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- 離断性骨軟骨炎
「離断性骨軟骨炎は本当に治るの?」「スポーツ復帰はいつできるの?」と不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。 離断性骨軟骨炎は、関節軟骨の下にある軟骨下骨が骨壊死し、関節の疲労感や脱力感、可動域の制限などの症状が現れる疾患です。 一般的に、離断性骨軟骨炎が完治する期間は6カ月以上が目安です。 本記事では、離断性骨軟骨炎が完治する期間やリハビリ期間、日常生活に復帰するまでの流れなどを解説します。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、離断性骨軟骨炎による痛み症状の改善が期待できる再生医療の治療法や症例を公開中です。 症状が強くなり完治までの治療期間が長引いてしまう前に、再生医療とはどのような治療かご確認ください。 離断性骨軟骨炎が完治する期間は6カ月以上が目安 離断性骨軟骨炎が完治する期間は、6カ月以上が一般的な目安です。 この項目では、離断性骨軟骨炎が完治する期間を治療方法ごとに紹介します。 保存療法による完治期間 手術療法による完治期間 離断性骨軟骨炎は、関節軟骨の下にある骨が壊死し、骨片としてはがれ落ちて痛みや関節の動きに制限を引き起こすスポーツ障害です。 思春期から青年期のスポーツ選手の肘・膝・足関節に起こりやすいことで知られています。 そのため、将来にわたってスポーツや日常生活に支障を残さないためにも、焦らずに完治を目指しましょう。 保存療法による完治期間 保存療法による完治期間は、年齢や病変の大きさによって異なりますが、一般的には6カ月以上〜1年程度かかることが多いとされています。 膝に発症した若年患者に対して運動制限を行ったところ、約58%の症例が平均8.1カ月で治癒した※というデータがあります。 ※参照:J-Stage「若年型膝離断性骨軟骨炎に対する保存療法の治療影響因子」 また、年齢が低く症状が軽いほど治りやすい傾向があることもわかりました。 そのため、保存療法で早い完治を目指すには、病変が進行する前に早期に発見し、治療を始めることが重要です。 なお、保存療法の内容は、以下の通りです。 運動制限 離断性骨軟骨炎の原因となったスポーツや負荷の高い運動を休んで安静にする リハビリテーション 筋力の強化や可動域の維持を目指す 装具の使用 患部に負担をかけないように松葉杖やギプスなどを使用する 保存療法は比較的軽度の症例に適していて、早期に開始すれば手術を回避できる可能性があります。 症状に気づいたら、できるだけ早く専門医を受診しましょう。 手術療法による完治期間 離断性骨軟骨炎の手術療法による完治期間は、約6カ月から10カ月が目安です。 膝に発症した離断性骨軟骨炎に対し手術を行った場合、剥がれかけた骨が再び癒合するまでの期間※は、以下のように報告されています。 ※出典:J-Stage「膝離断性骨軟骨炎に対する手術的治療実績」 グレード グレードの症状 骨が再びくっつくまでの期間 グレード1 レントゲンで骨の硬化がみられる 平均約4.5±1.4カ月 グレード2 軟骨下に病変がある グレード3 軟骨表面が剥がれかかっている 平均6.5±5カ月 軽度から中等度の症状であれば、手術後およそ半年ほどで癒合している例があることがわかります。 ただし、グレード3では個人差が大きく、回復に10カ月程度かかる場合もあるため、焦らず計画的にリハビリを行うことが大切です。 手術療法は、保存療法で改善がみられない場合やステージ3以上に症状が進行している場合に検討されます。 主な離断性骨軟骨炎の手術内容は、下記の通りです。 内固定術 剥がれた組織をピンやプレートなどで固定する マイクロフラクチャー法 軟骨の損傷部位に小さな穴をあけて刺激し、損傷部に骨髄液を流出させて修復を促す 自家骨軟骨移植術 患者さまの正常な骨と軟骨を採取し、損傷した部分に移植する 手術療法では治癒まで半年〜10カ月ほどかかることが一般的ですが、適切な術式とリハビリで、スポーツへの復帰が見込めます。 治療後の経過観察を怠らず、専門医と相談しながら無理のないスケジュールで回復を目指しましょう。 離断性骨軟骨炎のリハビリ期間と日常生活復帰までの流れ 離断性骨軟骨炎の治療では、日常生活やスポーツへの復帰を目指す上で、適切なリハビリが重要です。 保存療法では、通常1〜2カ月で痛みが軽減し始め、少なくとも3カ月以上の安静が推奨されます。 回復の段階に応じて、関節の可動域を広げる訓練や筋力トレーニングを行います。 手術を受けた場合も、関節の動きを回復させ筋力を強化するために、段階的なリハビリが欠かせません。 下記は、膝の離断性骨軟骨炎に対する手術後リハビリと回復の流れ※の一例です。 ※出典:J-Stage「膝離断性骨軟骨炎に対する骨軟骨移植術後の理学療法」 期間 リハビリについて 手術後3~4週間 部分的に体重をかけ、骨の癒合を促す 手術後5~7週間 全体重をかけて日常動作の回復を目指す 手術後8週間 膝の可動域や筋力が、手術前以上に向上する 手術後12週 スポーツ動作が可能になる 手術後約1年 スポーツに復帰 日常生活や運動への復帰は自己判断せず、必ず医師や理学療法士の指導を受けましょう。 離断性骨軟骨炎を早く治すには早期発見・治療が重要 離断性骨軟骨炎をできるだけ早く治すためには、早期発見と早期治療が欠かせません。 肘・膝・足などの関節に以下のような症状がある場合は、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。 関節の違和感や脱力感 運動時の痛みや動きの制限 患部が腫れ、曲げ伸ばしができない レントゲンや超音波の検査では、骨や軟骨の状態を詳細に確認できます。 たとえ痛みがなくても、画像検査によって軟骨の損傷が見つかる場合があります。 野球・サッカー・バスケットボールなど、繰り返し関節に負担がかかるスポーツをしている方は、とくに注意が必要です。 関節の違和感や脱力感がある際は、検査を受けましょう。 症状が軽いうちに離断性骨軟骨炎を発見できれば、完治までの期間を短縮できる可能性が高くなります。 離断性骨軟骨炎の再発予防法 離断性骨軟骨炎の再発予防法は、以下の通りです。 医師の指導のもとで適切な治療を受ける リハビリの進行状況に合わせて、運動の負荷を徐々に増やす サポーターで関節を保護する 定期的に整形外科で検査を受ける 離断性骨軟骨炎の再発を防ぐには、症状や年齢に応じた適切な対応が欠かせません。 とくに9歳以下の小児では、離断性骨軟骨炎の発症や再発のリスクが高い※と報告されています。 ※出典:大阪公立大学「9歳以下は保存療法も考慮が必要か? 離断性骨軟骨炎の発症・再発リスクを検証」 そのため、年齢が低いお子さまほど、治療法の選択とリハビリ計画が非常に重要です。 また、スポーツの復帰の際は、痛みがなくなったからといって自己判断で運動を再開するのは危険です。 可動域や筋力の状態に応じて、段階的に運動量を増やすことが再発の予防につながるので、医師や理学療法士の指示に従いましょう。 さらに、定期健診を受けるのも重要です。 離断性骨軟骨炎の症状が再発していても、初期段階では痛みが出ないことがあります。 そのため、症状が落ち着いていても、定期的な画像検査によるフォローアップが重要です。 離断性骨軟骨炎の完治期間についてよくある質問 離断性骨軟骨炎の完治期間についてよくある質問は以下の2つです。 離断性骨軟骨炎の手術による後遺症はある? 離断性骨軟骨炎はスポーツ復帰できる? 今後の復帰プランにお役立てください。 離断性骨軟骨炎の手術による後遺症はある? 離断性骨軟骨炎の手術後には、関節の動かしにくさや慢性的な痛みなどの後遺症が生じることがあります。 足首や肘に発症した場合、手術によって一時的に症状が改善しても、時間が経つと再び痛みや可動域の制限が現れることがあると報告されています。 離断性骨軟骨炎の手術による後遺症の主な原因は、術後に関節へ過度な負荷がかかったことや、リハビリが適切に行われなかったこと、軟骨片の固定が不十分であったことなどが挙げられます。 離断性骨軟骨炎の術後は、関節への負担を避けながら段階的にリハビリを進めることが重要です。 固定した軟骨片が安定するまでの期間は個人差があるため、痛みが軽減したからといって自己判断で運動を再開するのは避けましょう。 離断性骨軟骨炎はスポーツ復帰できる? 離断性骨軟骨炎は、適切な治療とリハビリを受ければスポーツに復帰できます。 完治には一般的に6カ月以上かかるため、焦らず段階的に回復を進めることが重要です。 競技レベルでの本格的な復帰には、数カ月から1年程度を見込む必要があり、痛みが軽減してもすぐに再開するのは避けましょう。 再発防止のためにも、医師の指導のもとで復帰スケジュールを立て、完治を確認してから競技に戻ることが大切です。 離断性骨軟骨炎の完治期間を短くするには再生医療も検討しよう 離断性骨軟骨炎は、症状によっては復帰までに6カ月以上かかることもあります。 完治期間を短くするには早期発見と適切な治療、段階的なリハビリが欠かせません。 定期的な画像検査を行うことで、痛みなどの自覚症状がなくても早期に発見でき、治療期間の短縮が期待できます。 さらに、近年では再生医療という治療の選択肢もあります。 再生医療とは、患者様自身の細胞や血液を使用して損傷した組織の修復を目指す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 スポーツしていて早期復帰を希望する方 薬剤アレルギーがあり、治療に不安のある方 慢性化した症状を完治させたい方 継続的にステロイド治療を受けている方 点滴や注射など通院のみで治療できる場合があるので、手術を避けたい方や、より早い回復を目指す方にも選ばれています。 再生医療の治療法や症例について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/
2019.07.05 -
- 離断性骨軟骨炎
子供が膝の痛みを訴えている場合、一般的に疑われるのは成長痛ではないでしょうか。 しかし、運動をしている子供の場合は、離断性骨軟骨炎という疾患の可能性があります。 本記事では、子供の膝の痛みの原因となる「離断性骨軟骨炎」について詳しく解説します。 この疾患の病態について網羅的に紹介します。 早期発見と適切な治療が将来のスポーツ活動継続のカギとなるため、お子さんの膝の痛みに気づいたら参考にしていただければ幸いです。 子供の膝でも起こる離断性骨軟骨炎の症状と原因 膝の痛みに悩む子供たちの中には、離断性骨軟骨炎が原因であるケースが少なくありません。 この病気は10代前半の成長期に多く見られ、特にスポーツ活動を積極的に行う子供たちに発症しやすい特徴があります。 本章では、以下の内容について詳しく解説します。 離断性骨軟骨炎の病態 離断性骨軟骨炎の主な症状 離断性骨軟骨炎が発症してしまう主な原因 子供の将来のため、親御さんが症状や原因を理解しておくことが重要です。 離断性骨軟骨炎の病態 離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)とは、関節の中で軟骨とその下にある骨(軟骨下骨)が一部剥がれてしまう病気です。 血流障害によって軟骨下骨が壊死し、進行すると骨軟骨片となって関節内に遊離してしまいます。 成長期の子供、特に10代前半に多く発症し、男女比は男子の割合が多く約2:1です。 膝関節での発生部位としては、大腿骨内側が約85%を占め、大腿骨外側が約15%、そしてまれに膝蓋骨(膝のお皿)にも見られます※。 ※出典:順天堂大学医学部附属順天堂医院 整形外科・スポーツ診療科 また、大腿骨外側に発症した場合、円板状半月(えんばんじょうはんげつ)という状態を合併することがある※ため注意が必要です。 離断性骨軟骨炎の主な症状 子供の離断性骨軟骨炎における症状は、病気の進行段階によって異なります。 初期の症状 運動後に感じる膝の不快感や鈍い痛み 休息すると症状が和らぐことが多い この段階では骨軟骨部分はまだ完全に剥離していないため見過ごされやすい傾向があります。 しかし、痛みを放置していると症状が進行するリスクがあるため、注意が必要です。 進行した場合の症状 痛みが強くなり、スポーツ活動に支障をきたす 膝を動かすときに引っかかり感や異音が生じる また、骨軟骨片が関節内に挟まると、膝が突然ロックして動かなくなる「ロッキング現象」を起こすこともあります。 離断性骨軟骨炎が発症してしまう主な原因 離断性骨軟骨炎の主な原因は、スポーツなどで繰り返し関節にかかる負荷や、思春期の急速な成長です。 同じスポーツを長期間続けていると関節にストレスがかかり、軟骨の下にある骨にダメージが蓄積されていきます。 例えば肘や膝などの関節で、いつも同じ場所に負担が加わると、軟骨や骨に向かう血液の流れが悪くなります。 血流が滞ると障害を受けた骨の一部は壊死してしまう、というメカニズムです。 また、成長期の子供は骨の成長と血流のバランスが崩れやすく、離断性骨軟骨炎を発症するリスクがあります 離断性骨軟骨炎の診断方法 離断性骨軟骨炎の診断は、症状の問診と画像検査を組み合わせて行われます。 初期の段階では通常のレントゲン検査で異常が見つかりにくいため、見落とされることがあります。 より正確な診断にはMRI検査が重要で、骨軟骨片の状態や剥離の程度を確認可能です。CTスキャンも骨の状態評価に役立ちます。 また、関節液の検査や関節鏡検査を行うこともあり、特に関節鏡は病変部を直接観察できるため、診断と治療を同時に行える利点があります。 早期発見が治療成績を左右するため、子供の膝の痛みが続く場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 スポーツ復帰の鍵になる離断性骨軟骨炎の治療法 離断性骨軟骨炎の治療法としては、主に次の2つがあります。 保存療法 手術療法 それぞれの治療法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は主に骨軟骨片がまだ完全に剥離していない初期段階で選択されます。 主に次の治療を行います。 安静・スポーツ制限 荷重制限・装具療法 物理療法・リハビリテーション まずは症状を悪化させる可能性のある運動を控えて安静にします。発育期の子供は、安静により自然治癒する可能性があります。 また、膝への体重負荷を軽減するため、松葉杖の使用や膝装具の装着も有効です。特に大腿骨内側で発症している場合は膝装具が効果的とされています。 物理療法とリハビリテーションの内容は、主に痛みを緩和させるための低出力超音波やストレッチ、筋力低下を防ぐためのトレーニングです。太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)の強化が重要です。 保存療法は多くの場合で6ヶ月以上は継続し、定期的なMRI検査などで骨軟骨片の状態を確認しながら進めていきます。 症状の改善と画像所見の回復が見られれば、段階的にスポーツ活動への復帰を目指せるでしょう。 手術療法 保存療法で効果がない場合や早期スポーツ復帰を目指す場合には手術が検討されます。 手術名 内容 鏡視下ドリリング術 初期段階(骨軟骨片が剥離していない時期)に適応 病変部に小さな穴を開け血流改善を促す 低侵襲で日帰り手術も可能 骨軟骨片固定術 剥離した骨軟骨片の状態が良好な場合 生体吸収性ピンや骨釘で固定 術後2~3週間のギプス固定が必要 自家骨軟骨柱移植術 骨軟骨片が変性して再利用できない場合 膝から健康な骨軟骨を採取して移植 広範囲の欠損にも対応可能 鏡視下郭清術 1cm以下の小さな病変に適応 剥離した骨軟骨片を切除 侵襲が少ないが長期的な関節変形リスクあり 手術後は通常4ヶ月で軽い運動、6ヶ月程度で投球開始を目指します。再発防止のためのフォーム指導も重要です。 また、手術を伴わない治療法として、再生医療という選択肢もあります。 患者さま自身の幹細胞や血液を用いる再生医療について、詳しく知りたい方は以下のページもあわせてご覧ください 離断性骨軟骨炎の予防方法 離断性骨軟骨炎を予防するためには、膝・肘・足関節への過度な負荷を避けることが重要です。 適切な練習量の調整 正しいフォームの習得 サポーターの活用 定期的な検診 まずは無理のない練習量とし、負荷がかからないよう正しい運動フォームの習得に努めましょう。 負荷を軽減するためのサポーターの装着も効果的です。 さらに早期発見のために、少しでも違和感があれば医療機関を受診しましょう。 まとめ:子供の膝の痛みに気づいたら早めに医療機関へ 離断性骨軟骨炎は10代前半の成長期に多く見られる疾患で、スポーツを積極的に行う子供に発症しやすい特徴があります。 初期症状は運動後の軽い痛みから始まり、進行すると膝の引っかかりやロッキング現象を引き起こします。 原因は繰り返しの関節負荷や成長期特有の血流障害です。 治療は保存療法から手術療法まで病期に応じて選択され、早期発見・早期治療が将来のスポーツ活動継続のカギとなります。 また、予防には適切な練習量の調整とフォーム習得が重要です。 子供の膝の痛みを「成長痛」と安易に判断せず、違和感があれば早めに専門医に相談しましょう。 手術を伴わない治療法をお探しの方は、再生医療も治療の選択肢となります。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。
2019.07.05