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痛風にコーヒーはダメ?尿酸値との関係性や飲む時の注意点について解説

「痛風にコーヒーはダメ?」「発作が怖いけれど、コーヒーは飲みたい」
日常的にコーヒーを飲む習慣がある方で、痛風と診断されてから上記のようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
カフェインは体に良くないというイメージから「ダメ」だと思われがちですが、コーヒーは痛風にとって「ダメな飲み物」ではありません。
むしろ、近年の研究ではコーヒーを飲む習慣が痛風に良い影響を与える可能性も示唆されています。
本記事では、痛風や尿酸値とコーヒーの関係性について詳しく解説します。
- 痛風にコーヒーがダメじゃない理由
- 痛風予防でコーヒーを飲むときの注意点
- 痛風改善・予防に役立つコーヒー以外の飲み物
正しい知識を身につけ、不安なくコーヒータイムを楽しみたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
痛風にコーヒーはダメじゃない!尿酸値との関連性
痛風の方や尿酸値が高めの方であっても、コーヒーを完全に避ける必要はありません。
むしろ、コーヒーを飲む習慣が痛風の発症リスクを低下させるという研究データも報告されています。
コーヒーと尿酸値の具体的な関係について、以下の2つの視点から詳しく解説します。
コーヒーが持つ意外なメリットと、現在の医学的な見解を正しく理解することが大切です。
コーヒーは痛風の発症リスク低下につながる
コーヒーを習慣的に飲むことは、痛風の発症リスクを20〜60%低減させる※と考えられています。
※出典:J-STAGE「痛風・高尿酸血症の病態と治療」
アメリカで実施された大規模なコホート研究によると、コーヒーを飲む量が多い人ほど、痛風を発症する確率が低いという結果が出ました。
具体的には、1日に4杯から6杯以上のコーヒーを飲む男性において、痛風リスクの大幅な低下が見られています。
しかし、これらの研究結果は、個人差があることやエビデンスが不十分であると判断されていることから、コーヒーの効果を過信しないことが大切です。
とはいえ、過剰摂取などに注意すれば痛風でもコーヒーを飲めるので、コーヒーを飲む習慣がある方には朗報といえるでしょう。
尿酸値への影響は解明されていない
コーヒーが痛風の発症リスクを低下させるというデータがある一方で、「尿酸値を下げる」などの影響に関する詳細は解明されていません。
複数の研究結果を見ても、コーヒーを飲んで尿酸値が下がったグループもあれば、上がったグループもあるため、コーヒーの消費量と尿酸値に関連性は認められませんでした。
現時点では、コーヒーと尿酸値の関連性として以下のような仮説が考えられています。
| 仮説 | 詳細 |
|---|---|
| 排泄の促進 | カフェインの利尿作用などが、尿酸の体外排出を助けている可能性 |
| インスリン抵抗性の改善 | 尿酸値を高める原因となるインスリンの働きを整える可能性 |
上記のことから、コーヒーを飲めば確実に尿酸値が下がるというわけではない点に注意が必要です。
あくまで「痛風の発症リスクを下げる可能性がある嗜好品」として捉え、適切な治療やバランスの良い食事と併用する意識を持つと良いでしょう。
痛風予防でコーヒーを飲むときの注意点
コーヒーは痛風予防に役立つとされていますが、飲み方を間違えるとカフェインの過剰摂取などによる健康被害を引き起こす可能性があります。
健康的にコーヒーを楽しむために、特に意識したい注意点は以下の3つです。
これらの注意点を理解し、健康的な飲み方を心がけることで、痛風の方でもコーヒーを楽しめるでしょう。
コーヒーの飲み過ぎ
痛風の発症リスクを低下させる可能性があるとはいえ、カフェインの過剰摂取につながるほどの飲み過ぎは避けましょう。
一般的に、成人の1日のカフェイン摂取量は400mg以下(コーヒー約3〜4杯分)が目安とされていますが、カフェインへの耐性は個人差が大きいものです。
カフェインを摂りすぎると、不眠や胃腸の荒れ、動悸といった健康被害を引き起こす可能性があるため、飲む量には注意が必要です。
ご自身の体調と相談しながら、リラックスできる適量を守ってコーヒーを飲みましょう。
砂糖やシロップが含まれたコーヒーを飲む
砂糖や甘いシロップが入ったコーヒーは、過剰摂取により尿酸値を上昇させるリスクがあるため、おすすめできません。
糖が体内で分解される過程で尿酸の産生を促進したり、糖分の摂りすぎによって肥満になったりすることで、結果として痛風のリスクを高めることにつながります。
痛風の方がコーヒーを飲む場合は、砂糖やシロップが含まれるものは避けることが望ましいです。
また、ブラックコーヒーが苦手な方は、同じく痛風リスクを下げるといわれている無糖のミルク(牛乳)※で割って飲むと良いでしょう。
※出典:J-STAGE「血清尿酸値の低下作用が示唆される食材および食材に含まれる物質の作用機序」
コーヒー以外の水分を摂取しない
コーヒーには利尿作用があるため、水やお茶など他の飲み物でもしっかりと水分補給を行うことが欠かせません。
コーヒーだけを水分源にしていると、体内の水分が尿として排出され、知らず知らずのうちに脱水気味になることがあります。
また、水分不足は血液中の尿酸濃度を高め、尿酸が結晶化しやすい環境を作ってしまう原因となります。
痛風予防のためには、1日2リットル程度の水分摂取が推奨※されているため、コーヒー以外の飲み物で意識的に水分補給しましょう。
※出典:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版
痛風改善・予防に役立つコーヒー以外の飲み物
コーヒー以外にも、日々の水分補給を通じて痛風改善・予防を助けてくれる飲み物があります。
痛風予防の観点から積極的に取り入れたい飲み物は、以下のとおりです。
- 水(ミネラルウォーターや水道水)
- 緑茶、麦茶
- 牛乳、乳製品
先述のとおり、痛風予防ためには、1日2リットル程度の水分摂取が推奨されているため、上記を取り入れることでコーヒーだけに頼らない水分補給が可能になります。
また、牛乳などの乳製品には、尿酸の排泄を助ける「カゼイン」や「ラクトアルブミン」というタンパク質が含まれています。
毎日コップ1杯程度の牛乳を飲む習慣は、尿酸値が高めの方にとって心強いサポートとなるはずです。
低脂肪乳を選ぶと、カロリーや脂質も抑えられるため、より健康的といえるでしょう。
痛風とコーヒーに関してよくある質問
痛風とコーヒーに関してよくある以下の2つの質問について回答します。
以下では、それぞれの質問に対して詳しく解説しているので、疑問や不安がある方はここで解消しておきましょう。
痛風にはインスタントコーヒーでもいい?
インスタントコーヒーであっても、痛風の発症リスクを低減する効果が期待できるでしょう。
有効成分であるポリフェノールはインスタントにも含まれていますが、ドリップコーヒーに比べると含有量が少ない傾向があります。
それでも、過去の研究ではドリップとの厳密な区別なく効果が確認されているため、日常的な摂取としては十分に期待できます。
しかし、インスタントコーヒーには砂糖やミルクがあらかじめ配合されている製品が多く、糖分の摂りすぎにつながる可能性があるため、注意が必要です。
インスタントコーヒーを選ぶときは、成分表示を確認する習慣をつけると良いでしょう。
痛風でコーヒーと一緒に食べてはいけないものは?
痛風でコーヒーと一緒に絶対に禁止すべき食べ物はありませんが、砂糖や果糖たっぷりのスイーツとの組み合わせには注意が必要です。
ケーキやドーナツなどの甘いお菓子は、体内で尿酸値を上昇させる大きな原因となります。
コーヒーによる発症リスクの低減を過信せずに、素焼きのナッツや高カカオチョコレートなど、低糖質なものを選ぶ工夫をしましょう。
痛風でもコーヒーは飲んでOK!飲み方と量に注意しよう
痛風や尿酸値が気になる方でも、コーヒーを完全に避ける必要はなく、日常的に飲んでも問題はありません。
むしろ、コーヒーを飲む習慣によって痛風の発症リスクを低減させることにつながると考えられているため、適切な飲み方を守れば健康管理のに役立ちます。
「痛風だから」と好きなものを我慢しすぎることは、かえってストレスの原因になりかねません。
生活習慣の改善と合わせて、コーヒーの飲み過ぎや砂糖・シロップが含まれたコーヒーの過剰摂取を控えて、コーヒーを楽しみましょう。
監修者
渡久地 政尚
Masanao Toguchi
医師
略歴
1991年3月琉球大学 医学部 卒業
1991年4月医師免許取得
1992年沖縄協同病院 研修医
2000年癌研究会附属病院 消化器外科 勤務
2008年沖縄協同病院 内科 勤務
2012年老健施設 かりゆしの里 勤務
2013年6月医療法人美喜有会 ふたこクリニック 院長
2014年9月医療法人美喜有会 こまがわホームクリニック 院長
2017年8月医療法人美喜有会 訪問診療部 医局長
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 院長













