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スノーボードで膝が痛い原因は?部位別の考え方と対処・予防法を紹介

スノーボードを滑ったあと膝の痛みが続き、不安になってしまう方も少なくはありません。
翌日になっても違和感が抜けないと、「これってけがなのか」「放置してよいのか」と判断が難しくなります。
特に雪上では転倒や着地の衝撃だけでなく、フォームや板のセッティングの影響でも膝に負担が集まりやすい特徴も。
そこで本記事では、スノーボードで膝が痛くなる原因を切り分け、対処・受診目安・予防までを整理して解説します。
目次
「外傷(靭帯・半月板)」と「負荷(フォーム・炎症)」でまず切り分けるが重要
スノーボードの膝痛は、最初に「外傷(靭帯・半月板)」と「負荷(フォーム・炎症)」のどちらが主役かを切り分けると、判断が早くなります。
【まず整理したい2つの軸】
- 外傷タイプ:転倒・ひねり・着地で「その瞬間に痛めた」感覚が強い
- 負荷タイプ:滑走後に徐々に痛む、繰り返すうちに悪化する
- 外傷+負荷の混在:軽い外傷をかばって別の場所が痛む
- 痛みの部位:内側・外側・前(お皿周り)・奥の不安定感で候補が変わる
たとえば転倒直後に腫れが出て不安定なら、靭帯や半月板などの外傷を先に疑いましょう。
一方で「滑っている最中は平気だが、翌日から外側が痛い」ような場合は、負荷による炎症が中心のこともあります。
この切り分けを先に行うだけで、「自宅対応でよいのか」「すぐ受診すべきか」が整理しやすくなります。
スノボで膝が痛くなりやすい理由
スノーボードは、板に足が固定されるぶん、転倒や着地で生じた力が膝関節に逃げにくいスポーツです。
【膝に負担が集まりやすい要因】
- エッジ切り替えで膝が内外にぶれやすい(特に疲労時)
- 着地・段差での衝撃が反復しやすい
- ブーツやバインの設定で姿勢が崩れると、膝だけで支えがち
- 寒冷環境で筋肉が硬くなり、可動域が落ちやすい
さらに、斜面状況(アイスバーン・コブ・パウダー)によって必要な姿勢が変わるため、同じ人でも日によって膝の負担が増減します。
「いつもと同じ滑りなのに痛む」と感じる場合でも、雪質や疲労の影響でフォームが変わっていることがあります。
原因が外傷か負荷かを見極めながら、部位別に候補を絞っていきましょう。
部位別|スノーボードの膝痛で多い原因
膝の痛みは部位ごとに疑う原因が変わるため、まずは「どこが痛いか」を言語化しておくと受診時にも役立ちます。
【部位別の目安(該当箇所へ)】
同じ「膝痛」でも、靭帯・半月板・腱・関節周辺の炎症で対応が変わります。
また、痛みが一点ではなく広がって感じるときは、かばい動作で別の組織に負担が移っていることもあります。
次の各項目で、特徴とチェックポイントを整理します。
膝の内側が痛い|MCL(内側側副靱帯)・内側半月板の可能性
膝の内側の痛みは、まずMCL(内側側副靱帯)の損傷や内側半月板の負担を疑います。
【内側痛で多い訴え】
- 転倒で膝が内側に折れるような力がかかった
- 内側を押すと痛い、内側に沿って圧痛がある
- ひねり動作で「ズキッ」と鋭い痛みが出る
- 引っかかり・クリック感があり、曲げ伸ばしが怖い
MCL損傷は膝の横方向の力で起こりやすいとされ、痛みや不安定感の出方で重症度が変わります。
参照:AAOS OrthoInfo「Collateral Ligament Injuries」
一方で、半月板の損傷では「押すと痛い」よりも、動かしたときの引っかかりや関節裂隙(膝のすき間)周辺の痛みが目立つことがあります。
参照:AAOS OrthoInfo「Meniscus Tears」
痛みが強いのに無理に滑り続けると、腫れが増えて可動域が落ち、回復が遅れやすくなります。
内側痛が続く場合は「どんな転び方をしたか」「腫れが出たタイミング」をメモしておくと、診察で原因が絞りやすいです。
膝の外側が痛い|腸脛靱帯炎(ITB)・外側半月板などの可能性
膝の外側が痛い場合、反復負荷で起こる腸脛靱帯炎(ITB)や、外側半月板の問題が候補になります。
【外側痛の見え方】
- 滑走後〜翌日に外側がズーンと痛む(反復負荷型)
- 曲げ伸ばしで外側が擦れるように痛む
- フォームが崩れると痛みが増える、休むと軽くなる
- 外側の引っかかり感や腫れがある場合は半月板も視野
腸脛靱帯炎は、腸脛靱帯が膝周辺でこすれて刺激が積み重なることで症状が出ると説明されています。
参照:Cleveland Clinic「Iliotibial Band Syndrome」
スノーボードでは、エッジングの癖や片脚に乗る時間が長い滑り方で、外側に負担が偏ることがあります。
一方で、外側半月板が関与しているときは「外側が鋭く痛む」「動かすと引っかかる」など、動作との結びつきが強いことが多いです。
外側痛が続く場合は、単なる筋肉痛と決めつけず、痛む動作(ターン・階段・しゃがみ)を具体化して対策を選びましょう。
膝のお皿周り/前が痛い|膝蓋大腿関節の負担・ジャンパー膝など
膝のお皿周り(前)の痛みは、膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)への負担や、膝蓋腱の炎症(ジャンパー膝)などが関係することがあります。
【前面痛でよくある状況】
- 階段の昇降やしゃがみ動作で前が痛い
- 長時間座った後の立ち上がりで痛い
- ジャンプ着地やコブで膝前が響く
- 膝の下(膝蓋腱)に一点の圧痛がある
膝蓋大腿関節の痛み(PFPS)は、階段やスクワット、長時間座位で痛みが増えることがあります。
また、ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は、ジャンプなど反復動作で腱が弱り、痛みやこわばりが強くなる特徴をもちます。
スノーボードでは膝を曲げた姿勢が続きやすく、前側に負担が集まると、滑走後に前面痛が残ることも。
前面痛はフォーム修正や筋力バランスの調整で変わるケースもあるため、「どの姿勢で増えるか」を把握して対処を選ぶことが重要です。
転倒/着地後に不安定・腫れる|ACL等の靭帯損傷も視野(特に着地)
転倒や着地のあとに膝がぐらつく、急に腫れる場合は、ACL(前十字靱帯)などの靭帯損傷も含めて早めの評価が必要です。
【外傷を強く疑うサイン】
- 受傷時に「ポン」という音や感覚があった
- 短時間で腫れが強くなった(関節内の腫れ)
- 体重をかけると崩れる、不安定で怖い
- 曲げ伸ばしができない、ロックした感じがある
ACL損傷では、受傷時の音や不安定感、腫れなどが典型的な症状として挙げられています。
また、ACL損傷はジャンプや着地などで起こり得ると説明されており、雪上スポーツでも注意が必要です。
参照:Mayo Clinic「ACL injury」
「腫れているけれど歩けるから大丈夫」と判断して滑り続けると、損傷部位をさらに刺激して回復が遅れることがあります。
不安定感や強い腫れがある場合は、その日のうちに無理を止め、受診を前提に動き方を制限することが重要です。
今すぐできる応急処置
受傷直後や強い違和感があるときは、まずRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)の考え方で炎症と腫れを抑えると、その後の判断がしやすくなります。
【応急処置の基本】
- 安静:痛みが増える動作は中止し、歩行量を減らす
- 冷却:直接皮膚に当てず、短時間で区切って冷やす
- 圧迫:軽い圧迫で腫れを抑える(強く締めすぎない)
- 挙上:可能なら脚を高くして腫れを軽減する
RICEは打撲や捻挫などの初期対応として一般的に案内されており、腫れや痛みの軽減を目的に行います。
ただし、冷却や圧迫で一時的に痛みが引いても、損傷が治ったわけではありません。
応急処置の目的は「悪化を避けて、次の判断につなげること」なので、痛みの変化と腫れの推移を観察してください。
「体重をかけるほど痛い」「腫れが急に増える」場合は、応急処置だけで済ませず受診を優先しましょう。
病院に行くべきサイン
膝痛は様子見でよい場合もありますが、以下の受診目安に当てはまるなら早めの受診が安全です。
【受診を急ぐ目安】
- 転倒後から腫れが強く、短時間で増えてきた
- 膝が不安定で、体重をかけるのが怖い
- 曲げ伸ばしができない、ロックした感じがある
- しびれが出る、冷感がある、足先の色が悪い
- 夜間痛が強く、日常生活に支障が出ている
膝の外傷には靭帯損傷や半月板損傷などがあり、適切な治療で回復を促すことが重要です。
特に「不安定」「強い腫れ」「可動域が急に落ちた」は、放置で長引きやすいサインになり得ます。
受診の際は、転倒状況・痛みの場所・腫れ始めた時間を整理すると、検査の方針が立ちやすいです。
迷う場合は、悪化してから動けなくなる前に相談するほうが結果的に負担が小さくなります。
痛みが長引く・繰り返す場合の再生医療という選択肢
滑走を休んでも膝の痛みが長引く場合は、原因を評価し直し、必要に応じて再生医療を含む選択肢を比較することが重要です。
【痛みが長引くときに見直す観点】
- 靭帯・半月板の損傷が残っていないか
- 炎症が続き、滑走フォームで再刺激されていないか
- 筋力・柔軟性の低下で膝に負担が集中していないか
- 保存療法(リハビリ・負荷調整)の設計が合っているか
リペアセルクリニック大阪院では、スポーツによる膝の痛みについて、受傷経緯・痛む動作・既往治療を整理し、状態評価と選択肢の比較を重視しています。
保存療法を続けても痛みが戻る場合は、「どの組織が残っている痛みに関わるか」を切り分けたうえで、治療方針を組み立て直すことが大切です。
必要に応じて、再生医療の可能性も含めて相談を受け付けています。
「この痛みはいつまで続くのか」と不安が強い場合は、我慢を続ける前に一度ご相談ください。
痛みが続くほど、滑りの質だけでなく日常生活の活動量まで落ち、回復の土台が崩れやすくなります。
早い段階で原因を整理できると、無駄な安静や無理な再開を避けやすくなります。
「戻したい動作」を明確にしたうえで、現状に合う対策を選ぶことが、復帰の遠回りを減らします。
手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。
まとめ|膝痛は“原因の切り分け”が最短回復につながる
スノーボードの膝痛は、まず外傷か負荷かの切り分けを行い、部位ごとの候補を絞ることが重要です。
【本記事の要点】
- 内側痛はMCLや内側半月板、外側痛はITBや外側半月板を疑う
- 前面痛は膝蓋大腿関節の負担や膝蓋腱の炎症が関与することがある
- 不安定・強い腫れ・ロック感は早めの受診が安全
- 応急処置は悪化を避ける目的で行い、経過を観察する
保存療法で整うケースも多い一方で、改善が乏しい場合は治療の選択肢を比較する視点も必要です。
リペアセルクリニック大阪院では、状態評価と選択肢の整理を重視し、必要に応じて再生医療の可能性も含めて相談を受け付けています。
不安が続く場合は、早めに専門家へ相談し、納得できる復帰計画を立てましょう。
監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設
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