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グルコサミンとコンドロイチンの違い|関節痛には効果なし?副作用について解説

グルコサミン コンドロイチン 違い
公開日: 2025.10.31

関節の健康を考えてサプリメントを探していると、「グルコサミン」や「コンドロイチン」という成分をよく見かけます。

両者にどのような違いがあるのか、どちらを摂取した方が良いのか疑問をお持ちの方も多いでしょう。

結論、グルコサミンは軟骨の「原料」となり、コンドロイチンは軟骨の「保水性」を担うなど、その役割は明確に異なります。

本記事では、グルコサミンとコンドロイチンの根本的な違いから、関節痛への効果に関する医学的な見解について詳しく解説します。

それぞれの成分の働きを正しく理解し、サプリメントとの向き合い方を考える参考にしてください。

また、つらい関節痛にお悩みの方は、再生医療による治療も選択肢の一つです。

再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて自然治癒力を高めることで、炎症抑制や損傷した関節の再生・修復を促す医療技術です。

「関節痛を早く治したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、当院リペアセルクリニックにご相談ください。

グルコサミンとコンドロイチンの違い

グルコサミンは軟骨の「原料」となる成分であり、コンドロイチンは軟骨自体に水分を保持させ「クッション性」を保つ成分である点に、主な違いがあります。

項目 主な役割 分類
グルコサミン ・軟骨成分の構成要素となる
・軟骨の新陳代謝に関与する
アミノ糖(糖とアミノ酸が結合したもの)
コンドロイチン ・軟骨に水分と弾力性を与え、クッション機能を維持する
・軟骨の分解を抑制する働きも期待される
ムコ多糖類

どちらも関節の健康をサポートする成分としてよく知られていますが、その働きや役割は明確に異なります。

グルコサミンが新しい軟骨成分の生成をサポートする役割、コンドロイチンは既存の軟骨の健康や水分を維持する役割、と考えると分かりやすいでしょう。

また、いずれもサプリメントで経口摂取した際の効果については、科学的証拠が不十分とされているため、注意が必要です。

グルコサミンの特徴

グルコサミンは、軟骨や皮膚、爪など体を作る成分の「原料」となるアミノ糖の一種です。

特に関節軟骨においては、水分を保持するプロテオグリカンやヒアルロン酸といった重要な成分の合成を促す働きを担っています。

グルコサミンの主な特徴と含まれる食品は、以下のとおりです。

項目 特徴・内容
主な役割 ・軟骨成分の構成要素となる
・軟骨の新陳代謝に関与する
分類 アミノ糖(糖とアミノ酸が結合したもの)
多く含まれる食品 カニやエビの甲殻類(キチン質)、山芋、オクラなど

上記のように、グルコサミンは軟骨のスムーズな働きを維持するための「土台作り」をサポートする成分といえるでしょう。

コンドロイチンの特徴

コンドロイチンは、軟骨の主成分そのものであり、水分を強力に引き寄せて保持する「保水性」に優れたムコ多糖類の一種です。

軟骨がクッションのような弾力性を持ち、関節がスムーズに動くためには、コンドロイチンが持つ保水力が欠かせません。

コンドロイチンの主な特徴と含まれる食品は、以下のとおりです。

項目 特徴・内容
主な役割 ・軟骨に水分と弾力性を与え、クッション機能を維持する
・軟骨の分解を抑制する働きも期待される
分類 ムコ多糖類(ネバネバ成分)
多く含まれる食品 納豆、山芋、オクラなどのネバネバ食品、フカヒレ、うなぎ、動物の軟骨など

関節の健康を「保つ」ために、グルコサミンと並んで重要な役割を果たしている成分といえるでしょう。

グルコサミンやコンドロイチンは関節痛に効果なし?

グルコサミンやコンドロイチンが関節痛に「効果がある」という、質の高い科学的根拠(エビデンス)は十分ではないとされています。

いずれもサプリメントとして広く知られていますが、医学的な評価は定まっていないのが実情です。

なぜ「効果なし」と言われることがあるのか、その背景にあるエビデンスの状況と心理的な側面について見ていきましょう。

効果があるエビデンスは少ない

グルコサミンやコンドロイチンが関節軟骨の成分であることは事実ですが、サプリメントとして摂取した場合に関節痛が改善するという科学的根拠は限定的です。

これまで世界中で多くの臨床試験が行われてきましたが、その結果は一貫していません。

  • 一部の研究では「痛みが和らいだ」という肯定的な報告もあります。
  • 一方で、偽薬(有効成分の入っていない薬)を飲んだグループと比較して、明確な差が出なかったとする大規模な研究報告も多く存在します。
  • 研究によって使用される製剤の品質や量が異なることも、結果が一定しない一因と考えられています。

上記のような背景から、日本を含む多くの国の整形外科学会などでは、関節痛(特に変形性膝関節症)の治療ガイドラインにおいて、これらの成分の摂取を推奨するまでには至っていません。

効果があると感じるのはプラセボ(プラシーボ)効果の可能性

サプリメントを摂取して「痛みが楽になった」と感じる場合、成分の薬理的な効果ではなく、「プラセボ(プラシーボ)効果」が影響している可能性も指摘されています。

プラセボ効果とは、有効成分が入っていない偽薬を飲んだ場合でも、「効くはずだ」という期待や思い込みによって、実際に症状が改善する現象を指します。

これは「気のせい」と単純に片付けられるものではなく、脳が期待に反応して痛みを緩和する物質を出すなど、実際に体感が変化する心理的な作用です。

「高価なサプリメントを飲んでいる」「毎日ケアを続けている」という安心感や期待感が、痛みの感じ方を和らげているケースも考えられるでしょう。

科学的根拠が乏しいとされる背景には、この心理的要因が統計結果に影響を与えている可能性も考慮されています。

グルコサミンやコンドロイチンの摂取による副作用

グルコサミンやコンドロイチンは、健康食品として適切に摂取する場合、重篤な副作用の報告はまれです。

しかし、体質や摂取量によっては軽度な胃腸症状(胸やけ、吐き気、下痢など)が起こる可能性が指摘されています。

とくに注意したい点として、以下の項目が挙げられます。

項目 詳細
甲殻類アレルギー 甲殻類アレルギーを持つ方は、アレルギー反応を引き起こす可能性がある
持病や服用中の薬との相互作用 糖尿病(血糖値)への影響や、血液を固まりにくくする薬(ワルファリンなど)との相互作用が懸念される
過剰摂取 目安量を超えた過剰な摂取は、胃腸症状などを引き起こす原因となる

健康食品全般に言えることですが、目安量を超えた過剰な摂取は、胃腸症状などを引き起こす原因にもなりかねません。

製品に記載されている摂取目安量を守ることが大切です。

また、アレルギーや持病がある方は、摂取前に必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

グルコサミンとコンドロイチンの違いについてよくある質問

グルコサミンとコンドロイチンに関しては、両者の併用や、最近注目されるプロテオグリカンとの違いについて多くの疑問が寄せられます。

これらの成分は働きが異なるため、どちらか一方を選ぶべきか、あるいは一緒に摂るべきか悩む方もいるでしょう。

以下では、上記のよくある疑問について、一つずつ解説していきます。

グルコサミンとコンドロイチンを一緒に飲むとどうなる?

グルコサミンとコンドロイチンは、それぞれ軟骨に対する役割が異なるため、一緒に摂取することで相乗効果が期待できると考えられています。

グルコサミンが軟骨成分の「原料」となり、コンドロイチンがその軟骨に「水分」を与えてクッション性を保つ、という関係です。

市販のサプリメントの多くが、二つの成分を一緒に配合しているのは、上記のような働きを補い合うことを期待してのものです。

ただし、先述の通り、これらを併用した場合でも、関節痛への効果については、科学的根拠が十分ではない状況であることは理解しておきましょう。

グルコサミンとコンドロイチンとプロテオグリカンの違いは?

グルコサミンとコンドロイチンが軟骨の「原料」や「材料」であるのに対し、プロテオグリカンはそれらが組み合わさってできた「軟骨の主成分そのもの」である点が大きな違いです。

それぞれの役割を簡潔にまとめると、以下のようになります。

成分名 役割・イメージ
グルコサミン プロテオグリカンなどの軟骨成分を作るための「原料」
コンドロイチン 軟骨の「保水・クッション材」の役割も担い、プロテオグリカンの一部を構成する
プロテオグリカン コンドロイチンなどが集まってできた「軟骨の主成分」

プロテオグリカンは、中心となるタンパク質に、コンドロイチンなどの成分が多数結合した大きな分子です。

グルコサミンは、このプロテオグリカンを構成する成分(コンドロイチンなど)を作るための原料となります。

以前はプロテオグリカンを抽出するのは困難でしたが、近年は技術が進み、サケの鼻軟骨などから抽出したものがサプリメントにも利用されています。

グルコサミンとコンドロイチンはどちらが良い?

グルコサミンとコンドロイチンは期待される役割が異なるため、一概にどちらが良いとは言えません。

グルコサミンは軟骨の「原料」、コンドロイチンは軟骨の「保水・弾力維持」という役割を担っているためです。

どちらか一方の成分を選ぶよりも、両者を一緒に摂取する、あるいは両方が配合された製品を選ぶという考え方が一般的です。

ただし、サプリメントはあくまでも日々の食生活を補う「健康食品」であり、医薬品のように病気の治療や痛みの改善を保証するものではありません。

関節の痛みが強い場合や長引く場合は、サプリメントに頼るのではなく、まずは医療機関を受診しましょう。

グルコサミンとコンドロイチンは関節痛に効果なしの可能性が高い

グルコサミンやコンドロイチンは、関節痛の改善に明確な効果を持つという質の高い科学的根拠(エビデンス)が、十分ではないとされています。

そのため、サプリメントとして摂取しても「効果は期待できない可能性が高い」というのが、多くの医学的な見解です。

グルコサミンやコンドロイチンは、もともと体内の軟骨に含まれる成分ですが、サプリメントを経口摂取した場合に、そのまま関節に届いて軟骨を再生したり、痛みを和らげたりするかは別問題です。

サプリメントは「医薬品」ではなく「健康食品」としての位置づけであり、痛みの治療を目的として頼るには不確実性が高いと考えるのが妥当でしょう。

つらい関節痛にお悩みの方は、再生医療による治療も選択肢の一つです。

再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて自然治癒力を高めることで、炎症抑制や損傷した関節の再生・修復を促す医療技術です。

「関節痛を早く治したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、当院リペアセルクリニックにご相談ください。

監修者

岩井 俊賢

Toshinobu Iwai

医師

略歴

2017年3月京都府立医科大学 医学部医学科卒業

2017年4月社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 初期研修医

2019年4月京都府立医科大学附属病院 整形外科

2020年4月医療法人啓信会 京都きづ川病院 整形外科

2021年4月一般社団法人愛生会 山科病院 整形外科

2024年4月医療法人美喜有会 リペアセルクリニック大阪院 院長