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胸椎の痛みに考えられる原因は?押すと痛い場合は要注意!治し方について解説【医師監修】

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公開日: 2025.09.30

背中の痛みがなかなか治らず、不安に感じている方は多いのではないでしょうか。

とくに胸椎(背中の中央部分の背骨)を押すと痛みがある場合、筋肉疲労ではなく椎間板ヘルニアや神経の圧迫など、深刻な問題が隠れている可能性があります。

放置すると神経症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたすリスクもあるため、痛みの原因を理解して適切な治療を受けることが大切です。

この記事では、胸椎の痛みの主な原因6つと適切な対処法について詳しく解説します。

胸椎の痛みで悩まれている方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。

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胸椎を押すと痛いときは要注意!主な原因6つ

胸椎を押すと痛みが生じる場合、以下の疾患が原因として考えられます。

正しい知識を身につけて、適切な治療を選択しましょう。

胸椎椎間板ヘルニア

胸椎椎間板ヘルニアは、胸椎の間にあるクッション役の椎間板が変形し、脊髄を圧迫する疾患です。

主に以下の症状が見られます。

  • 背中を押すと強い痛みが生じる
  • 体幹から下半身にかけての感覚が鈍くなる
  • 足の筋力低下や歩行困難
  • 重症化すると手術が必要になることが多い

腰椎や頚椎のヘルニアと比較して発症頻度は低いものの、症状が現れた場合は重篤になりやすいのが特徴です。

脊椎過敏症

脊椎過敏症は、背骨(脊椎)の特定部位に過敏になり、一時的に強い痛みが生じる疾患です。

主に以下の症状が見られます。

  • 背骨を押すと圧痛が生じる
  • 背中や首の付け根あたりの痛み
  • 神経症状は伴わない
  • 数ヶ月から数年で自然に改善することが多い

悪い姿勢の継続や自律神経が関係していると考えられており、適切な姿勢改善により症状の軽減が期待できます。

肋間神経痛

肋間神経痛は、肋骨に沿って走る神経が圧迫されることで起こる痛みです。

痛みの特徴は以下のとおりです。

  • 背中から胸にかけて肋骨に沿った鋭い痛み
  • 深呼吸や咳をしたときに痛みが増強
  • 片側のみに症状が現れることが多い
  • 胸椎椎間板ヘルニアに伴って発症する場合もある

胸椎椎間板ヘルニアに伴って発症することが多く、原因となる問題の治療により症状の改善が期待できます。

強直性脊椎炎

強直性脊椎炎は、背骨や骨盤の関節に炎症が生じる病気です。

主に以下の症状が見られます。

  • 腰やお尻の痛みから始まり、徐々に背中全体に広がる
  • 体の曲げ伸ばしが困難になる
  • 前屈みの姿勢が固定される
  • 全身の疲れやすさ、微熱、体重減少を伴うことがある

症状が進行すると体の動きが制限され、前屈みの姿勢が固定されてしまいます。

また、目の病気である虹彩炎(こうさいえん)を併発することがありますが、早期の眼科治療により改善できます。

胸椎骨折

胸椎骨折は、骨粗鬆症による骨の脆弱性や、腫瘍の骨転移によって背骨が圧迫骨折を起こすことで発症します。

以下の痛みや特徴があります。

  • 背骨を押すと強い圧痛がある
  • 体を動かすときに痛みが増強する
  • 重篤な場合は下半身の麻痺症状
  • 骨粗鬆症や腫瘍の転移が原因となることが多い

軽度の圧迫骨折であれば多くの場合、安静とコルセット装着により3~4週間で改善しますが、脊髄損傷を伴う場合は外科的治療が必要です。

後縦靭帯骨化症

後縦靭帯骨化症は、背骨の後ろを支える靭帯が骨のように硬くなってしまう疾患です。

主に以下の症状があります。

  • 背中の痛みや凝り感
  • 手足のしびれや感覚鈍麻
  • 歩行時のふらつきや歩行困難
  • 進行すると四肢の麻痺症状

日本人に多く見られる疾患で、50歳以降の男性に多く発症する傾向です。

症状に応じて薬物療法やリハビリテーション、重症例では手術によって改善が期待できます。

胸椎を押すと痛いときの対処法

胸椎を押すと痛みがある場合、適切な対処を行うことで症状の悪化を防げます。

主な対処法として以下の3つがあります。

これらの対処法を組み合わせて、早期回復を目指しましょう。

正しい姿勢を維持する

正しい姿勢は背骨への負担を大幅に軽減し、痛みの予防と改善に重要な役割を果たします

とくに猫背の状態では胸椎に過度な負担がかかるため、背筋を伸ばした状態を意識して保持することが大切です。

日常生活でとくに注意が必要な場面は、スマートフォンの操作時、デスクワーク中、就寝時です。

これらの時間は無意識に悪い姿勢を取りやすく、胸椎への負担が蓄積されやすくなります。

定期的に姿勢を確認し、意識的に修正する習慣をつけましょう。

胸椎に負担をかけずに安静にする

急性期の痛みが強い場合は、胸椎へ大きな負担がかかる行動は避けて安静にしましょう。

重い物を持ち上げる動作や、腰を大きくひねる動作は避け、日常動作をゆっくりと丁寧に行うことが大切です。

痛みが強い期間は無理をせず、体が回復するまで十分な休息を取ることが症状改善につながります。

筋力の低下を防ぐため、痛みが軽減したら徐々に日常活動を再開しましょう。

医療機関を受診する

胸椎の痛みには重篤な疾患が隠れている可能性があるため、医療機関の受診を推奨します。

脊椎過敏症のように自然回復が期待できる軽度の症状もある一方で、胸椎椎間板ヘルニアのように手術が必要な重篤な病気もあります。

とくに下半身の筋力低下や感覚の異常、歩行困難などの神経症状が現れた場合は、緊急性が高い状態です。

これらの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けてください。

胸椎の痛みに関してよくある質問

胸椎の痛みに関してよくある質問を紹介します。

これらの疑問を解消して、ご自身の症状について正しく理解しましょう。

胸椎ヘルニアの初期症状は?

胸椎ヘルニアの初期症状として最も多いのは背中の痛みです。胸椎を押すと痛みが強くなります。

その他の初期症状として、体幹部分のしびれや違和感、軽度の感覚鈍麻などが現れることがあります。

これらの症状が現れた場合は、無理をせず早めに医療機関を受診しましょう。

胸椎ヘルニアは自然に治る?

胸椎ヘルニアが自然に治るかどうかは、症状の程度や範囲によって大きく異なります。

軽度のヘルニアで神経症状が軽微な場合は、安静療法や理学療法により症状の改善が期待できることもあります。

しかし、胸椎ヘルニアは腰椎や頚椎のヘルニアと比較して自然治癒の可能性は低いとされています。

とくに神経症状が現れている場合や、日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合は、治療が必要です。

放置すると神経損傷が進行し、回復困難な状態になる可能性があります。

胸椎の痛みを治すには再生医療をご検討ください

胸椎の痛みにはさまざまな原因があり、それぞれに適した治療法があります。

胸椎椎間板ヘルニアや後縦靭帯骨化症などによる神経の圧迫の治療において、従来では手術療法が主流でしたが、近年では再生医療という選択肢もあります。

再生医療は患者さまの幹細胞や血液を活用し、傷ついた神経組織の再生・修復を促進する医療技術です。

手術を伴わない治療のため、体への負担が少なく入院の必要もありません。

当院リペアセルクリニックでは、胸椎の痛みに対する再生医療についてご説明し、患者さま一人ひとりに合わせて治療プランをご提案します。

再生医療に興味をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

以下のページでは、胸椎椎間板ヘルニアの方が再生医療を受けた症例を紹介しているため、「再生医療を行うとどうなるのか」を確認してみましょう。

監修者

岩井 俊賢

Toshinobu Iwai

医師

略歴

2017年3月京都府立医科大学 医学部医学科卒業

2017年4月社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 初期研修医

2019年4月京都府立医科大学附属病院 整形外科

2020年4月医療法人啓信会 京都きづ川病院 整形外科

2021年4月一般社団法人愛生会 山科病院 整形外科

2024年4月医療法人美喜有会 リペアセルクリニック大阪院 院長