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アキレス腱が切れたらどうなる?放置するリスクや応急処置・治療法を解説【医師監修】

アキレス腱断裂とは、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐアキレス腱が切れてしまう怪我で、スポーツ中や日常動作の際に突然受傷することがあります。
放置すると歩行障害や慢性的な痛みにつながる可能性があり、早期回復を目指すには、適切な応急処置や早めの医療機関受診が重要です。
この記事では、アキレス腱が切れたときの症状から応急処置、治療法まで詳しく解説します。
アキレス腱断裂の症状でお悩みの方は、ぜひ最後まで読んで適切な対処法を理解しましょう。
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目次
アキレス腱が切れたときの症状
アキレス腱断裂時に現れる特徴的な症状として、以下の3つがあります。
これらの症状を正しく理解して、ご自身の状況を把握しましょう。
ふくらはぎに強い痛みが生じる
アキレス腱が切れた瞬間は、激しい痛みとともに足に力が入らなくなります。
痛みに関しては、以下の特徴があります。
- ふくらはぎからかかとにかけて突然激しい痛みが起こる
- まるで後ろから蹴られたような強い衝撃を感じる
- 痛みは断裂直後が最も強く、その後徐々に和らぐ場合がある
- 歩こうとすると痛みが増す
「後ろから強く蹴られたような衝撃」を感じた場合は、アキレス腱を断裂しているかもしれません。
※参考:日本整形外科スポーツ医学会
強い衝撃や「ブチッ」という音がする
アキレス腱が断裂するときは、腱が切れる瞬間に特徴的な音や衝撃を生じます。
- 断裂の瞬間に「ブチッ」「パンッ」という音が聞こえる
- 周囲の人にも音が聞こえることがある
- 音と同時に強い衝撃を感じる
- 音がしない場合もある
ただし、すべての場合で音がするわけではないため、他の症状と合わせて総合的に判断する必要があります。
つま先立ちや歩行が困難になる
アキレス腱が切れると、ふくらはぎの筋肉の力がかかとの骨に伝わらなくなり、以下のような機能障害が現れます。
- つま先立ちができなくなる
- 正常な歩行が困難になり、足を引きずるような歩き方になる
- 階段の上り下りがとくに困難
- 足首を下に向ける動作(底屈)の力が著しく低下する
これらの機能障害により、日常生活に大きな支障をきたすため、すぐに医療機関を受診しましょう。
※参考:兵庫医科大学病院
アキレス腱が切れたまま放置するリスク
アキレス腱断裂を放置すると、さまざまな合併症や長期的な機能障害が生じる可能性があります。
早期治療の重要性を理解するために、放置するリスクを確認しておきましょう。
- 歩行機能の永続的な低下
- ふくらはぎの筋力低下と筋萎縮
- 足首の可動域制限
- 慢性的な痛みと腫れ
- バランス感覚の悪化
- 他の足や腰への負担増加
- スポーツ復帰の困難さ
アキレス腱断裂は自然に治癒することはなく、適切な治療なしでは機能回復は期待できません。
放置期間が長くなるほど治療が複雑になり、完全な機能回復も困難になるため、症状に気づいたら速やかに医療機関を受診することが大切です。
アキレス腱が切れたときの応急処置
アキレス腱断裂が疑われる場合の応急処置について知っておくことで、症状の悪化を防げます。
断裂直後に行うべき応急処置として以下の2つがあります。
これらの応急処置を適切に行うことで、さらなる損傷を防ぐことにつながります。
足首を固定する
アキレス腱断裂が疑われる場合は、足首を動かさないよう固定することが重要です。
タオルや包帯、副木などを使用し、つま先立ちの状態で足首を固定しましょう。
固定する際は、足首を少し下に向けた状態(底屈位)で固定することで、切れたアキレス腱の両端が近づき、さらなる断裂や損傷の拡大を防げます。
固定が困難な場合は、とにかく足首を動かさないよう注意してください。
運動を中止して安静にする
アキレス腱断裂が疑われたら、直ちに運動を中止して安静を保つことが重要です。
無理に歩行を続けると断裂がさらに拡大し、治療が困難になる可能性があります。
また、断裂直後はアイシングによって炎症を抑制することも効果的です。
氷や冷たいタオルを患部に当てて、10~15分ほど冷却しましょう。ただし、直接氷を当てると凍傷の危険があるため、タオルで包んでから使用してください。
痛みが落ち着いたら速やかに医療機関を受診しましょう。
アキレス腱が切れたときの治療法
アキレス腱断裂の主な治療法として、以下の3つがあります。
それぞれの治療法には特徴があるため、医師と十分に相談して選択しましょう。
保存療法
保存療法は、手術を行わずにギプスや装具を使用してアキレス腱の回復を図る治療法です。
断裂したアキレス腱が離れないように、足首をつま先立ちの方向に固定した状態でギプス固定を行います。
治療期間は約8~12週間で、段階的にギプスから装具に変更しながら、徐々に歩行練習を開始します。
手術に比べて細菌感染のリスクがなく、体への負担が少ないことが大きなメリットです。
手術療法
手術療法は、断裂したアキレス腱を直接糸で縫合して修復する治療法です。
手術により断裂部位を確実に接合できるため、保存療法と比較して再断裂のリスクが低く、早期の機能回復が期待できます。
ただし、手術をしてもすぐにスポーツができるわけではなく、保存療法と同様に専用装具を使った治療期間が必要です。
また、手術には細菌感染や麻酔に関するリスクも伴う点は覚えておきましょう。
再生医療
再生医療は、幹細胞を用いて、断裂したアキレス腱の再生・修復を促進する医療技術です。
患者さま自身から採取・培養した幹細胞を注射で患部に投与するため、手術を必要としません。
アキレス腱断裂の手術に不安を感じている方にとって、身体への負担が少ない新たな選択肢です。
入院の必要もないため、日常生活を送りながら治療を受けられるだけでなく、患者さま自身の幹細胞を使用するため、拒絶反応のリスクが低いのも特徴です。
アキレス腱断裂に対する再生医療について、詳しく知りたい方は以下のページもご覧ください。
スポーツ外傷は⼿術しなくても治療できる時代です。
アキレス腱が切れたときによくある質問
アキレス腱が切れたときによくある質問を紹介します。
適切な対処をするためにも、正しく理解することが大切です。
アキレス腱が切れたら歩けない?
アキレス腱が完全に断裂した場合、正常な歩行は困難になりますが、全く歩けなくなるわけではありません。
多くの方は足を引きずるような歩き方で移動できますが、つま先立ちや階段の上り下りは難しくなります。
部分断裂の場合は、痛みを我慢すれば歩行できる場合もありますが、無理に歩き続けると完全断裂に進行する危険性が高いです。
アキレス腱断裂は自然治癒する?
アキレス腱の完全断裂は自然治癒しないため、適切な治療を受ける必要があります。
治療を受けなければ、断裂したアキレス腱がくっつくことはなく、機能の回復も期待できません。
軽度の部分断裂の場合は、適切な安静と患部固定により自然治癒する可能性がありますが、医師による適切な診断・治療が必要です。
アキレス腱断裂が疑われる場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けましょう。
アキレス腱が切れたら早期に医療機関を受診しよう
アキレス腱断裂は、適切な治療により機能回復が十分に期待できる怪我です。
重要なのは、早期診断と適切な治療を受けることであり、症状を感じたら速やかに医療機関を受診することが大切です。
現在は保存療法、手術療法、再生医療など複数の治療選択肢があり、患者さまの状況や希望に応じた方法を選択できます。
とくに、再生医療は患者さまの幹細胞を用いて、手術せずにアキレス腱断裂の改善が期待できます。
アキレス腱断裂でお悩みの方は、一人で不安を抱えず、まずは専門医に相談して適切な治療方針を決めていきましょう。
再生医療をご検討の方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。

監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設