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痛み止めにステロイド注射は有効?期待できる効果と副作用・注意点について解説

ステロイド注射とは、炎症を抑える作用を持つステロイド薬を痛みのある部位に直接注射する治療法です。
変形性膝関節症や五十肩など、さまざまな関節の痛みに対して用いられています。
しかし、「ステロイド注射って本当に効果があるの?」「副作用が怖い」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ステロイド注射の効果や副作用、注意点をわかりやすく解説します。
関節の痛みで悩まれている方は、ぜひ最後まで読んで治療法を選ぶ参考にしてください。
目次
痛み止めに有効?ステロイド注射に期待できる効果
ステロイド注射は、痛み止めとして高い効果が期待できる治療法です。
関節や筋肉の痛みを和らげるために整形外科で広く使われており、主に以下のような効果が期待できます。
それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。
抗炎症作用
ステロイド注射には、炎症を抑える作用があります。
関節の痛みは、多くの場合、関節内で起きている炎症が原因です。
炎症が起きると、痛みを引き起こす物質が作られ、腫れや熱感、痛みが生じます。
ステロイド薬は、炎症を引き起こす物質の産生を抑えることで、腫れや赤みを改善し、痛みの原因そのものに働きかけます。
関節内に直接注射することで、患部にダイレクトに効果を届けられるのも特徴です。
鎮痛効果
ステロイド注射は、即効性のある鎮痛効果が期待できます。
以下は、ステロイド注射で痛みを和らげることによるメリットです。
- 日常生活の不自由さを軽減できる
- リハビリや運動療法を行いやすくなる
- 痛みによる体のこわばりが改善する
ステロイド注射は、効果的なリハビリを進めるためにも重要な役割を果たしています。
痛み止めでステロイド注射が適応される疾患・症状
ステロイド注射は、炎症による痛みや腫れが起きている場合に有効です。
整形外科でステロイド注射が使われる主な疾患は、以下のとおりです。
| 疾患名 | 症状の特徴 |
|---|---|
| 変形性膝関節症 | 膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れが生じる |
| 肩関節周囲炎(五十肩) | 肩の痛みと動きの制限が起こる |
| 石灰性腱板炎 | 肩の腱に石灰が沈着し、強い痛みが出る |
| 腱鞘炎(ばね指など) | 指の付け根に痛みや引っかかりが生じる |
| 関節リウマチ | 関節の腫れと痛みが複数の部位に出る |
| 痛風発作 | 足の親指などに激しい痛みと腫れが起こる |
| テニス肘・ゴルフ肘 | 肘の外側や内側に痛みが生じる |
とくに、ヒアルロン酸注射では効果が不十分な場合や、関節に水がたまるほど炎症が強い場合にステロイド注射が選択されます。
ただし、ステロイド注射が適切かどうかは、症状や状態によって異なるため、医師の診察を受けて判断してもらうことが大切です。
また、ステロイド注射で痛みが緩和されても疾患が治ったわけではないため、根本的な治療も検討しましょう。
痛み止めでステロイド注射を打つときの注意点・副作用
ステロイド注射は高い効果が期待できる一方で、副作用や注意すべき点もあります。
主な注意点・副作用として、以下の3つがあります。
これらの注意点を正しく理解して、医師と相談しながら治療を進めましょう。
関節や骨が脆くなるリスク
ステロイド注射を繰り返すと、関節の軟骨や骨が弱くなる可能性があります。
何度も同じ部位に注射を続けると、以下のようなリスクがあるため注意が必要です。
- 関節の軟骨が傷つきやすくなる
- 骨が脆くなる(骨粗しょう症)
- 腱や靭帯が弱くなる
そのため、同じ関節へのステロイド注射は、一般的に3〜4カ月以上の間隔を空けて行います。
年間の注射回数は2回程度が目安とされているため、一定の間隔を守り、年2回までであれば軟骨や骨への影響は限定的です。
必要以上に心配せず、医師の指示に従って治療を受けましょう。
免疫抑制作用が働く
ステロイドには免疫を抑える作用があり、以下の影響を与える可能性があります。
- 感染症にかかりやすくなる
- 血糖値が上がりやすくなる(糖尿病の方はとくに注意)
- まれに顔のほてりや軽いめまいが生じることがある
免疫抑制作用は炎症を抑えるために必要な働きですが、体の防御力が一時的に低下するというデメリットもあります。
糖尿病がある方や感染症にかかりやすい方は、事前に医師に伝えてください。
状態によっては、ステロイドを使わない別の治療法が選択されることもあります。
原因疾患の根本的な治療にはならない
ステロイド注射は痛みを和らげる対症療法(症状を抑える治療)であり、病気そのものを治すわけではありません。
あくまで炎症を抑えて痛みを軽減する治療法です。
そのため、ステロイド注射だけに頼らず、以下のような取り組みを並行して行うことが重要です。
- 運動療法やリハビリで筋力を強化する
- 体重管理で関節への負担を減らす
- 日常生活での動作や姿勢を改善する
痛みが和らいでいる期間を活用して、リハビリなどに取り組むことで、症状の進行を遅らせることが期待できます。
関節痛に対するステロイド注射以外の治療法
関節痛の治療には、ステロイド注射以外にも一般的な治療法として、以下のようなものがあります。
| 治療法 | 特徴 |
|---|---|
| ヒアルロン酸注射 | 関節の潤滑を助け、軟骨を保護する。副作用が少ない |
| 内服薬 | 痛み止めや消炎剤を服用して症状を和らげる |
| 運動療法 | 筋力強化やストレッチで関節の安定性を高める |
| 手術療法 | 症状が進行した場合に人工関節置換術などを行う |
これらの治療法に加えて、近年は「再生医療」という新しい選択肢もあります。
再生医療とは、自分自身の細胞を使って、損傷した組織を修復する医療技術のことです。
手術を行わないため体への負担が少なく、入院する必要もありません。
薬物療法で効果が感じられなくなってきた方や、手術をできるだけ避けたい方にとって、検討すべき治療の選択肢のひとつです。
自分の症状や生活スタイルに合った治療法を、医師と相談しながら選びましょう。
痛み止めのステロイド注射に関するよくある質問
痛み止めのステロイド注射についてよくある質問を紹介します。
治療を受ける前に気になる点を確認しておきましょう。
ステロイド注射の副作用は?
ステロイド注射の主な副作用は、以下のとおりです。
- 注射直後の一時的な痛みや腫れ
- 血糖値の上昇(糖尿病の方は注意が必要)
- 繰り返し注射した場合の軟骨・骨への影響
- 免疫力の低下による感染リスク
多くの副作用は一時的なもので、医師の管理のもと適切な間隔で使用すれば、過度に心配する必要はありません。
ステロイド注射とブロック注射の違いは?
ステロイド注射とブロック注射は、目的や注射する場所が異なります。
| 項目 | 関節注射(ステロイド注射) | 神経ブロック注射 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 炎症を抑えて痛みを和らげる | 神経からの痛みの信号を遮断する |
| 注射部位 | 関節内や炎症のある部位 | 神経やその周囲 |
| 使用薬剤 | ステロイド薬 | 局所麻酔薬(ステロイドを併用することもある) |
| 適応症状 | 関節炎、腱鞘炎など | 椎間板ヘルニア、坐骨神経痛など |
どちらの注射が適しているかは、痛みの原因や症状によって異なるため、医師の診察を受けて治療法を選択しましょう。
ステロイド注射は痛み止めに有効!複数回投与に注意しよう
ステロイド注射は、関節の痛みや炎症を和らげる効果的な治療法です。
抗炎症作用と鎮痛効果により、つらい痛みを軽減する効果が期待できます。
ただし、繰り返し注射することで軟骨や骨に悪影響を及ぼすリスクがあるため、適切な間隔を空けて治療を受けることが大切です。
また、ステロイド注射はあくまで対症療法であり、根本的な治療ではありません。
関節痛の治療には、ステロイド注射以外にも再生医療という新しい治療法もあります。
以下のページでは、当院の再生医療によって変形性膝関節症による痛みが改善した症例を紹介しているので、併せて参考にしてください。
当院リペアセルクリニックでは、再生医療の治療法や適応症例について無料カウンセリングを実施しているため、お気軽にご相談ください。
監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師


















