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「65歳以上は大腸内視鏡検査をやめなさい」は本当?高齢者が検査を続けるべきか解説

「65歳以上は大腸内視鏡検査をやめなさい」という情報を目にして、検査を続けるべきか迷っていませんか。
結論から言えば、65歳という年齢を根拠に大腸内視鏡検査を一律にやめるべきとする医学的な基準はありません。
検査を続けるかどうかは、年齢だけでなく、これまでの検査結果、症状の有無、持病や体力、期待余命などを総合的に踏まえて判断するものです。
本記事では、こうした情報が広まった背景と、高齢の方が検査を受けるメリット・デメリット、判断のポイントを解説します。
ご自身やご家族の検査方針で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
65歳以上だからといって一律に大腸内視鏡検査をやめる必要はない
大腸内視鏡検査に、65歳を境に中止するという医学的な基準は存在しません。
厚生労働省の指針でも、大腸がん検診の対象は40歳以上で年1回の便潜血検査とされており、上限となる年齢は定められていません。
※参照:厚生労働省「指針で定めるがん検診の内容」
実際、大腸がんは40代から罹患率が上がり始め、高齢になるほど発症しやすくなる傾向があります。
つまり、65歳以上はむしろ大腸がんのリスクが高い年代であり、年齢だけを理由に検査から遠ざかることは合理的とはいえません。
判断の材料になるのは、過去に受けた検査の結果、便潜血検査で陽性が出ているか、血便などの症状があるか、そして検査に耐えられる全身状態かどうかです。
これらは一人ひとり異なるため、主治医と相談しながら個別に決めていく必要があります。
なぜ「65歳以上はやめなさい」と言われるのか
この主張が広まった背景には、高齢になるほど検査に伴う負担やリスクが増すという事実があります。
大腸内視鏡検査には、以下のような負担が伴います。
- 約2Lの下剤(腸管洗浄剤)を飲む前処置の負担
- 脱水や電解質の乱れが起こるリスク
- 鎮静剤による呼吸・循環への影響
- まれに生じる腸管の穿孔(穴があくこと)や出血
- ポリープ切除後の出血リスク
心臓や肺、腎臓に持病がある方、抗血栓薬を服用している方では、これらのリスクが高まります。
また、大腸がんは進行が比較的ゆっくりで、小さなポリープががんになるまでには数年かかるとされています。
そのため、余命が限られている状況では、見つけて治療する利益よりも検査の負担が上回る場合もあります。
こうした考え方自体は妥当ですが、それが「65歳」という具体的な数字と結びつく医学的な裏づけはありません。
65歳はまだ平均余命が20年以上ある年代であり、検査の利益が期待できる方が大半です。
65歳以上でも大腸内視鏡検査を受けたほうがよい人
以下に当てはまる方は、年齢にかかわらず検査の必要性が高いと考えられます。
- 便潜血検査で陽性となり、精密検査を勧められている
- 血便や便の色が黒い、便に血が混じる
- 便秘と下痢を繰り返す、便が細くなったなど便通が変化した
- 原因のわからない貧血や体重減少がある
- 大腸ポリープや大腸がんを指摘された経験がある
- 家族に大腸がんの方がいる
とくに便潜血検査で陽性となった場合の大腸内視鏡検査は、健康な方を対象としたスクリーニングではなく、原因を確かめるための精密検査です。
「痔があるからその出血だろう」と自己判断で精密検査を見送ってしまうケースは少なくありませんが、痔と大腸がんは併存することもあります。
また、過去にポリープを切除した方は、新たなポリープができていないかを確認する目的で、定められた間隔での検査が勧められます。
検査を見送ることを検討するケース
一方で、検査による負担が利益を上回ると考えられる状況もあります。
- 重い心疾患や呼吸器疾患があり、鎮静剤や前処置に耐えられない
- 寝たきりに近く、日常生活動作(ADL)が著しく低下している
- ほかの重い病気があり、期待余命が限られている
- がんが見つかっても、体力的に治療を受けることが難しい
- 認知機能の低下により、前処置や検査の協力が困難である
大腸内視鏡検査は、見つけたあとに治療へつなげられてこそ意味を持つ検査です。
治療の適応が見込めない状態では、検査そのものが身体的な負担にしかならない場合があります。
ただし、これは症状のない方に対する検診としての話です。
強い腹痛や出血、腸閉塞の症状があるなど、原因を確かめなければ治療方針が決まらない状況では、高齢であっても検査が必要になります。
何歳まで大腸内視鏡検査を受けるべき?
ここで整理しておきたいのが、「検診」と「診断目的の検査」の違いです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| がん検診 | ・症状のない人が対象 ・自治体では便潜血検査が基本 ・年齢による利益と不利益の考慮が必要 |
| 診断目的の検査 | ・症状や便潜血陽性がある人が対象 ・原因を確かめるために行う ・年齢で一律に区切らない |
国立がん研究センターの大腸がん検診ガイドライン2024年度版では、対策型検診の対象年齢について40歳から74歳が推奨されています。
※参照:国立研究開発法人国立がん研究センター「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版公開」
終了年齢が74歳とされたのは、対策型検診にはさまざまな健康状態の高齢者が受診するため、精密検査や治療に伴う偶発症を考慮した結果です。
※参照:国立研究開発法人国立がん研究センター「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版公開」
つまり、公的な目安として示されているのは65歳ではなく、集団への検診としての74歳という区切りです。
75歳以上の方であっても、健康状態が良好で症状がある場合には、主治医と相談のうえで検査を検討することになります。
高齢者が大腸内視鏡検査を安全に受けるためのポイント
検査を受けると決めた場合は、リスクを抑える準備が重要です。
- 服用中の薬をすべて医師に伝える(お薬手帳を持参する)
- 抗血栓薬は自己判断で中止せず、必ず処方医の指示に従う
- 前処置の下剤は時間をかけて少しずつ飲み、体調の変化を伝える
- 心疾患・腎疾患・糖尿病などの持病は事前に共有する
- 鎮静剤を使う場合は、当日の運転を避け、付き添いを依頼する
とくに注意したいのが抗血栓薬です。
ポリープ切除を伴う場合は一時的に休薬することがありますが、自己判断で中断すると脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるため、必ず医師の指示に従ってください。
また、腸閉塞の疑いがある方は下剤の服用自体が危険となるため、検査前の申告が欠かせません。
検査後は、腹痛や出血、発熱などがないかを確認し、異常があれば速やかに受診しましょう。
大腸がんを早期発見するために大切なこと
内視鏡検査だけが早期発見の手段ではありません。
自治体の大腸がん検診で行われる便潜血検査は、体への負担がほとんどなく、高齢の方でも続けやすい方法です。
この検査で陽性となった場合に、精密検査として大腸内視鏡検査へ進むという流れが基本になります。
また、以下のような症状は放置せず、早めに消化器内科を受診してください。
- 便に血が混じる、黒っぽい便が続く
- 便が細くなった、残便感が続く
- 下痢と便秘を繰り返す
- 原因不明の体重減少や貧血がある
- 腹痛や腹部の張りが続いている
大腸がんは早い段階で見つかれば治療の選択肢が広く、内視鏡での切除で済むこともあります。
年齢を理由に受診をためらうより、気になる症状があれば相談することが結果的に体への負担を減らします。
損なわれた組織・臓器の機能改善を目指す再生医療という選択肢
大腸がんの予防や診断に再生医療が用いられることはありません。
早期発見のための便潜血検査や大腸内視鏡検査、そして見つかった場合の内視鏡治療・手術・薬物療法といった標準治療が基本となります。
一方で、患者様ご自身の免疫細胞を活用してがん細胞への攻撃力を高めることを目指す免疫細胞療法など、細胞を用いた治療の研究は進められています。
ただし、これらは標準治療を補完する位置づけであり、検査や標準治療に代わるものではありません。
検査を受けずに細胞療法に期待するという選択は、早期発見の機会を失うことにつながります。
関心がある場合も、まずは主治医の治療方針を確認したうえで、再生医療に精通した医師に相談してください。
詳しくは免疫細胞療法についてをご覧ください。
まとめ|65歳以上でも大腸内視鏡検査をやめるかは個別に判断する
「65歳以上は大腸内視鏡検査をやめなさい」という一律の医学的基準はなく、公的なガイドラインが示す対策型検診の目安も74歳までとされています。
高齢になるほど検査に伴うリスクは増しますが、同時に大腸がんのリスクも高まるため、両者を比べて判断する必要があります。
過去の検査結果、症状の有無、持病や体力を踏まえ、主治医と相談しながら方針を決めていきましょう。
とくに便潜血検査で陽性が出た場合や、血便・貧血・体重減少などの症状がある場合は、年齢を理由に精密検査を見送らないことが大切です。
なお、がんの治療分野では、ご自身の免疫細胞を活用する免疫細胞療法などの研究も進められています。
再生医療の詳しい内容は、リペアセルクリニックの公式サイトでもご紹介していますので、標準治療とあわせた選択肢に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。
監修者
岩井 俊賢
Toshinobu Iwai
医師

























