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- 頭部、その他疾患
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「ズキズキとした頭痛はもやもや病の初期症状?」 「手足のしびれを感じることがあり、重い病気か不安」 一時的な頭痛や手足のしびれなどの症状があり、すぐに治まるものの重い病気ではないか不安を感じる方も多いでしょう。 本記事では、もやもや病の見逃してはいけない初期症状や、大人と子供の症状の現れ方について解説します。 ご自身やご家族の症状と照らし合わせ、受診を検討する際の判断材料としてお役立てください。 もやもや病の初期症状をタイプ別にチェック もやもや病には、脳の血流が不足する「虚血型」と血管が破れる「出血型」の2つのタイプに分かれ、初期症状の現れ方が異なります。 本章では、もやもや病の2つのタイプとそれぞれの初期症状の特徴を解説します。 もやもや病の種類とは 虚血型もやもや病の初期症状 出血型もやもや病の初期症状 それぞれの特徴や、どのようなサインに注意を向けるべきかについて詳しく見ていきましょう。 もやもや病の種類とは もやもや病は、症状の現れ方によって「虚血型」と「出血型」に分類され、それぞれ発症しやすい年代やメカニズムに違いがあります。 タイプ 発症メカニズム 特徴・傾向 虚血型 血管が狭くなり、脳への血流が不足する ・小児(特に5〜10歳)に多い ・一時的な麻痺や脱力感が主なサインとなる 出血型 血管が破れることで脳内出血が起きる ・成人(特に30〜50代)に多い ・突然の激しい頭痛や意識障害が起こるリスクがある もやもや病は、詰まった太い血管の代わりに細い血管(もやもや血管)が網目のように発達するのがこの病気の特徴です。 この細い血管が血液不足を補おうとして詰まるのが「虚血型」、耐えきれずに破れてしまうのが「出血型」とイメージすると分かりやすいでしょう。 また、もやもや病の有病率は男性に比べて女性が2倍多い※ため、女性に発症しやすい疾患といえます。 ※出典:難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」 虚血型もやもや病の初期症状 虚血型もやもや病の初期症状は、脳への血液供給が一時的に滞ることで起こる「一過性脳虚血発作(TIA)」が代表的です。 ズキズキとした頭痛 手足のしびれや麻痺 言語障害 意識障害 痙攣発作 視覚障害 など 上記のような初期症状は一時的なものであることが多いため、見過ごしてしまう方も少なくありません。 運動後や入浴後など特定の状況下で繰り返し起こる場合や、徐々に持続時間が長くなったり、頻度が増えたりする場合は注意が必要です。 また、複数の初期症状が同時に現れる場合は、もやもや病の可能性を疑い、早期に医療機関を受診しましょう。 出血型もやもや病の初期症状 出血型もやもや病は、脳の血管が破裂して脳出血やくも膜下出血を起こすタイプで、緊急度の高い初期症状が見られます。 主な初期症状は、以下のとおりです。 突然の激しい頭痛 吐き気・嘔吐 意識レベルの変化 手足の麻痺 感覚障害 など 虚血型の初期症状を経て出血型に至るケースや、最初から出血型として発症するケースなどさまざまです。 激しい頭痛と同時に嘔吐や意識レベルの変化が見られる場合は、脳出血の可能性があるため、すぐに救急車を呼びましょう。 「いつもと違う頭痛」や「急激な体調変化」を感じた際は、ためらわずに医療機関に連絡することが予後に大きく影響します。 もやもや病の初期症状は大人と子供で違う? もやもや病の初期症状は、大人と子供(発症する年代)で、現れやすい症状のタイプやリスクの傾向が異なります。 年代ごとの違いは、以下のとおりです。 比較項目 子供 大人 主なタイプ 虚血型がほとんどで、出血型は稀 約30〜50%が出血型、残りが虚血型 主な初期症状 ・過換気に見られる手足の麻痺 ・痙攣発作を繰り返す ・勉強中の集中力低下 ・軽度な頭痛 など ・突然の激しい頭痛 ・吐き気、嘔吐 ・片側どちらかの手足の麻痺 ・言語障害 ・意識障害 など 進行リスク 脳の発達への影響、学習障害などにつながる可能性 脳出血による重篤な後遺症、生命に関わるリスク 子供は脳の血流不足による虚血型の症状が中心ですが、大人は血管が破れる出血型の可能性も考慮しなければなりません。 子供の場合は「脳の成長を守るための早期発見」、大人の場合は「命を守るための出血予防」が、それぞれの治療や対応における大きなテーマとなります。 年齢に合わせたリスクを把握しておくことが、適切な対応への近道となるでしょう。 もやもや病の初期症状をチェックするポイント もやもや病の早期発見のためには、初期症状そのものだけでなく、「どのような状況で症状が出たか」を観察することが大きな手がかりになります。 本章では、「日常生活」と「特定の状況下」の2つの場面で注意すべき症状について解説します。 日常生活で注意すべき症状 特定の状況下で起こる症状 日々の生活の中で見逃したくないサインを場面ごとに整理して確認していきましょう。 日常生活で注意すべき症状 まずは、特別な動作をしていない時でも現れる可能性のある、日常生活で注意すべき症状について解説します。 具体的には、以下のようなサインに注目しましょう。 注意すべき症状 具体的な症状の例 手足の動作異常 ・食事中に突然お箸やスプーンを落とす ・字を書いている時にペンをうまく握れなくなる ・歩いている時に足を引きずる、カクンと力が抜ける 感覚の異常 ・手足がピリピリとしびれる感覚を訴える ・顔の片側に違和感がある 言葉の異常 ・急にろれつが回らなくなる ・言いたい言葉が出てこない、言葉が理解できていない様子がある 脳の特定部位の血流が低下することで、上記のような身体の片側や言葉の機能に一時的なトラブルが生じることがあります。 これらの症状は「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれ、数分から数十分で消えてしまうことが多いため、疲れや気分の問題と誤解されがちです。 しかし、短時間でも「明らかに普段と違う」と感じた場合は、症状が出た時刻や持続時間をメモしておきましょう。 特定の状況下で起こる症状 もやもや病の初期症状は、特定の状況下で起こりやすい特徴があります。 主に以下のような状況下で初期症状が現れるか注目しましょう。 マラソンなどの激しいスポーツ後 暑いお湯に浸かった後 深呼吸をした後 激しく泣いたり、笑った後 もやもや病(特に虚血型)には、呼吸が激しくなる動作が引き金となって症状が現れやすいという大きな特徴があります。 過呼吸によって血液中の二酸化炭素濃度が下がり、脳の血管が収縮して血流がさらに悪くなるためです。 上記のような「息を深く吸う、または吐く」ときに見られる症状は、単なる疲れではなく、もやもや病特有のサインである可能性があります。 こうした特定の動作と初期症状がセットで起こる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 もやもや病の初期症状が疑われたら注意すべきこと もやもや病の初期症状は、一時的なものが多いため、「疲れのせいだろう」と自己判断して様子を見てしまいがちです。 本章では、もやもや病が疑われる際に注意すべきポイントを解説します。 一過性の症状を見逃さない 早期に医療機関を受診する 疑わしいサインに気づいた時点で、冷静かつ迅速に行動を起こすことが、将来的な脳梗塞や脳出血といった重篤なリスクを防ぐ大きな分かれ道となります。 ご自身やご家族の健康を守るために、これら2つのポイントを確認しましょう。 一過性の症状を見逃さない もやもや病の初期症状が一時的なものであっても、「治ったから大丈夫」と安心せず、その時の状況を詳細に記録することが重要です。 初期症状が消失しても、脳内の血流不足という根本的な問題が解決したわけではないからです。 医師に正確な情報を伝え、診断の精度を高めるために、以下の項目をメモしましょう。 項目 詳細 日時 いつ起こったか 状況 何をしていた時か (例:スポーツをしていた、お風呂に入っていた) 具体的な症状 身体のどこに、どのような変化があったか (例:右手が痺れた、言葉が出なかった) 持続時間 症状がどれくらい続いて、どのように治まったか 可能であれば、症状が出ている様子をスマートフォンなどで動画撮影しておくと、言葉で説明する以上に医師へ正確な状態を共有できます。 「些細なことかも」と思わずに、気づいた変化を積み重ねて記録することが、早期発見への貴重な手がかりとなります。 早期に医療機関を受診する もやもや病が疑われる初期症状が現れたときは、迷わず脳神経外科や神経内科などの専門機関を受診しましょう。 進行性の病気ですが、早期に発見し、適切な管理や外科手術(バイパス手術など)を行うことで、脳梗塞や脳出血のリスクを大幅に下げられることが分かっています。 受診を検討する際は、以下の診療科が窓口となります。 項目 診療科 子供の場合 小児神経科、小児脳神経外科 大人の場合 脳神経外科、神経内科 MRIやMRA(磁気共鳴血管画像)、脳血管撮影といった検査であれば、脳血管の状態を詳しく調べられます。 まずは検査を受けてみることが、未来の生活を守るための賢明な選択といえるでしょう。 もやもや病の初期症状に関してよくある質問 もやもや病の初期症状について、多くの患者さまやご家族が抱く代表的な疑問に対して回答していきます。 もやもや病の初期症状を放っておくとどうなる? もやもや病の寿命は? もやもや病の原因はストレス? 正しい知識を持つことが、過度な不安を和らげ、前向きに治療に取り組むための支えとなるでしょう。 それぞれ詳しく見ていきましょう。 もやもや病の初期症状を放っておくとどうなる? もやもや病の初期症状を放置することで、将来的に重篤な脳卒中(脳梗塞や脳出血)を引き起こすリスクを高めることにつながります。 進行性の病気であり、時間の経過とともに症状が深刻化する傾向にあるためです。 しかし、初期症状は一過性のため、数分から数十分で治まることが多いため、放置されやすいです。 また、無症状であっても、年間10%未満の頻度で脳卒中のリスクが存在するため、定期的な検査を受けましょう。 重篤なリスクを回避するために、「症状が治まったから」と放置せず、早期に検査を受けることが重要です。 もやもや病の寿命は? 「もやもや病=寿命が短い」というわけではなく、適切な管理と治療を受ければ寿命への影響を大幅に抑えられます。 かつては脳出血による突然死のリスクなどが強調されることもありましたが、現在は診断技術や外科手術(バイパス手術)の手法が確立され、予後は大幅に改善しています。 長期的な見通しを良くするためには、以下の点がポイントとなります。 適切な時期の手術:脳梗塞や脳出血を起こす前に、血流を改善する手術を行う。 定期的な検診:症状が落ち着いていても、血管の状態を定期的にチェックする。 生活習慣の管理:高血圧や喫煙など、血管に負担をかけるリスク因子を避ける。 もやもや病と正しく向き合い、適切なコントロールを続けることが重要です。 もやもや病の原因はストレス? ストレス自体がもやもや病を「発症させる直接の原因」ではありません。 もやもや病の根本的な原因はまだ完全には解明されていませんが、現在では「RNF213」と呼ばれる特定の感受性遺伝子が関与していることが分かっており、遺伝的要因が大きい※と考えられています。 ※出典:難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」 ただし、症状を引き起こすきっかけとして、過度なストレスや激しい感情の起伏が関わっている点は理解しておく必要があります。 また、もやもや病の診断後は発作を避けるために、過度なストレスや疲労を溜めない生活を心がけることが大切です。 もやもや病の初期症状は見逃さずに医療機関を受診しよう もやもや病の初期症状は、一過性で数分から数十分で治まることが多いため、見逃されやすい特徴があります。 主な初期症状は、以下にまとめました。 虚血型 出血型 ・ズキズキとした頭痛 ・手足のしびれや麻痺 ・言語障害 ・意識障害 ・痙攣発作 ・視覚障害 など ・突然の激しい頭痛 ・吐き気・嘔吐 ・意識レベルの変化 ・手足の麻痺 ・感覚障害 など とくに出血型もやもや病の初期症状は、緊急性が高く、治療開始が遅れるほど予後に大きな影響を与えてしまいます。 上記のような初期症状が現れた場合は、早期に医療機関を受診しましょう。 出血型もやもや病によって「脳出血」や「くも膜下出血」を発症すると、重篤な後遺症が見られるケースが多いです。 近年の治療では、患者さまの細胞や血液を用いて損傷した脳細胞の修復・再生を促す再生医療が注目されています。 以下のページでは、再生医療によって脳出血後の運動機能や言語機能障害が改善した症例を紹介しているため、併せて参考にしてください。 >再生医療によって脳出血後の後遺症が改善した症例(80代男性)はこちら 「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。
2025.11.28 -
- 頭部、その他疾患
- 脳出血
視床出血は脳の深い部分で起こるため、手足の麻痺だけでなく、「触った感覚がない」「焼けるような痛みが消えない」といった特有のつらい症状に悩まされる方が多くいらっしゃいます。 退院後も続くリハビリ生活の中で、「本当に回復するのだろうか」「家族として何をしてあげられるのか」という葛藤は尽きないでしょう。 本記事では、視床出血の基本的な情報からリハビリテーション、回復過程について詳しく解説します。 正しい知識と効果的なアプローチを知り、不安を少しでも和らげ、前向きな一歩を踏み出すためにぜひ参考にしてください。 また、視床出血のつらい後遺症には、再生医療による治療も選択肢の一つです。 再生医療は、患者さまの幹細胞を採取・培養してから患部に投与することで、損傷した組織の再生・修復を促す治療法です。 以下の動画では、当院の再生医療によって脳出血の後遺症が改善した症例を紹介しているため、併せて参考にしてください。 https://youtu.be/AoMLP77h-c4?si=vvEVpZ_T8_gBM1vb 視床出血とは?主な症状と後遺症 視床は脳のほぼ中央に位置し、嗅覚以外のあらゆる感覚情報を大脳へ送る「中継地点」としての役割を担います。 この重要な部位で出血が起きると、感覚の中継が途絶えたり、隣接する運動神経が圧迫されたりと、さまざまな障害が生じます。 視床出血の症状 視床出血の後遺症の種類 出血箇所で症状に違いはある? 以下では、主な症状や後遺症などを詳しく解説します。 視床出血の症状 視床出血直後から現れる症状は多岐にわたり、出血部位や血腫の大きさにより程度は異なりますが、主に以下の症状が見られます。 視床出血の代表的な症状 反対側の手足がしびれる感覚障害 片側の手足が動かない運動麻痺 意識レベルが低下する意識障害 両目が鼻先を見つめる眼球症状 特に「感覚障害」は視床出血の大きな特徴であり、しびれや感覚の鈍さが顕著に現れます。 重症化して脳室内に血液が入り込むと、深い意識障害を引き起こし、命に関わる危険性もあります。 また、両目が内側下方(鼻先)を向く「内下方共同偏視」は、視床出血特有のサインです。 視床出血の後遺症の種類 急性期を脱した後も、患者さまを長く苦しめる後遺症が現れることがあります。 視床は手術が困難な部位であるため、以下のような後遺症に対して長期的なリハビリが必要です。 後遺症 主な症状 視床痛 焼けるような激しい痛みが続く 感覚障害 手足の位置や物の感触が分からない 運動失調 麻痺はないがスムーズに動けない 中でも「視床痛」は発症から数ヶ月後に現れることが多く、通常の鎮痛剤が効きにくい難治性の痛みです。 風が当たる程度の刺激でも激痛を感じるため、生活の質を著しく低下させます。 また、記憶力の低下や注意散漫といった高次脳機能障害も、社会復帰を妨げる要因となります。 次の記事では、脳幹出血の後遺症について詳しく解説しているので、参考にしてください。 出血箇所で症状に違いはある? 視床出血では左右どちらで出血しても、出血部位とは反対側の感覚障害・運動麻痺が主な症状※です。 ※出典:J-STAGE「視床出血における左右半球の違いは歩行に影響を与えるのか?」 また、右脳は空間認識、左脳は言語機能を主に司っているため、身体の麻痺以外に以下のような特徴が現れます。 出血部位 主な症状の特徴 右視床出血 ・左半身の感覚障害、運動麻痺 ・血腫が大きく周囲の大脳皮質に影響すると「半側空間無視」が出ることもある 左視床出血 ・右半身の感覚障害、運動麻痺 ・血腫が大きく周囲の大脳皮質に影響すると「言語機能」に影響が出ることもある 出血が大きく周囲の大脳皮質にまで影響が及ぶと、右視床出血では「半側空間無視」、左視床出血では「言語機能の低下」などが見られることがあります。 しかし、これらは視床出血単独の症状というよりも、周囲組織への二次的な影響によるものです。 それぞれの特性を理解し、適切な介助やリハビリ環境を整えましょう。 視床出血のリハビリテーションと回復過程 視床出血からの社会復帰を目指す道のりは、時期ごとに「急性期」「回復期」「生活期」の3段階に分かれます。 急性期のリハビリ 回復期以降のリハビリ ここでは、特に症状改善の土台となる急性期から回復期のリハビリテーションについて解説します。 急性期のリハビリ 視床出血の急性期(発症直後から約2週間)では、血圧管理と再出血予防が優先されます。 しかし、安静にしすぎると筋力が衰えたり関節が固まったりする「廃用症候群」を招く可能性があるため、できる限り早期にリハビリを開始することが重要です。 全身状態の変化に注意しながら、以下のリハビリを開始します。 急性期リハビリの主な内容 関節が固まらないよう動かす関節可動域訓練 麻痺側の変形を防ぐポジショニング ベッド上で座る時間を増やす早期離床 早い段階から体を動かす準備を整え、スムーズな回復を目指します。 まずは「寝たきりを防ぐ」意識を持ち、廃用症候群の予防に努めましょう。 回復期以降のリハビリ 視床出血の病状が安定してから3〜6ヶ月間を「回復期」と呼び、脳機能の回復が最も期待できる期間へ移行します。 そのため、この時期にどれだけ集中してリハビリに取り組めるかが、最終的な回復レベルを左右するといっても過言ではありません。 退院後の生活を見越して、日常生活の動作訓練や後遺症に応じたリハビリを行います。 回復期の主なリハビリ内容 歩行訓練やバランス感覚など運動機能のリハビリ 言語機能など後遺症に応じたリハビリ 食事や着替え、トイレなど日常生活の動作訓練 患者さまの体力や状態に応じて段階的に増やしていき、1日最大3時間、集中的なトレーニングに取り組みます。 退院後も機能を維持するために、日常生活の中でリハビリを継続することが重要です。 【後遺症別】視床出血のリハビリテーションプログラム 視床出血のリハビリは、損傷部位や症状の程度に合わせた個別プログラムが必要です。 特に視床は「感覚の中継点」であるため、単に筋力を鍛えるだけでなく、失われた感覚を取り戻すアプローチが必要です。 感覚機能のリハビリ 運動機能のリハビリ それぞれの具体的な訓練内容を見ていきましょう。 感覚機能のリハビリ 視床出血で最も特徴的な後遺症である「感覚障害(しびれ、感覚鈍麻、視床痛)」に対しては、脳へ適切な感覚情報を送り直すトレーニングを中心に行います。 視床は全身からの感覚情報が集まる中継地点であるため、ここが損傷すると「触っている感じが分からない」あるいは「触れるだけで痛い」といった誤作動が生じやすくなります。 リハビリでは、以下のような訓練を通じて感覚の正常化を促します。 リハビリ 主な内容 物品識別訓練 目を閉じた状態でスポンジや木材などさまざまな素材に触れ、何かを当てる練習を行う。 感覚刺激入力 ブラシやタオルで皮膚を擦ったり、温水・冷水に触れたりして、感覚神経を刺激する。 代償手段の獲得 感覚が鈍い部分を目(視覚)で確認しながら動かすことで、脳に動きを認識させる。 根気強く感覚入力を続けることで、脳の可塑性(変化する力)を活かし、感覚のズレを修正していくことが目的です。 運動機能のリハビリ 出血の影響が運動神経の通り道(内包)にまで及んで片麻痺が生じている場合は、身体機能を維持・向上させるための運動リハビリテーションが不可欠です。 麻痺の程度は人それぞれですが、発症直後から段階を追って以下のような訓練を進めていきます。 リハビリ 主な内容 関節可動域訓練(ROM訓練) 麻痺した手足が固まらないよう(拘縮予防)、関節を他動的あるいは自動的に動かす。 基本動作練習 寝返り、起き上がり、座る、立つといった日常生活の土台となる動作を反復する。 バランス訓練 座位や立位での姿勢を保ち、転倒を防ぐための体幹機能を強化する。 歩行訓練 平行棒や杖を使用し、安全に歩くためのフォームや体重移動を習得する。 無理に動かすと痛み(視床痛)を増強させることもあるため、理学療法士と相談しながら、痛みが出ない範囲で適切に負荷をかけていくことが大切です。 視床出血の後遺症のリハビリテーションで意識すべきポイント 視床出血からの回復は長期戦となるため、漫然と訓練をこなすのではなく、効果を高めるための心構えが必要です。 本章では、患者さまとご家族が共有すべき2つのポイントを解説します。 リハビリの早期開始・継続 後遺症に合わせた看護・サポート これらを意識することで、停滞期を乗り越え、回復へとつなげられます。 リハビリの早期開始・継続 脳の神経回路が組み換えられる「可塑性」は、特に発症後3~6ヶ月の回復期が最も活発です。 急性期からベッドサイドで体を動かし始め、回復期で集中的に機能を取り戻すためのリハビリテーションを行いましょう。 また、退院後の生活期に入っても可塑性は持続するため、リハビリテーションを継続することが重要です。 効果が実感できず、「もう良くならない」と諦めて麻痺側を使わなくなると、動かせる機能まで失う「学習性不使用」に陥る可能性があります。 毎日の着替えや入浴、家事などの動作を丁寧に行えば、それは立派なリハビリになるため、焦らず長い目で見て、日々の習慣として定着させてください。 後遺症に合わせた看護・サポート 視床出血では、激しい痛みや意欲低下といった外見からは分かりにくい特有の症状が現れるため、周囲の理解を得にくい場合があります。 そのため、ご家族や介助者は、まず病気や患者さまの状況への理解を深め、できる限りのサポートをすることが大切です。 ご家族に求められるサポート 痛みが強い日は無理をさせず休息をとらせる 小さな変化を褒めて意欲を引き出す 転倒防止などの生活環境を整える 本人のつらさに寄り添い、精神的な安定を支える環境づくりが必要です。 患者さまの孤独感を取り除くことで、前向きに取り組むモチベーションが維持しやすくなります。 次の記事では、脳出血を再発させないためにできることについて解説しているので、参考にしてください。 視床出血の後遺症にはリハビリと併せて再生医療をご検討ください 視床出血の後遺症改善には、早期からのリハビリ開始と継続が不可欠であり、地道な積み重ねが生活の質を高めます。 しかし、懸命にリハビリを続けても「しびれが取れない」「麻痺が改善しない」と限界を感じるケースも少なくありません。 既存の治療に限界を感じているなら、新たな選択肢として「再生医療」をご検討ください。 再生医療は、患者さまの幹細胞を採取・培養してから患部に投与することで、損傷した組織の再生・修復を促す治療法です。 今までは損傷した脳細胞は元に戻らないとされてきましたが、医療技術の進歩によって改善が期待できるようになってきました。 「視床出血の後遺症にお悩みの方」「再生医療について詳しく知りたい方」は、当院リペアセルクリニックにご相談ください。
2025.11.28 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
- 免疫細胞療法
頭に押すと痛い「できもの」ができ、原因や治療方法を知りたいと考えている人も多くいらっしゃるかと思います。 「ニキビだからそのうち治る」と思っていたところ、皮下血腫だった場合は、治療のタイミングを逃してしまう恐れがあります。 大きなできものは腫瘍の可能性があるため、放置しないように注意が必要です。 本記事では、「押すと痛い頭のできもの」について、主な原因や治療方法などをわかりやすく解説します。 医師から腫瘍の切除を告げられた方は、切らずに治せる「再生医療」についても参考にしてみてください。 頭にできる「痛いできもの」の代表的な原因と特徴 頭に「痛いできもの」ができた場合、以下の原因が考えられます。 症状によっては医療機関で治療を受ける必要があるため、できものの状態をチェックしておきましょう。 ここからは、頭のできものの代表的な原因や、特徴を解説します。 毛嚢炎(ニキビ・おでき) 毛嚢炎(もうのうえん)とは、黄色ブドウ球菌などの細菌が毛穴の奥で繁殖し、かゆみや炎症を引き起こす症状です。 患部には白い膿を含んだ赤いブツブツができ、押すとズキズキ痛みます。 一般的にはニキビやおできと呼ばれますが、ニキビはアクネ菌の繁殖が原因です。 毛嚢炎が悪化すると、強い痛みや腫れをともなうので、症状が長引くときは皮膚科の治療を受けておきましょう。 粉瘤(ふんりゅう) 粉瘤(ふんりゅう)とは、皮膚の内部に皮脂や角質が溜まり、袋状に盛り上がる症状です。 頭皮にできた傷などが原因となり、毛穴が詰まってしまうと、粉瘤が形成される場合があります。 初期段階は小さな「しこり」程度ですが、炎症を起こすと内部に膿が発生し、強い痛みを感じます。 粉瘤は自然に治る症状ではないため、大きくなるようであれば、切除などの治療が必要です。 皮下血腫・打撲 皮下血腫とは、頭などをぶつけたときにできる血だまりで、いわゆる「たんこぶ」です。 一般的には打ち身や打撲と呼ばれており、程度の軽い皮下血腫は自然に治る場合があります。 ただし、受傷直後に吐き気や意識の低下、手足のしびれがあった場合は、脳挫傷や急性硬膜下血腫などが疑われます。 数時間後や数週間後に吐き気や頭痛などの症状が出ると、慢性硬膜下血腫の可能性もあるため、早めに治療を受けましょう。 悪性腫瘍 悪性腫瘍とは、異常増殖した細胞が周辺組織に広がり、正常な細胞や臓器に悪影響を及ぼす症状です。 いわゆる「がん」の症状になるため、頭のできものに以下のような特徴があらわれます。 毛嚢炎や粉瘤は丸く膨らみますが、悪性腫瘍はいびつな形で無秩序に広がります。 悪性腫瘍は生命に関わる恐れがあるため、症状に応じて手術や放射線治療、薬物療法などの治療が選択されます。 ただし、出術や放射線治療は6~8週間程度の入院を必要とするので、仕事や家事を休めない方には難しい選択です。 手術を避けたい方は、「再生医療」を選択肢に入れてみましょう。 再生医療とは、自分の身体から幹細胞を抽出し、体外で培養して患部に投与する治療方法です。 がんの場合は免疫細胞を活用するため、がんに対する免疫力が高くなります。 また、再生医療は手術や入院の必要がなく、通院のみで治療できます。 再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひリペアセルクリニックの専門医にご相談ください。 自宅でできるセルフケアと応急処置のポイント 頭に押すと痛い「できもの」がある場合は、セルフケアで応急処置できます。 できものが毛嚢炎や粉瘤であれば、シャンプーで頭皮の清潔さを保ちましょう。 皮下血腫は患部に氷嚢(ひょうのう)や保冷剤をあて、痛みと腫れを抑えます。 ただし、できものに強い痛みがあるときや、出血している場合は、以下の点に注意が必要です。 できものを強く押さえたり掻いたりすると、頭皮が傷ついて症状が悪化する恐れがあります。 自分で膿を出すと悪臭を放ち、細菌が内部に侵入する可能性も。 患部を冷やすときは適度な間隔をあけ、凍傷を防止する必要があります。 頭痛や吐き気があり、脳挫傷などが疑われる場合は、早めに脳外科の診察を受けておきましょう。 頭にできる「痛いできもの」の再発防止・治療方法 頭は皮脂の分泌が多いため、押すと痛いできものが再発しやすい部分です。 肌が脂性の方は毎日の入浴とシャンプーを欠かさずに行い、頭皮を清潔にすると、できものの再発を防止する効果があります。 乾燥肌もニキビができやすいので、加湿器で部屋の湿度を一定に保つなど、保湿も重要です。 体質改善もできものの再発防止に効果があるため、適度な運動やバランスの取れた食事、十分な睡眠も意識しておきましょう。 ただし、できものが炎症を起こしている場合は、以下の治療が必要です。 毛嚢炎や粉瘤の治療方法 具体的な内容 薬物療法 抗生物質やステロイドの投与で患部の炎症を抑える。 手術療法 患部のくり抜きや切開により、内部の膿や袋状の構造物を取り除く。 手術療法は髪の毛を剃る(患部の周辺1~2cm程度)ため、抵抗を感じる方もいらっしゃいます。 切らずにできものを治療したい方は、再生医療も検討してみましょう。 頭の「できもの」は放置NG!早期の対応が重要 頭の「できもの」に痛みがあるときは、早めに専門医の診察を受けておきましょう。 ニキビやおできだと思い込んでしまった場合、悪性腫瘍の進行に気づかない恐れがあります。 症状によっては手術が必要になるため、できものの放置は危険です。 すでに症状が重症化しており、医師から手術療法を提案された場合は、再生医療も検討してみましょう。 再生医療をより詳しく知りたい方は、リペアセルクリニックの専門医にご相談ください。 リペアセルクリニックは免疫細胞療法にも対応しているので、頭のできものの根本的な治療を目指せます。
2025.09.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
- くも膜下出血
頭を打ったとき、「どの場所を打つと危ないのか」「病院に行くべきなのか」不安になる方は多いのではないでしょうか。 結論、頭を打ったときに「ここだけが特に危険」といった特定の場所はありません。 どの部位でも打ち方や衝撃の強さによって危険が伴うため、頭部を打った部位以外にも注意する必要があります。 本記事では、頭を打ったときの部位ごとの特徴的なリスクや注意すべき危険な症状について詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、頭部打撲に伴う脳の後遺症に対して期待できる再生医療の治療法や実際の症例を配信しています。 頭部の症状でお悩みの方はぜひ一度ご覧いただき、今後の治療や生活改善にお役立てください。 頭を打つと危ない場所は?おでこ以外に注意すべき部位 頭のどこを打っても危険ですが、部位によってリスクは異なります。 頭部打撲の部位と影響 頭をぶつけた後に注意すべき危険な症状 部位ごとの特徴を把握して、早期の受診につなげましょう。 頭部打撲の部位と影響 頭を打ったときの危険性は、打った部位や年齢によって異なります。 とくに1歳半から2歳ごろの子どもは頭蓋骨が柔らかく、大人より衝撃に弱い上に変形しやすいため注意が必要です。 代表的な部位と起こりやすい影響は、以下の通りです。 部位 影響 側頭部(こめかみ周辺) 骨が薄く骨折のリスクがある 内側に重要な血管が走っているため、出血が脳を圧迫すると危険な状態につながる恐れがある おでこ(前頭部) 強い衝撃で脳挫傷や頭痛・吐き気が出る場合がある 目の周囲(眼窩) 前方からの衝撃で骨折したり、物が重なって見えたりする状態が起こる可能性ある 見た目には大きな異常がなくても、眼球内部で出血が起こる場合がある まゆ毛の外側を強くぶつけると視神経まわりの骨に影響を与え、急に視力が落ちる恐れがある 後頭部 首の後ろや両肩に痛みが生じたり、脳内出血を起こしたりする可能性がある 子どもは出血がなくても脳震盪で何度も吐くことがある 耳周り・側頭後方 耳周りの頭蓋骨が骨折した場合、鼓膜の破裂や顔の神経が麻痺して顔の半分の筋肉が動かせなくなる恐れがある 打撲後は部位ごとの特徴や症状を理解し、異常があれば早めに医療機関で確認しましょう。 頭をぶつけた後に注意すべき危険な症状 頭を打った後はすぐに症状が出ないこともありますが、異常が現れた場合は見逃さずに対応するのが重要です。 注意すべき代表的な症状は、以下の通りです。 嘔吐を繰り返す 長引く頭痛 二重に見える 物がかすんで見える 自分の意志とは無関係に筋肉が動く 症状がすぐに現れなくても、怪我をしてから24時間(とくに最初の6時間)※は注意深く様子を見ましょう。 ※出典:防衛医科大学校防衛医学研究センター外傷研究部門「軽症頭部外傷・軽症頭部爆傷」 とくに小さな子どもは自分で症状を伝えられないため、大人が慎重に見守ることが大切です。 頭部打撲によって起こりうる病気・症状 頭部打撲によって起こりうる病気・症状は、以下の通りです。 脳震盪 急性硬膜下血腫 外傷性くも膜下出血 脳挫傷 高次脳機能障害 症状の現れ方は、打った部位や衝撃の強さによって異なります。 そのため、頭部打撲で起こりうる病気をあらかじめ知っておくことが大切です。 脳震盪 脳震盪(のうしんとう)とは、頭部への衝撃で脳が一時的に揺れ、機能が乱れる状態です。 主な症状は、以下の通りです。 意識消失 打つ前後の出来事を覚えていない 頭痛 吐き気 倦怠感 めまい 睡眠障害 脳震盪を繰り返すと癖になり、重い後遺症や頭蓋内出血のリスクが高まる恐れがあるため注意が必要です。 多くの場合、症状は2週間以内に自然に回復しますが、子どもや若年者では回復に時間がかかることもあります。 脳震盪が疑われる場合は、安静を保ちつつ医療機関を受診しましょう。 急性硬膜下血腫 急性硬膜下血腫は、脳の表面の血管が損傷し、脳と硬膜(脳を包む膜)の間に血の塊がたまる病気です。 おでこ・こめかみ・頭上部に多く見られ、脳全体に影響を及ぼすことがあります。 急性硬膜下血腫の主な症状は、下記の通りです。 激しい頭痛 意識障害 片側の手足の動きが鈍くなる 症状は受傷直後だけでなく、遅れて現れることもあり、油断はできません。 高齢者は数週間〜数か月後に頭の中に血が溜まる慢性硬膜下血腫と呼ばれる症状が現れる場合があります。 そのため、頭痛や物忘れが多くなるなどの症状が見られた場合は脳神経外科を受診しましょう。 血の塊が大きくなると脳を圧迫し、緊急手術が必要になる恐れがあります。 早期診断と迅速な対応が、予後を大きく左右します。 外傷性くも膜下出血 外傷性くも膜下出血は、頭を打ったことによって脳を覆う薄い膜(くも膜)と脳の間で出血が起こる病気です。 主な症状は、以下の通りです。 激しい頭痛 吐き気・嘔吐 意識がぼんやりする 目の痛み とくに、強い頭痛が出る場合はすぐに救急車を呼び、医療機関で診察を受けましょう。 外傷性のくも膜下出血は、血管が破裂すると死亡率が50%以上※と高く、早期の治療が必要です。 ※出典:日本医科大学「頭部外傷の病態と治療」 手術方法は状況によって異なり、血管を修復する方法や血流を確保する手術が行われることもあります。 脳挫傷 脳挫傷は、頭部への強い衝撃で脳が損傷を受けた状態です。 症状は損傷した部位によって変わりますが、主に次のようなものがあります。 頭痛 片方の手足が動きにくくなる 言葉の理解や表出が難しくなる 脳挫傷は、衝撃を受けた側だけでなく反対側の脳にも損傷が起こることがあります。 外傷後、数時間から数日にかけて広がる可能性があるため、症状の変化を注意深く観察しましょう。 重症化すると意識がもうろうとして混乱状態になることがあり、早期の受診と適切な治療が重要です。 高次脳機能障害 高次脳機能障害は、頭部外傷の後遺症として起こり、さまざまな障害が生じる症状のことです。 主な症状は、以下の通りです。 症状 具体例 記憶障害 物の場所を忘れる 同じ質問を繰り返す 注意障害 注意力が続かない 複数の作業を同時に行うと混乱する 遂行機能障害 考えや判断がうまくできない 自分で計画を立てて行動できない 社会的行動障害 怒りやすい 自己中心的な行動が目立つ 高次脳機能障害は外見ではわかりにくいため、患者さまや周囲の方も気づきにくい場合があります。 発症後できるだけ早くリハビリを始めると回復の可能性が高まるため、早期に異変に気づき治療を開始するのが重要です。 以下の記事では、高次脳機能障害の回復過程やリハビリ方法について解説しているので参考にしてください。 頭を打つと危ない場所に関するよくある質問 頭を打つと危ない場所に関するよくある質問は、以下の通りです。 頭をぶつけたときの危険なサインは? 頭を打ったら病院に行くべき? 頭を打った直後は痛みや違和感が軽くても、数時間〜数日後に症状が現れることもあります。 危険な症状や受診のタイミングを把握して、自身の状態を確認しましょう。 頭をぶつけたときの危険なサインは? 頭をぶつけた後に注意すべき危険なサインは、以下の通りです。 意識がぼんやりする 嘔吐を繰り返す 激しく頭が痛む 手足がしびれる ろれつが回らない 二重に見える ぶつけた直後だけでなく、数日経ってから現れることもあるため、頭部を打った24時間は注意深く観察しましょう。 とくに、小さな子供や高齢者の場合、以下のような症状が見られたら迷わず医療機関を受診してください。 6歳以下の子どもは、普段と様子が違って元気がない場合や何度も嘔吐する場合 高齢者は、受傷後数週間~数か月経って頭痛・吐き気・脱力感・ふらつきなどの症状が現れた場合 症状が少しでも気になる場合は、脳神経外科で診てもらいましょう。 頭を打ったら病院に行くべき? 頭を打った際の症状に不安があるときや、どの症状が危険か判断できないときは医療機関を受診しましょう。 症状が軽くても、脳や頭部には外見ではわからない損傷が隠れている恐れがあります。 また、数日後に症状が現れる遅発性の合併症が見られる可能性があるため、違和感がある場合は医療機関を受診することが重要です。 頭を打つと危ない場所以外にも衝撃の強さに注意しよう 頭部打撲は、打った部位だけでなく、衝撃の強さや事故の状況によっても危険度が変わります。 軽く打っただけに見えても、数時間から数日後に症状が現れることがあります。 転倒やスポーツ、日常生活での外傷に注意し、周囲の安全確保やヘルメットの着用などで頭を守る工夫をしましょう。 頭部に異常を感じた場合は医療機関を受診することも重要です。 また、頭を打ったことによる脳の損傷に対して、当院リペアセルクリニックでは先端医療の一つである「再生医療」による治療を提供しています。 再生医療は損傷した組織にアプローチし、後遺症の改善につながる可能性がある治療法です。 頭部外傷による脳損傷や後遺症の治療法について詳しく知りたい方は、当院の公式LINEもご参考ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/
2025.09.30 -
- 頭部、その他疾患
- 再生治療
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で起こる認知症です。 物忘れが激しくなったり、日付や曜日が思い出せなくなったりと、患者さまやご家族の日常生活に大きな影響を与えます。 「どのようなリハビリを行えば症状が改善するのかわからない」「家族として何をサポートすればよいのか知りたい」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。 この記事では、脳血管性認知症の具体的なリハビリテーション方法から進行を遅らせるためのポイントまでを詳しく解説します。 脳血管性認知症で悩まれている方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を見つけましょう。 また、現在リペアセルクリニックでは脳卒中の後遺症改善や再発予防などの治療法である、再生医療に関する情報をLINEで発信しております。 簡易オンライン診断も実施しています。以下より公式LINEにご登録いただき、ぜひお試しください。 脳血管性認知症のリハビリテーション一覧 脳血管性認知症のリハビリテーションは、損傷を受けた脳の部位や症状に応じて、さまざまな専門的アプローチを組み合わせて行います。 主なリハビリテーションは以下のとおりです。 理学療法 作業療法 言語聴覚療法 その他のリハビリ方法 これらの専門的なリハビリテーションを組み合わせることで、患者さまの状態に応じた効果的な治療が期待できます。 理学療法 理学療法は、身体機能の回復と維持を目指し、筋力や柔軟性、バランス能力の改善を図る専門的なリハビリテーションです。 関節可動域訓練(関節の動く範囲を広げる運動) 筋力強化訓練(弱った筋肉を鍛える運動) バランス訓練(転倒予防のための体のバランス改善) 歩行訓練(安全に歩くための練習) ストレッチング(筋肉の柔軟性を保つ運動) 起き上がり・立ち上がり訓練 理学療法士が患者さまの身体機能を評価し、個人に合わせたプログラムを作成します。 継続的な取り組みにより、日常生活での移動能力向上が期待できます。 作業療法 作業療法は、日常生活での基本動作や社会参加に必要な能力の回復を目指す専門的なリハビリテーションです。 着替えや身だしなみの練習 食事動作の訓練(箸やスプーンの使い方) 入浴動作の練習 家事動作の訓練(料理や掃除の練習) 認知機能訓練(注意力や記憶力の改善) 手指の細かい動作訓練 作業療法士が患者さまの生活スタイルに合わせて、実用的な動作練習を行います。 自立した生活を送るための基盤づくりに重要な役割を果たします。 言語聴覚療法 言語聴覚療法は、言語機能や嚥下機能の改善を通じて、コミュニケーション能力と安全な食事の回復を目指す専門的なリハビリテーションです。 発話訓練(言葉を話す練習) 理解訓練(言葉の意味を理解する練習) 読字・書字訓練(文字の読み書き練習) 嚥下訓練(安全に飲み込むための練習) 口腔機能訓練(口の周りの筋肉を鍛える運動) 呼吸訓練(発声に必要な呼吸の練習) 言語聴覚士が患者さまの言語・嚥下能力を詳しく評価し、個別のプログラムを実施します。 家族とのコミュニケーションを円滑にし、誤嚥リスクを減らす効果が期待できます。 その他のリハビリ方法 専門的なリハビリテーション以外にも、認知機能の活性化や心理的な安定を図るさまざまなプログラムがあります。 回想法(過去の思い出を語り合う療法) 音楽療法(音楽を聴いたり歌ったりする活動) 認知刺激療法(計算やパズルなど脳を刺激する活動) アロマテラピー(香りによる感覚刺激) 園芸療法(植物の世話を通じた活動) ペットセラピー(動物との触れ合い) これらのリハビリは、患者さまの興味や好みに合わせて選択することで、楽しみながら認知機能の維持・改善を図れます。 【症状別】脳血管性認知症のリハビリテーション内容 脳血管性認知症では、損傷を受けた脳の部位や症状に応じて、以下のさまざまなリハビリテーションを組み合わせて行います。 認知機能のリハビリ 日常生活動作のリハビリ 運動機能のリハビリ 言語機能のリハビリ 嚥下機能のリハビリ 患者さまの状態に合わせた適切なリハビリの選択が、症状改善への第一歩となります。 認知機能のリハビリ 認知機能のリハビリテーションは、五感を刺激して脳の活性化を図り、記憶力や判断力の維持・向上を目指す訓練です。 主に以下の活動を通じて、脳の活性化と認知機能の改善を図ります。 塗り絵や習字などの創作活動 簡単な計算問題 パズルやクロスワード 音楽を聴いたり歌ったりする音楽療法 興味のある話題についてのディスカッション アロマテラピーによる嗅覚刺激 ペットセラピーでの触れ合い 患者さまの興味や好みに合わせて内容を選ぶことで、楽しみながら継続できます。 日常生活動作のリハビリ 日常生活動作のリハビリテーションでは、着替えや食事、トイレなど基本的な生活動作を自立して行えるよう訓練します。 主に以下の訓練を通じて、日常生活の自立度向上を目指します。 関節が動く範囲を広げる運動 着替えの練習(ボタンの留め外し、ファスナーの操作など) トイレ動作の練習 食事動作の練習(スプーンや箸の使い方など) 関節の柔軟性を保つストレッチ 入浴動作の練習 これらの訓練は、日常生活に戻るためには欠かせないリハビリです。少しずつできることを増やしていくことで、患者さまの自信回復にもつながります。 運動機能のリハビリ 運動療法は身体機能の維持・向上だけでなく、認知機能の改善にも効果が認められています。 主に以下の運動を行い、身体機能と認知機能の両方を改善します。 ウォーキングなどの有酸素運動 サイクリング(エアロバイクを含む) 水中歩行 バランス訓練 筋力強化訓練 関節可動域訓練 水中での訓練は身体への負担が少なく、安全に運動できるためおすすめです。 10分程度の軽い運動でも効果が期待できるので、患者さまの体力に合わせて無理のない範囲で取り組みましょう。 言語機能のリハビリ 脳血管性認知症では失語症などの言語障害が生じることがあります。 言語機能のリハビリテーションでは、コミュニケーション能力の回復と維持を目指します。 主に以下の訓練を行い、コミュニケーション能力の改善を図ります。 家族や介護者との日常会話の練習 発声練習や発音訓練 文字の読み書き練習 ジェスチャーを使ったコミュニケーション訓練 スキンシップを取り入れた会話 歌を歌うことでの発話促進 言葉だけでなく、身振り手振りや表情を使ったコミュニケーションも大切です。 患者さまが伝えたいことを理解しようとする姿勢が、リハビリの効果を高めます。 嚥下機能のリハビリ 脳血管性認知症では、食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)機能に障害が生じることがあります。 嚥下機能のリハビリテーションは、安全に食事ができるよう飲み込み機能の改善を図ります。 主に以下の訓練を段階的に行い、誤嚥リスクの少ない食事ができることを目指します。 舌や頬のマッサージ 食前の嚥下体操 発声練習(あいうえお体操など) 水分やゼリーを使った飲み込み訓練 段階的な食形態の調整 正しい姿勢での食事練習 まずは基礎訓練から始めて、段階的に実際の食べ物を使った訓練に移行していきます。誤嚥(食べ物が気管に入ること)を防ぐため、専門職の指導のもとで進めることが重要です。 脳血管性認知症の進行を遅らせるためのポイント 脳血管性認知症の進行を遅らせるためのポイントとして、以下の3つがあります。 患者本人が無理をしない範囲で行う リハビリを楽しめるように工夫する 生活習慣も改善する 患者さまの心身の状態を最優先に考えながら、適切なサポートを行いましょう。 患者本人が無理をしない範囲で行う リハビリテーションで最も大切なことは、決して無理をしないことです。患者さまの体調や気持ちを優先的に考えて進めましょう。 体調が悪いときや本人がリハビリを嫌がるときに無理をしても、効果が上がらないどころか「リハビリは嫌なもの」という印象を与えてしまいます。 もし嫌がる様子が見られたら、本人の好きな別の方法に変えたり、気持ちが向くまで待ったりすることが大切です。 また、リハビリの途中で体調が悪くなった場合は、無理をせずにすぐに中断してください。 リハビリを楽しめるように工夫する リハビリテーションを継続するためには、患者さまが楽しく取り組めるような環境づくりが不可欠です。 本人の趣味や興味に合わせたリハビリ内容を選ぶことで、積極的な参加を促せます。 音楽が好きな方には音楽療法を、手先を動かすことが好きな方には創作活動を取り入れるなど、個人の嗜好に応じてプログラムを調整しましょう。 また、グループ活動を通じて他の参加者との交流を楽しめる環境も効果的です。 生活習慣も改善する 脳血管性認知症の進行を遅らせるためには、原因となる脳血管障害の再発予防が重要です。 日常生活での以下の改善に取り組むことで、症状の進行を抑制できます。 塩分を控えた食事(1日6g未満を目標) 脂質を抑えた食事内容 野菜や魚を中心とした栄養バランスの良い食事 適度な有酸素運動(週3回、1回30分程度) 禁煙・節酒の実践 十分な睡眠時間の確保(7〜8時間) 血圧・血糖値の定期的な管理 これらの生活習慣改善は、新たな脳血管障害の発症リスクを下げ、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。 脳血管性認知症のリハビリに関するよくある質問 脳血管性認知症のリハビリについて、よくある質問を紹介します。 脳血管性認知症の症状は? 脳血管性認知症に効果的な運動は? 脳血管障害による認知症は回復しますか? これらの疑問を解消して、適切なリハビリに取り組む参考にしてください。 脳血管性認知症の症状は? 脳血管性認知症の主な症状は、記憶障害、見当識障害(日時や場所がわからなくなる)、手足の麻痺、感情のコントロールが難しくなる感情失禁、抑うつ症状などです。 特徴は、障害を受けていない脳の部位は正常に機能するため、「できることとできないことの差が大きい」ことです。 そのため「まだら認知症」とも呼ばれます。 脳血管性認知症に効果的な運動は? ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動が効果的です。 10分程度の軽い運動でも認知機能の改善が期待できます。 水中歩行は身体への負担が少なく、関節に問題がある方でもケガのリスクが少なく取り組めます。 また、サイクリングやエアロバイクなども、体力に応じて調整しやすい運動として推奨されています。 運動は脳の血流を改善し、認知機能の維持・向上に役立ちますが、無理をせず患者さまの体調に合わせて行うことが重要です。 脳血管障害による認知症は回復しますか? 脳血管障害による認知症は、適切なリハビリと治療により、症状の改善や進行の抑制が期待できます。 完全な回復は難しい場合もありますが、機能の維持や部分的な改善は十分に可能です。 脳血管性認知症は、原因となる脳血管障害の再発を防ぐことで進行を抑制できます。 また、損傷を受けていない脳の部位が代償的に機能することで、症状の改善も見込まれます。 早期からの適切なリハビリテーションと生活習慣の改善、必要に応じた薬物療法や再生医療などの組み合わせにより、患者さまの生活の質の向上を目指せます。 脳血管性認知症のリハビリ効果を高めるには再生医療も選択肢の一つ 脳血管性認知症をはじめとする脳卒中の後遺症に対して、再生医療という治療法があります。 >>再生医療による脳卒中の症例はこちら 再生医療は、患者さま自身の幹細胞を使用して、損傷した脳細胞や血管の機能改善を促す治療法です。 また、身体麻痺や言語障害などの後遺症改善、再発予防に対しても再生医療を実施しています。 再生医療は患者さま自身の幹細胞や血液を使用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低いのが特徴です。 リハビリと併用することで、改善効果の向上が期待できます。 再生医療については、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。
2025.03.07






