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もやもや病の治療とは?薬・手術・再発予防を解説

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)と診断され、「どんな治療を受けることになるのか」「手術は必要なのか」と不安を感じている方は少なくありません。
もやもや病は自然に治る病気ではなく、治療の目的は病気そのものを消すことではなく、脳梗塞や脳出血を防いで安定した状態を保つことにあります。
治療方針は年齢や症状の型、脳血流の状態によって異なり、経過観察・薬物療法・手術を組み合わせて長期的に管理していきます。
本記事では、もやもや病の治療法と手術が必要になるケース、術後の経過や再発予防までを整理して解説します。
目次
もやもや病の治療は脳梗塞・脳出血を予防することが目的
もやもや病は、脳へ血液を送る内頸動脈の終末部が徐々に細くなり、それを補うように「もやもや血管」と呼ばれる細い血管が発達する病気です。
この状態では脳が血流不足に陥りやすく、また新しく作られた血管は壁が薄く脆いため、脳梗塞(虚血型)と脳出血(出血型)の両方のリスクを抱えることになります。
細くなった血管を元の太さに戻す治療法は現時点で存在せず、治療の目的は不足した血流を補い、脳卒中の発症や再発を防ぐことに置かれます。
そのため、症状が軽い段階では経過観察のみとなる場合もあり、脳血流の低下や症状の繰り返しが確認された場合に薬物療法や手術が検討されます。
もやもや病の主な治療法
もやもや病の治療は、薬物療法と血行再建術(バイパス手術)の2つが柱となります。
ここでは、2つの治療法の役割の違いを解説します。
薬物療法
薬物療法は、症状のコントロールと脳梗塞の予防を目的として行われます。
虚血型では血液が固まりにくくする抗血小板薬が用いられることがあり、頭痛やけいれんなどの症状に対しては、それぞれに応じた薬が処方されます。
ただし薬物療法は狭くなった血管そのものを広げるものではないため、脳への血流を根本的に改善するには手術が必要になります。
また、出血型では抗血小板薬が出血のリスクに影響する可能性があるため、薬の選択は主治医が病型を踏まえて慎重に判断します。
血行再建術(バイパス手術)
血行再建術は、頭皮や側頭部の血管を利用して、血流の足りない脳へ新しい血液の通り道を作る手術です。
脳への血流が安定することで一過性脳虚血発作や脳梗塞の発症を抑え、もやもや血管への負担を減らして脳出血のリスクを下げる効果が期待できます。
なお、小児では自然に血管が伸びる力が強いため間接バイパス術が選ばれやすく、成人では直接バイパス術が中心となるなど、年齢によって選択される術式が異なる点も特徴です。
どのような場合に手術が必要になる?
手術が推奨されるのは、脳虚血症状を繰り返している場合や、検査で脳血流の低下が確認された場合です。
具体的には、手足のしびれや脱力、ろれつが回らないといった一過性脳虚血発作を繰り返すケース、すでに脳梗塞や脳出血を起こしたケース、脳血流検査で予備能の低下が示されたケースなどが対象となります。
血行再建術には以下の3つの方法があります。
| 術式 | 特徴 |
|---|---|
| 直接バイパス術 | 頭皮の血管と脳の血管を直接つなぐ ・手術直後から血流改善が得られやすい |
| 間接バイパス術 | 筋肉や膜を脳の表面に接触させ、新しい血管が伸びるのを促す ・効果が現れるまで数ヶ月かかる |
| 複合術 | 直接と間接を組み合わせ、即時の改善と長期的な血流増加の両方を狙う |
どの術式が適しているかは年齢・病型・血管の状態によって異なるため、脳神経外科で十分な説明を受けて判断することが大切です。
手術後の経過と期待できる効果
血行再建術によって脳への血流が安定すると、脳梗塞や脳出血の再発リスクの低減が期待できます。
ただし、術後すぐに効果が完成するわけではなく、とくに間接バイパス術では新しい血管が育つまでに数ヶ月を要します。
そのため、MRIやMRA、脳血流検査によって血流の変化を確認しながら、段階的に日常生活の範囲を広げていきます。
また、術後には血流が急に増えることで一時的に症状が出る過灌流症候群や、周術期の脳虚血、創部の問題などが起こる可能性もあります。
手術後に頭痛やしびれ、言葉の出にくさなど気になる変化があれば、自己判断せず速やかに主治医へ相談してください。
日常生活で気を付けたいこと
治療の効果を維持するためには、脳の血流を安定させる生活習慣が欠かせません。
- こまめに水分を補給し、脱水を防ぐ
- 血圧を安定させ、急な上昇を避ける
- 熱いものを吹いて冷ます、管楽器を吹くなど過換気につながる行動を控える
- 禁煙を徹底し、十分な睡眠と休養をとる
- 激しい運動は主治医に確認したうえで範囲を決める
過換気になると血液中の二酸化炭素濃度が下がって脳の血管が収縮し、血流がさらに低下して発作を招くことがあります。
また、症状が落ち着いていても自己判断で薬を中断することは避けてください。
治療後も定期受診が必要な理由
もやもや病は長期的な経過観察が必要な疾患であり、手術を終えた後も定期的な通院が欠かせません。
片側だけに病変があった方でも、時間の経過とともに反対側の血管が細くなっていくことがあるためです。
また、バイパスによって作られた血流が十分に保たれているか、新たな虚血や出血の兆候がないかを確認する目的でも、MRI・MRA・脳血流検査などが定期的に行われます。
もやもや病は指定難病であり、医療費助成の対象となる場合があるため、通院の継続と併せて主治医や自治体の窓口に確認しておくと安心です。
※参照:難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」
症状がないことは「治った」ことを意味しないため、指示された間隔での受診を続けましょう。
脳機能回復を目指す再生医療という選択肢
もやもや病の標準的な治療は、あくまで薬物療法と血行再建術です。
もやもや病そのものを治す再生医療は確立されておらず、細くなった血管を再生させる治療として提供されているものではありません。
一方で、もやもや病に伴う脳梗塞や脳出血によって手足の麻痺やしびれ、言語障害などの後遺症が残った場合には、再生医療が機能回復を目指す選択肢の一つとなる可能性があります。
再生医療は、患者様ご自身の幹細胞を培養して投与し、損傷した脳の神経や組織の修復をサポートすることを目指す治療法です。
リハビリテーションと並行して取り組む新しいアプローチとして研究と臨床が進められており、手術や入院を必要とせず身体への負担を抑えられる点が特徴とされています。
関心のある方は、まず脳神経外科の主治医に現在の状態を確認したうえで、再生医療に精通した医師から十分な説明を受けることが大切です。
まとめ|適切な治療と継続的な管理で再発予防を目指そう
もやもや病の治療は病気そのものを消すことではなく、脳梗塞や脳出血を防いで安定した状態を保つことを目的として行われます。
病型や年齢、脳血流の状態に応じて薬物療法と血行再建術が選択され、手術後も血流の変化を確認しながら段階的に生活の範囲を広げていきます。
治療を終えた後も、反対側の病変進行や再発を早期に見つけるために、症状がなくても定期受診を続けることが再発予防につながります。
脱水や血圧の変動、過換気を避ける生活を心がけ、気になる症状が出たときは自己判断せず早めに脳神経外科へ相談してください。
また、脳梗塞や脳出血による後遺症が残った場合には、再生医療が機能回復を目指す選択肢の一つとなる可能性があります。
脳卒中の後遺症に対する再生医療の詳しい内容は当院(リペアセルクリニック)公式LINEでもご紹介していますので、後遺症の改善に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてください。
監修者
圓尾 知之
Tomoyuki Maruo
医師
資格・所属学会
日本脳神経外科学会 所属
脳神経外科の最先端治療と研究成果を活かし、脳卒中から1日でも早い回復と後遺症の軽減を目指し、患者様の日常生活の質を高められるよう全力を尽くしてまいります。



























