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股関節の病気一覧|症状・原因・治療法をわかりやすく解説

股関節の痛みや違和感の背景には、変形性股関節症をはじめとするさまざまな疾患が隠れています。
股関節は上半身の重みを支えながら、歩く・立つ・しゃがむといった動作を担う関節であり、加齢による軟骨の摩耗、スポーツによる損傷、生まれつきの形状の問題、炎症や感染など、痛みの原因は多岐にわたります。
原因によって進行の仕方も治療法も異なるため、まずはどのような病気があるのかを知っておくことが、適切な受診につながります。
本記事では、股関節の代表的な病気を一覧で整理し、症状の違いや検査・治療法、受診の目安まで解説します。
股関節に不調を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
股関節の病気は原因によってさまざまな種類がある
股関節の病気は、原因別に大きく4つのグループに分けられます。
- 加齢や変性が原因となるもの
- スポーツや使い過ぎによるもの
- 子ども・若年者に多い先天的、発育性のもの
- 炎症・感染・自己免疫によるもの
同じ「足の付け根が痛い」という症状でも、軟骨がすり減って生じる痛みと、細菌感染による炎症の痛みでは、必要な治療も緊急度もまったく異なります。
また、股関節の病気は年代によって疑われる疾患が変わる点も特徴です。
成長期の子どもに多い病気もあれば、中高年以降に増える病気もあるため、年齢は診断の重要な手がかりになります。
痛みが数週間以上続く場合や、日常の動作に支障が出ている場合は、自己判断で様子を見ず整形外科を受診しましょう。
代表的な股関節の病気一覧
まずは、代表的な股関節の病気を一覧で確認しておきましょう。
| 疾患名 | 主な症状・特徴 |
|---|---|
| 変形性股関節症 | ・軟骨がすり減り骨が変形する ・歩き始めの痛み、可動域制限 ・中高年の女性に多い |
| 大腿骨頭壊死症 | ・骨頭への血流が途絶えて骨が壊死する ・突然の強い痛みで発症することがある ・指定難病の一つ |
| 股関節唇損傷 | ・関節のふちの軟部組織が傷つく ・引っかかり感やクリック音 ・スポーツ選手や若年層に多い |
| 鼠径部痛症候群 | ・足の付け根の慢性的な痛み ・キックやダッシュで悪化 ・サッカー選手に多い |
| 発育性股関節形成不全 | ・生まれつき関節の受け皿が浅い ・乳幼児期に発見されることが多い ・将来の変形性股関節症の原因になる |
| ペルテス病 | ・小児期の骨頭への血流障害 ・跛行(足を引きずる歩き方) ・4〜8歳前後の男児に多い |
| 大腿骨頭すべり症 | ・成長軟骨部で骨頭がずれる ・膝の痛みとして現れることがある ・思春期の肥満傾向の子に多い |
| 化膿性股関節炎 | ・細菌感染による関節の炎症 ・発熱と激しい痛み ・緊急の治療が必要 |
| 関節リウマチ | ・自己免疫による関節の炎症 ・朝のこわばり、複数関節の痛み ・全身症状を伴うことがある |
ここでは、原因別に4つのグループを詳しく解説します。
加齢や変性が原因となる病気
中高年以降に多いのが、変形性股関節症と大腿骨頭壊死症です。
変形性股関節症は、関節の軟骨がすり減って骨が変形する病気で、最初は立ち上がりや歩き始めに足の付け根の痛みを感じ、進行すると常に痛む持続痛や夜間痛に悩まされるようになります。
※参照:日本整形外科学会「変形性股関節症」
爪切りがしにくい、靴下が履きにくい、正座が難しいといった動作の変化も典型的なサインです。
患者様の多くは女性で、子どもの頃の発育性股関節形成不全や股関節の形成不全の後遺症によるものが、股関節症全体の8割を占めるといわれています。
※参照:日本整形外科学会「変形性股関節症」
一方の大腿骨頭壊死症は、骨頭への血流が低下して骨組織が壊死する疾患で、ステロイドの使用やアルコールとの関連が指摘されています。
※参照:難病情報センター「特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)」
壊死した部分が潰れると急に強い痛みが出ることがあり、指定難病の一つに指定されています。
スポーツ・使い過ぎによる病気
運動習慣のある方に多いのが、股関節唇損傷や鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)です。
股関節唇は関節のふちを囲む軟部組織で、傷つくと足の付け根の痛みに加え、動かしたときの引っかかり感やクリック音が生じます。
鼠径部痛症候群は、キックやダッシュ、方向転換を繰り返す競技で起こりやすく、股関節まわりの筋肉や腱に負担が蓄積して慢性的な痛みにつながります。
また、股関節の屈曲に働く腸腰筋の腱炎や、骨盤まわりの疲労骨折が原因となることもあります。
これらは休養だけでは改善しにくく、体の使い方を含めた見直しが必要になるケースが少なくありません。
子ども・若年者に多い病気
成長期には、大人とは異なる股関節の病気が起こります。
発育性股関節形成不全は、股関節の受け皿である寛骨臼が浅く、脱臼や亜脱臼を起こしやすい状態を指し、乳幼児健診で見つかることが多い疾患です。
ペルテス病は4〜8歳前後の男児に多く、骨頭への血流が一時的に途絶えることで、足を引きずる歩き方や膝の痛みとして現れます。
大腿骨頭すべり症は思春期に発症し、成長軟骨の部分で骨頭がずれることで痛みや歩行障害を引き起こします。
いずれも早期に治療を始めるほど、将来の変形性股関節症への進行を抑えやすくなります。
子どもが足を引きずる、股関節や膝の痛みを訴えるといった場合は、早めに小児整形外科を受診しましょう。
炎症・感染・自己免疫による病気
股関節の痛みが全身症状を伴う場合は、炎症性・感染性の疾患を考える必要があります。
化膿性股関節炎は、細菌が関節内に入り込んで炎症を起こす疾患で、発熱と強い痛み、関節を動かせないほどの症状が急速に現れます。
放置すると軟骨や骨が短期間で破壊されるため、緊急の対応が求められる病気です。
関節リウマチは自己免疫の異常によって関節に炎症が起こる疾患で、朝のこわばりや複数の関節の腫れ、倦怠感を伴うのが特徴です。
また、背骨や仙腸関節に炎症が広がる強直性脊椎炎でも、股関節やお尻の痛みが出ることがあります。
症状から考えられる股関節の病気
症状の出方には、疾患ごとにある程度の傾向があります。
| 症状 | 考えられる主な疾患 |
|---|---|
| 歩き始めや立ち上がりに痛む | 変形性股関節症(初期) |
| 運動時に足の付け根が痛む | 股関節唇損傷、鼠径部痛症候群 |
| 安静時や夜間にも痛む | 変形性股関節症(進行期)、大腿骨頭壊死症、関節リウマチ |
| 引っかかり感やクリック音がする | 股関節唇損傷、寛骨臼大腿骨インピンジメント |
| 脚を開きにくい、可動域が狭い | 変形性股関節症、関節の炎症性疾患 |
| 発熱を伴う痛み | 化膿性股関節炎、その他の感染症 |
ただし、これらはあくまで傾向であり、症状だけで病気を特定することはできません。
股関節の病気は、膝や腰、お尻の痛みとして現れることもあり、逆に腰椎の疾患が股関節周辺の痛みを引き起こしている場合もあります。
自己判断で対処せず、画像検査を含めた診断を受けることが大切です。
病院ではどのような検査を行う?
整形外科では、問診と触診で痛みの部位や動かせる範囲を確認したうえで、必要な検査を選択します。
- レントゲン検査:骨の変形や関節の隙間の狭さを確認する基本の検査
- MRI検査:軟骨や関節唇、骨の内部の変化など早期の異常を捉える
- CT検査:骨の形状を立体的に把握し、手術の計画にも用いる
- 超音波検査:関節内の水(関節液)の貯留や炎症の様子を確認する
- 血液検査:炎症反応やリウマチに関連する項目を調べる
たとえば大腿骨頭壊死症や股関節唇損傷は、初期にはレントゲンで異常が写らないことがあり、MRIによる評価が重要になります。
一方、感染や関節リウマチが疑われる場合は、血液検査や関節液の検査が診断の決め手になります。
症状の経過、痛み出した時期、思い当たるきっかけを整理して受診すると、必要な検査の判断がスムーズになります。
治療法の種類
股関節の治療は、保存療法から始め、改善が乏しい場合に手術を検討するのが基本的な流れです。
| 分類 | 主な内容 |
|---|---|
| 保存療法 | ・消炎鎮痛薬などの薬物療法 ・股関節周囲の筋力訓練やストレッチ ・杖の使用や体重管理による負担軽減 ・温熱療法などの物理療法 |
| 手術療法 | ・関節鏡手術(関節唇の修復など) ・骨切り術(自分の関節を温存する) ・人工股関節置換術(進行例で選択される) |
感染症の場合は抗菌薬の投与と関節内の洗浄が必要になり、関節リウマチでは炎症を抑える薬物治療が中心となります。
このように、同じ股関節の痛みでも診断名によって治療方針は大きく変わります。
そのため、痛みを和らげる対処に終始せず、原因を確定させることが治療の出発点になります。
早めの受診が必要な症状
以下のような症状がある場合は、緊急性の高い疾患が隠れている可能性があります。
- 転倒や事故のあとに立てない、歩けない
- 発熱を伴って股関節が強く痛む
- 前触れなく突然の激痛が生じた
- 足のしびれや力が入らない感覚を伴う
- 子どもが足を引きずる、痛みで動かそうとしない
転倒後に歩けない場合は大腿骨近位部骨折、発熱を伴う激痛は化膿性股関節炎の可能性があり、いずれも早期の治療が予後を左右します。
とくに高齢の方の骨折は、対応が遅れると寝たきりにつながるおそれがあるため、痛みが強く体重をかけられないときはすぐに受診してください。
損なわれた組織・臓器の機能改善を目指す再生医療という選択肢
股関節疾患の中には、保存療法と手術に加えて、再生医療が選択肢に挙がるものがあります。
再生医療は、患者様ご自身の脂肪から採取・培養した幹細胞や、血液から抽出した血小板(PRP)を活用し、すり減った軟骨や傷んだ組織の修復を目指す治療法です。
変形性股関節症や股関節軟骨の損傷などが対象として研究・実施されており、手術や入院を必要としない点に関心を持たれる方もいます。
ただし、股関節の病気すべてに適応があるわけではありません。
感染症や関節リウマチのように、まず原因に対する治療が優先される疾患もあり、適応の判断には正確な診断が前提となります。
整形外科で診断を受けたうえで、再生医療に精通した医師に相談するという順序が大切です。
詳しくは股関節の再生医療についてをご覧ください。
まとめ|股関節の病気は原因を正しく見極めることが大切
股関節の病気には、加齢による変性、スポーツによる損傷、先天的・発育性の異常、感染や自己免疫によるものまで幅広い種類があります。
同じ足の付け根の痛みでも、必要な検査や治療、緊急度は疾患ごとに異なり、症状だけで判断することはできません。
痛みや違和感が続く場合、日常の動作に支障が出ている場合は、早めに整形外科で画像検査を受けましょう。
診断が早いほど保存療法で対応できる可能性が高く、進行を抑えながら股関節の機能を保ちやすくなります。
また、変形性股関節症など一部の疾患では、軟骨や組織の修復を目指す再生医療も選択肢の一つとなります。
股関節に対する再生医療の詳しい内容は、リペアセルクリニックの公式サイトでもご紹介していますので、手術はできるだけ避けたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
監修者
坂本 貞範
Sadanori Sakamoto
医療法人美喜有会 理事長
「できなくなったことを、再びできるように。」
人生100年時代、皆様がより楽しく毎日を過ごせることの
お手伝いができれば幸甚の至りでございます。
略歴
1997年3月関西医科大学 医学部卒
1997年4月医師免許取得
1997年4月大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院 勤務
1998年5月大阪社会医療センター附属病院 勤務
1998年9月大阪府立中河内救命救急センター 勤務
1999年2月国立大阪南病院 勤務
2000年3月野上病院 勤務
2003年3月大野記念病院 勤務
2005年5月さかもとクリニック 開設
2006年12月医療法人美喜有会設立 理事長就任
2019年9月リペアセルクリニック大阪院 開設
2021年5月リペアセルクリニック東京院 開設
2023年12月リペアセルクリニック札幌院 開設
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