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減圧症とは?原因・症状・治療法をわかりやすく解説

減圧症とは?原因・症状・治療法をわかりやすく解説
公開日: 2026.03.31

「ダイビングを楽しんだ後、関節が重だるい」「飛行機に乗ってから手足がピリピリとしびれる」

もし、気圧が変化する環境のあとにこうした違和感があるなら、それは減圧症(げんあつしょう)のサインかもしれません。

減圧症は、かつて「潜水病」とも呼ばれ、潜水士やダイバー特有の病気と思われがちでした。

しかし現代では、レジャーダイビングの普及や航空機移動の日常化に伴い、誰もが直面する可能性のある疾患となっています。

放置すれば深刻な神経障害や骨の壊死を招く恐れがあるため、正しい知識と早期の対応が欠かせません。

この記事では、減圧症が起こるメカニズム、見逃してはいけない症状、そして将来に後遺症を残さないための最新の視点について詳しく解説します。

この記事を読むとわかること

  • 体内に「気泡」ができる減圧症の構造的なメカニズム
  • 関節痛から麻痺まで、重症度によって異なる具体的な症状
  • ダイビング後の飛行機搭乗や肥満など、発症リスクを高める要因
  • 慢性化した神経障害に対する再生医療(幹細胞治療)という新たな選択肢

減圧症とは|どんな病気か

減圧症とは、身体に溶け込んでいたガス(主に窒素)が、周囲の圧力が急激に下がることで気体に戻り、体内で「気泡」ができることで引き起こされる障害です。

私たちの身体は、高気圧下(水中など)では窒素が血液や組織に多く溶け込みますが、ゆっくりと浮上すれば呼吸を通じてその窒素を排出できます。

しかし、浮上のスピードが速すぎたり、排出能力を超えたりすると、処理しきれなくなった窒素が血管や組織の中で「泡」となり、血管を詰まらせたり周囲を圧迫したりして、様々な不調を招くのです。

減圧症の原因

減圧症の直接的な原因は「急激な減圧」ですが、同じダイビング・プロフィールであっても発症する人としない人がいます。

そこには、個人の体調や環境因子が複雑に関係しています。

発症リスクを高める主な要因を以下のテーブルに整理しました。

要因の分類 具体的なリスクの内容
ダイビングの形態 急浮上、反復潜水(1日に何度も潜る)、深い場所での長時間の滞在
環境・行動因子 ダイビング直後の飛行機搭乗(さらなる減圧)、高所への移動(峠越え等)
身体的要因 肥満(窒素は脂肪に溶けやすい)、脱水症状、過労、加齢による循環機能低下
生活習慣 潜水前後の飲酒、潜水直後の激しい運動や熱いシャワー・入浴

特に「脱水」は血液をドロドロにさせ、窒素の排出を遅らせる大きな要因となります。

また、潜水後の飛行機搭乗は、体内に残った微細な気泡を上空の低圧環境で一気に膨張させるため、極めて危険な行為として厳禁されています。

減圧症の主な症状

減圧症の症状は、気泡が身体のどこにできたかによって千差万別です。

大きく分けて「軽症(I型)」と「重症(II型)」の2つのパターンがあり、それぞれ以下のような特徴があります。

関節の痛み・違和感

軽症(I型)の減圧症で最も頻繁に見られるのが、肩、肘、膝などの大きな関節に起こる痛みで、通称「ベンズ」と呼ばれます。

症状の出方 具体的な身体の感覚
関節痛(ベンズ) 深部からズキズキ、または重だるく疼くような痛み。特定の動作で悪化する
皮膚症状 皮膚のかゆみ、大理石のような網目状の発疹(皮疹)が現れる
筋肉痛・腫れ 筋肉そのものが痛み、リンパ節が腫れて圧痛が生じることもある

「ただの疲れや筋肉痛だろう」と見過ごされがちですが、これらは身体が窒素と闘っているサインです。

放置すると、数ヶ月〜数年後に「骨壊死」という重大な後遺症を招くリスクがあるため、軽視は禁物です。

しびれ・麻痺などの神経症状

重症(II型)の減圧症は、気泡が脳や脊髄、肺などに生じるタイプで、生命や身体機能に直結する深刻な症状を引き起こします。

部位と症状 具体的な神経・全身症状
脊髄型 足のしびれ、脱力感、排尿障害。最悪の場合、下半身不随となる
脳型 めまい、言語障害、視力障害、けいれん、意識の混濁
呼吸器・循環器型 胸の痛み、激しい咳(チョークス)、呼吸困難、ショック状態

これらの症状は、潜水直後だけでなく、数時間経過してから現れることもあります。

特に「しびれ」や「力が入らない」といった感覚がある場合は、脊髄内の神経が物理的に損傷している可能性が高く、一刻を争う緊急事態です。

減圧症の重症度と危険性

減圧症の恐ろしさは、症状が進行性である点にあります。

最初は軽い皮膚のかゆみだけだったのが、数時間後に急激な麻痺へと発展するケースも少なくありません。

特に危険なのは、気泡が血管の内壁を傷つけることで起こる「血管内皮損傷」です。

これにより、血管内で炎症や血栓が生じやすくなり、気泡が消えた後も血流障害が持続してしまいます。

また、一度発症すると再発しやすくなるという特徴もあり、ダイバーとしての寿命を縮めることにも繋がりかねません。

減圧症の治療法

減圧症が疑われる場合、最も重要かつ標準的な治療は「高気圧酸素療法(再加圧治療)」です。

これは、専用のタンク(高気圧酸素チャンバー)に入り、大気圧よりも高い圧力をかけながら高濃度の酸素を吸入する治療法です。

治療の主な目的と効果を以下のテーブルにまとめました。

治療の目的 具体的な仕組みとメリット
気泡の縮小・消失 物理的に圧力をかけることで体内の気泡を小さくし、再び血液に溶け込ませる
組織への酸素供給 高濃度の酸素を送り込み、気泡で血流が滞った部位の酸欠(虚血)を解消する
窒素の排出促進 分圧の差を利用して、体内に溜まった余分な窒素を効率よく体外へ排出させる

病院に到着するまでの応急処置としては、「100%酸素吸入」が極めて有効です。

これにより窒素の排出が早まり、症状の悪化を食い止めることができます。

また、水分をしっかり摂り、血液の循環を促すことも大切です。

注意点として、素人判断で「もう一度潜って圧力をかける(水中再加圧)」ことは、さらなる窒素の吸収を招き致命的な結果につながるため、絶対に避けてください。

減圧症の予防方法

減圧症は、適切なルールを守ることでそのリスクを大幅に下げることができます。

ダイビングを楽しむすべての人が意識すべき「安全のための鉄則」を再確認しましょう。

  • 保守的なダイブプロフィール: ダイブコンピューターの限界(無減圧潜水時間)ギリギリまで潜らず、常に余裕を持って浮上する。
  • 安全停止の徹底: 水深5m付近で3分以上の安全停止を必ず行い、体内の窒素をゆっくりと排出させる。
  • 浮上スピードの遵守: 毎分9m(またはコンピューターの指示)を超えないよう、ゆっくりと浮上する。
  • 十分な水分補給: 脱水状態は血液の粘度を上げ、気泡ができやすくなるため、潜水前後は意識的に水を飲む。
  • 潜水後の飛行機搭乗禁止: 最後のダイビングから最低でも18〜24時間は搭乗(低圧環境への曝露)を控える。

また、寝不足や二日酔い、疲労が溜まっている時は窒素の排出能力が低下します。

身体が万全でない時は「潜らない」という判断も、一流のダイバーに求められるスキルです。

後遺症に対する再生医療という選択肢

減圧症は、適切な再加圧治療を行っても、しびれや麻痺、あるいは関節の不快感などの後遺症が完全には取りきれないケースがあります。

こうした慢性的な神経障害や組織のダメージに対し、自身の細胞の力を活用して修復を促す再生医療(幹細胞治療)が、新たな希望となっています。

期待される作用 後遺症への具体的なアプローチ
神経細胞の修復支援 気泡による直接的な圧迫や酸欠で傷ついた神経細胞の再活性化を促す
血管新生の促進 血流が滞った部位に新たな血管を作り、組織へ酸素と栄養を供給しやすくする
慢性炎症の抑制 血管壁などで続く微細な炎症を鎮め、しびれや痛みの緩和をサポートする

再生医療は、自分自身の脂肪から抽出した幹細胞を投与するため、拒絶反応や副作用のリスクが低いことが特徴です。

これまでの治療で「これ以上の回復は難しい」と告げられた方であっても、細胞レベルで身体本来の修復力を引き出すことで、日常生活の質(QOL)を向上させられる可能性があります。

再生医療がどのように神経や血管のリカバリーに作用するのか、その具体的な仕組みについては以下の動画をご覧ください。

手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。

まとめ|減圧症は正しい知識と対応が重要

減圧症は、見えない気泡が身体を蝕む恐ろしい疾患ですが、正しい知識を持ち、異変を感じた際にすぐ行動することで、重篤な事態を防ぐことができます。

軽度の違和感を「疲れ」で片付けず、身体の声に耳を傾けることが何よりも大切です。

健やかな活動を長く続けるためのポイントを最後におさらいしましょう。

  • 関節の重だるさやかゆみは、身体が発している「SOS」と捉えて放置しない。
  • 発症が疑われたら速やかに高気圧酸素治療が可能な医療機関を受診する。
  • 水分補給と保守的なダイブスケジュールを徹底し、気泡を作らない予防を優先する。
  • 標準治療で改善が見られない神経障害には、自身の再生力を引き出す再生医療を検討する。

海や空を楽しむことは人生を豊かにしてくれますが、それは健康な身体があってこそ。

リペアセルクリニック大阪院は、最新の再生医療技術を駆使し、あなたが再び痛みやしびれを感じることなく、大好きな活動を続けられるよう全力でサポートいたします。

現在の症状についてどのように改善できるのか、まずは現状の不安を解消するために当院の公式LINEをぜひ活用してください。

\公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/公式LINE 画像

監修者

坂本 貞範

Sadanori Sakamoto

医療法人美喜有会 理事長

「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。

略歴

1997年3月関西医科大学 医学部卒

1997年4月医師免許取得

1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務

1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務

1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務

1999年2月国立大阪南病院 勤務

2000年3月野上病院 勤務

2003年3月大野記念病院 勤務

2005年5月さかもとクリニック 開設

2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任

2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設

2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設

2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設