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骨頭壊死はどんな痛み?初期症状・原因・治療法を医師が解説

骨頭壊死はどんな痛み?初期症状・原因・治療法を医師が解説
公開日: 2025.10.31

「立ち上がろうとすると足の付け根が、ズキっとしてと痛い」「最近、歩くとチクッとした痛みがある」といった、痛みを感じる方は多いのではないでしょうか?

ただの筋肉痛や腰痛とは違う、足の付け根に現れる鋭い痛みは、もしかすると「大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)」が原因となっている可能性があります。

大腿骨頭壊死症は、太ももの骨の付け根(大腿骨頭)に血液が流れにくくなり、骨の組織がダメージを受けてしまう状態です。

この記事では、大腿骨頭壊死症による痛みの特徴、症状の進行、原因、そして治療法について詳しく解説します。

ご自身の痛みの原因を知り、これからどうすればいいかを考える上で、ぜひお役立てください。

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【結論】骨頭壊死の痛みは「針で刺されたような鋭い痛み」が特徴

大腿骨頭壊死症の痛みは初期の段階では、「ハッキリと痛い」ではなく「何か、だるくて重い」と感じられるため、見過ごされる場合があります。

しかし、体重がかかる特定の動作で鋭い痛みが出るようであれば、放っておかないようにしましょう。

大腿骨頭壊死症は、太ももの付け根にある骨(大腿骨頭)への血流が悪くなることで、骨の組織がダメージを受ける状態です。

ダメージを受けた骨に体重がかかることで痛みが生じますが、痛みには以下のような特徴があります。

項目 詳細
痛みの感覚 ・針で刺されたような痛み
・チクチクする痛み
痛みが出る状況 立ち上がり・歩き始め・階段の上り下りなど、股関節に体重がかかるとき

痛みは、最初は足の付け根だけに現れる場合が多いですが、人によっては他の場所に痛みが広がることがあります。

痛みは股関節・太もも・膝にまで広がることもある

痛みが出やすいのは股関節(足の付け根)ですが、関連する神経に沿って痛みが広がることがあります。

お尻や太ももの外側、場合によっては膝の内側にまで痛みが広がるケースも報告されています。

膝の痛みだと思っていたら股関節に原因があったという場合もあるため、少しでも違和感を感じる場合は早めに医療機関への受診を検討しましょう。

骨頭壊死の症状|初期は痛みが軽く、気づきにくいことも

大腿骨頭壊死症は、初期・進行期・末期といった病気の進行度によって現れる症状が変化します。

初期の段階では痛みが軽かったり、症状が出なかったりするため、単なる疲れや筋肉痛と見過ごしてしまう場合もあります。

病状の進行にともなう症状の変化を、以下の表にまとめました。

時期 主な症状
初期 ・股関節の違和感、鈍い痛み、だるさ
・症状がほとんどない場合もある
進行期 ・立ち上がりや歩行時など、体重をかけた際の鋭い痛み
・階段の昇降が困難になる
末期 ・骨頭が潰れて変形し、安静にしていても痛む
・歩行が難しくなり、日常生活に支障が出る

※出典:「突発性大腿骨頭壊死症」日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

症状の進行には個人差がありますが、違和感を覚えた段階で専門医に相談することが、早期発見につながります。

骨頭壊死の主な原因|外傷性と非外傷性の2種類に分かれる

大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭へ血液が届きにくくなることで発症します。

血液が届きにくくなる原因には、主に以下の2種類があります。

ご自身の生活習慣や過去のけがが、どちらに関係するか、ここで確認してみましょう。

外傷性

外傷性は、股関節周辺の骨折や脱臼などの直接的なけがが原因で起こります。

けがによって骨頭につながる血管が損傷し、血流が途絶えることで発症します。

どのようなけがが原因となるか、以下の表で確認してみましょう。

主なけが 血流が悪くなる仕組み
大腿骨頸部骨折 骨折によって、骨頭へ栄養を送る血管が傷つく、または断裂する
股関節脱臼 関節が外れる際に、血管が引き伸ばされたり、圧迫されたりして損傷する

大きなけがが引き金となって発症するのが、外傷性の特徴です。

非外傷性

けがの覚えがないのに発症するのが、非外傷性です。

はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、特定の危険因子が関わっていると考えられています。

特に、ステロイド薬の使用とアルコールの多飲が、2大危険因子とされています。

主な危険因子を、以下の表にまとめました。

主な危険因子 詳細
ステロイド薬の多量使用 他の病気の治療で、ステロイド薬を一定期間、多量に使用した場合
アルコールの多量摂取 日常的に多量の飲酒習慣がある場合
その他 血液の病気、自己免疫疾患、喫煙なども関連が指摘されている

※出典:「突発性大腿骨頭壊死症」日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

日本では、非外傷性のうち男性ではアルコール多飲女性ではステロイド剤の服用が原因となる場合が多く報告されています。

骨頭壊死の治療法|症状の進行度によって異なる治療アプローチ

大腿骨頭壊死症の治療の目標は、痛みを和らげ、骨頭の潰れを防いで股関節の機能を保つことです。

治療法は骨のダメージの範囲や症状の進行度、年齢などを総合的にみて判断され、骨頭への負担を減らす「保存療法」と、外科的な処置を行う「手術療法」があります。

それぞれの具体的な方法を、以下の表にまとめました。

治療の種類 具体的な方法 目的・内容
保存療法 安静・杖の使用 骨頭への負担を軽くする
薬物療法 鎮痛薬を使い、痛みを和らげる
リハビリテーション 股関節周りの筋力を維持・強化し、関節の動きを良くする
手術療法 骨切り術 骨の角度を変えて、体重がかかる部分を健康な骨へ移動させる
骨移植術 ダメージを受けた部分の骨を取り除き、ご自身の他の部位から採取した骨を移植する
人工股関節置換術 傷んだ股関節を、金属やセラミックなどでできた人工の関節に置き換える

保存療法で痛みが改善しない場合や、骨頭の潰れが進行してしまった場合には手術が検討されます。

「痛みはなんとかしたいけど、でも手術はちょっと」という場合の治療法として、「再生医療」があります。

「再生医療」は、 ご自身の血液や脂肪から抽出した成分を活用して身体が本来持つ修復能力を高めて、痛みの軽減や機能改善を目指す治療法です。

幹細胞治療は、ご自身の脂肪から幹細胞を取り出し、炎症を抑えたり損傷した組織の再生を促したりする作用が期待できます。

なお、当院(リペアセルクリニック)では、患者様の負担が少ない「自己脂肪由来幹細胞治療」を行い、症状や状態に合わせて治療計画をご提案します。

再生医療の症例や治療法については、当院の公式LINEでも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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骨頭壊死は放置すると痛みが悪化する!早めの整形外科受診が重要

股関節の違和感や痛みを「まぁ、そのうち治るだろう」と軽く考えて放置すると、症状が悪化して日常生活に大きな影響を及ぼす場合があります。

なぜ早期の受診が重要なのか、その理由を以下の表にまとめました。

受診を考える上でのポイント 詳細
放置した場合のリスク 骨頭の潰れが進行し、歩行困難や人工股関節の手術が必要になる可能性がある
早期発見のメリット MRI検査による早期発見で、自分に合った治療法を選べる
手術以外の方法 手術を避けたい場合には「再生医療」という方法もある

足の付け根の痛みが続く場合、ご自身で判断せずに整形外科などの専門医に相談しましょう。

早期に原因を特定し、ご自身に合った治療を始めることで、関節の状態が悪化するのを防げる可能性があります。

骨頭壊死の痛みに関するよくある質問と回答

大腿骨頭壊死症の痛みに関してよく寄せられる質問にお答えします。

骨頭壊死になると歩けなくなる?

放置して症状が進行すると、股関節の骨(大腿骨頭)がつぶれて変形し、歩行が困難になる可能性があります。

ただし、早期に適切な治療を行えば、歩ける状態を維持できるケースも少なくありません。

痛みの程度や壊死範囲に応じて、保存療法(安静・リハビリ・投薬など)や再生医療などの治療を行うことで、骨や軟骨の変形を抑え、日常生活を続けられる可能性があります。

もし股関節などに違和感や痛みを感じる場合は、自己判断で放置せず、まずは整形外科の専門医に相談しましょう。

大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことは?

大腿骨頭壊死では、股関節に過度な負担や衝撃を与える動作を避けることが重要です。

とくに、以下のような動作は、骨頭に強い圧力がかかり、壊死した部分がつぶれるリスクを高めます。

  • ジャンプやランニング
  • 重い荷物を持っての移動
  • 長時間の歩行・立位作業
  • 深くしゃがみ込む姿勢
  • 片脚に体重をかけ続ける姿勢

一方で、完全な安静も筋力低下を招くため逆効果です。

痛みの程度に合わせて、水中ウォーキングやストレッチなど股関節に負担をかけない軽い運動を行うことで、血流改善や関節可動域の維持が期待できます。

大腿骨頭壊死をセルフチェックする方法はある?

大腿骨頭壊死は、初期のうちはほとんど症状がなく、自覚症状だけで正確に判断することは難しい病気です。

しかし、次のような違和感や痛みを感じる場合は、股関節に異常が起きているサインの可能性があります。

  • 立ち上がるときや歩き始めに股関節が痛む
  • あぐらをかく・靴下を履く動作がしづらい
  • 太ももや膝のあたりに痛みを感じる
  • 長時間歩くと股関節やお尻の奥が重だるくなる
  • 痛みが数日~数週間続き、安静にしても改善しない

ただし、ご自身で判断せず、MRI検査などを用いた専門医の診断を受けることが大切です。

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設