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- 離断性骨軟骨炎
スポーツ選手や選手を目指す人が発症しやすい離断性骨軟骨炎は、同じ部分に繰り返し負担がかかることで起こる病気です。 症状が進むと手術が必要になることもあり、その後の活躍に影響を及ぼすことも懸念されますから、きちんと治療を受けることが必要です。 そこで今回は、離断性骨軟骨炎の治療について解説していきます。 こちらもご参照ください 離断性骨軟骨炎の治療期間 離断性骨軟骨炎は、初期のうちに発見し、治療を開始することが望ましいです。 特に、子どもの場合はまだ骨が成長途中ですので、きちんと治療すれば完治しやすいのです。 初期のうちならサポーターやテーピングで関節を固定する、数ヶ月間安静にすることで症状は軽減されていきます。 治療期間は大体3~6ヶ月、症状によっては1年以上になります。 この期間は発症の原因となった運動は制限されます。長期間運動を禁止されるのは辛いと思いますが、この期間にしっかり休むことで症状が完治する可能性が高くなります。 離断性骨軟骨炎で手術による治療を行う場合とは 大人が離断性骨軟骨炎になった場合は手術が必要になることが多いです。 子どもでも、重症な離断性骨軟骨炎は手術による治療となります。 手術と聞くと大がかりなイメージがありますが、離断性骨軟骨炎の手術は内視鏡を使って行うため、体にかかる負担は少ないです。 内視鏡手術は切開する箇所も小さく、術後も早期の回復が可能です。 軟骨の状態によっては、関節内にある軟骨の欠片を取り除いた後、自然に吸収されるピンで軟骨を固定する場合もあります。 離断性骨軟骨炎を早期治療するには 先ほども述べましたが、離断性骨軟骨炎はなるべく早期のうちに治療することが望ましいです。 そのためには、気になる症状があったら医療機関で検査を受けるようにしましょう。 レントゲン写真や超音波エコーなど、画像検査で骨の状態を知ることができますし、もし離断性骨軟骨炎の自覚症状がなくても、画像検査で軟骨がはがれ落ちているかどうかが分かります。 症状がない時期に見つけることができれば、完治させられる可能性も高いです。スポーツをしている人は、定期的に画像検査を受けることをおすすめします。 まとめ 離断性骨軟骨炎は、重症化すると手術治療が必要になりますし、あまりに軟骨の状態がひどい場合は、選手生命を絶たれることもあります。 最悪の事態を防ぐためには、早期発見することが大切です。 離断性骨軟骨炎は、定期的に画像検査を受けることで早期発見することができます。発見が早ければ早いほど確実に治療することが可能ですので、症状がなくても検査を受けることを心掛けましょう。 監修:院長 坂本貞範
2019.07.05 -
- 離断性骨軟骨炎
子供が膝の痛みを訴えている場合、一般的に疑われるのは成長痛ではないでしょうか。 しかし、運動をしている子供の場合は、離断性骨軟骨炎という疾患の可能性があります。 本記事では、子供の膝の痛みの原因となる「離断性骨軟骨炎」について詳しく解説します。 この疾患の病態について網羅的に紹介します。 早期発見と適切な治療が将来のスポーツ活動継続のカギとなるため、お子さんの膝の痛みに気づいたら参考にしていただければ幸いです。 子供の膝でも起こる離断性骨軟骨炎の症状と原因 膝の痛みに悩む子供たちの中には、離断性骨軟骨炎が原因であるケースが少なくありません。 この病気は10代前半の成長期に多く見られ、特にスポーツ活動を積極的に行う子供たちに発症しやすい特徴があります。 本章では、以下の内容について詳しく解説します。 離断性骨軟骨炎の病態 離断性骨軟骨炎の主な症状 離断性骨軟骨炎が発症してしまう主な原因 子供の将来のため、親御さんが症状や原因を理解しておくことが重要です。 離断性骨軟骨炎の病態 離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)とは、関節の中で軟骨とその下にある骨(軟骨下骨)が一部剥がれてしまう病気です。 血流障害によって軟骨下骨が壊死し、進行すると骨軟骨片となって関節内に遊離してしまいます。 成長期の子供、特に10代前半に多く発症し、男女比は男子の割合が多く約2:1です。 膝関節での発生部位としては、大腿骨内側が約85%を占め、大腿骨外側が約15%、そしてまれに膝蓋骨(膝のお皿)にも見られます※。 ※出典:順天堂大学医学部附属順天堂医院 整形外科・スポーツ診療科 また、大腿骨外側に発症した場合、円板状半月(えんばんじょうはんげつ)という状態を合併することがある※ため注意が必要です。 離断性骨軟骨炎の主な症状 子供の離断性骨軟骨炎における症状は、病気の進行段階によって異なります。 初期の症状 運動後に感じる膝の不快感や鈍い痛み 休息すると症状が和らぐことが多い この段階では骨軟骨部分はまだ完全に剥離していないため見過ごされやすい傾向があります。 しかし、痛みを放置していると症状が進行するリスクがあるため、注意が必要です。 進行した場合の症状 痛みが強くなり、スポーツ活動に支障をきたす 膝を動かすときに引っかかり感や異音が生じる また、骨軟骨片が関節内に挟まると、膝が突然ロックして動かなくなる「ロッキング現象」を起こすこともあります。 離断性骨軟骨炎が発症してしまう主な原因 離断性骨軟骨炎の主な原因は、スポーツなどで繰り返し関節にかかる負荷や、思春期の急速な成長です。 同じスポーツを長期間続けていると関節にストレスがかかり、軟骨の下にある骨にダメージが蓄積されていきます。 例えば肘や膝などの関節で、いつも同じ場所に負担が加わると、軟骨や骨に向かう血液の流れが悪くなります。 血流が滞ると障害を受けた骨の一部は壊死してしまう、というメカニズムです。 また、成長期の子供は骨の成長と血流のバランスが崩れやすく、離断性骨軟骨炎を発症するリスクがあります 離断性骨軟骨炎の診断方法 離断性骨軟骨炎の診断は、症状の問診と画像検査を組み合わせて行われます。 初期の段階では通常のレントゲン検査で異常が見つかりにくいため、見落とされることがあります。 より正確な診断にはMRI検査が重要で、骨軟骨片の状態や剥離の程度を確認可能です。CTスキャンも骨の状態評価に役立ちます。 また、関節液の検査や関節鏡検査を行うこともあり、特に関節鏡は病変部を直接観察できるため、診断と治療を同時に行える利点があります。 早期発見が治療成績を左右するため、子供の膝の痛みが続く場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 スポーツ復帰の鍵になる離断性骨軟骨炎の治療法 離断性骨軟骨炎の治療法としては、主に次の2つがあります。 保存療法 手術療法 それぞれの治療法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は主に骨軟骨片がまだ完全に剥離していない初期段階で選択されます。 主に次の治療を行います。 安静・スポーツ制限 荷重制限・装具療法 物理療法・リハビリテーション まずは症状を悪化させる可能性のある運動を控えて安静にします。発育期の子供は、安静により自然治癒する可能性があります。 また、膝への体重負荷を軽減するため、松葉杖の使用や膝装具の装着も有効です。特に大腿骨内側で発症している場合は膝装具が効果的とされています。 物理療法とリハビリテーションの内容は、主に痛みを緩和させるための低出力超音波やストレッチ、筋力低下を防ぐためのトレーニングです。太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)の強化が重要です。 保存療法は多くの場合で6ヶ月以上は継続し、定期的なMRI検査などで骨軟骨片の状態を確認しながら進めていきます。 症状の改善と画像所見の回復が見られれば、段階的にスポーツ活動への復帰を目指せるでしょう。 手術療法 保存療法で効果がない場合や早期スポーツ復帰を目指す場合には手術が検討されます。 手術名 内容 鏡視下ドリリング術 初期段階(骨軟骨片が剥離していない時期)に適応 病変部に小さな穴を開け血流改善を促す 低侵襲で日帰り手術も可能 骨軟骨片固定術 剥離した骨軟骨片の状態が良好な場合 生体吸収性ピンや骨釘で固定 術後2~3週間のギプス固定が必要 自家骨軟骨柱移植術 骨軟骨片が変性して再利用できない場合 膝から健康な骨軟骨を採取して移植 広範囲の欠損にも対応可能 鏡視下郭清術 1cm以下の小さな病変に適応 剥離した骨軟骨片を切除 侵襲が少ないが長期的な関節変形リスクあり 手術後は通常4ヶ月で軽い運動、6ヶ月程度で投球開始を目指します。再発防止のためのフォーム指導も重要です。 また、手術を伴わない治療法として、再生医療という選択肢もあります。 患者さま自身の幹細胞や血液を用いる再生医療について、詳しく知りたい方は以下のページもあわせてご覧ください 離断性骨軟骨炎の予防方法 離断性骨軟骨炎を予防するためには、膝・肘・足関節への過度な負荷を避けることが重要です。 適切な練習量の調整 正しいフォームの習得 サポーターの活用 定期的な検診 まずは無理のない練習量とし、負荷がかからないよう正しい運動フォームの習得に努めましょう。 負荷を軽減するためのサポーターの装着も効果的です。 さらに早期発見のために、少しでも違和感があれば医療機関を受診しましょう。 まとめ:子供の膝の痛みに気づいたら早めに医療機関へ 離断性骨軟骨炎は10代前半の成長期に多く見られる疾患で、スポーツを積極的に行う子供に発症しやすい特徴があります。 初期症状は運動後の軽い痛みから始まり、進行すると膝の引っかかりやロッキング現象を引き起こします。 原因は繰り返しの関節負荷や成長期特有の血流障害です。 治療は保存療法から手術療法まで病期に応じて選択され、早期発見・早期治療が将来のスポーツ活動継続のカギとなります。 また、予防には適切な練習量の調整とフォーム習得が重要です。 子供の膝の痛みを「成長痛」と安易に判断せず、違和感があれば早めに専門医に相談しましょう。 手術を伴わない治療法をお探しの方は、再生医療も治療の選択肢となります。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。
2019.07.05