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骨粗鬆症の注射にはどんな種類がある?効果・副作用・費用を解説

骨粗鬆症は、骨の量や質が低下し、転倒などの小さな力でも骨折しやすくなる病気です。
注射治療には、骨が壊される働きを抑える薬と、新しい骨を作る働きを促す薬があります。
注射の種類は、骨密度だけでなく、骨折歴や腎機能、通院のしやすさなどを踏まえて選択されます。
本記事では、骨粗鬆症の代表的な注射薬の効果や投与頻度、副作用、費用、飲み薬との違いを解説します。
目次
骨粗鬆症の注射は骨折リスクに応じて選択される
骨粗鬆症の注射は、大きく分けて骨吸収抑制薬と骨形成促進薬の2種類です。
骨吸収抑制薬は古い骨を壊す破骨細胞の働きを抑え、骨量の減少と骨折を防ぐ目的で使用されます。
骨形成促進薬は新しい骨を作る骨芽細胞の働きを促し、骨折リスクが高い患者様に用いられる傾向があります。
過去に背骨や大腿骨を骨折した患者様などでは、骨を作る作用の強い注射薬から治療を始める場合もあります。
注射薬には半年に1回や年に1回の製品もあり、毎日または毎週の内服が難しい患者様にも選択されています。
※参照:日本整形外科学会「骨粗鬆症(骨粗しょう症)」
骨粗鬆症の注射薬の種類と特徴
ここでは、代表的な骨粗鬆症の注射薬を作用別に解説します。
投与頻度は薬によって、毎日、週2回、月1回、半年に1回、年1回と大きく異なります。
イベニティは骨形成を促す作用に加え、骨吸収を抑える作用も持つ薬です。
投与回数が少ない薬が優れているとは限らず、骨折リスクや持病に合った薬を選ぶ必要があります。
| 注射薬 | 特徴・投与頻度 | 薬剤費の目安 |
|---|---|---|
| プラリア | 骨吸収を抑える 6ヵ月に1回の皮下注射 |
1回24,466円 3割負担:約7,340円 |
| リクラスト | 骨吸収を抑える 1年に1回の点滴 |
1回32,028円 3割負担:約9,610円 |
| イベニティ | 骨形成を促し、骨吸収も抑える 月1回・12ヵ月間 |
月2本で50,122円 3割負担:約15,040円 |
| フォルテオ | 骨形成を促す 1日1回・最長24ヵ月 |
1キット20,071円 3割負担:約6,020円 |
| テリボン | 骨形成を促す 週1回または週2回・最長24ヵ月 |
週2回製剤は1本5,995円 3割負担:約1,800円 |
費用は2026年7月15日時点の薬価から算出した薬剤費の概算であり、診察料や検査料、注射手技料などは含まれません。
※参照:厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年7月15日適用)」
骨吸収を抑える注射薬(プラリア・リクラストなど)
プラリアは、破骨細胞の形成に関わるRANKLを阻害し、骨が壊される働きを抑える薬です。
成人の骨粗鬆症では60mgを6ヵ月に1回皮下注射するため、内服の回数を減らしたい患者様にも選択されます。
リクラストはビスホスホネート製剤であり、5mgを年1回、15分以上かけて点滴します。
リクラストは腎機能が大きく低下している患者様や脱水状態の患者様には使用できない場合があります。
どちらも投与前にカルシウム値や腎機能などを確認し、必要に応じてカルシウムやビタミンDを補います。
※参照:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「プラリア皮下注60mgシリンジ」
※参照:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「リクラスト点滴静注液5mg」
骨形成を促す注射薬(イベニティ・フォルテオ・テリボンなど)
イベニティは骨形成を促しながら骨吸収を抑える作用を持ち、骨折の危険性が高い患者様に使用されます。
1回につき105mgの注射を2本使用し、月1回の投与を12ヵ月間行った後は、別の骨粗鬆症薬へ切り替えるのが原則です。
フォルテオとテリボンはテリパラチド製剤で、骨芽細胞の働きを促して新しい骨の形成を助けます。
テリパラチド製剤は投与期間の上限が24ヵ月であり、治療後は骨量を維持するための薬へ切り替える場合があります。
イベニティには心血管系事象、テリパラチド製剤には一時的な血圧低下や高カルシウム血症などの注意点があります。
※参照:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「イベニティ皮下注105mgシリンジ」
※参照:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「フォルテオ皮下注キット600μg」
骨粗鬆症の注射を受けるメリット
骨粗鬆症の注射には、内服薬よりも投与回数を少なくできる製品がある点がメリットです。
飲み忘れが多い患者様や、錠剤を飲み込みにくい患者様でも治療を継続しやすくなります。
飲食後すぐに横になれないなど、ビスホスホネートの飲み薬に必要な服用方法を守りにくい場合にも選択肢となります。
骨折リスクが非常に高い患者様には、骨形成を促す注射薬によって積極的に骨を増やす治療が検討されます。
ただし、通院が必要な薬と自己注射できる薬があるため、生活状況や家族のサポートも含めて選ぶことが大切です。
骨粗鬆症の注射で起こり得る副作用
骨粗鬆症の注射では、注射部位の痛みや腫れ、発熱、倦怠感、頭痛などが現れることがあります。
プラリアやイベニティ、リクラストでは血液中のカルシウムが低下し、手足のしびれやけいれんが生じる可能性があります。
リクラストの投与後は、発熱や筋肉痛などの急性期反応が数日間みられることがあります。
テリパラチド製剤では、注射後のめまいや立ちくらみ、悪心、一時的な血圧低下に注意が必要です。
骨吸収を抑える薬では、まれに顎骨壊死や非定型大腿骨骨折が報告されています。
治療前から口腔内を清潔に保ち、抜歯などを予定している場合は、主治医と歯科医師の双方へ使用中の薬を伝えましょう。
※参照:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「プラリア皮下注60mgシリンジ」
飲み薬と注射はどちらがいい?
飲み薬と注射のどちらが適しているかは、効果の強さだけでは決められません。
飲み薬は自宅で服用できる一方、毎日や毎週の服薬管理が必要で、薬によっては服用後に横になれないなどの制限があります。
注射薬は投与回数を減らせますが、通院や自己注射が必要となり、薬剤費が高くなる場合があります。
過去の骨折、骨密度、腎機能、心血管疾患、服薬状況を主治医へ伝えたうえで選択しましょう。
| 項目 | 飲み薬 | 注射薬 |
|---|---|---|
| 投与頻度 | 毎日・週1回・月1回など | 毎日から年1回までさまざま |
| 主な利点 | 自宅で服用できる 注射への抵抗が少ない |
飲み忘れを減らしやすい 骨形成促進薬も選べる |
| 主な注意点 | 服用方法の制限 胃腸症状 |
通院または自己注射 薬剤ごとの副作用 |
治療を続けにくいと感じた場合は中断せず、投与頻度や剤形を変更できないか主治医へ相談してください。
注射治療を受けるときの注意点
骨粗鬆症の注射は、決められた投与間隔を守り、継続して受けることが重要です。
とくにプラリアを自己判断で中止すると、骨吸収が急に進み、複数の椎体骨折が起こる可能性があります。
治療を中止または変更するときは、次に使用する骨吸収抑制薬を含めて主治医と計画を立てましょう。
カルシウムやビタミンDの不足は低カルシウム血症のリスクを高めるため、食事や処方薬による補給も必要です。
歯の痛みや顎の腫れ、太ももや鼠径部の持続する痛み、強いしびれなどが現れた場合は、早めに医療機関へ連絡してください。
損なわれた組織・臓器の機能改善を目指す再生医療という選択肢
現在の骨粗鬆症治療では、承認された薬による骨折予防と、食事・運動・転倒予防が中心です。
幹細胞が骨芽細胞へ分化する性質を利用し、骨形成を促す再生医療の研究も国内外で進められています。
一方、骨粗鬆症そのものに対する幹細胞治療は、現時点で一般的な標準治療として位置づけられていません。
注射薬を自己判断で中止し、再生医療へ切り替えることは避けてください。
再生医療を検討する場合も、骨折リスクや既存治療の必要性を確認し、主治医と再生医療に精通した医師へ相談することが大切です。
※参照:PubMed「Advances in mesenchymal stem cell transplantation for the treatment of osteoporosis」
まとめ|骨粗鬆症の注射は病状に合わせて選択することが大切
骨粗鬆症の注射には、骨吸収を抑える薬と骨形成を促す薬があり、投与頻度や対象となる患者様が異なります。
骨折リスクが高い場合は、骨形成促進薬を使用した後に骨吸収抑制薬へ切り替える治療も検討されます。
費用や通院回数だけでなく、骨折歴、腎機能、持病、副作用のリスクを踏まえて薬を選ぶことが大切です。
薬の効果を維持するためにも、投与間隔を守り、自己判断で治療を中断しないでください。
骨粗鬆症に対する再生医療の研究も進められていますが、現在は薬物療法を中心とした骨折予防が優先されます。
治療への不安や注射薬の選び方に迷う場合は、主治医へ希望や生活状況を伝え、自分に合う治療計画を相談しましょう。
骨・関節領域の再生医療に関心のある方は、リペアセルクリニックの公式サイトや無料相談も参考にしてください。
監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師

























