トミー・ジョン手術とは|費用や復帰率、大谷翔平選手以外に治療を受けた選手を紹介

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公開日: 2019.09.09 更新日: 2025.10.31

トミー・ジョン手術は、肘の靭帯損傷に対する代表的な治療法として知られています。

大谷翔平選手が受けたことで有名になり、報道などで名称を知った方も多いでしょう。

本記事では、トミー・ジョン手術とはどのような手術なのか、費用相場について詳しく解説します。

治療に必要な期間や費用についても説明しているので、肘の痛みや靭帯損傷にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

また、肘の靭帯損傷を早期に治療したい方は、再生医療も選択肢の一つです。

再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて、損傷した組織の再生・修復や炎症を抑える効果が期待できる医療技術です。

肘の靭帯損傷でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。

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トミー・ジョン手術とは|治療内容と歴史

「トミー・ジョン手術」とは、肘の内側にある靭帯が損傷したときに靭帯を再建するために行われる手術のことです。

本章では、トミー・ジョン手術とはどのような手術なのか詳しく解説していきます。

トミー・ジョン手術は、多くの野球選手が受けている手術の一つです。

投球動作時に肘の内側には非常に大きな外反ストレスがかかり、繰り返しの投球により靭帯損傷につながるためです。

以下では、多くの野球選手に選ばれているトミー・ジョン手術の内容について解説していきます。

治療内容

トミー・ジョン手術では、患者さま本人の前腕や太ももから腱を採取して肘に移植し、損傷した肘の側副靱帯を再建します。

肘の両側には、肘関節を安定させるための「外側側副靭帯」と「内側側副靭帯」があります。

側副靭帯を損傷すると、肘の曲げ伸ばしをするときに痛みを感じたり、肘を曲げられなくなったりするといった症状が見られます。

ボールを頻繁に投球するなどの肘に多くの負荷がかかる野球選手が靭帯損傷を起こしやすく、多くの有名選手がトミー・ジョン手術を受けています。

移植には自分の腱を使うため、拒絶反応を起こすリスクが低い点が大きなメリットといえるでしょう。

軽度の側副靭帯損傷の場合、保存療法による治療が一般的ですが、症状が悪化したり保存療法で効果が見られないケースでは、トミー・ジョン手術が検討されます。

手術リスク

トミー・ジョン手術には、以下のようなリスクがあります。

  • 合併症
  • 神経損傷
  • 移植した腱が断裂する
  • 可動域制限

手術した部位に合併症が起こった場合は、治療が長引くだけでなく、再手術が必要になるケースもあります。

肘の周辺には神経が通っているため、手術中に神経を傷つけてしまう恐れがあります。神経が傷つくとしびれや麻痺が引き起こり、スポーツ復帰に影響を与える可能性も否定できません。

また、手術後の痛みによって肘関節がこわばり、可動域が制限される可能性があります。

さらに、移植した腱が骨と完全にくっつかず、断裂してしまうリスクも考えられます。

トミー・ジョン手術は、リスクについて医師から十分に説明を受けたうえで行うことが重要です。

歴史

アメリカのメジャーリーグで活躍していたトミー・ジョン選手が、1974年にこの手術を受けたことから、トミー・ジョン手術と呼ばれるようになりました。

当時はほとんど前例のない手術であり、長期的な競技復帰の予後が不明とされる中、トミー・ジョン選手は手術後に14年間も現役を続けられたのです。

手術後のトミー・ジョン選手が活躍できたことが、この手術が注目を集めるきっかけになったといえます。

トミー・ジョン手術の費用相場はいくら?

トミー・ジョン手術を受けた場合、自己負担額は15万円から30万円程度です。

日本国内では健康保険が適用対象となりますが、海外など保険適用外の場合は100万円から300万円ほどかかることが想定されます。

靭帯損傷の状態や入院期間によって費用が決まるので、手術を受ける病院で確認しましょう。

また、個室を利用する場合の差額や、食事代やリハビリ費用が必要になることもあります。

トミー・ジョン手術を受けた選手と競技復帰について

トミー・ジョン手術を受けた野球選手について紹介するとともに、競技復帰率や復帰後の成績についてお伝えします。

海外だけでなく多くの日本の球団の選手も、トミー・ジョン手術を受けています。

手術を受けた野球選手一覧

トミー・ジョン手術を受けた野球選手を紹介します。

  • 大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)
  • ダルビッシュ有選手(サンディエゴ・パドレス)
  • 前田健太選手(ニューヨーク・ヤンキース)
  • 松坂大輔選手(現役引退)
  • 田沢純一選手(ENEOS退団)
  • 和田毅選手(福岡ソフトバンクホークス球団統括本部付アドバイザー)
  • 石田隼都選手(読売ジャイアンツ)
  • 代木大和選手(読売ジャイアンツ)
  • 下村海翔選手(阪神タイガース)
  • 坂口翔颯選手(横浜DeNAベイスターズ)
  • 深沢鳳介選手(横浜DeNAベイスターズ)
  • 清水麻成選手(横浜DeNAベイスターズ)
  • 西舘昂汰選手(東京ヤクルトスワローズ)
  • 森博人選手(中日ドラゴンズ)
  • 草加勝選手(中日ドラゴンズ)
  • 武田翔太選手(福岡ソフトバンクホークス)
  • 澤柳亮太郎選手(福岡ソフトバンクホークス)
  • 安西叶翔選手(北海道日本ハムファイターズ)
  • 森遼大朗選手(千葉ロッテマリーンズ)
  • 吉田輝星選手(オリックス・バファローズ)
  • 河内康介選手(オリックス・バファローズ)
  • 宇田川優希選手(オリックス・バファローズ)

野球選手は投球動作などで肘への負担が蓄積し、側副靭帯を損傷する可能性が高く、多くの選手がトミー・ジョン手術を受けています。

大谷選手はアメリカでトミー・ジョン手術を受けましたが、日本で手術を受けた選手もいます。

野球選手の競技復帰率

トミー・ジョン手術を受けた選手の約80~90%が復帰を果たしています。
※参考:公益社団法人 高知県スポーツ協会|「大谷翔平選手が受けたトミージョン手術って何?

投手がトミー・ジョン手術を受けて復帰した後は、球速が上がるケースもあります。

大谷翔平選手は手術前は肘の張りで欠場する試合もあり、成績が安定しませんでした。しかし、2度目の手術以降は変化球の球速が速くなり、正確な投球ができるようになったと評価されています。

また、手術の翌年2024年にバッターとして40本塁打・40盗塁を史上最速で達成しました。

トミー・ジョン手術を受けるメリットとデメリット

トミー・ジョン手術には靭帯損傷を根本的に治療できるメリットがある一方で、デメリットもあります。

手術を受ける前に、メリットとデメリットを把握して受けるかどうかを判断しましょう。

手術のメリット

手術のメリットは、主に以下の3点です。

  • 重度の靭帯損傷でも治療可能
  • スポーツ選手として復帰できる
  • 痛みを気にせずスポーツできる

軽度の靭帯損傷であれば、保存療法による治療が可能ですが、重度の損傷の場合は効果が期待できません。対して、トミー・ジョン手術であれば、重度の損傷であっても治療ができます

スポーツ選手にとって大きなメリットの一つが、選手として復帰できる可能性が高まることです。リハビリが必要なので、復帰には多少の期間を要しますが、多くの選手が復帰を果たしています。

適切な治療とリハビリを継続することで、痛みを気にせずスポーツできるようになり、成績が向上した選手もいます。

手術のデメリット

トミー・ジョン手術には、複数のデメリットもあります。

  • 長期間のリハビリが必要
  • 感染症などのリスクがある
  • パフォーマンスが戻らない可能性

トミー・ジョン手術の後は長期間のリハビリが必要で、1年以上の期間が必要なケースもあり、スポーツ選手にとっては大きな不安を抱える期間となるでしょう。

リハビリ期間の不安が精神的なストレスになる可能性もあります。

また、トミー・ジョン手術は技術の進歩もあり成功率が高い手術ですが、それでも100%成功するわけではありません。

トミー・ジョン手術を受けた選手の復帰率は高いですが、手術を受ければ必ず復帰できるとは限らない点に注意しましょう。

トミー・ジョン手術についてよくある質問

トミー・ジョン手術に関して、患者さまから寄せられたよくある質問にお答えします。

各質問について、詳しく解説していきます。

トミー・ジョン手術は失敗する?成功率は?

トミー・ジョン手術の成功率は80~90%です。
※公益財団法人 高知県スポーツ協会|「大谷翔平が受けたトミージョン手術って何?

トミー・ジョン手術は成功率が高い手術ですが、失敗のリスクがないわけではありません。

手術に失敗すると、肘を動かす際に痛みや不快感がある、可動域が制限されるといった状態がリハビリ後も続き、スポーツをしている場合は競技復帰が難しくなる可能性もあります。

トミー・ジョン手術の入院期間や復帰期間は?

トミー・ジョン手術を受けてから競技復帰するまでの期間は、12〜18ヶ月程度が一般的です。

復帰までの期間は、年齢や体力、スポーツの種類やリハビリトレーニングの進捗状況などで大きく異なります。

とくに、野球のように肘への負担が大きいスポーツでは、復帰までの時間が長いと考えられます。

  • 術後から1ヶ月ほど:安静期間
  • 1~3ヶ月ほど:可動域を広げる
  • 4ヶ月目以降:競技で必要な動作のリハビリ

リハビリがスムーズに進んだ場合でも、競技復帰には1年以上かかるケースが多いです

トミー・ジョン手術は一般人でも受けられる?

トミー・ジョン手術は、スポーツ選手だけでなく一般の方も受けられます

リハビリに1年ほどかかり、日常生活に支障があるため、実際に受ける方はそれほど多くはありません。

肘の靭帯損傷には手術以外にも再生医療をご検討ください

野球などのスポーツをしていると、肘の側副靭帯を損傷する場合があります。

肘の側副靭帯の再建において、トミー・ジョン手術は有効な治療法です。

しかし、100%手術が成功するわけではありません。トミー・ジョン手術のリスクを不安に感じるなら、再生医療をご検討ください。

再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて、損傷した組織の再生・修復や炎症を抑える効果が期待できる医療技術です。

また、大きな手術や入院をせずに治療が可能で、早期に競技復帰を目指したい方にも注目されています。

患者さま一人ひとりの状態にあわせて治療方針をご案内しているので、肘の靭帯損傷でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。

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監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設