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アキレス腱断裂のリハビリメニュー4選|受傷から復帰までのスケジュールを解説

アキレス腱断裂のリハビリメニュー4選|受傷から復帰までのスケジュールを解説
公開日: 2025.11.28

アキレス腱断裂と診断されると、「どんなリハビリをするのか」「早く歩けるようになるにはどう進めれば良いのか」と不安を感じる方は多いのではないでしょうか。

アキレス腱断裂のリハビリメニューとして関節可動域訓練(ROM運動)・下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力トレーニングなどが挙げられます。

この記事では、アキレス腱断裂のリハビリメニューや復帰までのスケジュール、再発防止の対処法について解説します。

また、アキレス腱断裂の回復スピードを高める選択肢の一つとして再生医療が注目されています。

再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて自然治癒力を向上させることで、損傷した組織の再生・修復を促す医療技術です。

当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の治療法や症例を公開しています。

リハビリを継続しても効果を実感できない方や、できるだけ早く日常生活やスポーツに復帰したいという方は、ぜひ参考にしてください。

アキレス腱断裂のリハビリメニュー4選

アキレス腱断裂の主なリハビリメニューは、以下の通りです。

アキレス腱断裂の回復には、段階に応じたリハビリメニューに取り組むことが重要です。

本章では、代表的な4つのメニューを紹介します。

関節可動域訓練(ROM運動)

関節可動域訓練(ROM運動)は、断裂後に硬くなりやすい腱や周囲の組織をほぐして足首の可動域回復を目指すリハビリです。

足首の動きが戻ることで、ふくらはぎやアキレス腱にかかる負担の軽減にもつながります。

関節可動域訓練の主な手順は、以下の通りです。

  • 1.膝を曲げて踵を床に付ける
  • 2.つま先をゆっくり下へ向け、足指を軽く握るように丸める
  • 3.つま先をゆっくり上へ持ち上げ、足指を開く
  • 4.2分間続ける

リハビリ中に足首やアキレス腱に軽い突っ張りを覚えることがあります。

痛みや腫れを伴わない範囲であれば心配ない場合がありますが、違和感が強い場合は中止して医療機関に相談しましょう。

また、膝を伸ばしたまま動かすとアキレス腱が引き延ばされ、緩みにつながる場合があります。

腱が緩むと筋力回復が遅れて復帰が長引くおそれがあるため、膝を曲げた状態で実施しましょう。

下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力トレーニング

ふくらはぎの下腿三頭筋を鍛えることで、足首や膝の動きが改善し歩行の安定性が高まる効果が期待できます。

基礎的な筋力を取り戻すトレーニングの手順は、以下の通りです。

  • 1.壁やテーブルに軽く手を添えて立つ
  • 2.かかとをゆっくり持ち上げ、つま先立ちになる
  • 3.ゆっくりかかとを下ろす
  • 4.10回×1〜2セットを痛みのない範囲で継続する

かかとを持ち上げるときは、ふくらはぎの収縮を意識してゆっくり行うことがポイントです。

動作中に違和感や強い張りを感じた場合は中止し、医師や理学療法士に相談してください。

荷重練習

荷重練習は、足に体重をかけることでふくらはぎや足首周囲の筋力を強化し、正しい歩行の獲得を目指すリハビリです。

最初は歩行器や松葉杖を使い、患側に体重を徐々にかけながら歩きます。

荷重練習の一例は、次の通りです。

  • 1.断裂した足を一歩、つま先を外側に向けて踏み出す
  • 2.健側の足を、断裂した足の位置に揃える
  • 3.1・2を繰り返して少しずつ歩く

歩行中はお尻が後ろに下がらないよう意識し、下肢全体の筋力低下や正常歩行獲得の妨げにならないようにしましょう。

慣れてきたら支えなしで体重をかけ、距離を徐々に伸ばします。

痛みや腫れ、違和感が出た場合は中止し、無理をせずに医師や理学療法士に相談してください。

ジョギングやジャンプなどの動作練習

ジョギングやジャンプなどの動作練習を重ね、日常生活やスポーツの復帰を目指しましょう。

主な動作練習の流れは、以下の通りです。

  • 1.歩行や軽いかかと上げ運動に慣れる
  • 2.短距離のジョギングや縄跳び
  • 3.片足ジャンプやステップ動作
  • 4.徐々にスポーツに復帰

フォームを正しく保ち、ふくらはぎやアキレス腱の伸び縮みを意識しながら段階的に負荷を増やすことがポイントです。

スポーツ動作は複雑で瞬発力も必要なため、復帰までには通常6カ月程度の期間を目安に計画を立てましょう。

アキレス腱断裂のリハビリスケジュール【受傷から復帰まで】

アキレス腱断裂のリハビリスケジュールは、以下の通りです。

手術を行った場合でおよそ3カ月、手術をしない保存療法では約6カ月とされています。

治療方法は主治医と相談し、生活スタイルや希望に応じて判断しましょう。

保存療法のスケジュール

アキレス腱断裂の保存療法では、手術を行わずに固定や装具で治す方法です。

手術に伴う感染や神経障害のリスクがなく、高齢者や持病がある方でも安全に取り組めます。

一方で、手術と比較すると再断裂の可能性がやや高く完全に回復するまで時間がかかる場合があります。
※出典:NEJM

保存療法のスケジュール例は、以下の通りです。

期間 内容
治療開始から2週間程度 足首を装具で安定させ、歩くときは松葉杖を使用して体重をかけないようにする
3~5週間目 装具の傾きを調整して、足に体重の一部だけをかける
6~8週間目 アキレス腱に徐々に体重をかける
10週間経過後 装具を外し、歩行や階段の昇り降りなどの動作を再開する
3〜6カ月 歩行能力と筋力を回復させる
6カ月以降 再断裂リスクを抑えつつ復帰準備を進める

保存療法では、装具や段階的な荷重練習を通して約6カ月かけて歩行能力と筋力の回復を目指します。

再断裂リスクがあるため、無理せず段階的にリハビリを進めましょう。

手術療法のスケジュール

アキレス腱断裂の手術療法では、断裂した腱を縫合して再びつないで腱本来の機能回復を目指します。

再断裂のリスクは保存療法より低く、スポーツ選手や早期復帰を希望する方に向いています。
※出典:NEJM

しかし、手術部位の感染や傷のトラブルや、低侵襲手術では神経障害のリスクもあるため治療法は医師と十分に相談しましょう。

手術療法のスケジュール例は、以下の通りです。

期間 内容
術後2週間程度 足首を装具で安定させ、歩くときは松葉杖を使用して体重をかけないようにする
3~5週間目 装具の角度を調整し、足に体重の一部をかける
6~8週間目 アキレス腱に徐々に体重をかける
8週間ごろ 経過が順調であれば装具を取り外す
10~12週間目 ジョギングや縄跳びなどの運動を開始する
4カ月ごろ 少しずつスポーツに復帰する

手術療法では約2~3カ月で歩行や階段の上り下りが可能になり、その後は段階的にスポーツ復帰を目指します。

リハビリ中は無理に体重をかけたり急に運動を始めたりせず、腱や筋肉の状態を確認しながら進めましょう。

アキレス腱断裂の予防・再発を防ぐための対処法

アキレス腱断裂の予防・再発を防ぐための対処法は以下の通りです。

アキレス腱断裂の再発を防ぐには、ふくらはぎの柔軟性維持や日頃の負担コントロールが重要です。

とくに初期症状を放置すると断裂リスクが高まるため、痛みや張りがある段階で適切にケアしましょう。

以下の記事では、アキレス腱炎の対処法について解説しているので参考にしてください。

カーフレイズ(つま先立ち運動)

アキレス腱を守るためには、ふくらはぎの筋力と柔軟性を高めることが重要です。

アキレス腱断裂の治癒後や予防・再発防止には、基本のカーフレイズに加えて負荷や動作を段階的に変えられるようにしましょう。

カーフレイズのバリエーション例は、以下の通りです。

  • 椅子に座って行う
  • 椅子に手をまっすぐつき、腰を90度に曲げて行う
  • 階段や段差につま先を乗せ、かかとを床方向に下ろす
  • ダンベルを両手で持ち、太ももの外側に置いて行う
  • 片足ずつ行う

痛みや張りが強い日は負荷を下げ、自身の体力や状態に合わせて運動負荷を調整しながら取り組みましょう。

軽い有酸素運動

軽い有酸素運動は、筋肉やアキレス腱の柔軟性を高めるのに役立ちます。

柔軟性が向上すると運動時の衝撃が吸収されやすくなり、アキレス腱への負担が減って再断裂や新たなケガのリスク低下につながります。

アキレス腱に過度の負担をかけずに取り組める有酸素運動の一例は、以下の通りです。

  • エアロバイク
  • 水中ウォーキング
  • 水泳
  • 軽いウォーキング

運動する際は、準備運動でふくらはぎやアキレス腱を十分に伸ばしてから始めましょう。

急な動きによる負担を防ぎ、断裂リスクの低下にもつながります。

アキレス腱周辺のストレッチ

運動前のアキレス腱周辺ストレッチは疲労予防や足首の可動域の向上、怪我リスクの軽減に役立ちます。

ストレッチの例を以下に紹介します。

  • 1.床に座り、片足をまっすぐ前に伸ばす
  • 2.反対の足は曲げて外側に倒す
  • 3.伸ばした足のつま先にタオルを引っ掛ける
  • 4.タオルをゆっくり引く
  • 5.ふくらはぎが心地よく張った感じがしたら20秒キープ
  • 6余裕があればタオルを短く持ち、負荷を少し増やす

ストレッチ中は膝を伸ばし、背中はまっすぐに保つと効果的です。

腱や筋肉が心地よく伸びる範囲で行い、反動をつけずにゆっくり深呼吸しながらリラックスして実施しましょう。

アキレス腱断裂のリハビリメニューに関してよくある質問

アキレス腱断裂のリハビリメニューに関してよくある質問は、以下の通りです。

それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

アキレス腱断裂のリハビリ頻度は?

外来リハビリテーションでは受傷から約3カ月までは週1〜2回を目安に行い、その後6カ月までは回復状況や目標に合わせて頻度を調整するのが一般的です。

クリニックや回復状況によって異なりますが、通院期間の目安は4〜5カ月程度です。

日常生活での歩行に異常がなく下腿三頭筋の収縮が回復すればリハビリ終了となる場合があります。

自宅での運動も無理のない範囲で継続し、痛みや腫れの有無を確認しながら進めましょう。

アキレス腱断裂のリハビリでかかとが痛いときはどうする?

アキレス腱断裂のリハビリ中にかかとに痛みを感じた場合は、無理に押したりマッサージしたりせず、運動は軽めに調整しましょう。

また、マッサージの方法や運動範囲については、必ず専門家に確認してください。

かかとが痛む主な原因は、以下の通りです。

  • アキレス腱付近の脂肪体が硬くなり、歩行や足首を上に反らせたときに腱の付け根が痛む
  • かかとにつながる神経が刺激され、かかと自体が痛む
  • アキレス腱の付着部が剥離骨折している

とくに剥離骨折の場合、自宅での対処は困難です。

症状が続く場合は、早めに整形外科や理学療法士に相談しましょう。

アキレス腱断裂で松葉杖を使うのはいつまで?

アキレス腱断裂で松葉杖を使うのは手術療法の場合1〜2週間、保存療法の場合4~6週目程度が目安です。

個人の回復状況によって異なるため、松葉杖を外すタイミングやリハビリの進め方は主治医や理学療法士と相談しながら進めましょう。

以下の記事では、アキレス腱断裂から歩けるまでの期間について解説しているので参考にしてください。

アキレス腱断裂の早期回復を目指すなら再生医療をご検討ください

アキレス腱断裂の具体的なリハビリメニューは、以下の通りです。

アキレス腱断裂は、手術や保存療法により回復が可能であり、完治までの期間や運動再開までの速度には個人差があります。

早期回復や腱組織の修復をより効率的に目指したい場合、再生医療による治療が選択肢の一つとして注目されています。

再生医療は、患者さまから損傷した細胞を幹細胞を採取・培養し、患部(アキレス腱)に投与することで組織の修復を促す治療法です。

手術や入院せずに早期復帰が目指せる点や、損傷したアキレス腱の根本的な改善を目指せる点が特徴です。

完治までにかかる時間やリスクを抑えてアキレス腱の改善を目指したい方は、ぜひ当院リペアセルクリニックへご相談ください。

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設