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- 離断性骨軟骨炎
「急に膝が腫れて歩くのがつらい」「突然膝に激痛が走った」といった症状で困っている方も多いのではないでしょうか。 膝の痛みと腫れが突然起こる原因はさまざまで、軽度なものから緊急性の高いものまであります。 この記事では、突然の膝の痛みと腫れの原因から緊急度別の対応方法、自宅でできる対処法まで詳しく解説します。 適切な知識を身につけて、膝の症状に冷静に対処していきましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、膝の痛み症状改善が期待できる再生医療の治療法や症例を配信中です。 治療を受けるのが早いほど治療成績は良好になるため、突然の膝の痛みにお悩みの方は、症状が悪化する前にぜひご検討ください。 膝の痛みと腫れが突然起こる主な原因 膝の痛みと腫れが突然起こる原因は、以下のように多岐にわたります。 炎症性疾患による膝の痛みと腫れ 感染症による膝の痛みと腫れ 骨や軟骨の異常による膝の痛みと腫れ 外傷による膝の痛みと腫れ その他に考えられる膝の痛みと腫れの原因 原因を理解することで、適切な対処法を選択できるようになります。 炎症性疾患による膝の痛みと腫れ 膝の痛みと腫れは、以下の炎症性疾患の可能性があります。 疾患名 症状・特徴 関節リウマチ 免疫細胞が関節を攻撃し、朝のこわばりや複数関節の痛みが特徴 痛風 尿酸結晶が関節に溜まり、足の親指や膝に激しい痛みを引き起こす 偽痛風 ピロリン酸カルシウムの結晶が原因で、高齢者の膝や手首に痛みが現れる これらの疾患では、膝の腫れや痛みだけでなく、発熱や関節の熱感、皮膚の赤みなどの症状を伴うこともあります。 放置すると関節の破壊や変形につながる可能性があるため、早期の医療機関受診が重要です。 感染症による膝の痛みと腫れ 膝にばい菌が入り込むと、深刻な炎症を引き起こします。 以下のような感染症による膝の腫れは緊急性が高く、迅速な治療が必要です。 感染症名 症状・特徴 化膿性関節炎 黄色ブドウ球菌などが関節内に侵入し、激痛と高熱を伴う 蜂窩織炎 皮膚や皮下組織の細菌感染で、患部が赤く腫れ上がる 感染性滑液包炎 関節を包む袋に感染が起こり、強い痛みと腫れが生じる 骨髄炎 骨自体に感染が及び、深部の痛みと発熱を引き起こす 感染の原因としては、怪我の傷口からの感染、膝への注射による刺し傷からの感染、虫歯菌が血管を通って膝まで運ばれる血行性感染、手術後の感染などがあります。 感染症が疑われる場合は、軟骨や骨の破壊を防ぐため、直ちに医療機関を受診してください。 骨や軟骨の異常による膝の痛みと腫れ 加齢や肥満、過度な運動により、膝の関節を構成する骨や軟骨が徐々にすり減ったり変形したりすることがあります。 疾患名 症状・特徴 変形性膝関節症 軟骨がすり減り、骨同士がこすれ合うことで痛みと腫れが生じる 骨壊死 血流不足により骨の一部が死んでしまい、強い痛みを引き起こす これらの症状は階段の上り下りや立ち上がり時の痛みや、朝起きた時や長時間座った後に膝がこわばるといった症状が特徴です。 初期は自覚症状がほとんどない場合もありますが、徐々に症状が強くなり、日常生活に支障をきたすようになります。 外傷による膝の痛みと腫れ スポーツ中の外傷も、膝の痛みと腫れを引き起こします。 外傷の種類 症状・特徴 半月板損傷 膝のクッション役である半月板が損傷し、鋭い痛みや引っかかり感が生じる 靭帯損傷 膝を支える靭帯が損傷し、膝の不安定感や腫れが現れる 打撲 膝を強打することで皮下組織が損傷し、痛みと腫れが生じる 骨折 骨が折れることで激痛と明らかな変形が見られる 関節内出血 関節内に血液が溜まり、膝が急激に腫れ上がる 急なストップや方向転換、転倒などで膝に強い衝撃や捻りが加わると、関節内の組織を損傷することがあります。 応急処置としてRICE処置を行い、速やかに医療機関を受診することが大切です。 その他に考えられる膝の痛みと腫れの原因 その他にも、膝の痛みと腫れを引き起こす原因として、以下があります。 疾患名 症状・特徴 ベーカー嚢腫 膝の裏にある関節液の袋が腫れ、ぷよぷよした感触の腫れが生じる 滑液包炎 関節を包む袋に炎症が起こり、局所的な腫れと痛みが現れる 血腫 出血により血液が溜まり、腫れと痛みを引き起こす これらの症状は比較的軽度なことが多いですが、症状が続く場合や悪化する場合は医療機関での診察を受けましょう。 突然の膝の痛みと腫れで病院に行くべき症状を緊急度別に紹介 膝の痛みと腫れが起こった時、病院にすぐ行くべきか様子を見るべきか、症状を緊急度別に紹介します。 今すぐ病院に行くべき症状 自宅で様子を見てもよい軽度の症状 判断に迷うときは、参考にしてください。 今すぐ病院に行くべき症状 以下の症状が一つでも当てはまる場合は、直ちに医療機関を受診してください。重篤な合併症を防ぐため、迅速な治療が必要です。 高熱(38度以上)を伴う膝の激痛と赤い腫れ 膝が突然動かなくなり、曲げ伸ばしができない 足を地面につけられないほどの激痛 膝がガクガクして歩けない 膝の明らかな変形が見られる 膝が急激にパンパンに腫れ上がった 膝周りの皮膚が赤く熱を持っている これらの症状は化膿性関節炎、重度の靭帯損傷、骨折、痛風発作などの可能性があります。 放置すると関節の破壊や機能障害につながる恐れがあるため、すぐに医療機関を受診しましょう。 自宅で様子を見てもよい軽度の症状 以下のような軽度の症状であれば、まずは自宅で様子を見ても問題ありません。 運動後のような鈍い痛み 軽い腫れがあるが歩行は可能 膝裏のぷよぷよした腫れ(痛みなし) 数時間で治まる軽い違和感 朝の軽いこわばり感 これらの症状は軽度の筋肉痛、軽微な打撲、ベーカー嚢腫、一過性の関節痛などの可能性があります。 ただし、軽度な症状であっても悪化するリスクがあるため、数日経っても改善しない場合や症状が強くなる場合は、早めに医療機関に相談することが大切です。 突然の膝の痛みと腫れに対する対処法・治療法 膝の痛みと腫れに対する対処法は、症状の原因や重症度によって異なります。 以下の3つに分けて対処法・治療法を紹介します。 自宅でできる対処法 保存療法 手術療法 適切な治療を選択することで、症状の改善と機能回復を図ることができます。 自宅でできる対処法 スポーツ中や日常生活で膝を痛めた場合、まずはRICE処置を行いましょう。 処置 具体的な方法 Rest(安静) 患部にタオルや添え木を当てて固定し、むやみに動かさない Icing(冷却) 氷や氷水で10~15分冷却後、感覚を戻してから再び冷却を繰り返す Compression(圧迫) テープなどで圧迫し腫れを抑える(しびれや変色に注意) Elevation(挙上) 患部を心臓より高い位置に保ち、座布団やクッションで支える RICE処置は痛みや腫れを軽減する効果がありますが、あくまで応急処置です。 処置後は速やかに医療機関を受診し、専門医の診察を受けましょう。 冷やしすぎによる凍傷や、圧迫しすぎによる血流障害にも注意してください。 保存療法 突然の膝の痛みに対して医療機関では、まず保存療法から治療を開始することが一般的です。 保存療法は手術を行わない治療法で、多くの膝の痛みと腫れの緩和が期待できます。 薬物療法では、炎症や痛みを抑えるために消炎鎮痛剤や湿布が処方されます。 これらの薬は炎症を抑え、痛みを伝える神経の働きを抑えることで症状を和らげます。 痛みが強い場合には、ヒアルロン酸注射やステロイド注射を行うこともあります。 リハビリテーションでは、痛みが軽減してきたら、弱ってしまった筋肉を鍛え直し、関節の柔軟性を回復するためのトレーニングを行います。 手術療法 保存療法で効果が得られない場合や、症状が進行している場合は、手術療法も治療の選択肢です。 半月板損傷や靭帯損傷などでは、関節鏡手術が行われます。 関節鏡手術は小さな傷口からカメラや器具を挿入して行う手術で、身体への負担が少ないのがメリットです。 変形性膝関節症などで関節が著しく損傷している場合には、人工関節置換術が行われます。 人工関節置換術は損傷した関節を人工関節に置き換える手術で、痛みの軽減や関節機能の改善が期待できます。 突然の膝の痛みと腫れには再生医療による治療も選択肢の一つ 手術を避けて膝の痛みを改善したいとお考えの方には、「再生医療」という治療法もあります。 再生医療は、ご自身が本来持っている治癒する力を活用した治療法です。 膝の再生医療では、以下のような流れで治療を進めます。 患者さまご自身の脂肪から幹細胞を取り出す 取り出した幹細胞を培養して数を増やす 培養した幹細胞を膝の関節内に注射して戻す 幹細胞が持つ、他の細胞に変化する能力を活用する治療法です。 患者さま自身の細胞を用いるため、アレルギーや拒絶反応の副作用リスクが少ない治療法として注目されています。 突然の膝の痛みや腫れを早く治したい方は、再生医療による治療も選択肢の一つとしてご検討ください。 膝の突然の痛みと腫れは症状に応じて適切に対応しよう 膝は骨や関節、靭帯、腱などの構造が複雑な部位であるため、普段の姿勢などちょっとしたことが原因で膝へ負担がかかり、炎症が起きて腫れや痛みが生じやすい部位です。 軽度の場合、様子見で問題ないケースもありますが、高熱・激痛・歩行困難などの症状がある場合は速やかに医療機関を受診することが大切です。 膝の腫れや痛みなどの治療を受けても改善されず、手術をするかお悩みの方には再生医療の選択肢もあります。 再生医療では、手術をせずに膝の治療が可能です。 大切なのは、症状に応じて適切に対応し、必要な時に適切な治療を受けることです。 再生医療に関する詳細は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。
2019.07.05 -
- 離断性骨軟骨炎
子供が膝の痛みを訴えている場合、一般的に疑われるのは成長痛ではないでしょうか。 しかし、運動をしている子供の場合は、離断性骨軟骨炎という疾患の可能性があります。 本記事では、子供の膝の痛みの原因となる「離断性骨軟骨炎」について詳しく解説します。 この疾患の病態について網羅的に紹介します。 早期発見と適切な治療が将来のスポーツ活動継続のカギとなるため、お子さんの膝の痛みに気づいたら参考にしていただければ幸いです。 子供の膝でも起こる離断性骨軟骨炎の症状と原因 膝の痛みに悩む子供たちの中には、離断性骨軟骨炎が原因であるケースが少なくありません。 この病気は10代前半の成長期に多く見られ、特にスポーツ活動を積極的に行う子供たちに発症しやすい特徴があります。 本章では、以下の内容について詳しく解説します。 離断性骨軟骨炎の病態 離断性骨軟骨炎の主な症状 離断性骨軟骨炎が発症してしまう主な原因 子供の将来のため、親御さんが症状や原因を理解しておくことが重要です。 離断性骨軟骨炎の病態 離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)とは、関節の中で軟骨とその下にある骨(軟骨下骨)が一部剥がれてしまう病気です。 血流障害によって軟骨下骨が壊死し、進行すると骨軟骨片となって関節内に遊離してしまいます。 成長期の子供、特に10代前半に多く発症し、男女比は男子の割合が多く約2:1です。 膝関節での発生部位としては、大腿骨内側が約85%を占め、大腿骨外側が約15%、そしてまれに膝蓋骨(膝のお皿)にも見られます※。 ※出典:順天堂大学医学部附属順天堂医院 整形外科・スポーツ診療科 また、大腿骨外側に発症した場合、円板状半月(えんばんじょうはんげつ)という状態を合併することがある※ため注意が必要です。 離断性骨軟骨炎の主な症状 子供の離断性骨軟骨炎における症状は、病気の進行段階によって異なります。 初期の症状 運動後に感じる膝の不快感や鈍い痛み 休息すると症状が和らぐことが多い この段階では骨軟骨部分はまだ完全に剥離していないため見過ごされやすい傾向があります。 しかし、痛みを放置していると症状が進行するリスクがあるため、注意が必要です。 進行した場合の症状 痛みが強くなり、スポーツ活動に支障をきたす 膝を動かすときに引っかかり感や異音が生じる また、骨軟骨片が関節内に挟まると、膝が突然ロックして動かなくなる「ロッキング現象」を起こすこともあります。 離断性骨軟骨炎が発症してしまう主な原因 離断性骨軟骨炎の主な原因は、スポーツなどで繰り返し関節にかかる負荷や、思春期の急速な成長です。 同じスポーツを長期間続けていると関節にストレスがかかり、軟骨の下にある骨にダメージが蓄積されていきます。 例えば肘や膝などの関節で、いつも同じ場所に負担が加わると、軟骨や骨に向かう血液の流れが悪くなります。 血流が滞ると障害を受けた骨の一部は壊死してしまう、というメカニズムです。 また、成長期の子供は骨の成長と血流のバランスが崩れやすく、離断性骨軟骨炎を発症するリスクがあります 離断性骨軟骨炎の診断方法 離断性骨軟骨炎の診断は、症状の問診と画像検査を組み合わせて行われます。 初期の段階では通常のレントゲン検査で異常が見つかりにくいため、見落とされることがあります。 より正確な診断にはMRI検査が重要で、骨軟骨片の状態や剥離の程度を確認可能です。CTスキャンも骨の状態評価に役立ちます。 また、関節液の検査や関節鏡検査を行うこともあり、特に関節鏡は病変部を直接観察できるため、診断と治療を同時に行える利点があります。 早期発見が治療成績を左右するため、子供の膝の痛みが続く場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 スポーツ復帰の鍵になる離断性骨軟骨炎の治療法 離断性骨軟骨炎の治療法としては、主に次の2つがあります。 保存療法 手術療法 それぞれの治療法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は主に骨軟骨片がまだ完全に剥離していない初期段階で選択されます。 主に次の治療を行います。 安静・スポーツ制限 荷重制限・装具療法 物理療法・リハビリテーション まずは症状を悪化させる可能性のある運動を控えて安静にします。発育期の子供は、安静により自然治癒する可能性があります。 また、膝への体重負荷を軽減するため、松葉杖の使用や膝装具の装着も有効です。特に大腿骨内側で発症している場合は膝装具が効果的とされています。 物理療法とリハビリテーションの内容は、主に痛みを緩和させるための低出力超音波やストレッチ、筋力低下を防ぐためのトレーニングです。太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)の強化が重要です。 保存療法は多くの場合で6ヶ月以上は継続し、定期的なMRI検査などで骨軟骨片の状態を確認しながら進めていきます。 症状の改善と画像所見の回復が見られれば、段階的にスポーツ活動への復帰を目指せるでしょう。 手術療法 保存療法で効果がない場合や早期スポーツ復帰を目指す場合には手術が検討されます。 手術名 内容 鏡視下ドリリング術 初期段階(骨軟骨片が剥離していない時期)に適応 病変部に小さな穴を開け血流改善を促す 低侵襲で日帰り手術も可能 骨軟骨片固定術 剥離した骨軟骨片の状態が良好な場合 生体吸収性ピンや骨釘で固定 術後2~3週間のギプス固定が必要 自家骨軟骨柱移植術 骨軟骨片が変性して再利用できない場合 膝から健康な骨軟骨を採取して移植 広範囲の欠損にも対応可能 鏡視下郭清術 1cm以下の小さな病変に適応 剥離した骨軟骨片を切除 侵襲が少ないが長期的な関節変形リスクあり 手術後は通常4ヶ月で軽い運動、6ヶ月程度で投球開始を目指します。再発防止のためのフォーム指導も重要です。 また、手術を伴わない治療法として、再生医療という選択肢もあります。 患者さま自身の幹細胞や血液を用いる再生医療について、詳しく知りたい方は以下のページもあわせてご覧ください 離断性骨軟骨炎の予防方法 離断性骨軟骨炎を予防するためには、膝・肘・足関節への過度な負荷を避けることが重要です。 適切な練習量の調整 正しいフォームの習得 サポーターの活用 定期的な検診 まずは無理のない練習量とし、負荷がかからないよう正しい運動フォームの習得に努めましょう。 負荷を軽減するためのサポーターの装着も効果的です。 さらに早期発見のために、少しでも違和感があれば医療機関を受診しましょう。 まとめ:子供の膝の痛みに気づいたら早めに医療機関へ 離断性骨軟骨炎は10代前半の成長期に多く見られる疾患で、スポーツを積極的に行う子供に発症しやすい特徴があります。 初期症状は運動後の軽い痛みから始まり、進行すると膝の引っかかりやロッキング現象を引き起こします。 原因は繰り返しの関節負荷や成長期特有の血流障害です。 治療は保存療法から手術療法まで病期に応じて選択され、早期発見・早期治療が将来のスポーツ活動継続のカギとなります。 また、予防には適切な練習量の調整とフォーム習得が重要です。 子供の膝の痛みを「成長痛」と安易に判断せず、違和感があれば早めに専門医に相談しましょう。 手術を伴わない治療法をお探しの方は、再生医療も治療の選択肢となります。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。
2019.07.05