糖尿病患者は水虫になりやすい|フットケアで合併症を回避!

2021.08.19

カテゴリー: 糖尿病

糖尿病患者の方は、水虫などの足の病気に注意が必要です。糖尿病患者の方にとっては、ただの水虫も、足の組織を壊疽(えそ)させる重大なトラブルのきっかけになり得る病気になるからです。
糖尿病患者の方は足に異変を感じたら早期に医者にかかりましょう。そして自身でも自宅でできるフットケアに取り組んでください。

糖尿病足病変とは

糖尿病患者の方の足に生じる、さまざまなトラブルのことを、糖尿病足病変(以下、足病変)といいます。足病変には水虫やたこ、足の変形などがあり、悪化すると足の組織が死んでしまい壊疽します。

そのような事態を引き起こさないためにも、本稿では糖尿病と水虫の関係や、足病変を医療機関でしっかり治療することの重要性について解説していきます。日常生活で出来るフットケアの具体的な方法も紹介しますので、すぐに実践してみてください。

糖尿病と水虫の関係

糖尿病患者の方は水虫菌(白癬菌)を含む細菌に対する抵抗力が落ちているため、水虫などに感染しやすくなっています。また、血糖値が高い状態が続くと全身の血管だけでなく神経も障害されるので、痛みや熱さなどに対する感覚が鈍くなります。

足の感覚が鈍ると、足の変形や、たこ、うおのめなどが発症しても気がつかず、症状を悪化させてしまいます。

糖尿病の人が水虫などの感染症になりやすい理由

糖尿病患者の方が水虫などになりやすいのは、免疫力が落ちるからです。

免疫とは、外部の攻撃から身を守る機能のことです。血糖値が高くなることで白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下すると、白癬菌などの病原菌と十分に戦えなくなります。糖尿病で免疫力をなくした体は、容易に細菌に侵されやすく感染症にかかりやすくなります。

水虫の悪化で壊疽することもある

水虫や感染症などの足のトラブルが悪化すると、足が壊疽してしまうことがあります。壊疽とは細胞が死滅してしまうことで、1度壊疽した部分は回復せず、壊疽の進行具合によっては切断を迫られます。壊疽が広がると足を切断することになるかもしれません。

先ほど、糖尿病患者の方は足の感覚が鈍ることがある、と解説しましたが、これは糖尿病によって神経が障害されてしまうからです。

こちらも併せてご参照ください
糖尿病で足が壊疽する原因と症状|神経障害や潰瘍との関係とは

爪白癬にも注意

糖尿病患者の方は通常の水虫だけでなく、爪白癬(爪水虫)にも注意してください。

糖尿病患者の方は、爪の肥厚や巻き爪など爪に異常がでるケースが多いです。爪に異変のある患者さんのほとんどに爪白癬があるそうです。しかし目立つ症状がなく、かゆみや痛みも伴わないので、健康な人でも発見しづらい水虫です。足の感覚が鈍っている糖尿病患者の方は、さらに発見が遅れる可能性があります。

日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン2016』では、不適切な爪の処置が足潰瘍の引き金になり得ると指摘していて、爪白癬も足病変の重症化につながると考えられています。

こちらも併せてご参照ください
糖尿病は爪白癬を引き起こす!最悪の場合、足が壊死します

病院での治療が必要

糖尿病患者は水虫になりやすい|フットケアで合併症を回避!

糖尿病患者の方が水虫などの足の異変に気づいたら、すぐに医師に相談し治療に取りかかってください。

血糖コントロールが悪いと足病変の元になっている感染が長引いたり、傷が治りにくくなったりします。足病変の発見によって、はじめて血糖値の異常に気づいた場合は厳格な血糖値の管理が必要になります。

フットケアで水虫を予防・対策

糖尿病患者の方が自身でもできる足病変対策としてフットケアをお勧めします。正しいフットケアを行えば、水虫などの足病変の予防につながります。また、足病変が起きてしまっても、フットケアを継続することで症状が悪化するリスクを減らすことができます。

こちらも併せてご参照ください
糖尿病患者のフットケア方法と注意点

フットケアのポイント

フットケアとは、足の手入れを行うことです。

糖尿病患者の方における、フットケアのポイントは次のとおりです。

・毎日、足を観察する
・足を清潔に保つ
・乾燥しやすい人はクリームで保湿する
・爪の伸ばしすぎも深爪も禁止

足病変は少しずつ感染部位が拡大するので、小さな異変を見落とさないようにしてください。不潔な環境や乾燥は細菌の繁殖を促してしまうので適切な予防と対策を取ってください。爪の伸ばしすぎも深爪などでも、気づかないうちに足を傷つけてしまうことがあるので細心の注意が必要です。

日常生活での注意点

糖尿病患者は水虫になりやすい|フットケアで合併症を回避!

フットケアに加えて、日常生活でも注意していただきたいことがあります。

<足を守るために日常生活で注意すること>
・足にあった靴を履く
・清潔な靴下を履く
・ケガをしないようにする
・やけどしないようにする

足にあわない靴を履くと靴擦れを起こし、傷ができてしまいます。その傷がきっかけとなって感染症にかかることもあります。清潔な靴下を履くことで、足を綺麗に保って感染リスクを減らすことができます。

「ケガをしない」「やけどしない」は当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、糖尿病患者の方は、免疫力が下がっていて感染症にかかりやすいので、とくに注意が必要です。さらに足にケガや、やけどを負っていても、糖尿病による神経の障害から気がつかないことがあります。毎日、意識的に足をチェックするようにしてください。

まとめ

糖尿病患者の方にとって水虫は、単に不快な病気に留まらず、悪化すると足の壊疽まで進んでしまう可能性のある病気です。日頃よりフットケアを実施するなど、足病変に向けた予防・対策をすることで、感染のリスクを減らすことができます。そして足に異変を感じたら、放置せず、すぐに医者に相談しましょう。

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