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鎖骨骨折プレートの除去時期はいつ?再骨折を防ぐための判断基準を解説

鎖骨骨折プレートの除去時期はいつ?再骨折を防ぐための判断基準を解説
公開日: 2025.10.14 更新日: 2025.10.31

鎖骨骨折で手術後、プレートを除去する時期はいつなのか悩んでいませんか?

「痛みは軽減しているものの、ゴルフをしたら肩の違和感があって動かしにくいから外したい」「インターネット上ではプレートを外した後に再骨折したなどの情報もあって除去する不安もある」

上記のように、プレートを外すべきかどうかを悩んでいる方も多くいらっしゃるかと思います。

結論から言えば、鎖骨骨折のプレートの除去は時期だけでなく鎖骨の状態が重要です。

そこでこの記事では鎖骨骨折後のプレートを除去する時期の目安除去するメリット・デメリットなどを解説します。

記事を読んでわかること

  • 鎖骨骨折のプレートを除去する時期の目安
  • 鎖骨骨折のプレートを除去できる基準
  • プレートを除去するメリット、残すメリット

鎖骨プレートはいつ外す?一般的な除去時期の目安

結論から言えば、鎖骨プレートは鎖骨が完全に癒合した後に除去します。

しかし、癒合したからといってすぐに除去できるものではありません

ここからは、以下の2項目について深掘りしていきます。

それぞれ鎖骨骨折のプレート除去に関する重要な知識なので、ぜひご覧ください。

外す目安は術後1〜2年が多い

鎖骨骨折自体は3〜6ヶ月で癒合すると言われていますが、鎖骨骨折後のプレートは手術後1〜2年を目安に除去されるケースが多くあります。

個人差はもちろんありますが鎖骨は術後1〜2年経っていれば骨癒合がしっかりしているうえ、骨の強度も高まっているためです。

プレート除去後の問題は再骨折のリスクであり、過去の研究では術後1年経過していても約7%は再骨折のリスクがあるとしています。

そのため、骨癒合した後も骨の強度が強くなるまで待たなくてはいけません。

このような理由から、個人差はあるものの鎖骨骨折のプレートは術後1〜2年を目安に除去されます。

除去を検討するきっかけになる主な症状

鎖骨骨折後のプレート除去を検討するきっかけとなる主な症状は、以下のとおりです。

理由 内容・説明
1. プレートの違和感・出っ張り 鎖骨は皮膚の真下にあるためプレートが浮き出て触れたり、見えたりすることがあります。痩せ型の人ほど顕著で、物理的・審美的なストレスの原因です。
2. 肩が動く範囲の制限 プレートやネジが肩関節周囲の軟部組織(筋肉や靭帯など)の働きを阻害することがあります。それにより肩の動きが制限されることがあるため、生活に支障が出るケースでは除去するきっかけです。
3. 寒い季節に痛む プレートが冷えることで、神経や脂肪などの皮下組織を刺激して痛みにつながる可能性があります。とくに寒冷地で顕著な症状で痛みが強い場合には除去する理由の1つです。
4. 衣服やバッグが当たるストレス

鎖骨部はリュック・肩掛けバッグ・下着・シートベルトなどが直接当たる部位です。そのため、金属による違和感が出やすいため除去が検討されます。

このように物理的な刺激によるストレスだけでなく、見た目の問題もプレート除去を検討する理由になります。

鎖骨骨折プレートの除去時期を決める医学的判断基準

鎖骨骨折のプレート除去時期を決める医学的判断基準は、以下の4項目です。

評価項目 判断基準・臨床的目安

① 骨癒合の状態

・X線・CTで骨の状態を確認します。
・骨の内部、表面共に癒合しているかどうか確認します。きちんと癒合していれば、鎖骨が途切れていない像が確認可能です。
・骨が癒合しておらず途中で途切れていたり、動きの悪さや痛みがあったりする場合はまだ除去すべきでないと判断されます。

② 骨折のタイプ
(粉砕・転位の有無)
・単純骨折(骨が1箇所で折れている骨折)は癒合が早く、除去しやすいとされています。
・粉砕骨折(骨が粉々に砕けた骨折)や折れた骨が大きくずれている場合は骨の癒合・再形成に時間がかかります。
・粉砕骨折では除去後の再骨折リスクが単純骨折より高くなるため、プレートの除去判断は慎重にしなければいけません。
③ 性別・年齢・骨密度 ・女性、高齢者、低BMI、骨粗鬆症は骨強度が低下しやすいため、再骨折リスクが高くなります。
・若年男性では鎖骨の癒合が早く、異物感から除去希望が多くなる傾向です。
・閉経後の女性はホルモンバランスの乱れから骨密度が下がり骨の強度が弱くなるため、再骨折のリスクに注意が必要です。
④ プレートの位置・種類

上方プレート:プレートを固定する部分に力が集中しやすく、除去後の再骨折率がやや高いとされています。そのため、除去判断は慎重にしなければいけません。
前下方プレート:固定穴へ力がかかりにくく際骨折リスクが低いため、早期の除去が可能です。
デュアルプレート:除去することでの再骨折リスクが高く、基本的に除去は推奨されません。

このような理学的判断に基づき、プレートの除去が検討されます。

なおこれらの基準はあくまで目安であり、患者様の状況などによって個人差があるためご注意ください。

鎖骨骨折プレートは「外す」「外さない」どちらが正しい?それぞれのメリット比較

鎖骨骨折で使用されるプレートは、「外す」メリットと「外さない」メリットがあります。

それらは一長一短であり、一概にどちらが良いとは言えません。

そこでここからは、プレートを「外す」メリット「外さない」メリットそれぞれを解説します。

プレートを外すメリット

プレートを外す場合には、主に以下のメリットがあります。

プレートを外すメリット

  • 違和感や疼痛の軽減

  • 心理的ストレスの緩和
  • 将来の感染リスクを回避

プレートを外す最大のメリットは、体内から異物がなくなることです。

異物がなくなるため違和感や痛みが軽減されるうえ、心理的ストレスの緩和にもつながるでしょう。

また、プレートは細菌の温床になる可能性があります。

そのため、将来的な感染のリスク軽減につながる鎖骨プレートの除去は、メリットの1つです。

外さないメリット

一方で、プレートを外さない場合には以下のメリットがあります。

プレートを外さないメリット

  • 再骨折のリスクがない

  • 日常生活への復帰が早い
  • 手術・入院の負担を回避できる

プレートを外さない最大のメリットは、骨が安定することです。

プレートを残すことで再骨折のリスクは大きく軽減されるうえ骨が安定するため、日常生活への復帰も早いでしょう。

また、プレートの除去には手術が必要です。

その手術によるトラブルの回避やコストの削減もプレートを外さないメリットと言えます。

再骨折を防ぐには「骨の回復力」を高めることが重要

鎖骨の再骨折は、プレートを外したあとのネジ穴など、骨の強さが一時的に弱くなるために起こることがあります。

骨がしっかり回復していないうちに強い力がかかると、同じ場所が再び折れてしまうのです。

そのため、骨の回復力を高めて再骨折を予防しなければなりません。

骨の回復力を高める方法はいろいろありますが、そのなかでも今「再生医療」が注目されています。

再生医療は自身の細胞から骨のもとになる細胞や成長因子を抽出して利用し、骨が自ら再生する力を助けることを目的とする治療です。

再生医療を利用することで骨が強く再生するため、再骨折の予防にもつながります。

なお当院リペアセルクリニック大阪院でも、骨折への再生医療が可能です。

もし鎖骨骨折でもっと骨の回復力を高めたいという方がいらっしゃれば、お気軽にご相談下さい。

手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。

鎖骨骨折プレートの除去は「時期」ではなく「骨の状態」で判断することが重要

鎖骨骨折のプレート除去の時期について解説しました。

ポイントは以下のとおりです。

鎖骨骨折後プレート除去の時期

  • プレート除去の目安は1〜2年
  • 時期だけでなく、骨の状態が大事
  • プレートを除去するメリットも除去しないメリットもある

鎖骨骨折のプレート除去について、およその目安はあります。

しかし、重要なことは時期ではなく骨の状態を見極めることです。

プレート除去の時期が来たからといって、骨の状態が回復していなければ再骨折のリスクが高まります。

プレートには除去するメリットも除去しないメリットもありますので、適切な判断ができるよう専門家の指示に従いましょう。

 

なお、鎖骨骨折では骨の強度を高めることが重要です。

骨の回復力を高める方法として、「再生医療」という方法もあります。

再生医療は自身の細胞から骨のもとになる細胞や成長因子を抽出して、骨の回復力を高める治療方法です。

当院リペアセルクリニック大阪院でも可能な治療なので、興味がある人はぜひご相談ください。

手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設