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ドケルバン病に効果的なストレッチとは?痛みを悪化させない伸ばし方を解説

親指の付け根や手首の小指側ではなく親指側が痛み、物をつかむ・スマートフォンを操作するだけで違和感が出る場合、ドケルバン病と呼ばれる状態が関係していることがあります。
「ストレッチをしたほうが良いのか」「動かさないほうが良いのか」と迷い、自己流で対処してしまう方も少なくありません。
しかし、ドケルバン病では時期や方法を誤ったストレッチが、かえって症状を長引かせる原因になることもあります。
この記事では、ドケルバン病におけるストレッチの考え方を整理し、痛みを悪化させないための前提知識と注意点を解説します。
目次
結論:ドケルバン病のストレッチは「炎症期を避け正しい方向で行う」ことが重要
ドケルバン病に対するストレッチは、いつ・どの方向に・どの程度行うかを誤らなければ、回復を後押しする手段になります。
一方で、痛みが強い時期に無理に伸ばしたり、腱に直接ストレスがかかる方向へ動かしたりすると、炎症を悪化させるリスクが高まります。
つまり、ストレッチは「とりあえず伸ばす」のではなく、症状の段階を見極めたうえで、目的をもって行うことが重要だといえるでしょう。
まずは、ドケルバン病がどのような状態なのかを整理するところから確認していきます。
ドケルバン病とは?親指の付け根が痛くなる原因
ドケルバン病とは、親指を動かす腱と腱鞘の間で炎症が起こる状態を指します。
具体的には、手首の親指側にある腱鞘の中を通る「長母指外転筋」「短母指伸筋」という二つの腱が、繰り返しの動作や負荷によってこすれ、腫れや痛みを生じます。
スマートフォン操作、育児での抱っこ、パソコン作業、スポーツや楽器演奏など、日常動作の積み重ねが原因になることが多い点が特徴です。
初期は違和感程度でも、放置すると痛みが強まり、物をつかむ動作そのものが困難になる場合もあります。
ドケルバン病でストレッチが有効な理由
ドケルバン病においてストレッチが有効とされる理由は、腱そのものではなく周囲の筋緊張や滑走不良を改善する目的にあります。
炎症が落ち着いた段階では、前腕や手首周囲の筋肉が硬くなり、腱の動きを妨げているケースが少なくありません。
その状態で適切な方向に筋肉を伸ばすことで、腱の通り道が広がり、動作時の摩擦や負担を軽減しやすくなります。
ただし、炎症が強い時期に腱を無理に引き伸ばすと、修復途中の組織を刺激してしまうため、時期の見極めが欠かせません。
ストレッチを始める前に確認したい注意点
ドケルバン病でストレッチを行う前には、現在の痛みの性質と強さを把握しておくことが重要です。
【ストレッチ前に確認したいポイント】
- 安静にしていてもズキズキと痛むか
- 親指を動かした瞬間に鋭い痛みが走るか
- 腫れや熱感がはっきり残っているか
- 日常動作(つまむ・握る)で痛みが増すか
これらが強く当てはまる場合、まだ炎症期にある可能性が高く、積極的なストレッチは控えたほうが安全と考えられます。
一方、痛みが動作時のみで、腫れや熱感が落ち着いている場合は、負荷を調整しながらストレッチを検討できる段階といえるでしょう。
「伸ばしたほうが治りそう」という感覚だけで判断せず、現在地を冷静に見極めることが回復への近道です。
ドケルバン病に関係する筋肉と腱
ドケルバン病のストレッチを考えるうえでは、どの筋肉・腱が関与しているかを理解しておく必要があります。
親指の付け根だけに注目しがちですが、実際には前腕全体の筋緊張が影響していることも少なくありません。
ここでは、特に重要とされる部位を整理します。
【関連する主な部位】
次それぞれの役割と痛みにどう関与するかを詳しく見ていきます。
長母指外転筋と短母指伸筋の役割
長母指外転筋と短母指伸筋は、親指を外側に開いたり伸ばしたりする際に働く筋肉です。
これらの腱は同じ腱鞘の中を通るため、使いすぎや負荷が集中すると、腱同士や腱鞘との摩擦が増えやすくなります。
結果として、動かすたびに引っかかるような痛みや、手首の親指側に限局した圧痛が生じます。
ストレッチでは、これらの筋を直接強く引き伸ばすのではなく、緊張を緩めて滑走を改善する視点が重要です。
前腕の筋緊張が痛みに影響する理由
ドケルバン病では、前腕の筋肉全体が硬くなることで症状が助長されるケースも多く見られます。
パソコン作業やスマートフォン操作が続くと、手首から肘にかけての筋が常に収縮した状態になりやすくなります。
この緊張が残ったままだと、腱の動きに余裕がなくなり、親指を動かすたびに腱鞘部へ負担が集中します。
そのため、ドケルバン病のストレッチでは、親指だけでなく前腕全体をゆるめる視点が欠かせません。
ドケルバン病におすすめのストレッチ方法
ドケルバン病のストレッチは、炎症を刺激せず腱の滑りを良くすることを目的に行う必要があります。
ここでは、比較的負担が少なく、自宅でも取り入れやすい方法を紹介します。
【この見出しで解説するストレッチ】
いずれも「痛みが出ない範囲」で行うことが前提になります。
伸ばしている最中や直後に痛みが増す場合は、無理に継続しない判断が重要です。
親指を使った基本ストレッチ
親指を使った基本ストレッチは、長母指外転筋や短母指伸筋の緊張をやわらげる目的で行います。
手のひらを上に向け、反対の手で親指をゆっくりと外側に開くようにします。
このとき、手首を強く反らせず、親指の付け根から前腕にかけて軽く伸びる感覚を目安にしてください。
呼吸を止めず、10〜20秒程度を数回行う形が基本になります。
鋭い痛みが出る場合は、炎症が残っている可能性があるため中止が望ましいでしょう。
手首〜前腕をゆるめるストレッチ
手首から前腕をゆるめるストレッチは、ドケルバン病を長引かせやすい筋緊張の軽減に役立ちます。
肘を伸ばした状態で、手首を反らせたり曲げたりし、前腕の筋が心地よく伸びる位置を探します。
親指側だけでなく、小指側や前腕中央にも意識を向けると、全体の負担が分散されやすくなります。
作業の合間や入浴後など、筋が温まっているタイミングに行うと取り入れやすい方法です。
強い刺激を与えず、「緩める」感覚を重視することが重要になります。
ストレッチで悪化するケースとNG動作
ドケルバン病では、良かれと思ったストレッチが悪化につながるケースも少なくありません。
【避けたいNG動作】
- 痛みを我慢して強く伸ばす
- 炎症が強い時期に長時間ストレッチする
- ストレッチ直後に負荷の高い作業を行う
特に、親指を握り込んで手首を反らす動作は、腱鞘部への圧迫が強くなりやすいため注意が必要です。
ストレッチは「治す行為」ではなく、「回復を邪魔しないための補助」と捉えると判断しやすくなります。
ストレッチと併用したいセルフケア(固定・負荷調整)
ドケルバン病の改善を目指すには、ストレッチ単独ではなく負荷を減らす工夫が欠かせません。
【併用したいセルフケア】
- 親指・手首を休ませるサポーターの使用
- スマートフォンやパソコン作業時間の調整
- 痛みが出る動作の一時的な回避
- 冷却や温熱を状態に応じて使い分ける
固定は「動かさないため」ではなく、「余計な動きを減らすため」に用いる意識が大切です。
また、生活動作そのものを見直さなければ、ストレッチの効果が相殺されてしまうこともあります。
痛みが改善しない場合の治療選択肢
セルフケアやストレッチを行っても症状が改善しない場合、炎症の慢性化や組織そのものの変化が関与している可能性があります。
一般的には、消炎鎮痛薬の使用、局所注射、装具療法などが検討されます。
リペアセルクリニック大阪院では、ドケルバン病のように「使いすぎ+回復不足」が重なった症状に対し、炎症の検査だけでなく、腱や周囲組織の状態を整理します。
再生医療は、損傷した腱や周囲組織の修復環境を整えることを目的とした治療で、保存療法が頭打ちになったケースで検討されることがあります。
すべての人に適応となるわけではありませんが、「このまま繰り返すのでは」という不安がある場合、治療の整理を行う場として相談する価値はあるでしょう。
手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。
まとめ:ストレッチは「正しく・無理なく」が改善への近道
ドケルバン病のストレッチは、正しい時期と方向を守れば回復を助ける要素になります。
一方で、痛みを我慢した自己流の対応は、症状を長引かせる原因になりかねません。
重要なのは、炎症の段階を見極め、負荷調整とセットで取り組むことです。
もしストレッチやセルフケアを続けても改善が見られない場合は、原因を整理し直すタイミングと考えてもよいでしょう。
早めに適切な対応を取ることが、結果的に回復までの遠回りを防ぐことにつながります。
監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師
















