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脊髄梗塞は治る?後遺症の症状と回復を目指す治療・リハビリ法を解説

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公開日: 2025.09.30

脊髄梗塞とは、脊髄の血管が詰まることで脊髄組織が壊死する疾患です。

突然の激しい背中の痛みから始まり、発症後は手足の麻痺や感覚障害、排尿障害などの重篤な後遺症が残ることがあります。

「脊髄梗塞と診断されたが、本当に治るのか」「歩けるようになる可能性はあるのか」と不安に感じている方やご家族も多いのではないでしょうか。

この記事では、脊髄梗塞の治癒の可能性と回復見込み、治療法を詳しく解説します。

脊髄梗塞の現実を理解しながらも、回復への希望を持てるよう、現在利用できる治療選択肢を確認していきましょう。

従来の治療法に加えて、近年注目されている再生医療という新しい選択肢もあります。

再生医療は、患者さま自身の幹細胞を活用して、損傷を受けた脊髄の機能改善を目指す治療法です。

症例や治療法について詳しくは、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEで紹介しているので、ぜひご登録ください。

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脊髄梗塞に対する再生医療については、以下の動画でも紹介しております。

脊髄梗塞の完治は難しい【結論】

脊髄梗塞の完全な回復は医学的に困難とされており、多くの場合で何らかの後遺症が残ります。

これは一度壊死した脊髄組織の自然再生が困難なためです。

しかし、適切な治療とリハビリにより、日常生活に必要な機能の改善や維持は期待できます。

完治を目指すのではなく、現在の機能を最大限活かし、生活の質を向上させることが現実的な治療目標となります。

なお、脊髄梗塞は比較的まれな疾患で、脳卒中患者の約1/50~1/100程度の発症率とされています。
※出典:J-STAGE

脊髄梗塞の後遺症の症状について

脊髄梗塞の後遺症は発症した脊髄の部位により異なりますが、主に以下の症状があります。

  • 手足の運動障害(麻痺や筋力の低下)
  • 感覚障害(痛みや温度を感じにくくなる)
  • 膀胱直腸障害(尿や便のコントロールが困難)
  • 歩行困難(車椅子が必要になる場合もある)
  • 日常生活動作の制限(食事や更衣などが困難)

これらの症状は発症初期が最も重く、時間の経過とともに一定の改善が見込まれることがあります。

とくに発症から1~2日以内の早期治療の開始が症状改善に重要とされています。

症状の程度は個人差が大きく、軽度な場合は数週間から数ヶ月で大幅な改善を示す方もいれば、重度の後遺症が長期間続く方もいます。

医師と相談しながら、個別の状況に応じた治療計画を立てることが大切です。

脊髄梗塞患者の約7割は歩けるようになる可能性がある

早期からリハビリに取り組めば、脊髄梗塞患者の約7割は歩けるまで回復する可能性があります。
※出典:JCHO大阪病院

完全に自力歩行できるようになる方から、歩行補助具を使用して歩けるようになる方まで、回復のパターンは様々です。

発症直後は車椅子が必要だった患者さまでも、リハビリを継続することで徐々に歩行能力が改善するケースが多く見られます。

回復には時間がかかるため、諦めずに治療・リハビリを続けることが大切です。

脊髄梗塞の治療法|症状に応じたアプローチ

脊髄梗塞の治療は症状に応じて、以下のようなアプローチが必要です。

これらの治療法を組み合わせることで、患者さま一人一人の状態に適した治療を提供できます。

リハビリ

リハビリでは、失われた身体機能の回復を目指します。

主なリハビリ内容は以下の3つです。

リハビリ 内容
理学療法 麻痺した筋肉の筋力維持や歩行訓練
作業療法 日常生活に必要な動作の訓練
言語聴覚療法 安全に食べ物を飲み込むための訓練や話す機能の改善

リハビリの効果を高めるためには、継続的な取り組みが必要です。

回復のペースには個人差がありますが、諦めずに続けることで改善の可能性があります。

血行再建術

血行再建術は、詰まった血管を開通させたり、新しい血流路を作ったりする外科的治療法です。

脊髄梗塞では、脊髄を栄養する動脈の狭窄や閉塞が原因となるため、血流を改善することで脊髄組織のさらなる損傷を防ぎます。

治療法 内容
血栓内膜剥離術 血管の内側が厚くなって血流を妨げている部分を直接取り除く手術
バイパス手術 狭窄または閉塞した動脈に対して新しい血流路を作成する手術
血管内治療 カテーテルを使用した低侵襲治療(血管拡張術・ステント留置術)

血行再建術の適応は、患者さまの全身状態、血管の狭窄程度、年齢、発症からの経過時間などを総合的に判断して決定されます。

基本的には日常生活が自立していることが条件となります。

手術には一定のリスクも伴うため、専門医による十分な検査と慎重な検討が必要です。

脊髄梗塞が疑われる症状が現れた場合は、治療効果を高めるために速やかに医療機関を受診しましょう。

血栓溶解療法

血栓溶解療法は、薬剤を使用して血管内の血の塊を溶かす治療法です。

発症から6~8時間以内の実施が望ましいとされており、早期の血流回復を目指します。

時間との勝負となる治療のため、症状が現れたら一刻も早い受診が重要です。

治療前には詳細な検査が必要で、以下のような方は治療を受けられない場合があります。

  • 最近手術を受けた方
  • 消化管出血の既往がある方
  • 重篤な肝機能障害がある方
  • 妊娠中の女性
  • 血圧が極端に高い方

血栓溶解療法により血流が改善されると、脊髄組織への酸素と栄養の供給が回復し、症状の進行を防ぐ効果が期待できます。

脊髄梗塞の後遺症には再生医療も選択肢の一つ

脊髄梗塞は完全な回復は困難とされていますが、リハビリや急性期治療により一定の改善は期待できる疾患です。

脊髄梗塞の完治を目指すのは現在の医学では困難ですが、後遺症による日常生活の制限や痛みに悩まされている方にとって、新たな治療選択肢として再生医療があります。

再生医療は、患者さまの幹細胞を使用して損傷した組織の修復を促す医療技術です。

手術を必要とせず、点滴による治療が可能で、患者さまの身体的負担も軽減できる特徴があります。

また、患者さま自身の幹細胞を使用するため、拒絶反応のリスクが低いことも利点の一つです。

再生医療の詳細や症例については、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEで紹介しているので、ぜひ登録いただき詳しい情報をご確認ください。

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監修者

岩井 俊賢

Toshinobu Iwai

医師

略歴

2017年3月京都府立医科大学 医学部医学科卒業

2017年4月社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 初期研修医

2019年4月京都府立医科大学附属病院 整形外科

2020年4月医療法人啓信会 京都きづ川病院 整形外科

2021年4月一般社団法人愛生会 山科病院 整形外科

2024年4月医療法人美喜有会 リペアセルクリニック大阪院 院長