- その他
胸郭出口症候群の代表的なストレッチ方法3つ|注意点やなりやすい人の特徴について解説

胸郭出口症候群は、神経や血管が圧迫されることで生じる疾患であり、放置すると強い痛みやしびれによって日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
そんな胸郭出口症候群について「ストレッチで痛みを和らげたい」「自分で治す方法を知りたい」という方も多いでしょう。
実際、日々の生活に適切なストレッチを取り入れれば、筋肉の緊張がほぐれ、つらい痛みやしびれなどの症状緩和が期待できます。
本記事では、胸郭出口症候群に有効なストレッチ方法から、実施時の注意点について詳しく解説します。
- 胸郭出口症候群に有効なストレッチ方法
- 胸郭出口症候群でストレッチを行うときの注意点
- 胸郭出口症候群になりやすい人の特徴
自分の体質や症状に合った正しいケア方法を理解し、快適な日常生活を取り戻しましょう。
また、胸郭出口症候群による痛みやしびれを早く治したい方は、再生医療も選択肢の一つです。
再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて、損傷した神経の再生・修復を促す医療技術で、胸郭出口症候群の症状改善が期待できます。
「再生医療について詳しく知りたい」「つらい神経痛を早く治したい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。
目次
胸郭出口症候群に有効なストレッチ方法
胸郭出口症候群の症状を和らげるには、原因となっている筋肉の緊張を解き、神経や血管の圧迫を解消する必要があります。
ここでは自宅で手軽に取り組める3つのストレッチを紹介します。
ストレッチを毎日の習慣にすることで、筋肉の柔軟性が高まり、慢性的なしびれや痛みの軽減が期待できます。
それぞれの具体的な手順とポイントを見ていきましょう。
小胸筋ストレッチ
胸の前側にある「小胸筋」が硬くなると、神経の通り道が狭くなり、症状が悪化する原因になります。
まずはこの筋肉をしっかりと伸ばし、胸を開きやすい状態を作りましょう。
小胸筋ストレッチの手順
- 壁の横に立ち、肘を90度に曲げて前腕を壁につける
- 足を前後に開き、壁側の足を一歩前に出す
- 胸を張りながら体を壁とは反対方向にゆっくりと捻る
- 胸の前が伸びているのを感じながら20秒間キープ
左右交互に実施し、痛みが出ない範囲で気持ちよく伸ばしてください。
胸郭を開くことで呼吸も深くなり、リラックス効果も得られます。
斜角筋ストレッチ
首の横にある「斜角筋」は、重い頭を支え続けているため疲れやすく、胸郭出口症候群の主要な原因となる箇所です。
首周りの緊張をほぐすことで、腕への神経圧迫を直接的に緩和できます。
斜角筋ストレッチの手順
- 椅子に座り右手を背中側に回すか、椅子の座面を持って右肩を固定
- 左手で頭をまたぐように持ち、頭を左真横にゆっくり倒す
- その状態で顔を少し天井方向へ向ける
- 首の右前側が伸びる感覚を確認し、20秒間キープ
肩が一緒に上がってしまうと効果が薄れるため、手で椅子を掴んで肩の位置を下げておくのがコツです。
首の筋肉は繊細なため、強い力で引っ張らず、頭の重みを利用してじっくりと伸ばしましょう。
肩甲骨ストレッチ
猫背や巻き肩などの不良姿勢は、肩甲骨の動きを悪くし、胸郭出口周辺の負担を増大させます。
肩甲骨周りを柔軟に保つことは、根本的な姿勢改善と症状緩和に欠かせません。
肩甲骨ストレッチの手順
- 足を肩幅に開いて立ち、両手を背中で組む
- 組んだ手を斜め下へ引き下げながら、胸を大きく開く
- 肩甲骨同士を寄せる意識を持ち、15秒間キープ
仕事中などで立ち上がれない場合は、座ったまま両手を肩に置き、肘で大きな円を描くように回す方法も有効です。
肩甲骨を大きく動かすことで血流が改善され、こり固まった筋肉がほぐれます。
胸郭出口症候群でストレッチを行うときの注意点
胸郭出口症候群の改善には継続的なケアが必要ですが、間違った方法で悪化させるケースもあります。
ここでは、ストレッチを行うときに守るべき注意点を解説します。
これらを守ることで、リスクを抑えながら症状の緩和を目指せます。
痛みを感じない程度に実施する
ストレッチは「痛気持ちいい」強さで留めてください。
神経が過敏な状態で強く伸ばすと、逆に症状が悪化する可能性があるため、以下のサインが出た場合は、直ちに中止しましょう。
中止すべき危険サイン
- 実施中に強い痛みがある
- 指先のしびれが増す
- 翌日まで痛みが残る
無理に伸ばすと組織を傷つけ、回復の妨げになるため、ご自身の体の感覚を優先し、決して無理はしないでください。
正しい姿勢を保つ
ストレッチの十分な効果を得るには、基本となる正しい姿勢を保つことが重要です。
背中が丸まった状態で首や肩を動かしても、目的の筋肉に適切な刺激が入りません。
正しいフォームを維持するポイントは、以下のとおりです。
| 部位 | ポイント |
|---|---|
| 背筋 | 天井から吊られるイメージで伸ばす |
| 骨盤 | 椅子に深く座り、立てて安定させる |
| 注意 | 過剰に胸を張りすぎない |
良かれと思って胸を張りすぎると、鎖骨と肋骨の間が狭まり、神経圧迫を強める恐れがあります。
鏡の前でチェックするなど、客観的に自分のフォームを確認しましょう。
胸郭出口症候群になりやすい人の特徴
胸郭出口症候群は、特定の生活習慣や身体的な特徴を持つ方に多く発症します。
ご自身が以下の要因に当てはまるか確認し、リスクを把握しましょう。
これらの要因は、神経や血管の通り道を物理的に狭める主な原因となります。
それぞれの詳細と、症状が出るメカニズムを解説します。
また、以下の記事では胸郭出口症候群の症状のチェックリストを解説しているので、参考にしてください。
オーバーハンドスポーツの競技者
野球やバレーボール、テニスなど、腕を肩より高く上げる動作を繰り返す競技者は、発症リスクが高い傾向にあります。
投球やアタックの動作は、首や胸の筋肉に強い負荷を与え続けます。
繰り返しの負荷が身体に及ぼす影響は以下のとおりです。
オーバーハンド動作による主な負担
- 筋肉が肥大し神経の通り道を狭める
- 疲労で筋肉が硬化し血管を圧迫する
- プレー中の反復動作で炎症が起きる
ケアが不十分な場合、慢性的な痛みにつながりプレーに支障が出ます。
練習後のクールダウンやストレッチを徹底し、筋肉の柔軟性を保ちましょう。
猫背などの不良姿勢
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用により、姿勢が崩れている方も注意が必要です。
猫背や頭が前に出るフォームは、以下のように胸郭出口周辺へ悪影響を及ぼします。
不良姿勢が及ぼす身体への負担
- 背中が丸まり小胸筋が縮んで硬化する
- 頭の重さを支える首の筋肉が疲労する
- 神経や血管へ持続的な圧迫が加わる
この状態を放置すると、腕のしびれや冷感といった症状の引き金になります。
仕事の合間に背筋を伸ばし、定期的に体を動かしましょう。
正しい座り方を維持すれば、首や肩にかかる負担は軽減されます。
なで肩などの骨格的な問題
生まれつきの骨格も、発症に大きく関係しています。
特に「なで肩」の方は、構造的に神経や血管が圧迫されるリスクが高い状態です。
鎖骨が下がることにより、体の中では以下のような問題が生じます。
なで肩による身体への影響
- 鎖骨と肋骨の隙間(肋鎖間隙)が狭くなる
- 少しの動きで神経に摩擦が生じる
- 腕の重みで神経が下に引っ張られる
これらの特徴は、比較的筋力の弱い女性に多く見られる傾向が強いです。
日頃から肩周りの筋力を適度に鍛え、肩の位置を安定させましょう。
胸郭出口症候群のストレッチ方法についてよくある質問
ここでは、胸郭出口症候群のストレッチ方法についてよくある質問に回答していきます。
それぞれの質問について詳しく解説します。
胸郭出口症候群は自分で治せる?
胸郭出口症候群を自分で治せるかどうかは、症状の程度や原因によって異なります。
軽度であれば、ストレッチや生活習慣の見直しで症状が軽減するケースはあります。
しかし、痛みが引いた状態でもセルフケアはあくまで対症療法のため、「根本的に治った」とはいえないでしょう。
また、以下のような状況では、医療機関を受診して治療を受けた方が良いです。
専門医の診断が必要なケース
- なで肩や頚肋など骨格に問題がある
- セルフケアを続けても痛みが変わらない
- 日に日に痛みやしびれが悪化している
自己判断で間違ったケアを続けると症状の悪化を招く恐れがあるため、ストレッチやマッサージの手順については、専門医に確認してから実施することをお勧めします。
症状が改善しない場合は無理に続けず、整形外科などの医療機関を受診してください。
胸郭出口症候群のリハビリ方法は?
医療機関で行うリハビリでは、専門家が原因を特定し、圧迫部位に合わせた適切な処置を施します。
一般的なリラクゼーションマッサージとは異なり、医学的評価に基づいた治療的アプローチで、神経や血管の通り道を広げることが目的です。
圧迫が起きている場所ごとに、以下のようなアプローチを選択します。
| 圧迫部位 | 主なリハビリ内容 |
|---|---|
| 斜角筋隙(首) | 頸部周囲のマッサージや筋膜リリース |
| 肋鎖間隙(鎖骨) | 鎖骨の動きを正常に戻す関節可動域訓練 |
| 小胸筋下隙(胸) | 硬化した小胸筋を直接緩めるマッサージ |
これらの手技に加え、再発を防ぐための姿勢矯正や筋力トレーニングも実施します。
根本的な原因を取り除くため、長期的な改善を目指すうえで有効な手段です。
胸郭出口症候群のストレッチと併せて再生医療をご検討ください
胸郭出口症候群は、正しいセルフケアを継続すれば、筋肉の柔軟性が高まり、痛みの軽減が期待できます。
しかし、長期間の圧迫で損傷した神経は、ストレッチだけで改善が難しいケースもあります。
従来の治療では、手術によって神経の圧迫を取り除くことで改善を目指していましたが、近年では手術せずに神経を治療する再生医療が注目されています。
再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて、損傷した神経の再生・修復を促す医療技術です。
再生医療の特徴
- 手術や入院をせずに神経痛を根本的に治療できる可能性
- 自己細胞を使うためアレルギー反応などの副作用が少ない
再生医療は、手術による術後リスクの負担を避けつつ、胸郭出口症候群による痛みを根本的に改善できる可能性があります。
当院リペアセルクリニックでは、再生医療による専門的な治療を提供しています。
「再生医療について詳しく知りたい」「つらい神経痛を早く治したい」という方は、ぜひ当院にご相談ください。
監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師

















