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尿酸値と筋トレの関係は?上がる・下がる仕組みと安全な続け方を解説

健康のために筋トレを始めたい、あるいは続けているものの、「尿酸値が高いけれど筋トレをしても大丈夫なのか」と不安を感じている方は少なくありません。
尿酸値は食事だけでなく、運動の内容や強度、回復のさせ方によっても影響を受ける数値です。
特に筋トレは体に良いイメージがある一方で、「尿酸値が上がる」「痛風が悪化する」といった話を耳にし、判断に迷うケースも多いでしょう。
そこでこの記事では、尿酸値と筋トレの関係を仕組みから整理し、数値が気になる方でも安全に続けやすい考え方を解説します。
目次
結論:筋トレはやり方次第で尿酸値に影響するため、強度と回復管理が重要
結論から整理すると、筋トレそのものが必ず尿酸値を悪化させるわけではありません。
一方で、強度が高すぎるトレーニングや、休養や水分補給が不足した状態が続くと、尿酸値が上がりやすくなる条件がそろってしまいます。
つまり問題になるのは「筋トレをするかどうか」ではなく、「どのような内容・頻度・回復設計で行っているか」です。
尿酸値が高めの方ほど、追い込み重視の筋トレではなく、体の代謝改善を目的とした組み立てが重要になります。
尿酸値とは?高くなると何が問題か
尿酸値とは、血液中に含まれる尿酸の濃度を示す数値です。
尿酸は体内でプリン体が分解される過程で生じる老廃物で、通常は腎臓から尿として排出されます。
しかし、生成量が多すぎたり排泄が追いつかなくなったりすると、血液中に尿酸が蓄積していきます。
尿酸値が高い状態が続くと、結晶化した尿酸が関節に沈着し、痛風発作を引き起こすリスクが高まる点が大きな問題です。
また、痛風だけでなく、高尿酸血症は腎機能障害や心血管疾患との関連も指摘されています。
そのため、数値が高めと指摘された段階で、生活習慣や運動の内容を見直す意義は小さくありません。
筋トレで尿酸値が上がるといわれる理由
筋トレと尿酸値の関係が語られる際、「筋トレをすると尿酸値が上がる」というイメージが先行しがちです。
実際には、特定の条件が重なった場合に尿酸値が上昇しやすくなると考えられています。
ここでは、その代表的な理由を整理します。
筋トレの内容や体の状態によって、尿酸の「作られ方」と「排出され方」のバランスが崩れることが、数値上昇の背景になります。
それぞれの仕組みを理解しておくと、対策が立てやすくなるでしょう。
筋分解によるプリン体産生の増加
筋分解によるプリン体産生の増加は、尿酸値上昇の一因としてよく挙げられます。
高強度の筋トレでは、筋繊維に強い刺激が加わり、筋肉の分解と再合成が活発に起こります。
この過程でエネルギー代謝が亢進し、プリン体の産生量が一時的に増える可能性も。
特に、休養が不十分な状態で連日追い込むようなトレーニングを行うと、分解優位の状態が続きやすくなります。
その結果、体内で作られる尿酸の量が増え、排出が追いつかない状況が生じることがあります。
筋トレが悪いというよりも、回復を考慮しないトレーニング設計が問題になりやすい点が重要です。
無酸素運動中心で乳酸が増える影響
もう一つの要因として、無酸素運動中心で乳酸が増える影響が挙げられます。
筋トレは基本的に無酸素運動の要素が強く、短時間で強い負荷をかける運動が中心になります。
無酸素運動が続くと体内に乳酸が蓄積しやすくなり、腎臓での尿酸排泄が一時的に低下すると考えられています。
つまり、「尿酸がたくさん作られる」ことに加えて、「外に出にくくなる」条件が重なる点が問題です。
特に水分摂取が不足している状態では、この影響が強まりやすくなります。
筋トレ後に尿酸値が上がりやすい人は、運動強度だけでなく、運動中・後の水分管理にも目を向ける必要があります。
筋トレで尿酸値が下がる可能性がある理由
一方で、筋トレが尿酸値を下げる方向に働く可能性も指摘されています。
これは短期的な変動ではなく、生活習慣として筋トレを取り入れた場合の中長期的な影響です。
重要なのは、筋トレを「代謝改善の手段」として活用できるかどうかという視点になります。
ここからは、尿酸値改善に寄与すると考えられる仕組みについて解説します。
「筋トレ=悪影響」と決めつけないためにも、両面を理解しておくことが大切です。
基礎代謝向上と体脂肪減少の影響
基礎代謝向上と体脂肪減少は、尿酸値にとってプラスに働く要素です。
筋肉量が増えることで、安静時でもエネルギー消費が高まりやすくなります。
その結果、内臓脂肪が減少しやすくなり、尿酸値が高くなりやすい体質からの改善が期待できます。
肥満や内臓脂肪の蓄積は、高尿酸血症と関連が深いことが知られています。
無理のない筋トレを継続し、体重や体脂肪が安定して減少していくと、尿酸値も緩やかに改善していくケースが少なくありません。
この点からも、短期的な数値変動より、長期的な体の変化に目を向ける姿勢が重要になります。
インスリン感受性改善との関係
インスリン感受性の改善も、筋トレが尿酸値に良い影響を与える理由の一つです。
筋トレによって筋肉が糖を取り込みやすくなると、インスリンの効きが改善します。
インスリン抵抗性が強い状態では、尿酸の排泄が低下しやすいことが知られています。
そのため、筋トレによる代謝改善は、間接的に尿酸値の安定につながる可能性があります。
特に、糖代謝異常やメタボリックシンドロームを指摘されている方では、この効果が重要になります。
筋トレを「数値改善の一環」として位置づける視点が役立つでしょう。
尿酸値が高い人におすすめの筋トレの考え方
尿酸値が高めと指摘されている場合、筋トレを完全に避ける必要はありません。
重要なのは、尿酸値に配慮した筋トレの考え方を理解し、体にとって負担の少ない形で取り入れることです。
筋トレは本来、代謝を高め、生活習慣病の予防にもつながる手段ですが、やり方を誤ると逆効果になりかねません。
数値が気になる方ほど、「追い込む」より「整える」視点が求められます。
- 中〜低強度で回数を多めに設定する
- 大筋群を中心に全身をバランスよく動かす
- セット間の休憩を十分に取り、呼吸を整える
- 運動前後でしっかり水分補給を行う
このような設計であれば、筋分解や乳酸の急激な増加を抑えやすくなります。
筋肉に刺激を入れつつも、回復が追いつく範囲で行うことが、尿酸値を安定させるポイントです。
「汗をかいた=良い運動」と短絡的に考えず、体の反応を見ながら調整する姿勢が大切でしょう。
尿酸値が高い人が避けたい筋トレのNG例
一方で、尿酸値が高い状態で避けたい筋トレも存在します。
これらは短期間で筋力向上を狙う目的では効果的でも、数値管理の観点ではリスクになりやすい方法です。
特に、体調や生活リズムが不安定な状態では注意が必要になります。
- 限界まで追い込む高重量トレーニング
- 休養日を設けず連日同じ部位を鍛える
- 水分摂取を控えたまま長時間行う
- 体調不良や脱水気味でも無理に続ける
これらの行動が続くと、尿酸の産生増加と排泄低下が同時に起こりやすくなります。
結果として、筋トレ後に数値が上がり、「やはり筋トレは良くないのでは」と誤解につながることもあります。
大切なのは、筋トレを中断することではなく、体に合わないやり方を見直すことです。
筋トレとあわせて見直したい生活習慣
尿酸値を意識する場合、筋トレ単体よりも、生活習慣全体のバランスが数値に大きく影響します。
どれだけ運動に気を配っても、日常生活の負荷が高いままでは改善しにくいのが実情です。
筋トレをきっかけに、周辺の習慣も整理していくと効果が出やすくなります。
- アルコール摂取量を控えめに調整する
- 水分をこまめに補給し、脱水を防ぐ
- プリン体だけでなく総摂取カロリーを意識する
- 睡眠時間を確保し、回復を優先する
特にアルコールや睡眠不足は、尿酸値を上げやすい要因として見逃されがちです。
筋トレで体を整えようとしているのに、回復を妨げる習慣が残っていると、結果が出にくくなります。
運動・食事・休養を一つのセットとして考えることが重要です。
痛風発作や数値が不安な場合の受診目安
筋トレを続ける中で、尿酸値や痛風発作が不安な場合は、自己判断だけで進めないことも大切です。
以下のような状況では、一度医療機関で相談することが勧められます。
- 尿酸値が継続して高値を示している
- 運動後に関節の痛みや腫れが出たことがある
- 過去に痛風発作を経験している
- 腎機能や生活習慣病を指摘されている
数値の推移や体の反応を把握したうえで、運動内容を調整することが望ましいケースもあります。
特に既往歴がある方は、「自己流で頑張る」より「安全に続ける」視点が重要になります。
まとめ:尿酸値を意識するなら「追い込みすぎない筋トレ」が基本
尿酸値と筋トレの関係は単純ではなく、やり方次第でプラスにもマイナスにも働く点が特徴です。
高強度・短期集中型の筋トレは数値悪化につながる可能性がありますが、適切な負荷と回復を意識したトレーニングは、むしろ体質改善に寄与します。
重要なのは、「どれだけやるか」ではなく、「どのように続けるか」です。
- 中長期的な代謝改善を目的にする
- 水分・休養を含めた回復設計を行う
- 数値と体調の変化を定期的に確認する
- 不安があれば早めに専門家へ相談する
筋トレは、尿酸値が気になる方にとっても「敵」ではなく「使い方次第の味方」になり得ます。
無理なく、長く続けられる形を見つけることが、結果的に数値と健康の両立につながるでしょう。
監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設
















