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足にできたガングリオンの症状|主な原因や対処法、治し方について解説【医師監修】

「急に足の甲や足首にコブ状のしこりができた」
「触っても痛みはないけれど、病院に行くべき?」
足にコブ状のしこりができた方の中には、上記のように不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そのしこりの正体は、「ガングリオン」である可能性が高いです。
多くの場合、ガングリオンは無症状で痛みがないため、そのまま放置しても問題ありません。
しかし、足にできたガングリオンは靴による圧迫を受けやすく、神経の近くにできると痛みやしびれを引き起こすこともあります。
本記事では、足にできるガングリオンの具体的な症状や原因、対処法について詳しく解説します。
ガングリオンに関する正しい知識を身につけ、ご自身の症状に合った適切な対処法を見つけるために、ぜひ参考にしてください。
目次
足にできたガングリオンの症状
足にできるガングリオンの主な症状は、皮膚の下にできる「しこり(腫瘤)」です。
多くの場合、痛みなどの自覚症状はありませんが、できる場所や大きさによっては、靴による圧迫や神経への刺激で痛みやしびれを伴うこともあります。
以下では、足にできたガングリオンの具体的な症状について解説します。
多くの場合は無症状で痛みはない
ガングリオンの一般的な症状は、痛みやその他の自覚症状を伴わない、弾力のあるしこりです。
足の甲や足首、足の指の付け根などの関節付近に発生することが多く、大きさは米粒大からピンポン玉大までさまざまです。
中身はゼリー状の液体で、押すと硬いゴムのような感触があります。
また、ガングリオン自体は良性の腫瘤であり、悪性化(がん化)することは基本的にありません。
そのため、痛みや機能的な問題がなければ、見た目(整容面)の問題を除いて特に心配する必要はないとされています。
大きくなると痛みが生じるケースもある
ガングリオンが大きくなったり、発生する場所が悪かったりすると痛みや違和感を引き起こすことがあります。
痛みが起こる主な原因は、以下のとおりです。
| 痛みの原因 | 概要 | 
|---|---|
| 神経の圧迫 | ガングリオンが近くの神経を圧迫すると、痛みやしびれ、感覚の低下を引き起こすことがある | 
| 靴による圧迫 | 足の甲やくるぶしにできた場合、靴と擦れたり圧迫されたりすることで炎症が起き、痛むことがある | 
| 関節や腱の動きの妨げ | 関節や腱の近くにできた場合、歩行などの動作のたびに違和感が生じたり、動きが妨げられたりして痛むことがある | 
とくに足にできたガングリオンは、靴による圧迫を受けやすいため、手首などの他の部位に比べて症状が出やすい傾向にあります。
ガングリオンが足にできる主な原因
ガングリオンが足にできる明確な原因は、まだ完全には解明されていません。
一般的には、関節を包んでいる「関節包」や、腱を包む「腱鞘」の内部にある関節液が関係していると考えられています。
何らかの刺激や負荷によって、その関節液が袋状に漏れ出して濃縮され、ゼリー状のコブ(腫瘤)を形成すると推測されています。
足は、靴による圧迫やスポーツなどでの繰り返しの負荷が、発生の刺激となりやすい部位です。
しかし、はっきりとしたきっかけがなく発症することも多く、体質的な要因も関係している可能性があります。
足のしこりがガングリオンかどうか判断する方法
足にできたしこりがガングリオンなのか、あるいは別の腫瘍(脂肪腫など)や炎症なのかを自己判断するのは困難です。
本章では、医療機関で行われる主な診断方法について解説します。
足のしこりがガングリオンかどうかを正確に判断するため、医療機関では、まず超音波(エコー)検査が行われるのが一般的です。
さらに、確定診断や治療を兼ねて、しこりに針を刺して内容物を確認する検査が行われることもあります。
画像検査
足のしこりがガングリオンかどうかを医療機関で診断する場合、超音波(エコー)による画像検査が一般的です。
超音波検査は人体に無害で、しこりの内部の様子をリアルタイムで確認できます。
しこりの中身が液体(嚢胞性)なのか、脂肪腫などの固形(充実性)なのかを判別するのに有用です。
中身を確認することにより、ガングリオンである可能性が高いかを判断します。
また、関節とのつながりや、神経、血管との位置関係を把握するためにも用いられます。
レントゲン(X線)検査ではガングリオン自体は写りませんが、骨の異常(骨棘など)がないかを確認するために行われることもあります。
吸引検査
しこりがガングリオンであるかを確定させる確実な方法は、注射針を刺して内容物を吸引する検査(穿刺吸引)です。
穿刺吸引は、ガングリオンかどうかの診断と治療を兼ねて行われることもあります。
しこりに針を刺し、吸い出した中身が透明で粘り気のあるゼリー状の液体(関節液が濃縮されたもの)であれば、ガングリオンであると診断されます。
中身を抜き取ることでしこり自体は小さくなるため、そのまま治療的な処置ともなります。
ただし、ガングリオンの袋自体は残っているため、時間が経つと再発する可能性があります。
ガングリオンが足にできたときの対処法と治し方
足にガングリオンができた場合の対処法や治し方は、痛みやしびれなどの症状の有無、ガングリオンの大きさによって異なります。
主な対処法と治療法は、以下の3つです。
基本的には、症状がなければ経過観察、症状があれば保存療法や手術療法が検討されます。
以下では、それぞれの選択肢について詳しく解説します。
痛みがなければ様子を見る
ガングリオンは良性の腫瘤(しこり)であるため、痛みやしびれなどの症状が全くない場合は、必ずしも治療を行う必要はありません。
悪性化(がん化)することはないため、経過観察が第一選択となります。
また、ガングリオンが自然に小さくなったり、いつの間にか消えてしまったりするケースも珍しくありません。
サイズが大きくなってきたり、痛みが出てきたりした場合は、医療機関を受診しましょう。
保存療法
痛みやしびれがある場合や、ガングリオンが大きくて歩行に支障が出る場合には、まず保存療法によって症状の改善を図ります。
一般的に行われるのは、診断の際にも用いる「穿刺吸引(せんしきゅういん)」です。
穿刺吸引は、ガングリオンに注射針を刺し、中に溜まっているゼリー状の液体を吸い出す処置です。
内容物を抜き取ることでしこりは小さくなり、神経や周囲への圧迫が軽減されるため、痛みやしびれの改善が期待できます。
ただし、ガングリオンの袋(嚢胞)自体は残っているため、時間が経つと再び液体が溜まり、再発する可能性は比較的高いとされています。
手術療法
保存療法を繰り返しても再発する場合、神経圧迫による痛みやしびれが強い場合、日常生活への支障が大きい場合には、手術療法が検討されます。
手術療法は、ガングリオンを切除し、根本的に取り除く治療法です。
ガングリオンの袋(嚢胞)を関節包や腱鞘とのつながっている茎(くき)の部分も含めて切除・摘出します。
穿刺吸引に比べて再発率は低いとされていますが、手術による傷跡が残ることや、稀に周囲の神経や血管を損傷するリスクも伴います。
どのような治療法を選択するかは、医師とよく相談して決めることが大切です。
ガングリオンが足にできたときによくある質問
足にガングリオンができた際、「放置しても大丈夫なのか」「なぜ自分にできたのか」といった疑問を抱く方も多いでしょう。
本章では、ガングリオンが足にできたときによくある質問について回答します。
それぞれの質問について、詳しく解説していきます。
足のガングリオンは放置してもいい?
結論、足のガングリオンに痛みやしびれ、日常生活への支障がなければ、放置しても問題ありません。
ガングリオンは悪性化(がん化)することのない良性の腫瘤(しこり)だからです。
自然に小さくなったり、気づかないうちに消失したりするケースも珍しくありません。
ただし、ガングリオンが大きくなる、痛みやしびれが出てくるなどの症状が現れた場合は、医療機関を受診しましょう。
ガングリオンはどのような人にできやすい?
比較的若い女性(20代〜50代)に多く発生する傾向がありますが、年齢や性別を問わず誰にでもできる可能性はあります。
ガングリオンが発生する明確な原因は、実はまだ解明されていません。
一般的には、関節や腱の使いすぎによる刺激が関係しているのではないかと推測されています。
足のガングリオンは、きつい靴による慢性的な圧迫や、スポーツなどによる繰り返しの負荷が発生のきっかけになる可能性も考えられます。
足のガングリオンが痛い場合は医療機関を受診しましょう
足にできるガングリオンは、悪性化(がん化)しない良性の腫瘤(しこり)です。
そのため、痛みやしびれ、歩行時の支障がなければ、基本的に治療せずに経過観察しても問題ありません。
しかし、足は靴による圧迫を受けやすい部位です。
しこりが大きくなる、靴に当たって痛む、神経を圧迫してしびれる感覚などの症状がある場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。
また、ガングリオン以外の腫瘍の可能性もあるため、自己判断せずに、医療機関で正確な診断と治療を受けることが重要です。
 
                            監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師


 
							
 
							 
						 
					 
                      












 
                  