-
- インピンジメント症候群
- 肩
大結節骨折がインピンジメント症候群の発症リスクを高めます インピンジメント症候群は、早期に発見出来ればリハビリや注射で治療出来ますが、肩や腕に骨折などの問題があった場合、治療が難しくなることがあります。今回は、大結節骨折とインピンジメント症候群の関係についてご紹介します。 大結節とは 大結節というのは、上腕骨の1番外側にある出っ張りのことで、肩のインナーマッスルである腱板(けんばん)がくっつく場所でもあります。大結節がインピンジメント症候群とも大きく関わっているのは、この腱板が付着しているからです。 大結節が骨折した時の状態 大結節が骨折すると、骨が2つに分かれます。片方はもともとの上腕骨が欠けた大きな骨で、もう片方は欠けて骨片となった骨です。そして、この骨片となった方に筋肉が付いていきます。 大結節骨折とインピンジメント症候群の関係 大結節骨折は、インピンジメント症候群を引き起こすきっかけとなることがあります。 大結節骨折により上腕骨の骨が分かれると、小さい骨折側に筋肉が付きます。そうなると腱板が骨片を引っ張る状態になります。腱板が引っ張ることで骨片はずれていってしまいます。大結節骨片がずれると肩の動きにも支障が出るため、インピンジメント症候群になりやすくなるのです。 また、大結節骨折の程度によってずれ方は異なります。5㎜以上のずれがある場合、インピンジメント症候群発症のリスクが高くなると言われています。 大結節骨折の治療 インピンジメント症候群を防ぐためには、まず大結節の骨折を治療する必要があります。大結節骨折治療では、安静にすることとリハビリで肩を動かすことが重要になります。 安静にする 肩の骨は他の部位よりも完全に固定するのが難しいです。ギプスをしっかり巻くと、他の部位の動きまで制限されてしまいます。そのため、極力安静にしている必要があります。 リハビリ 医師に肩を動かしても大丈夫と診断されたら、今度はリハビリを行います。 リハビリには肩の骨がずれない程度に動かすこと、硬くならないように適度に動かすことがポイントになります。運動の仕方やバランスを考え、無理のない範囲で積極的に動かすことが大切です。 まとめ・大結節骨折が、インピンジメント症候群の発症リスクを高めます 大結節骨折は程度によりますが、インピンジメント症候群を引き起こす原因となることがあります。そして大結節骨折によるインピンジメント症候群は、治療も困難になりがちです。それを防ぐためにも、大結節を骨折してしまったらしっかり治すことが大切です。 監修:リペアセルクリニック大阪院
投稿日:2024.11.19 -
- インピンジメント症候群
- 肩
インピンジメント症候群の手術後の痛みと回復期間について インピンジメント症候群は、症状が慢性化すると痛みがなかなか治まらなくなるので、痛みを取り除く治療法として手術が必要になります。しかし、手術の後の痛みや、どれくらいで回復するのかといったことが不安な方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、手術の方法や術後の痛みと回復、社会復帰の時期について紹介します。 インピンジメント症候群の手術方法と回復 慢性化したインピンジメント症候群は、手術による治療が必要です。現在は内視鏡を使った「鏡視下肩峰下除圧術(きょうけんかけんぽうかじょあつじゅつ)」が一般的で、関節内に内視鏡を入れて手術を行います。 具体的には炎症を起こしている滑液包(かつえきほう)の掃除をしたり、肩峰(けんぽう)に出来た骨の棘を切除したりします。痛みや炎症の原因となる部分を取り除くことから、「クリーニング手術」とも呼ばれています。 鏡視下肩峰下除圧術による傷 鏡視下肩峰下除圧術は、1㎝程度の孔を3~4箇所あけるだけです。全身麻酔30分程で行います。皮膚を大きく切開することはないため、手術の傷跡が目立たないことが特徴です。 手術後の回復 鏡視下肩峰下除圧術のために入院した場合、大体入院期間は9日~10日になります。この日数からしても、あまり回復に時間がかからないことが分かるかと思います。 鏡視下肩峰下除圧術は手術の傷が小さいため、回復も早くなります。そのためリハビリも早くから始められる人がたくさんいます。 手術後の痛み 滑液包や骨の棘といった炎症の原因を取り除いたため、手術後は痛みがほぼなくなるか軽減します。実際、インピンジメント症候群で手術を受けた多くのスポーツ選手が現役に復帰しています。 手術後に退院・社会復帰する時期 インピンジメント症候群で手術を行う場合、先ほどご紹介したように入院期間は9日~10日であることが多いです。そして、手術の傷が小さく回復が早いため、患者さんの体調が大丈夫であればリハビリを開始出来る時期も早まります。 リハビリが順調に進めば、早期退院・社会復帰も可能となります。 まとめ・インピンジメント症候群の手術後の痛みと回復期間について インピンジメント症候群は手術をすれば痛みの症状が治まります。スポーツ選手も手術によって現役復帰している人がたくさんいます。また、傷口が小さい手術は、比較的患者さんの体にかかる負担が少ないため、早い回復とリハビリの開始が期待できます。 とはいえ、初期のうちに発見し、手術による治療を必要とせず回復出来たほうが良いことには変わりません。症状が慢性化する前に医師の診察を受けるようにしましょう。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらも併せてご参照ください
投稿日:2024.03.21 -
- インピンジメント症候群
- 肩
インピンジメント症候群とは インピンジメント症候群は、肩を酷使することで起こる病気です。 インピンジメント症候群の症状は主に痛みで、進行すると肩を使った動作がしにくくなったり、安静にしている夜の間も痛みが出たりと、なかなか厄介なことで知られています。 そこで今回は、インピンジメント症候群の症状例について詳しく紹介します。 インピンジメント症候群で痛みを感じる理由 なぜインピンジメント症候群になると痛みを感じるのでしょうか。 それは、肩関節にある「滑液包(かつえきほう)」という部分で出血や炎症による腫脹(しゅちょう)が起きているからです。 初期のうちは安静にすることでこの炎症が治まりますが、同じ動作を繰り返すなど、スポーツを続けていたり、仕事などでいつもの動作を繰り返すことにより、炎症が反復します。 その結果、痛みや引っかかりなどの症状が慢性化します。 慢性化すると肩のインナーマッスルである「腱板(けんばん)」が断裂したり、肩の先端部分「肩峰(けんぽう)」の下に骨の棘が出来たりします。こうなると、痛みがなかなか取れなくなっていきます。 インピンジメント症候群のテストについては下記の記事で詳しく解説しています。 インピンジメント症候群の症状例 インピンジメント症候群の症状には、以下のようなものが挙げられます。 肩の痛み インピンジメント症候群の代表的な症状例としては、肩の痛みがあります。 インピンジメント症候群の人は、肩を上げていく時と上げた位置から元に戻す時に、ある角度で痛みを感じます。初期のうちは、特定の動作をした時だけ痛む場合が多いです。 肩の引っかかり 肩を上げる際に引っかかりを感じることがあります。スムーズに動かすことが出来なくなり、ある角度からそれ以上腕が上がらなくなります。 肩を回すと音が鳴る 肩を回した時に「ポキポキ」した音が鳴ることがあります。これは肩が凝っている時にもなることがあると思いますが、この「ポキポキ」音の他に、先程ご紹介した肩の引っかかりや痛みを感じる場合は、インピンジメント症候群の可能性があります。 筋力の低下 インピンジメント症候群は痛みや引っかかりの他、筋力の低下を招くことがあります。 肩に痛みがあると、肩を動かすことが難しくなります。そのため、肩周辺の筋肉が減少し筋力低下に繋がりやすくなるためです。 夜間の痛み インピンジメント症候群は、進行すると動作をした時以外にも痛みを感じるようになります。安静にしている時や、夜間にも痛みが出始めます。 インピンジメント症候群の治療法 保存療法 インピンジメント症候群は、初期のうちならリハビリと注射の保存療法で治ることが多いです。以下に保存療法で行われる治療についてまとめました。 安静にする 今まで症状がなかった場合、初期だと考えられますので、まずは安静にしましょう。 痛みが起こったら、炎症が治まるまで無理せず安静にします。とにかく痛みを感じる動作を避けることがポイントです。安静にしていることで肩関節の炎症が治まり、症状が軽くなります。また、処置として患部を冷やしたり、圧迫したりすることもあります。 リハビリ 痛みや引っかかりなどの症状が慢性化している場合に有効な治療法です。慢性化しているのは、肩の動きに問題があることが多く、肩をスムーズに動かせるようにすることが根本的な解決になります。そのため、処置ではなくリハビリが効果的なのです。 リハビリの方法としては、弱い筋肉と硬い筋肉のバランスを整えることと、動作学習があります。動作学習は、正しい動きを体に覚えさせることを目的としています。 注射 注射は、肩関節の炎症を鎮めることを目的としています。 肩関節に副腎皮質ステロイドやヒアルロン酸を注射し、痛みを軽減します。 手術療法 リハビリや注射でインピンジメント症候群の痛みや炎症が治まらない時、治し方としては手術を検討します。 インピンジメント症候群治療の手術は、内視鏡を用いた「鏡視下肩峰下除圧術(きょうしかけんぽうかじょあつじゅつ)」です。この手術は、手術の傷が小さい、回復が早い、社会復帰も早いといったメリットが多いという特徴があります。 保存療法から手術療法へと切り替わるのには、基準があります。 それは3ヶ月〜6ヶ月以上リハビリや注射を行っても、症状が改善しなかった場合です。手術で痛みの原因を取り除くことで、症状の軽減が期待出来ます。 手術の特徴 内視鏡を使用し、全身麻酔で大体30分の手術になります。内視鏡を入れるための孔は1㎝程度で数は3〜4箇所。手術の傷も小さく、術後の回復も早いことが特徴です。 特にスポーツ選手であれば、術後の回復が早いことは大きなメリットになりますよね。リハビリも早くから始められるため、早期退院も可能となります。 インピンジメント症候群を発症した野球選手は、この手術を受けると復帰率が高くなるとも言われています。 手術後の痛みと回復期間についてはこちらもご覧ください インピンジメント症候群は野球選手がなりやすい!? インピンジメント症候群は、スポーツ選手の中でも特に野球選手に多い疾患です。プロ野球選手なら良いということでは決してありませんが、私は高校野球のピッチャーが投げ続けている姿を見ると、「大丈夫かな、大丈夫かな…肩を壊さないでよー!」と心配になります。今回は、野球選手がインピンジメント症候群になってしまったとき…その後どうなる?ということについてまとめました。 野球選手に多いインピンジメント症候群 インピンジメント症候群が野球選手に多いのは、肩を酷使することが原因の1つとして挙げられています。野球でボールを投げたり、飛んできたボールを打ったりする時、腕と肩には負荷がかかっています。 野球では試合時間が長く、同じ選手が長時間ボールを投げ続けることがあります。その結果、肩に負担がかかりやすくなります。特に、ピッチャーなど投球を繰り返すポジションの選手は、インピンジメント症候群を発症しやすいのです。 インピンジメント症候群からの復帰 野球選手はインピンジメント症候群になりやすいのは事実ですが、「この病気にかかったから選手生命が絶たれる」というわけではありません。 インピンジメント症候群は、原因をきちんと確認し正しく対処すれば十分改善可能なのです。実際、多くの野球選手がこの病気から復帰しています。初期のうちに見つけることが望ましいですが、手術をした後でも復帰することは出来ます。 ただし、インピンジメント症候群にかかった野球選手は、治療によって復帰も可能ですが、以前と同じポジションではいられないこともあります。治ったと言っても、あまり無理なことは出来ません。 重要なのは動作分析 インピンジメント症候群の原因を突き止めるには、動作分析が欠かせません。動作分析とは、痛みが出る動きなどを分析することです。 野球選手の場合、ほとんどがボールを投げようとした時になるかと思います。その痛みを感じる時の動きと姿勢を分析して、体のどこに問題があるのかを明らかにして行きます。 インピンジメント症候群は、姿勢に問題がある場合も少なくありません。 まとめ インピンジメント症候群は、特に肩を酷使する野球選手に多い疾患であり、肩関節に炎症があることで、痛みが発生して動作に制限がかかります。 初期段階の場合、安静にすることで症状を軽減できますが、慢性化すると腱板の断裂や骨の棘の形成など、より深刻な症状を伴う可能性も少なくありません。 症状が改善しない場合は、正しい動作分析を行い、適切な治療を受けるようにしましょう。 早期対処・再発防止に努めることが、スポーツ選手としてのキャリアを守る鍵となります。
投稿日:2024.11.19 -
- インピンジメント症候群
- 肩
「肩が痛いけど、これってインピンジメント症候群かも?」 「病院に行く前に何か自分で確認できる方法はないのかな?」 このような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。肩の痛みが慢性的になると、日常生活にも大きな影響を与えます。インピンジメント症候群は、早期に発見して対処するのが重要です。 この記事では、自宅でできるセルフチェック方法をわかりやすく解説します。さらに症状を和らげるためのセルフケアや治療法についても紹介していきます。 インピンジメント症候群とは インピンジメント症候群は、肩を動かす動作で痛みを感じる病気です。 肩を頻繁に使うスポーツ選手はもちろん、一般人でも発症すると言われています。しかし、肩の痛みがあったからと言って、すぐにインピンジメント症候群かどうかはわかりません。そこで今回は、インピンジメント症候群の診断方法に使うテストについて解説します。 インピンジメント症候群のセルフチェック項目 インピンジメント症候群かどうかセルフチェックしたい場合は、下記の項目に当てはまるか確認しましょう。 ・肩を上げたときに痛みがあるか ・夜間に肩の痛みを感じるか ・腕を上げるのが困難か ・肩を動かすときに引っかかる感じがあるか ・肩を動かすとゴリゴリと音がするか ・腕を内側にひねると痛みが増すか ・重い物を持つと肩に痛みが走るか ・肩の痛みが長期間続いているか セルフチェック項目に当てはまる場合は、早めに病院での検査を受けましょう。 病院で行うインピンジメント症候群のテスト項目 インピンジメント症候群は4つのテストによって診断できます。 以下でテストのやり方と特徴をまとめています。病院を受診する前の参考としてご確認ください。 Neersテスト Neersテストとは、肩関節を使うテストです。 まず、痛みのある方の肩を上から押さえますが、動かないようにするのがポイントです。そして、肩を押さえたまま腕を伸ばしましょう。肘をまっすぐに伸ばしたまま小指を上にして、そのまま内側にひねって天に向けて上げます。 このときに腕の付け根に痛みを感じたら、インピンジメント症候群の可能性があります。 Hawkinsテスト Hawkinsテストとは、肘関節を使うテストです。 まず、痛みのある方の腕を前方へ水平になるように上げましょう。このとき腕をまっすぐにするよう意識してください。腕を上げたら、その状態のまま肘を直角に曲げ、手をひねりながら内側に倒します。 このとき肩に痛みを感じたら、インピンジメント症候群の可能性があります。 また、NeersテストとHawkinsテストは1人でもできますが、2人で行うのが一般的です。 有痛弧サイン 有痛弧サインは、肩関節の運動を調べるテストで、肩関節の可動域と痛みが出る部位の確認を目的としています。インピンジメント症候群の人は、弧を描くように腕を上げた際に、関節の角度が80°〜120°になると痛みを感じると言われています。 インピンジメント注入テスト インピンジメント注入テストとは、肩関節に注射をするテストです。 局所麻酔薬を肩峰下滑液包内に注入した後、肩の動作時痛など特有の症状が治まる場合、インピンジメント症候群を発症している可能性があります。 インピンジメント症候群の治し方 インピンジメント症候群の治療には、症状の進行度や個別の状況に応じた対応が必要です。 痛みの軽減や機能改善を目指して、治療法を選択しましょう。 ・痛み止めを服用する ・リハビリ・ストレッチをする ・手術を受ける 痛み止めを服用する インピンジメント症候群の痛みが強い場合、一時的に痛み止めを服用すれば症状を緩和できます。 痛み止めを服用すると炎症を抑えられて痛みが軽減します。日常生活での不快感を軽減するのに痛み止めは有効です。 痛み止めを服用している期間に運動を控えて、症状が改善するか観察します。 リハビリ・ストレッチをする インピンジメント症候群を改善するためには、適切なリハビリやストレッチが欠かせません。 肩周りの筋肉を強化し柔軟性を高めると、炎症を抑えられ関節の動きをスムーズにできます。 ただし、痛みがある中で無理にストレッチを行うと、症状を悪化させてしまうリスクがあるため、過度な負担は避けるべきです。 定期的なリハビリを続けると、症状の改善が期待できます。 手術を受ける インピンジメント症候群が進行してリハビリや薬物治療で改善しない場合は、手術を検討する段階です。 手術では、肩関節の炎症を引き起こしている部位を除去し、腱板や滑液包の機能を回復させます。 インピンジメント症候群では、関節鏡視下(かんせつきょうしか)手術が一般的です。小さな切開で済むため、回復も比較的早いとされています。 手術後にはリハビリが必要ですが、症状の根本的な解決が期待できます。 インピンジメント症候群を疑う方は医療機関を受診しよう 肩を上げたときの痛みや、ゴリゴリと音が鳴るなどセルフチェック項目に該当する場合はインピンジメント症候群の可能性があります。 肩の違和感や痛みに悩まされている方は、放置せずに医療機関を受診して、早期に適切な治療やリハビリを始めましょう。
投稿日:2024.11.06