントロール・機能維持を目的に、複数の方法を組み合わせて行うのが一般的です。
ここでは、代表的な保存療法を2つに分けて解説します。
股関節への負担を減らす生活指導
保存療法の基本は、大腿骨頭にかかる体重負荷をできるだけ減らす生活指導です。
具体的には、杖を使用して患側への荷重を減らす、長距離の歩行や重い物の持ち運びを控える、といった工夫が挙げられます。
体重が増えるとその分だけ股関節への負荷も大きくなるため、適正体重の維持も重要なポイントです。
骨頭の圧潰を防ぐことが進行抑制につながるため、日常生活の見直しは保存療法の中心的な役割を担います。
薬物療法・リハビリテーション
痛みに対しては、消炎鎮痛薬などによる薬物療法で症状のコントロールを図ります。
薬物療法は壊死そのものを改善させる治療ではありませんが、痛みを和らげることで日常生活の質を保つ効果が期待できます。
また、股関節周囲の筋力を維持するためのリハビリテーションも、保存療法の一つです。
筋力が落ちると関節への負担がさらに増えるため、水中運動など股関節に負荷をかけにくい運動を、医師や理学療法士の指導のもとで行うことが推奨されます。
保存療法で改善できること・できないこと
保存療法では痛みの軽減や日常生活動作の維持・改善が期待できる一方、壊死した骨そのものを元に戻すことはできません。
負担軽減と薬物療法により痛みが落ち着けば、通勤や家事など普段の生活を続けられる可能性があります。
しかし、壊死部が残っている以上、負荷のかけ方によっては圧潰が進行するリスクがあります。
そのため、保存療法中も定期的にレントゲンやMRIなどの画像検査を受け、骨頭の陥没や病状の進行がないかを確認し続けることが重要です。
「痛みが軽くなったから通院をやめる」という自己判断は、進行の見逃しにつながるため避けましょう。
保存療法中に気を付けたい生活習慣
保存療法中は、股関節への負担と壊死のリスク要因を減らす生活習慣を意識することが大切です。
気を付けたいポイントは以下のとおりです。
- 適正体重を維持する
- 長時間の立ち仕事や重労働をできるだけ控える
- ジャンプやランニングなど股関節に衝撃が加わる激しいスポーツを避ける
- アルコールが原因と考えられる場合は禁酒・節酒を心がける
- ステロイドを使用中の方は自己判断で中断せず、必ず主治医の指示に従う
特発性大腿骨頭壊死症では、ステロイドの全身投与やアルコールの多飲が発症の危険因子として知られています。
※参照:難病情報センター「特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)」
ただし、ステロイドは原疾患の治療に必要な薬であるため、自己判断での減量・中止は行わないでください。
また、良かれと思って行う無理な筋トレや運動が、かえって骨頭の圧潰を早めてしまう可能性もあるため、運動内容は必ず医師に相談しましょう。
保存療法から手術へ切り替える目安
保存療法を続けても痛みが強くなる場合や、画像検査で骨頭の陥没・関節の変形が進行した場合には、手術への切り替えが検討されます。
代表的な手術には、ご自身の骨頭を温存する骨切り術と、傷んだ関節を人工物に置き換える人工股関節置換術があります。
どちらの手術を選択するかは、年齢や壊死の範囲、進行度、日常の活動量などを総合的に考慮して決定されます。
「手術になったらどうしよう」と不安に感じる方も多いですが、切り替えの目安をあらかじめ理解しておくことで、進行時にも落ち着いて治療方針を選択できます。
手術のタイミングを逃さないためにも、痛みの変化を感じたら早めに主治医へ伝えることが大切です。
股関節機能改善を目指す再生医療という選択肢
初期の大腿骨頭壊死に対しては、幹細胞治療やPRP療法などの再生医療が研究・実施されています。
再生医療は、患者様ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞を投与し、損傷した股関節組織の修復・再生を目指す治療法です。
手術を伴わない治療法のため、「人工関節はできるだけ避けたい」「入院せずに治療を受けたい」とお考えの患者様に検討されています。
ただし、再生医療は保存療法や手術に置き換わるものではなく、病状や適応を踏まえて検討される選択肢の一つです。
適応となるかどうかは病状によって異なるため、再生医療に精通した医師のいる医療機関で相談してみてください。
リペアセルクリニックでは、股関節疾患に対する再生医療を行っており、公式サイトで股関節の再生医療の詳しい内容をご紹介しています。
実際に股関節の再生医療を受けられた患者様のインタビューは、以下の動画をご覧ください。
まとめ|保存療法は早期治療と継続的な経過観察が重要
大腿骨頭壊死の保存療法は、壊死した骨を元に戻す治療ではなく、股関節への負担を減らしながら進行抑制と症状緩和を目指す治療です。
骨頭の陥没がない初期段階であれば、生活指導や薬物療法、リハビリテーションを組み合わせて経過をみられる可能性があります。
ただし、保存療法中も定期的な画像検査を続け、進行がみられた場合には手術への切り替えも視野に入れて主治医と相談することが重要です。
一方で、手術はできるだけ避けたいとお考えの場合には、初期の大腿骨頭壊死に対する再生医療という選択肢もあります。
再生医療は、患者様ご自身の幹細胞を活用して、損傷した股関節組織の修復・再生を目指す治療法です。
股関節に対する再生医療の詳しい内容は、リペアセルクリニックの公式サイトでもご紹介していますので、人工関節手術はできるだけ避けたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師

























