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甲状腺を半分摘出した後の後遺症|起こり得る症状と受診の目安

甲状腺を半分摘出した後の後遺症|起こり得る症状と受診の目安
公開日: 2025.12.26

甲状腺を半分摘出したあと、「手術は終わったはずなのに、体調が思うように戻らない」と感じていないでしょうか。

周囲からは「もう治ったのでは」と言われても、だるさや声の違和感が続くと、日常の負担は意外と大きいものです。

特に術後は、症状がゆっくり出てくることもあり、どこまでが経過の範囲なのか判断が難しくなります。

そこで本記事では、甲状腺を半分摘出した場合いの後遺症として起こり得る症状と、受診の目安をわかりやすく整理します。

半分摘出後に起こり得る後遺症

甲状腺を半分摘出したあとに起こり得る後遺症は、「ホルモンの変化」「神経の影響」「電解質(カルシウム)バランス」など、原因がいくつかに分かれます。

症状の出方が人によって違うため、「自分だけおかしいのでは」と不安になりやすい点も特徴です。

まずは代表的な症状を整理し、自分の状態がどれに近いかを確認していきましょう。

大切なのは「よくある」と言われる症状でも、生活に支障が出るなら検査で確かめることです。

甲状腺機能低下(だるさ・体重増加など)

甲状腺を半分摘出したあとに甲状腺機能低下が起こると、だるさや体重増加などがじわじわ現れることがあります。

手術直後は痛みや疲労で体調が揺らぎやすく、「術後だから仕方ない」と見過ごされるケースも少なくありません。

しかし、甲状腺ホルモンは代謝や体温、心拍など広く関わるため、低下すると日常の動きが重く感じやすくなります。

代表的な訴えには、疲れやすさ、寒がり、むくみ、便秘、気分の落ち込みなどが挙げられます。
参照:NIDDK “Hypothyroidism (Underactive Thyroid)”

「頑張れば何とかなる」と無理を続けるより、採血でTSHや遊離T4などを確認し、必要なら補充療法を検討する流れが安心です。

声のかすれ・声が出しにくい(反回神経など)

甲状腺手術のあとに声のかすれや声の出しにくさが出る場合、反回神経など喉の神経や周辺組織の影響が関係することがあります。

声は仕事や会話に直結するため、軽い違和感でも生活上のストレスになりやすいのが現実です。

術後しばらくは腫れや炎症で声が出にくいこともありますが、長引く場合は再診が必要になります。

声の変化が続くときは、耳鼻咽喉科で声帯の動き(喉頭内視鏡など)を確認すると原因が整理しやすくなります。

しびれ・手足のピリピリ(低カルシウムの可能性)

術後にしびれや手足のピリピリ感が出る場合は、低カルシウム血症が関係している可能性があります。

しびれは疲れや冷えでも起こるため軽視されがちですが、続く場合は早めに確認したほうが安全です。

甲状腺の近くには副甲状腺(上皮小体)があり、カルシウム調整に関わるため、術後に一時的な低カルシウムが起こることがあります。

低カルシウムでは、口周りのしびれ、手足のピリピリ、筋肉のけいれんなどが症状として挙げられています。
参照:Cleveland Clinic “Hypocalcemia”

「しびれが強い」「けいれんが出る」場合は、我慢せず医療機関で血液検査を受けてください。

甲状腺の半分摘出(葉切除)とは?全摘との違い

甲状腺の半分摘出(葉切除)は、甲状腺の片側(左右どちらか一方)を切除する手術で、病変の性質や範囲に応じて選択されます。

全摘(甲状腺をすべて切除)と比べると、残った甲状腺がホルモン分泌を担える可能性がある点が大きな違いです。

一方で、残る量や個人差によっては、葉切除でも機能低下が起こり得ます。

また、声やカルシウムの問題は「全摘だけの話」ではなく、手術の範囲や状態によっては葉切除でも起こり得ます。

だからこそ、手術の種類だけで安心せず、症状の出方で検査の必要性を判断することが重要です。

危険なサイン|早めに受診したい症状(チェックリスト)

術後の不調が「経過の範囲」なのか「早めに対応すべき異常」なのかを分けるには、危険サインを知っておくことが役立ちます。

以下は早めに受診したい症状の目安です。

【危険なサイン|受診を急ぐ目安】

  • 息苦しさ、飲み込みづらさが強い/悪化している
  • 声が急に出なくなった、かすれが強くなってきた
  • しびれが強い、手足がつる、けいれんが出る
  • 動悸、強い倦怠感、むくみが増えて日常生活が崩れている
  • 発熱や傷口の赤み・腫れが広がる(感染の可能性)

術後の症状は「時間がたてば戻る」こともありますが、危険サインは放置するほど不安もリスクも増えます。

迷った場合は、手術を受けた施設やかかりつけに連絡し、受診の要否を確認してください。

早めにサインに気が付くほど、必要な対応も取りやすくなります。

病院で行う検査について

術後の後遺症が疑われる場合は、原因に合わせて検査を組み合わせることで状況が整理できます。

「何が起きているか」が分かるだけでも、必要以上の不安を減らせることがあります。

【病院で行う検査の例】

  • 血液検査:TSH・遊離T4など(甲状腺ホルモン評価)
  • 血液検査:カルシウム、リン、PTH(低カルシウム評価)
  • 喉頭内視鏡:声帯の動きの確認(声のかすれ等)
  • 超音波検査:術後の状態確認(腫れ、しこり等の評価)

たとえばだるさが強い場合でも、ホルモン値が正常なら別の原因が見えてくることがあります。

逆に数値が崩れているなら、治療の方向性がはっきりしやすいです。

症状が続くときほど「我慢」より「検査で確かめる」が現実的な選択になります。

後遺症が長引く場合の再生医療という選択肢

甲状腺手術後の不調が長引く場合は、まず原因を切り分け、内分泌・耳鼻咽喉科などで標準的な評価と治療を受けることが基本です。

そのうえで、痛みやしびれなどが慢性化し、生活の質が落ちている場合には、医療機関によって再生医療を含む選択肢の相談が検討されることもあります。

リペアセルクリニック大阪院では、症状が長引くケースについて、経過・困る動作・検査結果を整理し、選択肢の比較を重視して相談を受け付けています。

「経過観察と言われたが、日常が戻らない」と感じる場合は、我慢を続ける前に一度状況を棚卸しすることが大切です。

手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。

甲状腺摘出後の後遺症は「経過観察」で止めず、症状に合わせて検査することが重要

甲状腺の半分摘出後は、症状が軽くても後遺症が隠れていることがあるため、「様子見」だけで終わらせない姿勢が重要です。

だるさはホルモン、声は神経や声帯、しびれはカルシウムなど、原因が分かれやすいぶん、検査で切り分ける意味が大きくなります。

「不安だけが続く」状態は負担が大きいため、数値や所見で状況を確認し、必要な対応につなげてください。

症状が生活に影響しているなら、早めの受診が結果的に回復の近道になることもあります。

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監修者

渡久地 政尚

Masanao Toguchi

医師

略歴

1991年3月琉球大学 医学部 卒業

1991年4月医師免許取得

1992年沖縄協同病院 研修医

2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務

2008年沖縄協同病院 内科 勤務

2012年老健施設 かりゆしの里 勤務

2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長

2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長

2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長