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鵞足炎とは?医師が症状・原因・治療法を徹底解説

歩いたり走ったりすると膝の内側が痛み、日常生活やスポーツが辛くなっていませんか?
正座や階段の昇降など、膝を曲げると痛む場合は、鵞足炎が疑われます。
鵞足炎は変形性膝関節症などを引き起こす可能性があるため、痛みを放置しないように注意しましょう。
本記事では、鵞足炎の症状や原因、治療法などを専門医が解説します。
鵞足炎を根本的に治療したい方は、手術不要の「再生医療」も参考にしてみてください。
- 鵞足炎の原因
- 鵞足炎の主な症状
- 鵞足炎の治療方法
目次
鵞足炎とは
鵞足炎(がそくえん)とは、膝の内側にある鵞足に炎症が起きる疾患です。
膝の内側の5cm程度下にある部位を鵞足といい、内部には滑液包(かつえきほう)という袋状の組織があります。
膝の曲げ伸ばしを繰り返し、滑液包に炎症が起きると、鵞足炎の発症につながります。
鵞足炎はランナーなどのスポーツ選手に多く、オーバーユース障害といわれますが、生活動作が原因になっている可能性も。
膝の障害には変形性膝関節症などもあるため、痛みが続くときは医療機関の診察を受けておきましょう。
鵞足炎の主な症状
鵞足炎になると、以下のような症状があらわれます。
- 膝内側の鋭い痛み
- 運動時・階段昇降時の違和感
- 押すと痛い圧痛点
滑液包に炎症が起きている場合、膝の内側に鋭い痛みを感じます。
ランニングなどの運動や、階段を昇り降りで違和感を覚える場合は、初期段階の鵞足炎です。
ただし、少しずつ痛みが強くなる場合があるので、放置しないように注意しましょう。
鵞足の部分を押すと痛み(圧痛)を感じる場合は、鵞足炎の症状が進行しているため、治療の必要性が高まっている状態です。
末期症状では寝ているときも痛みがあり、安眠できなくなるので、早めの治療をおすすめします。
鵞足炎の原因
鵞足炎は膝の疾患となるため、以下の原因が考えられます。
- オーバーユース(使いすぎ)
- フォームの乱れ・身体の癖
- 筋肉の柔軟性不足や筋力低下
- シューズやインソールの影響
マラソンやサッカーの選手は長時間走り続ける場合が多く、膝のオーバーユースが鵞足炎を引き起こしている可能性があります。
膝を内側にひねってジャンプと着地を繰り返すなど、フォームの乱れも鵞足炎の原因となるため、身体の癖をチェックしてみるとよいでしょう。
また、太ももなどの筋肉が柔軟性を失い、筋力が低下している場合も、鵞足炎を引き起こしやすくなります。
大きすぎるシューズや、足の形に合わないインソールを使用すると、歩行が不自然になり、膝に負担がかかるので注意が必要です。
鵞足炎のセルフケア(自宅でできる対処法)
鵞足炎の痛みがあるときは、以下のセルフケアで対処できます。
鵞足炎のセルフケア | 具体的な方法 |
---|---|
ストレッチ (縫工筋・薄筋・ハムストリングス) |
【縫工筋のストレッチ】 ・うつ伏せに寝て膝を曲げ、手で足首を持つ ・足を外側に向けてゆっくり倒す ・太ももの内側が伸びるのを感じたら、20~30秒程度キープ 【薄筋のストレッチ】 ・両足を開いて座り、痛みがある膝を内側へひねる ・背筋を伸ばしたまま上半身を前に倒す ・太ももの内側が伸びるのを感じたら、20~40秒程度キープ 【ハムストリングスのストレッチ】 ・椅子に浅く腰かけ、片方の足を斜め前に出す ・上半身を反対側の足の方向に倒す ・太ももの内側が伸びるのを感じたら、10秒程度キープ |
テーピングの貼り方 |
・内もも付け根から鵞足に向かってテープを貼る(テープは引っ張らない) ・もう1枚のテープを用意し、膝のお皿の下を始点にして、鵞足の上を通るように(半円を描くように)引っ張りながら貼る |
アイシングの正しい方法 |
・患部を氷嚢(ひょうのう)や保冷材などで冷やす ・凍傷を防ぐため、患部と氷嚢などの間にタオルを挟む |
ストレッチは1日1~2セットを実践すると、縫工筋や薄筋などの柔軟性が上がります。
体が温まっているとストレッチの効果が出やすいので、お風呂上りに実践してみましょう。
テーピングは膝関節の動きを制限できるため、痛みの緩和に効果を期待できます。
アイシングも痛みの緩和に効果的ですが、凍傷にならないよう、冷やし過ぎには注意してください。
鵞足炎の治療法
鵞足炎になった場合は、以下の方法で治療できます。
鵞足炎の治療法 | 具体的な治療内容 |
---|---|
理学療法 | 理学療法士の指導を受け、筋力トレーニングやストレッチで症状を改善する治療法。 |
装具療法 | サポーターや足の形に合わせたインソールなどを使い、膝にかかる負担を軽減する治療法。 |
薬物療法 | 痛み止めの服用やステロイド注射により、鵞足の炎症を抑える治療法。 |
手術療法 | 患部の血管にカテーテルを挿入し、鵞足の炎症を抑える治療法。 |
理学療法や装具療法は鵞足炎の進行防止に効果があり、手術を必要としないため、体に大きな負担がかかりません。
痛みが強いときは薬物療法を用いる場合もありますが、何度も繰り返すと効果が薄れる可能性も。
ステロイド注射は副作用のリスクがあるので、医師とじっくり相談して決めましょう。
手術療法はほかの治療法に効果がなく、鵞足炎が重症化している場合に用いられます。
カテーテル治療は短時間で痛みの原因を取り除けますが、稀に造影剤がアレルギー反応を引き起こすケースがあるため、慎重な判断が必要です。
鵞足炎の再発防止・根本解決になる再生医療という選択肢
鵞足炎の再発を防ぎ、痛みの根本解決も目指したい場合は、再生医療を選択肢に入れてみましょう。
再生医療は幹細胞の働きにより、自己修復力を高める先進的な治療法です。
治療の際には自分の脂肪から幹細胞を抽出し、体外培養して患部に注射するため、手術を必要としません。
組織の再生は根本的な治療になるので、鵞足炎の再発防止も期待できます。
再生医療についてより詳しく知りたい方は、ぜひリペアセルクリニックの無料カウンセリングをご利用ください。
リペアセルクリニックには再生医療の専門医が在籍しており、膝疾患の治療に成果を上げています。
カウンセリングは予約制になっているので、再生医療が自分に合うかどうか、医師にじっくり相談してみましょう。
鵞足炎の慢性化や再発に悩む方は、再生医療という最新の治療方法の検討を
鵞足炎の原因を正しく理解し、適切なセルフケアを行えば、膝の痛みを改善できます。
ただし、セルフケアで軽快しない場合は、医療機関の受診が必要です。
重症化した鵞足炎は自然治癒を期待できないため、痛みを我慢しないように注意してください。
鵞足炎の慢性化や再発に悩む方は、リペアセルクリニック大阪院にご相談いただき、先進技術の再生医療を選択肢に入れてみましょう。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設